2011年5月30日月曜日

クライミングのムーヴ「正対」




5月29日(日)は、ランナウトにてジム講習6時間コース。
今回は、これまた常連になった女性のKさん。


クライミングの初心者は、壁に真正面を向く(正対)ばかりで、壁に対して横を向くこと(フリ)が解らない人が多いものです。
そして、フリを全く使わないのは、ものすごく非効率で疲れます。


そこで、ムーヴ講習でも、体のフリに相当する超基本(ダイアゴナル、バックステップ)を早い段階で教えます。
が、「実は、正対はダメじゃない!」、 「正対にも使い道やコツがある!」ってことも伝えます。
これは、初心者が勘違いに陥りやすいので大事な講習ポイント。
という訳で、超基本ムーヴの3つ目は正対となる訳です。


正対のコツは、
・腰を壁に近付けるために足をがに股の向き(インエッジ)で置くことが多い
・レストは、しゃがみこむようにすると、足に体重が乗り、腕も伸ばしやすい
・引き付けは疲れるので、一瞬でやることが多い(デッドポイント気味)


というあたりでしょうか。


まあ、これだけ読んでよくよくイメージ出来る人は講習に来ないでしょうからネタバレの問題はありません(笑)。


そして、たったこれだけのコツでも、講習では体で覚えるまで反復反復!
これがまた、初心者のフォーム矯正に劇的な効果があるようですよ。


具体的な講習内容
・短期レスト・長期レスト(復習)
・ダイアゴナル・バックステップ(今日で、ほぼ完璧なレベルに!)
・正対(ぎこちないながらも、コツは理解できた様子)
・クリップ練習
・ロープの畳み方(復習)


Kさんも、ムーヴ講習では、1つのムーヴだけやろうとしても色々と混乱する方でした。
しかし、いよいよ一皮むけた感じです。
クライミングのムーヴの仕組みや使い分けに関しても、会話が出来るようになって来ました!
もう一伸び来そうですね。

2011年5月28日土曜日

入門アルパインの土台

















5月28日(土)は、ストーンマジックにてロープワーク講習。
今回は、数ヶ月前にジムでのリード講習を完結した、山岳会仲間の3人組(STさん、SZさん、MJさん)。

「いよいよ今回は、岩場リード!」というはずでしたが、雨でジム講習に変更。
ジムで可能な限り、岩場で必要なロープワークを講習しました。

まずはスポーツルートをリードで登りたい一方、アルパインにも将来的な興味を抱く彼ら。
毎度このブログでも書いていることですが、なかなか長い道のりになります。

今日の雑談の中で話したことですが、夏の入門アルパインに必要な基礎力って何でしょうか?
私の方で例示できる目標としては、以下のような感じです。

クライミング:
ゴールとしては、三ツ峠などの簡単なクラックマルチが、リードで登れること。

①単純なクライミング能力は、ジムの5.10a程度が99%オンサイト出来れば最低限。

②ロープワークは、マルチピッチに必要なもの一通り。(三ツ峠で、1日3回トップアウト出来るスピードがあれば充分。)

③プロテクション技術は、カム・ナッツ・ハーケンが扱えること。(クラックの5.8くらいはリードしておきたい)

登山技術:
個々の能力は置いておいて。
ゴールとしては、夏の槍穂縦走が仲間とテント泊で行ければ、最低レベルには達しているでしょう。

これだけ出来れば、あとは実践あるのみでしょうか!
あまりに長い道のりに感じたら、とりあえず三ツ峠などの体験講習を受けて、ゴールのイメージをハッキリ持つのも良いかと思います。

具体的な講習内容
・終了点作業(結び替え、懸垂下降)
下で練習して、最後に高いところで実践練習!

・支点が不安な時の対応(独立分散、流動分散、固定分散の使い方)

・ウィップフラッシュ現象の説明

・最後に、おまけのクラック体験
例によって、良くも悪くも(!)これがお客様の印象に最も残る結果に・・・










次回こそ、夏に小川山でリード講習という話になりました。
楽しみです。

2011年5月27日金曜日

ハイペースの成長







5月26日(木)の夜は、ランナウトにてリード講習(またも第1回)。
初心者講習からマンツーマンのジム講習を、毎週受講中の男性Kさん。

彼は、クライミングは初めてまだ2ヶ月ですが、早くもリードを覚えようというところ。
これは、やる気のある学生がクライミングを始めたのと変わらぬハイペースです。

もちろん、途中を割愛してリードを教えているわけではなく、トップロープや超基本ムーブを一通り終えてのリード講習。
マンツーマンで毎週は少し贅沢な話でしょうが、さすがに覚えは早いです。

僕が教えられる限りを尽くして、一端のクライマーにまで引き上げてしまいたいですね。

具体的な講習内容
・脱力(オープンハンド)の復習
・クリップ(右手・左手、右向き・左向き)
・疑似リード(クライムダウン含む)で、クリップの態勢・タイミングを学ぶ
・やってはいけない事例集(Zクリップ、逆クリップ、ロープに足を絡ませる、手繰り落ち)
・落ちる練習(軽目に数回程度)

普段のリード講習では、最初はトップロープを完璧にするところからスタートです。
特に、ランナウトではビレイサポーターという機械があって、初心者の稚拙なビレイが許される環境なので、それを矯正します。
しかし、Kさんは最初から講習でスタートだったので、そのあたりも大丈夫ですね。

2011年5月26日木曜日

講習会を利用してクライマーになる(石田登山塾の場合)














5月25日(水)の夜は、ランナウトにてリード講習。
今回は、先月の無料体験講習から参戦のIさん、Aさんの2人組。

2人は、山のバリエーションルートに強い興味があるようです。
そんな方々に、私は、まずはジムでのリード講習を勧めます。

さて今回は、石田登山塾がその先に想定する講習の道のりを御紹介しましょう。

①ボルトルート(スポーツルート)の岩場講習で、岩場デビュー!
②クラックのリード講習で、1ピッチのアルパインクライミング!
③マルチピッチ講習で、山用のロープワークを学びます。

④最後に、入門バリエーションの実践講習!
という運びです。

もちろん、その合間合間に、リードを教えずに僕がお連れする体験講習(ガイディング)を織り交ぜることも出来ます。
もし、お客様の周りに優秀な先輩が居るなら、体験講習は不要かもしれません。

また、クライミングの伸び悩み向けムーヴ講習、雪山の基本技術、地図の読み方、などをオプションとして当塾を利用していくことも出来ます。

今まさに、クラック講習やマルチピッチ講習を受けている方は、これで少し全体像が見えるでしょうか。

ちなみに、本気でアルパイン目指す人は、登山技術(特に冬山)はクライミングと同じくらい習得に時間が掛かることを覚悟した方が良いです。

具体的な講習内容
・トップロープのビレイ(スライド式、持ち替え式)
・足音を立てない登り方
・エイトノットの結び方
・クリップ(右手・左手、右向き・左向き)
・疑似リード(「次回は、これで練習しますよー」という紹介程度に1回だけ実践)

ジムでのリード講習だけでも、平均で3回程度。
長すぎる道のりで、アルパインの敷居の高さに驚き、挫ける人も居ます。
しかし、スポーツクライミングのトレーニングに比べ、山は経験の要素が大きいものです。
ボチボチ頑張っていれば、誰もが必ずベテランになれます。

コツコツだと思います。

2011年5月23日月曜日

無料体験講習会のリマインド

毎月最終火曜に行っている、クライミング無料体験講習のリマインドです。

5月31日(火)
場所:クライミングジム「ランナウト」(西国分寺駅)

昼コース:
15時から16時半
夜コース:
20時から21時半です。

参加を御希望される方は、事前に私へメールをして頂くことにしています。

初心者歓迎は勿論です。
経験者も、講習生同士の交流の機会も兼ねて、是非とも御利用下さい。

クライミングの練習中に意識すること

5月22日(日)は、ランナウトにてムーヴ講習。
今回は、新規のお客様Yさん。

クライミングの練習中に、「足を丁寧に置こう」、「チョークを付けながら登ろう」などと意識する点があります。
これは、初心者が新しいテクニックを身に付ける際に、とても有効です。

さらに、僕自身も登れなかったルートに再チャレンジする際などは何かしらの改善意識を持って取り組もうと思っています。

(中級者以上が意識するのは、重心の位置、反動を付ける方向、手を出すタイミング、力の入れ所、などの細かい点の場合も多い)

この意識するポイントは、一度に何個も意識すると大体混乱します。
つまり、1回のトライで意識出来るのは1個だけ!

それだけに、この意識を有効活用するのが、上達の1つのポイントになります。

さて、講習では初心者・初級者が対象なだけに、私から見て本当は教えたい(!)テクニックが山ほど頭に浮かびます。
それを、あくまで1つ1つ反復練習して頂き、意識せずに(!)出来るようになった頃に、次のテクニックを教える訳です。

我ながら、気が長くないと出来ない仕事だなぁと思います。

ちなみに、本日のYさんは、若い男性で、クライミングの自主練習も頑張っており、雪山単独行の経験あり、さらに多少はリード経験もあり。
これは、久々に超ガツガツの方がいらっしゃいましたね。

今日1日だけでも、相当に省エネ技術を覚えていただきました。

次回は早速、リード講習をしたいですね。

具体的な講習内容
・足音を立てない登り方
・中期レスト、短期レスト
・超基本3ムーヴ(動き自体はすぐに出来たので、腰の入れ方や捻り方など、具体的なフォームやコツについて)

マンツーマン6時間コースでしたが、僕自身が1日中ビレイヤーにでもなったくらいに、登りまくって頂きました。
きっと、周りのクライマーも驚くほど密度の濃い1日だったでしょう。

彼ならば、きっと劇的に上達すると思います。

2011年5月21日土曜日

マルチピッチでのフリークライミング










5月20日(金)、21日(土)は三ツ峠にてマルチピッチ講習。
今回は、新潟のKさん。

Kさんは、小川山の"セレクション(5.8、6ピッチ)"というルートに、行ってみたいとのこと。
しかし、そのルート、お連れするにも今のKさんでは厳しいので、「まずは三ツ峠でクラックマルチの特訓!」とい運びです。

クライミングの完登には、色々なスタイルがあります。
リードで一回も落ちない"オンサイト(初見)"という最高のスタイルから、誰かに連れて行ってもらう"フォロー"というスタイルまで。

Kさんの考えでは、そのルートに、まずは"フォロー"で行きたいとのこと。
ただし、ロープにはぶら下がらずに自力で(フリーで)、登りたいとの考えです。

ではでは、三ツ峠で色々なルートを、フォローでフリーで登っていただきました。
今回は、そこに拘るということで、一回でもスリングを掴んでしまったルートは、再トライしてみたりもしました。

マルチピッチをフリーに拘って登るというのは、なかなか緊張感があって楽しいですね。
長いルートでは、1回のミスも許されません!

具体的な講習内容
初日:
・一般ルートの弱点ライン(トップアウトして山頂へ)(4級、4ピッチ)
・中央カンテ(4級+、3ピッチ)
※痛恨のA0をしてしまう(実力的には行けるハズなのに?)

・中央カンテ(もう一度最初から登り、完登!)

取り付き周辺での講習
・ビレイポイントの作り方
・ハーケンの打ち方










2日目:
・草溝、第1クラック、NO.20クラック(4級+、4ピッチ)
ついでに、1ピッチだけ下降して、権兵衛チムニー(4級)も登る(トップアウトして、再び山頂へ)

・トップロープにて、草溝直上(5.9、クラック)にチャレンジ!(なんと、ギリギリ完登!)

取り付き周辺での講習
・ビレイポイントの作り方の続き(実践練習)










ちなみに、三ツ峠での講習は、下降とトップロープなどの支点以外、全て残置無視で行うことにしています。

今回は、ミッチリ教えるというよりも、「とにかく、カムとジャミングに慣れてください!」という実践練習。
ただ、草溝直上(5.9)が登れたならば、まずは大きな成果じゃないでしょうか。

セレクションのフォロー&オールフリーの背中も見えてきました。










(注)"セレクション"は、スポーツルート(ボルト)とクラックの両方をミックスした、フリークライミングのマルチピッチです。
小川山の代表ルートの1つ。
クラックの5.8のピッチ、スラブの5.8のピッチ、で挫折する人が多いことでも有名。

2011年5月19日木曜日

基本の反復練習

5月19日(木)の昼は、ランナウトにてムーヴ講習。
今回は、先週に4日連続講習を受講した女性のKさん。

前日の方と同様、レストの方法や、超基本ムーヴの反復練習です。

先週は、ジムで1番易しいルート(5.6)でも何回か登ると疲れていました。
しかし、今日は色々なテクニックを反復練習するべく、3時間ほとんど壁に取り付きっぱなし!

省エネ技術の進歩で、だいぶ疲れなくなったんですねー。
先週のKさんを知るジムの常連さんからも、「上手くなった!」と言われて、良かったですね。

具体的な講習内容
・短期、中期レスト(反復練習)
・ダイアゴナル(反復練習)
・バックステップ(とりあえずは、理解したレベル。反復練習は次回!)
・ロープの畳み方(復習)
・トップロープのビレイ(持ち替え方式)

反復練習を好む素質を持つKさん。
今後もコツコツやっていきましょう。

短期・中期・長期レスト

写真はあとで。

5月18日(水)の夜は、ランナウトにてジム講習。
すっかり常連の男性Kさん。

クライミングは、ホールドを持つのも、登っている間に腕を上げているのも、腕の血流を止めるばかり。
実際、スポーツクライミングで持久系ルートのほとんどは、体力ではなくて、腕が限界を迎えて(パンプして)落ちるものです。

そこで、登りながら腕を休めるレスト技術が大切になります。

例えば、腕を下ろす、肩の力を抜く、軽く腕を振る(シェイク)、などの方法で、血流の促進をはかります。

と、ここまではクライマーなら聞き慣れた一般論。

これを初心者に教える際、レストの方法を3つに分けて実践練習すると、覚えが早いように思います。

3つというのは・・・

長期レスト:
・片手ずつ交互に腕を下ろす(両手ともに比較的良いホールド、良いスタンスなどのときに可)
・10秒から5分くらい滞在
・休みながら今後の作戦を立てるのも有効(戦略的駐屯地)

中期レスト:
・片手だけ腕を下ろして休む(片手だけ良いホールドなどのとき可)
・1秒から10秒くらい滞在(それ以上いると、休めていない方の手が疲れることが多い)
・今後数手分だけ確認したり、呼吸を整えたりするくらいは出来る

短期レスト:
・次の一手を取る際に、動きの途中で(腕をほぼ下ろさず)軽くシェイクする
・かなり厳しいときでも可
・1秒以下くらい
・休むというよりも、疲れを軽減してスピーディーに進む感覚

さすがに1日では覚えきれない内容ですよね。
この手の話は、『フリークライミング』(ヤマケイテクニカルブックスシリーズ、山と渓谷社)にも詳しいです。


教える側の経験則としては、短期レストを早い段階で教えておくと、適当な間隔でレストが出来るクライマーになるように思います。

具体的な講習内容
・オープンハンドの復習
・短期レスト、中期レスト
・ロープの畳み方
・超基本ムーヴの復習

本日の最後に、薄かぶりの5.8に挑戦してもらいました。
クライミング初日には途中で力尽きた因縁のルート。
今回は余裕で登れてしまい、本人もビックリしていました。

次回からは、いよいよリード講習の開始です!

剱岳小窓尾根

5月15日(日)から17日(火)は、雑誌『山と渓谷』の取材手伝いで、北アルプスの剱岳へ。
(掲載は来年の春だそうです。)

先日、別の雑誌でオススメに挙げた残雪の剱に、偶然にも行く機会を得ました。

GW頃の剱は、晴れれば素手でのハイキング、一度荒れれば雪山と同じです。
今回は、入門バリエーションの小窓尾根を登ってきました。

小窓尾根は、マーキングや、古びたフィックスロープもあり、さすがにクライミングルートとは言えません。
例えば、不安定な雪は恐いので、崩れそうな雪の上を歩く際にロープを使うくらいの尾根ルートです。

とはいえ、2泊3日の雪山装備でロープを持って縦走、どこでロープを出すのかの判断、途中に山小屋無しの軽い山深さ、剱岳というロケーション。

改めて、総合的な山屋を目指す方の入門バリエーションに相応しい課題ですねー。

僕自身、普段はテント(ベースキャンプ)に荷物を置いて、日帰り装備でのクライミングばかりです。
が、縦走装備でのバリエーションも、たまにはやっておくべきですね。
クライミングを真面目に始める以前の学生時代。1泊、2泊の沢なんかを毎週やってきたのも、山屋としては肥やしになってるなぁと感じます。

行動概要
初日:
馬場島、池ノ谷出合、小窓尾根1600mピーク、ニードル手前2100m付近(幕営)

2日目:
幕営地、三ノ窓、剱岳本峰、早月小屋(幕営)

3日目:
早月小屋、馬場島

それにしても、山はちょっと弱くなってました。
体力以外も、歩きのバランスがイマイチ。

しかし、色々な岩稜や壁を見て、モチベーションは沸き上がってきますね。
僕自身もボチボチ頑張りましょう。

2011年5月14日土曜日

新人面接

5月14日(土)の午前中は、富士山ガイドの新人面接。
ガイド組織は自主運営なので、なんと私も面接官でした。

今まで、私も面接は受けるばかりで、試験官など初めて。
自分が受けるときは、しっかり質問に答えることや、言葉遣い、入退室の礼儀などに気を遣った記憶があります。
要するに、失敗しないヤツが勝つようなイメージでした。

しかし、今回、試験官をやってみて少し印象が変わりました。

「志望動機や自己紹介などの用意してきたであろう内容のスピーチ力」、「繰り返しの質問に的を得て返答する力」、「話の聞きやすさ、長さ」など、意外なほど能力差が見えるものだと感じました。
しかも、こういう力が、大人数を率いる富士山ガイドには重要です。

とはいえ、研修期間もあるので、合否は甘めには見ますが。

面接で人格は計れませんが、特定の能力なら、かなりの確率で計れそうですね。ちょっとした良い勉強でした。

楽に登る感覚を身につける



5月13日(金)の夜は、ランナウトにてムーブ講習。(本日は、2本目)
これまた、初心者講習からの男性Kさん。

今回で、Kさんから「何か、無理やり登ったときは、自分で気付けるようになった!」という言葉を頂きました。
これは、とても嬉しいことです。

クライミングは技術が大切ですが、同時に力も大切です。
むしろ、中級以上は「やっぱり力かぁ」と思わされる機会が多すぎます。

初心者からしても、「中級者以上は大抵スポーツマン体型だし、そもそも初心者は腕が疲れて落ちるじゃないか!」という位に力が目立ちます。

それだけ力を要するスポーツなだけに、「無理やりか?スマートな方法か?」というのを初心者が見極めたり、体感するのは難しいものです。
これを、クライミングを初めて早い時期に覚えることが出来れば、省エネ技術の飲み込みは飛躍的に早くなります。

つまり、初心者のムーブ講習中に教える省エネ技術は総じて、この感覚を身に付けるための具体例なのだろうと思います。
今回は、その具体例が積もり積もって、お客様の生の言葉になったのでしょう。

逆にいうと、5.11が登れるような方でも、この感覚に自信の無い方は、もう少し基礎を習った方が良いかもしれませんね。

具体的な講習内容
・短期レスト
・オープンハンド(脱力)
・ダイアゴナル、バックステップ、正対の復習(今回で、とりあえず超基本ムーブは終了!)
・ロープの畳み方(結び方は、次回)

次回からは、レストの方法やリードに向けての講習を始めたいと思います。

2011年5月13日金曜日

ロープの畳み方












5月13日(金)の昼間は、4日連続ジム講習の最終回。

今回も省エネ技術が主ですが、ロープワークの基本として、ロープの畳み方も教えました。

ロープの畳み方は、ジムでは必要ないため、これまでリード講習のついでに教えるくらいのタイミングでした。
しかし、今回は早めに教えることにしました。

というのも、文字通り命が関わるロープワークよりも先に、ロープに慣れて頂く方が飲み込みの早いようだと感じたからです。

ロープワークはムーヴと違って、教える難しさはほとんどなく、基本的な説明と反復練習が命の項目です。
今回のお客様は、反復練習に飽きることが全く無いそうで、ロープワークは少しずつ完璧に覚えていけそうです。

ロープの畳み方が遅い人は、自宅やジムで練習すると良いですよ。
やっぱり、ロープへの慣れは古今変わらず畳み方から始まるようです。

具体的な講習内容
・短期レスト
・ダイアゴナルの復習
・バックステップ
・ロープの畳み方(結び方も含む)

来週からしばらく、週1回の講習ペースで頑張りましょう。

2011年5月12日木曜日

ジム講習の連続受講

5月11日(水)、12日(木)は、4日連続ジム講習の方の2日目、3日目。

毎日講習を受けるというのは、色々な意味で難しいことです。
が、実際に講習してみると、全く基本が分からない方には大変有効な気もしてきます。
何を復習すべきか分からない方には、少しの間、付きっきりが手っ取り早いこともあるのでしょう。

特に、技術書を読むのが苦手な方や、運動感覚が鈍い方は、復習のモチベーションが上がらない気持ちも察します。

とりあえず4日連続講習が終わったら、週1回ないし2週に1回の講習で、講習と講習の間に自主練習を挟むスタイルをオススメしました。

末長く、クライミングの成長を楽しんで頂きたいものです。

具体的な講習内容
・ダイアゴナル(まずはスタンスの位置を覚える。次いで、アウトエッジで置くか、フロントエッジで置くかを意識する。)
・オープンハンド(脱力)
・エイトノットの結び方(復習)
・トップロープのビレイ(復習)
・ロープの畳み方(結び方は、また今度)


まだまだホールドを追ったり、ビレイで精一杯なところもありますが、少しずつ自分の足位置が意識できるようになってきますね。

2011年5月10日火曜日

さあてこれから







5月10日(火)の昼は、ランナウトにてジム講習。

今回は、3月に定年したばかりの女性Kさん。


なんと、本日から4日連続受講予定です!

これまでは、ガイド登山が主で、数々のバリエーションも体験しています。

が、ガイド登山であるがゆえに、基本中の基本の結び(エイトノット)をキチンと覚えるのも今回が初めて。


今日から4日間で、どこまで教えることが出来るでしょうか?


具体的な講習内容

・お互いの安全確認


・ビレイ方法の確認


・足音を立てない置き方


・超基本ムーブの1つダイアゴナル

(とりあえず、足の位置まで)


・エイトノットの結び方





ちなみに、表題の「さあてこれから」は三ツ峠にあるショートルートで、これが余裕で登れたら岩登りも「さあてこれからだ!」という印象深い名前のルート。

が、マルチゲレンデにありながら、5.8のショートルート(しかも、ボルトルート)という異色のルートです。


個人的には、三ツ峠では「草溝直上(クラック1ピッチ、5.9)」が登れたら、アルパインも「さあてこれからだ!」と思います。(余裕じゃなくても良いかな・・・)

小川山マルチピッチ










5月8日(日)は、遊びで小川山クライミング。

小川山というのは、クライミングエリアの名称で、実際には奥秩父の廻り目平キャンプ場周辺の岩場を差します。

キャンプ場から徒歩10分から2時間の範囲で、高さ50mくらいの岩峰が林立しています。
日本で最も有名な岩場の1つで、森林限界以下ながら見渡す限り岩だらけです。
しかも、森の中には高さ数mのボルダーまでゴロゴロしています。

ルートも、1ピッチのショートルートから、数ピッチのマルチピッチまで。
もはや、クライミングの楽園です。










今回は、高さ50mの岩峰の頂上に抜けるマルチピッチでも遊んできました。







スポーツクライミングとアルパインクライミングの中間的な、ゲレンデでのマルチピッチ。
クラック中心なので支点も良好。練習としてもオススメです。

具体的なルート
・砦岩東門右の門柱アーチ・クラック(5.10a、3P)
取り付きは、一見パッとしない易しいチムニー(5.7)。
ハイライトの5.10aは、ロープスケール30mの快適かつ見映えの良いクラック(ハンドからフィスト)。
最終ピッチは、期待の5.9OWだったが、グレード甘過ぎ?気付かず通り過ぎてしまった。

・完全なる酒乱(体感5.10a、スクイーズチムニー)
昨年ギリギリでオンサイトしたルートの復習シリーズ。
リードで2回登って、チムニームーヴの練習。











今回で、僕にとってやさしめであっても、色々なマルチピッチに行く興味が沸きました。










ショートルートは、限界ギリギリの頑張りが大きな達成感ですが、マルチピッチは登山みたいな楽しみ方です。
ドンドン上に登れれば、単純に楽しい!

2011年5月9日月曜日

尾根の向こう













5月7日(土)は、後輩の結婚式2次会に参加。
右のリンクに貼ってある、「尾根の向こう」というホームページを主催する2人です。



クライミング馬鹿な上に、若いノリで悪ふざけ、さらにサービス精神旺盛な2人。
エリート医者の2人なんですが、遊び心満載の宴会でした。

2人は自分たちで2人の軌跡スライドを用意、親族でバンド演奏で盛り上げ、自らMCになってプチイベント。















さらに、花嫁がクライミングで培った背中を見せつけるようなウェディングドレス。
さらにさらに、その筋肉を隆起させる懸垂大会。



















そして、終わった後は、翌日のクライミングに向けて夜のうちに出発。
小川山では、3次会というよりも単純に登ってましたが。

彼らのホームページを見れば、その気合いの片鱗を見ることが出来ると思います。

2011年5月7日土曜日

足の移動

5月6日(金)の夜は、ランナウトにてムーヴ講習。
今回は、初心者講習から継続中のKさん。

クライミングの基本的な動きを教える際、私はムーヴの型を1つ1つ反復練習してもらいます。
それが、足位置や体の向き、ちょっとしたフォームを覚えるのに分かりやすいからです。
そして、ムーヴというのは大抵、次のホールドを取りに行くとき(つまり、手を出すとき)の動きを差します。

しかし、クライミングでは、ムーヴとムーヴの間に足を移動させるのも重要です。
実際、順序がムチャクチャだと体はアチコチに振られ、丁寧に足を置くなんて不可能になります。
実は、これが初心者の省エネ技術の核心とも思うのですが、案外言葉にしづらいものです。

言語化しにくいコツは、具体例を幾つも出して体感してもらうのが一番かと思います。
例えば、「その場合は、こういう順序で足を移動させると良いですよ」といったワンポイントアドバイスを地道に重ねることでしょうか。

超基本ムーヴを一通り覚えたKさん。次は、いかに使いこなすかですね。
基本的な動きは出来るはずです!まずは、足自由課題を徹底的に登りまくりましょう!

具体的な講習内容
・ウォームアップがてら足音を立てない復習
・ダイアゴナルの復習(腰を入れる、胸を反らす)
・バックステップの復習
・正対(足の位置、引き付けは一瞬で)
・足の移動(手にぶら下がるようにして懐を広げる、順序については良い例を挙げながら実践練習)

もう少し安定してきたら、リード講習ですね!

2011年5月6日金曜日

クラック強化合宿(自分編)









5月3日(火)から5日(木)は、奥秩父のミズガキ山でクラック合宿。
遊びとは言いながら、今回は結構トレーニング的。

メンバーは、私とK島嬢の他に、ランナウトのルートエリア常連3名を加えた5人。

自分自身としては、初めて触ったワイド2本、5.11aのクラック、を一撃出来た成果もありました。
かつ、お気に入りのワイドを1日で7回登ってみてムーヴ練習に励んだり、充実です。






さらに、他のメンバー3名はジムでは5.12クライマーながら、普段はクラックやらない方々。
しかし、僕と来たからには「原則トップロープ禁止合宿」という形で、苦労しながらも頑張ってもらいました。
クラックは精神力使いますから、体がボロボロになる前に心がヘロヘロになってました。


3人とも、3日間で相当な回数カムにテンション掛けて、少し強くなったんじゃないかと思います。














具体的に登ったルート
初日:天鳥川右岸スラブ
・千草(5.10b)再登
・?(5.10d)オンサイト
・広き門(5.10b)オンサイト
ワイド系で、ちょっと勉強になる感じ

・腕ひしぎ逆十字固め(5.10c)再登
短くて悪い


残念ながら、本日は雨で早上がり















2日目:不動沢エンペラータワー
・よろめきクラック(5.10a)、トップへの道(5.10b)を繋げて
アップにしては厳しかった。

















・ア・プリ・オリ(5.11a、フェース系)オンサイト
マジ怖かったです。でも、後半は相当気合いで進みました。



・エンペラークラック(5.9、ワイド系)フォロー

・よろめきクラック(5.10a、ワイド)2回連続リードを3セットやってトレーニング

3日目:末端壁
・ペガサス1P目(5.10d)アップと言いながらも必死
・T&T(5.10d)指を怪我して敗退
フィンガーを決めたまま足が滑って、指皮がベロリ。血が酷いので敗退。

・T&Tの上のワイド(体感5.9)
調和の幻想1P目でアプローチして、フォローしてもらい、その部分だけトライ。
慣れないの形状ながらレストポイントがあるので、時間を掛けて最適ムーヴを探しながら。
最後は「なるほどー」ってムーヴを発見。
これだからクラックは面白い。













3日目は指を怪我しながらも、一本だけでも本気トライが出来て良かったです。

2011年5月3日火曜日

三ツ峠マルチピッチ講習の募集

またもやですが、三ツ峠の募集です。

5月20日(金)、21日(土)、6月4日(土)、5日(日)に三ツ峠でマルチピッチ講習を行います。
どちらも、もう1名参加出来ます。

マルチピッチ講習は、講師1名につき2名が参加可能です。それ以上の参加希望がある場合、他にアシスタントが依頼できた場合に承れます。
自信が無いという方も、まずは問い合わせてみて下さい。
三ツ峠は全くのクライミング初心者でも、どうにか登れる難易度です。

もちろん、最終的には、お客様同士でのレベル差が、講習可能な範囲かどうかを検討させて頂きます。

2011年5月2日月曜日

ザイルワーク特訓




5月1日(日)は、奥多摩の天王岩にてロープワーク講習。
前日に引き続き三ツ峠の予定でしたが、予報が悪くて転戦してきました。
お客様は、TZさん。


ロープのことを、昔はザイルと呼んでいたそうです。
かく言う私も大学時代は先輩の影響でそう呼んでいましたし、今でもザイルと呼ぶ人も居ます。


そして、クライミングジムに通う習慣が無かった当時、ザイルワークこそが私のいた山サークルでも平日練習の花形でした!
結び方、懸垂下降、リード・ビレイ、マルチピッチシステム、セルフレスキュー・・・
大学の校舎でよくぶら下がりました。
そして、怖がりの私は、初めての懸垂下降などでは大変に苦労しました。
でも、なんとか物にしたかったんです。


今回は、岩場の簡単なルートで、終了点作業などのロープワークなどを徹底練習。
最近の話だと、ガイド試験の科目「レスキュー」の直前練習を思い出しますね。手際が良くなるまで、練習は「しつこさ命!」。



具体的な講習内容
・結び替え、懸垂下降のセットの復習
・トップロープの張り方
・リード&フォロー(セカンドのビレイ方法など)
5.4くらいのルートですが、15回くらいは登ってもらいました。


・おまけで、5.8のオンサイトトライ2本(1本は成功!)


単純なクライミング能力だけでなく、ロープワークも少しずつ力が付いてきました。

残置無視のススメ





































4月30日(土)は、三ツ峠にてマルチピッチ講習。
今回は、常連女性のTZさん、ジムでリード講習済みのSTさんの2名。


三ツ峠は、山でのクライミングの練習場です。

山でのクライミングとは、
・本格的なアルパインクライミング
・登山道からはみ出した岩尾根などバリエーションルート
・沢登り
など。

つまりは、登山道をはみ出してロープを使って登るような登山全般です。

こういった登山ルートでは、昔の人が残した支点(残置支点)が数多くあります。
残した理由は、単純に回収忘れであったり、回収不能であったり、最初から意図的に残したものであったり。

こういったルートでは、「敢えて残置支点を使わずに登る(残置無視)」という試みが昔から行われています。
残置無視!というセンセーショナルな言葉で注目を集めたのは、最近のことかと思いますが。

それは単なる練習ではなく、それが登山道をはみ出して登る人間が「自力で登った感」を味わえる方法だからです。

フリークライミングは、ロープにぶら下がらずに登りきるのを課すことで、より面白いものとなりました。
山でのクライミングも、自力で登った感を課すことによって、もっと面白いものになります。
「素のままの山を登る小さな冒険!」といって差し支えないと思いますよ。
百聞は一見に如かず。とりあえず、やってみましょう!

本音を言えば・・・
「あるものを使わない」というのは敷居が高くなりがちです。
山の残置をもっと減らしてしまえば、どんな易しいバリエーションも冒険の舞台になると思うのですがね。

ちなみに、夏壁の場合、カム・ナッツ・ハーケンが支点として使えます。

具体的な講習内容
・テーピングの仕方
・ハンドジャムの方法
・カムの決め方
・残置無視で、三ツ峠山頂へ(実践マルチピッチ!講師が全てリード)
・ビレイ点の作り方(流動分散、固定分散、独立分散)
・ハーケンの打ち方
・再び実践マルチピッチで山頂へ(別ラインから)
・インクノットの効率的な作り方
・懸垂下降のバックアップの取り方(地面で、形のみ)

アルパインクライミングを目指すTZさん、いよいよ目標に近付いてきました!
STさんは、スポーツクライミングのリードもまだの状況ですが、俄然モチベーションが上がったようです。