2012年10月30日火曜日

お掃除か?ルート作成か?ルート開拓について

10月25日(木)、26日(金)は、自分のクライミングにてミズガキ。
今回は、「雪山大好きっ娘。」こと、えのきど。さんと。
えのきど。さんに案内してもらって、初日は行ったことのないエリアに。
かなり昔に開拓されたまま、自然に帰っていたクラック。
それを、最近えのきど。さんが掃除したりして、復活したエリア。

クラックは、自然の摂理を登るものですが、やっぱり苔や泥くらいは掃除しないと登れないときもあります。
クライミングには、「よりナチュラルな岩を登ろう!」という精神があります。

そして、クラック、アルパインの残置無視、オンサイト、「アプローチも含めてクライミングなんだから、トポを詳しくし過ぎるな!」などの伝統があります。

が、自然保護って観点とはちょっと違います。
あくまでも、クライマー目線での「ナチュラルな岩」(笑)

実際、多少の木を折っちゃうこともありますし、苔や土くらいならバンバンお掃除して、脆い岩も落として、クライミングの対象を“作って”しまうこともあるのです。
でも、それもあくまで相場が大事です。
「お掃除」も、行き過ぎると本当に「ルート作成」になってしまうのです。

ここは、ジムではありません。
みんなで、より「ナチュラルな岩」を保護していくのが大事だと言われております。


例えば、
・登るのにほとんど邪魔にならない木を切るのは、やっぱりあんまり好まれません。

・木を切っても、それをベンチにしたりして、岩場を公園みたいに整備するのも、土地の所有者を無視した行動にも思えます。

・岩場への踏み跡を、テープでガンガンマーキングするのも、伝統的なクライミングエリアでは好まれません。(自分で岩場くらい探しなさい、という意味)

・堅い岩の花崗岩では、ワイヤーブラシで苔を落とすのはアリ。その他の柔らかい岩では、ワイヤーブラシだと、苔だけじゃなくて岩も変形させてしまうから、どうなんでしょう?

・ホールドを削って登りやすくする(チッピング)は、ほとんどクライミング界追放レベルの重罪。
(これは、日本では特にそう。)
さて、成果の方は、初日にえのきど。さんが5.12aをサクッとR.P.。
人気ルートではない難しさも加味すると、相当に厳しいラインだったと思いますが、さすがでした。

僕も、5.11cをR.P.したり、5.10dをO.S.したり、充実の1日。
2日目は、「ほとんどアルパインでしょ!?」っていう不動沢の摩天岩。

アプローチは、1時間強。
残置がほとんど無いだけでなく、高さ3ピッチくらいの岩壁。
さらに、標高が高く、ミズガキ山頂もかなり近い!

トップアウトしたときの景色、懸垂下降の爽快感は、無雪期アルパインと言って遜色ないと思います。
今回は、僕よりパートナーが強かったこともあり、サクサクと3ピッチを登攀。

1日に、3ピッチのルートを3本登り、相当トレーニングになりました。
中でも、以前から狙っていた
“陽炎”という美しいルートを、O.S.できたことで、より一層楽しい一日となりました。

(ワイドの5.10cが付いているが、実際は5.10bとか言われている。)
普通に、良い2日間でした。
ちなみに、えのきど。さんはJFAの仕事もされているので、開拓だけでなく、岩場のアクセス問題なんかにも詳しくて、ちょっと勉強にもなりました。
具体的に登ったルート
初日:
秋場所ロック
・名無しの権兵衛(5.10a、ハンド)
アップがてらO.S.
相当苦戦した。辛いと思う。

・天使の階段1P目(5.11c、フィンガー?)
R.P.(2便)
かなり、ボルダーチック。
えのきどさんからアドバイスが貰えなかったら、完登していなかったような気がする。

蛇岩
・スネーククラック左(5.10d、ハンド)
O.S.
とても充実。

巨木岩
・ルート名不明(5.10b?、ワイド?)
ワンテン。
えのきど。さんの話によると、登られているらしい。(目立つラインなので、当然だが。)

2日目:
摩天岩
・かぜひき(5.10a、3ピッチ、ワイド系)
どうやら、後からトポを確認したら、2と3ピッチ目は、バリエーションを登っていたようだ。
正規ラインも、いずれ登ってみたい。
2と3ピッチ目は繋げたので、実質2ピッチ。

・陽炎(5.10c、3ピッチ、ワイド系)
1ピッチ目の核心をO.S.させて頂く。
グレードは、甘目。
2と3ピッチ目は、えのきど。さんが繋げたので、実質2ピッチ。

・蜃気楼(5.10d、3ピッチ、ハンド&凹角が中心)
3ピッチ目をリードさせて頂く。
もうヘロヘロながら、吠えまくってなんとかR.P.
久々に、登りまくった2日間でした。
小川山、ミズガキのシーズンも、あと2週間くらいでしょうか。

11月中のの公募

11月中の公募で、まだ空きがあるものをまとめて掲載しておきます。

ただ、ジムでの公募に関しては、掲載しておりませんので、HPのスケジュールで御確認ください。
また、キャンセルなどもあって近々のスケジュールにも空きが出ましたので、どうぞ御確認ください。



①11月3日(土)、4日(日)
内容:クラック講習
場所:湯川
参加条件:ボルトルートでのリード経験があること

今週末のクラック講習が、1名キャンセルが出ました。
残り1名の枠で、参加可能です。

②11月14日(水)
内容:岩場体験講習
場所:天王岩
参加条件:特になし

残り3名。
トップロープで易しいルートを登ってムーヴ練習。
終了点の仕組みなど、岩場リード講習の基礎になることを少し説明します。

③11月15日(木)
内容:クラック講習
場所:湯川
参加条件:ボルトルートでのリード経験があること

残り1名。

④11月18日(日)
内容:クラック講習
場所:湯川
参加条件:ボルトルートでのリード経験があること

残り3名。

⑤11月25日(日)
内容:岩場リード講習
場所:天王岩
参加条件:ジムでのリード&ビレイができること

残り3名。

2012年10月29日月曜日

本日の山の知り合いを増やす会

本日の飲み会について。
集合時間に来られない方は、直接お店に来てください。

金の蔵Jr.
東京都新宿区西新宿1の4の1 新宿プリンスビル3階

また、もし道が分からないなどがありましたら、私の携帯に電話をお願いいたします。

当日参加も歓迎します。
数人くらい増えても、お店の席の都合だけですから、問題はありません。

2012年10月24日水曜日

感覚的な内容は、理屈よりも具体的な場面で

10月23日(火)の2コマ目は、常連女性TZさん。
今回講習した内容は、
「サイドっぽいホールドは、フリが基本。ガストン、下向きホールドは正対が基本。」

これ、5.12が登れるような中級者にとっては、基本中の基本だと思います。
サイドを保持した瞬間、体が自然とフリになろうとする癖が付けば、かなり良い線まで来ているでしょう。
大きなガバホールドなら、サイドっぽくも、他の向きのホールドっぽくも使用することは出来ます。

ただ、これは感覚的に理解する部分が大きい。

したがって、初心者に言葉だけで説明することが難しい。
逆に、5.11前半が登れるような人でも、分かったつもりで出来ていない人も多い。

こういう話こそ、ムーヴ講習が一番ですね。

具体的に、易しいルートを登る中で
「それは変」
「もっと、こういう形でやった方が楽」

と指摘するのが、感覚を養えます。
具体的な講習内容
・上記の内容を、5.6~5.9くらいの足自由ルートで反復練習。
(これが出来れば、ジムの5.8は引き付けをほとんどせずに登れます)

・テクニカルなルートの復習
(垂壁の5.10bを再登)

・実践、本気トライ
(垂壁の5.10d。さすがに、これはムーヴが出来ずに敗退。)
TZさん、フォームも安定して来ました。
しかも、5.10dのトライでも綺麗にフォールすることが出来ました。
(パニックになることなく)

素晴らしいことですよ。
次回は、オープンハンドについて反復練習したいと思っております。

とりあえず、ジム用ロープは買った方が良い

10月23日(火)は、ムーヴ講習のレベル0。
最近、常連になりつつある女性MSさん、同じく那須から講習参加のISさん。
さて、本日はMSさんがジム用ロープを購入して来ました。
今回から、いよいよ本格的にエイトノットとATC操作を講習します。

もちろん、ロープは借り物でも一通りのことは講習可能です。
が、エイトノットもちょっとしたロープワークも、家で練習しなければ、忘れてしまいます。

それを見たISさん、
「意識が違いますね。みんなロープ買うんですね。こりゃ、買わなきゃダメだな。」

と感心しておりました。

レベル0は、リード講習以前のお客様の基礎講習。
ネコ足、脱力などの基本を講習すると共に、エイトノットやATC操作を講習していきます。
具体的な講習内容
・1手1手、レストする練習(5.6にて)
・肩の脱力
・腰を壁に近づける姿勢
・エイトノットの結び方
・ATCを落とさないように操作するコツ

自立を目指すクライマーが、唐突に1人誕生

10月22日(月)は、ストーンマジックにてジム講習。
本日は、3ヶ月ぶりの常連女性ODさん。
ODさん、なんと会うなりに
「今後は、自立を目指すことにしました」

「先日、TZさんが大貧民ルートでやっていたような、マルチピッチをリードする講習までやりたいです。」

との宣言をいただきました。

これまで、ながらくガイド登山をやってきたODさん。
クライミング能力そのものは、講習生の中では高い方でジムの5.10後半を登れることもありますし、クラックも5.8くらいは登ります。

ただ、前回の記事と同様に、セルフビレイなどのロープワークは、ガイドに全てお任せでした。

思うところ色々あっての決意の様子。

そして、今まで以上に真剣な眼差しでのロープワーク練習&「あとは家で復習します」という熱い言葉。
「3ヶ月で、変わりましたねー。」
と感心してしまいましたよ。
具体的な講習内容
・ロープの畳み方
・終了点の結び替え作業
・ハンドクラック練習
(フットジャムを入れる場所選び、手の寄せ送り、片足でムーヴを起こす方法、などなど)

今後は、ジム、ボルトルート、と順々にリードを覚えると同時に、マルチピッチ体験、ロープワークと並行してやって行きましょう!
山の知り合いを増やす会も、オススメですよ。

自立のポイントは、リードだけではない

10月21日(日)は、天王岩にて岩場体験講習。
常連女性SMさん、群馬の女性HMさんの2名。
SMさん、本日は岩場の一番易しいルート(5.5~5.6くらい)を2本リードしました!

ガイド登山出身の方にとって、自立というのはどんなことなのでしょう。
最初から、山岳会に入ったり、仲間内でクライミングを始める人とは、全く違うイメージがあるようです。
もちろん
「リードが出来たら楽しい!」、「地図が読めたら楽しいだろう。」

というイメージはある。

一方で
「終了点作業を一人でやるなんて、私には一生無縁の世界。」
「懸垂下降のセットを、お客さんのATCにロープに通すところ、お客さんのセルフビレイを取る場所を選ぶのは、全てガイドさんの仕事。」

という極端なほどのロープワーク恐怖症。
リードを楽しむ気持ちは、他の人と同じです。
今日も、本当に嬉しそうなSMさん。
これは、大きな成果でした。

ロープワーク恐怖症、と勝手に名づけましたが(笑)。
自分が命に関わる判断をすることに、強い抵抗があるんでしょう。
むしろ、リードよりもこちらの方が、自立への障害となるかと思います。
SMさんに限らず、たとえばこんな傾向を感じます。

・ビレイを、あまりしたがらない
(自分が上達することよりも、大きな過ちを犯す心配が気になる)

・終了点の残置カラビナにクリップするだけの場面でも、心配でたまらない。
(ジムと同じだということに、自信が持てない)

・講習生同士で登る前のダブルチェックを終えた時点で、「チェックを終えましたけど、安全と言うことでよろしいでしょうか?」と、私に目で訴えている。
(トリプルチェック?)
もう、こういう方々を何人も見ていると、特別に不思議なことには感じなくなってきました。

ただ、当塾で頑張って行く以上、少しずつ自分で判断できるようになっていただきましょう。
方向性さえ同じなら、ゆっくり上達する方には、じっくり御付き合いいたしますよ。
具体的な講習内容
・トップロープのビレイ
・トップロープで落ちる練習
(これで、お互いのビレイに信頼が持てるように!)

・実践リード(SMさん)
・疑似リード(HMさん)
・トップロープで本気トライ
(下の岩場の5.9を2回ずつ。2人とも2回とも、テンション混じりでトップアウト。)

・懸垂下降時に、ロープをATCに通す場面の練習


HMさん、富士山からのお客様ですが、どんどんと上達してきております。
登りは安定してきたので、次はジムでリード講習をやりたいですね。

2012年10月23日火曜日

山の知り合いを増やす会、の御案内


2ヶ月に1回ペースを目指す、知り合いを増やすための懇親会の御案内。

10月29日(月)の夜、新宿にて

集合:
19時30分に、新宿駅南口改札。
(遅れても可。その場合は、会場に直接来てください。)

目的:
石田登山塾の講習生同士で、山の知り合いを増やす。
上手く行けば、山やクライミングのパートナーが見つかるかも。

参加条件:
当塾の講習に参加したことがある方
特に、パートナー募集中、山岳会を検討中の方などは是非!

参加方法:
講習用のアドレスに、参加希望のメールをください。
sawayama.ishida@gmail.com


<飲み会の開催にあたって>

初心者、初級者にとって、パートナー問題というのは大きいです。
会社の同僚や友人の中に、同じようなモチベーションを持つ人が居れば、本当にラッキー!
一人で、ヤマケイや岳人を読みながら熱くなっている初心者も多いようです。

むやみなモチベーションで、本格的な山岳会に入ろうにも、先輩は案外相手をしてくれなかったり。
先輩も、二言目には「とりあえず、自分でやれる範囲の山に頑張って行きなよ。」。

僕自身も、このセリフを何十人の後輩に言ってきたことか・・・。

要するに、夏のテント縦走、冬山登山、スポーツクライミングくらい、自分で出来るような人じゃないと、アルパインを教えるのは本当に大変。
でも、そういう経験を積むの自体、近いレベルの仲間が居れば楽しいし、成長速度もアップします。

今時、ツイッターやメーリングリストも盛んですが、ネット上の知り合いといきなり山に行くのは抵抗もあります。
かと言って、当塾の無料体験講習も、お客様同士でゆっくり話す時間も無さそうです。

というわけで、アナログ的に飲み会を開催します。


追記:
・講習ではありません。参加費は、飲み会代のみ。
・山行計画には、タッチしません。ルートのことなど、質問くらいなら答えます。
・各山行は自己責任でやってください。
・数名しか集まらなければ、それはそれで飲み会しましょう
・新宿にしたのは、新宿を希望するお客様がいたからです。

ではでは、希望者からのメールをお待ちしております。
会場は、人数を見て決めます。

オススメの店があれば、教えてください。
前回のお店は、量と質のわりに、高かったのでイマイチでした。

ワイドクラック入門

10月20日(土)は、小川山にてクラック講習。
常連男性KBさん、その御友人のKAさんの2名。
今回は、ワイドクラック入門。

クラックと言えば、ジャミングというイメージでしょう。
ジャミングの中でも、片手で出来る最も大きなサイズはフィストジャム。(握りこぶし)

そのフィストジャムよりも広いサイズ(つまり、ジャミングが効かない)を、ワイドクラックと言います。
ワイドクラックの中でも、サイズは大きく2つあります。

1つは、ジャミングは効かないけれども体は入りきれない“オフィズス”。
1つは、全身が入ってしまい、完全にクラック内部を登ることになる“チムニー”。

講習生を見ている限り、チムニーは簡単なものなら本能で対応可能。
が、オフィズスは簡単なものでも、最初は意味不明に感じる様子。
そこで、講習ではチャンスがあれば簡単なオフィズスを講習することにしています。

どのくらい簡単かというと、
「オフィズス初めての人が“トップロープでギリギリ一撃できる”くらい。」

あとは、何度も登るうちに慣れてきます。
そこで、ヒール&トウ、ニーロックなどの基本ムーヴを講習するという段取り。
ワイドクラックは、非常にテクニカルです。
しかも、全身運動なので、登山のような疲労感。

でも、これってクラックの基本です。

ってのも、多くのクラックは背中を押しつけるムーヴ(バック&フット)、あるいはヒール&トウが多様できます。

なんでか?
それは、クラックが凹角だったりすることが多いからです。

最近登った、フィンガー~ハンドの5.12aですら、部分的にワイドムーヴが役立つ場面は多数あります。
もちろん、ワイドそのものも楽しいと思いますが・・・。

とりあえず、バック&フットとヒール&トウには慣れて頂きましょう!
具体的な講習内容
<お姫様岩>
・セルフビレイの必要なテラスでの作業
・ニーロック
・膝を曲げることで、膝or腿が膨らんでスタックする方法
・ヒール&トウ
・カムセット練習
KBさん、講習の最後にはすっかりコツを掴み、スイスイとヒール&トウを決めていました。
が、カムセットはボロボロでした。

KAさんは、ムーヴの方はおっかなビックリ。
ただ、本日もカムセット練習は100点満点でした。

2012年10月19日金曜日

富士山のトレーニングに、高尾~陣馬

10月17日(水)は、高尾山~陣馬山までのコースで、登山入門講習。
先日の高水三山からスタートした、来年の富士山へ登ろう企画。

女性NOさん、女性KNさんのペア。

<ケーブルを降りてすぐ>
高尾~陣馬は、4時間程度の行程。

高尾山口駅~高尾山までが1時間程度。
陣馬山~バス停までが1時間程度。

合計6時間の歩き。

朝早く出れば余裕を持って、一日程度の行程です。

<高尾山までは、参拝路と観光地といった趣き>
今回の2人は、かなり体力的にギリギリなので、以下のように計画。


①高尾山まではケーブル利用で、最大限に楽をする。

②休憩時間込みで、参考タイムの1.5倍の所要時間を見積もる。
(6時間コースを、9時間で踏破する計画)
(休憩時間も込みで考えることにより、休憩を短くする癖を付ける)

③城山、小仏、景信山、底沢峠などから、エスケープルートを設定。
(時間切れ、体調不良や怪我、天候悪化の場合に使用)

<朝一番のケーブルに乗ったおかげで、高尾山頂も人がまばら>
富士登山を目指すにあたって、本当はこのくらいは歩いて来て欲しいものです。

というのも、ツアー参加者に
「高尾山に行ってきました!」
とか

「高尾山に行こうと思ったんですけど、予定していた日に雨が降っちゃって行きませんでした。」
とか言う人が多いんです。

<台風が近づき、午後から雨予報だというのに、晴れ!>
いや、まあ登れますよ。
富士山は、普通の体力があれば、トレーニング無しでも。

かなり準備不足集団だとしても、5合目で雨具とヘッドライトをレンタルして行けば、8割~9割の方は山頂に辿りつけます。

<中央道の渋滞ポイント、小仏トンネルの上あたり。小仏峠>
でも、それはあまりにも頑張った場合の話。

初めての山は、
「登れて良かった、苦労したのも振り返れば、頑張った自分を褒める材料!」

くらいの経験をしてほしいです。

その一方で、あまりに頑張り過ぎて、「もう二度と富士山は来ません」となった人も見ております。
できれば、十分に準備して来て欲しいものです。

<東京の街並みが見える>
で、山の体力、山慣れは、山を歩くのが一番!

下記2つのうち、どちらかを達成できれば、富士山を登頂できる体力があると言えるでしょう。

①3時間のコースタイムのハイキングコースを、休憩込みで3時間で下山できる。
(お忙しい人が、奥多摩に半日程度トレーニングに行く場合にオススメ)

②6時間のコースタイムの登山コースを、例え1.5倍の時間(9時間くらい)を掛けたとしても踏破できる。
(実際の富士登山は、高山病対策も兼ねて、ノロノロ歩きます。時間はあるけど、速く歩くのは苦手という定年後の方々などにオススメ。)

<いよいよ陣馬山の山頂へ>
そういう意味で、この高尾~陣馬は、富士登山への良いテストコースです。

しかも、縦走路には景色の見えるポイントが随所に現れます。
そして、陣馬山頂は、私が山を好きになった切っ掛けの景色でもあります。

高校生の頃、京王線沿線に住んでいたこともあり、気に入って何度も高尾~陣馬を歩きに来まし
た。
富士山のトレーニングを置いておいても、オススメですよ。

<本日、午後3時の陣馬山頂は貸切!>
具体的な講習内容
・登山地図を見ながら歩く
(コースタイム、分岐などの見方)
・歩き方、休憩のアドバイス、など

 8:05 ケーブル下車、歩行開始
 9:00~9:10 高尾山頂
15:00~15:30 陣馬山頂
17:00 陣馬高原下バス停

本日は、私は最後尾を歩いて、2人に先導していただきました。
道を探すのも含めて1.5倍の時間内にクリアできたのは、大きな収穫でしたね。

2012年10月18日木曜日

ネコ足も慣れれば段々とスピーディに

10月16日(火)の夜は、ランナウトにてムーヴ講習。
常連男性KBさん。
足をソッと置くこと(ネコ足)は、とても大事です。

足置きが雑だってことは、

・足を置く段階で、バランスが取れていないこと証拠かもしれない
・次のムーヴに失敗する可能性が高くなる
・疲れやすくなる

だから、まずは易しいルートで、ネコ足を意識しましょう。

とはいえ、この感覚も奥が深い。

例えば、
・ネコ足にしようとすると、かえってゆっくりになり過ぎて疲れる

というのがよくある話。
でも、自分より強くて巧いクライマーが、足音を立てないのは何故か!?

たしかに、強いクライマーは筋力的に余裕があるので、足をゆっくり置く余裕が作れるのもあるでしょう。

しかし、ジムなどで見かける本当に強い人達は、本人たちが落ちるくらいのボルダーをスピーディにトライするときでも、かなり繊細な足置きをしています。

つまり、足置きも慣れればドンドンとスピーディさと繊細さを兼ねられるようになる、という話。
KBさんも、例に漏れず、急ぐとついつい足置きが雑になる癖があります。
どちらかというと、スピードは徐々にで構いません。

スピードと繊細さの両立は、永遠の課題なのかもしれません。
私も、周りを見ているとまだまだだと思いますので。

具体的な講習内容
・ネコ足(特に、急がず!)
・肩の脱力(特に、ホールドを支点に回転する感覚)
・指の脱力(特に、フワッとホールディングする感覚)
・腰を壁に近づける姿勢(思い出す程度)

2012年10月16日火曜日

アルパイン系のマルチ、スポーツマルチの棲み分け

10月15日(月)は、越沢バットレスにてマルチピッチ体験講習。
なんと、今週までに7週連続で岩場講習を受講した常連男性NMさん。
そして、女性登山ガイドのカリスマ。渡辺サチさん。
さて、本日は奥多摩最大の岩壁、越沢バットレスです。
高さ70mを誇り、マルチピッチの練習場としては、関東有数のものでしょう。
高度感も抜群、岩も堅い。
この壁、私も学生の頃から通っておりますが、当時は残置ハーケン、残置のリングボルトで登る、いわゆる“本チャンのための練習場”でした。

それが、最近はチラホラとハンガーボルトが目立ち、さながらフリーマルチの岩場みたいになってきました。
(城山南壁、など)
これ、喜ばしい事と考えるか、かなり微妙な問題です。

支点が良くなる、というのは一見すると良いことです。
が、アルパインとスポーツクライミングの違いって、そこなんじゃないでしょうか?

なんでも安全にすれば良いってもんじゃない。
「それを安全に登れる実力を付けてから、トライしろ!」

ってのが山でしょう。
つまり、

スポーツクライミングならば、今風の安全なボルトを打って、思いっきりトライすれば良し。

アルパインクライミングなら、危険も含めてコントロールする。
本当なら残置ハーケンも全て撤去して、未踏の岩壁を登るような気持ち&技術でトライするのが、アルパインクライミングって遊び方です。
ってことは、岩場ごと(エリアごと、ルートごと) の棲み分けが大事になります。

確かに、何にも支点が取れないようなスラブの大岩壁、ハングした石灰岩は、スポーツマルチにしないと資源の無駄でしょう。
ただ、凹角やクラック沿いを攻めるクラシックなラインは、残置を撤去して本来のアルパインクライミングルートとして再生した方が、より楽しいものとなるでしょう。
で、この岩場の立ち位置は微妙です。

・歴史的な経緯からすれば、アルパインの岩場なので、スポーツマルチ的になるのは残念。
・とはいえ、三つ峠、ミズガキなどに比べて、クラックが少ないので、プロテクション技術が難しい。残置を総撤去すると、今より相当厳しい岩場になる。
でも、私は越沢バットレスは、アルパインの練習場であり続けて欲しいと思っております。

時代の流れか、越沢でもカムを携行する初級者が増えてきました。
(残置も併用して使っている人が多いですが。)

私は、いつか残置支点のない入門ルートが増える日も来るかもしれないと、夢を描いております。

ボルトを打ったのがどなたか存じませんが、これ以上は打ちたさないで欲しいです。
できれば、本人が打ったボルトを抜いて頂けると、喧嘩とかにもなりにくくてベストです。

過去に、私も残置を抜いて喧嘩になったこともありますので。
でも、懸垂下降支点を整備してくれている方、トイレ&アプローチを整備してくださるキャンプ場の方には、本当に感謝です。

未踏の岩壁をイメージする話と、矛盾するようですね(笑)。
が、毎週何十人もがアルパインクライミングを練習する環境には、この手の整備だけは欠かせないと思うんですよね。
具体的な講習内容
・スリングの収納方法
・アルパインクイックドローの作り方
・ギアラックの整理方法
・コール無しの流れ
・カムの回収方法(苦労しやすいパターン)
・カウテールの作り方
・懸垂下降の安全確認
などなど
マルチピッチ体験2回目のNMさん、とても落ち着いて行動できていたので、ビレイ点のポイントや、ロープさばきなどについても学んで頂けました。