2013年4月10日水曜日

マルチピッチリード講習の段取り

4月9日(火)は、15時台に早上がりする前提で、越沢にマルチピッチリード講習。
常連男性HYさん、NMさんのペア。

<登れそうなラインを、事前にオブザベーション>
マルチピッチリード講習も、ここ最近何人かに行う中で、だいぶ体系化されて来ました。

何人かに同じ講習を行うと、

・共通の間違いやすいポイント
・その人特有の間違い

が整理されてきて、こちらも段取りに慣れて来ます。
さて、実際に行う流れ

①壁をオブザベーションする練習
(登りやすそうなラインを予想、プロテクション状況を予想)

例)
「あの辺までは、クラックが続いているし、立ち木でビレイポイントも大丈夫。」

「あの辺は、ランナウトするし、ホールドが豊富かどうかは行ってみないと分からない。」

まず、これを岩場の全景を見て行い、角度を変えて眺めて、さらに取り付きで1P目も行い。
答えは言わず、この後に登る際に自分で確認してもらいます。

<リードを意識しつつ、確実に登る>
②1回、フォローで上まで登ってもらう

全体の流れを復習するだけでなく、リードを意識して登ってもらう。

具体的には

・各ピッチが始まる前に、再度オブザベーション
・カムを回収する際に、抜きがてら、もう一度セットしてみる
・ランナウトしている場所は、リードの心境になって、クライムダウンしたりしつつ時間を掛けてフォローする
・ビレイポイントでの動き、私の行動原理などを、質問に答えながらゆっくり登る

これで、たかが3ピッチなれど、懸垂下降までで3時間ほど。
③それから、易しめで、しかもカムがよく効くピッチで、リード練習。

登り始める前の、講習生同士の相談時間をゆっくり取る。

(登攀ライン、持って行くギアの量、ビレイポイントの算段、敗退方法、取り付きでのビレイ位置、などを本人達の直感に委ねて)

リード後に、改善点をこちらで指摘。
(ロープの流れ、取り付く前の作戦、ロープワークの段取り、など)
④本人の余裕を見つつ、負担の高いピッチをリード練習

・ピッチグレードが難しい
・プロテクションが難しいor落ちたら死亡などのリスクあり
・ビレイポイント作りが複雑(複数のカムを連結する、など)
⑤ここまでのクラック講習では扱わなかった内容を補足

合間合間を見て、

・ビレイポイント作り
・ハーケンの打ち方
・ロープワークの効率化

など
と、まあここまでで3~5日、ってとこでしょう。

あとは、自主練習と補習がオススメです。
自主練習では、主にシステムに慣れることが出来ます。

易しいⅢ級ピッチでも構わないので、カムを決め、立ち木でセカンドをビレイし、懸垂下降で降りる。
1ピッチで練習を行えば、リスクも低くて理想的です。
補習は、その他のリード講習を終えて受ける人と同じ。

マルチピッチは、たいがい最初は危なっかしいことをします。
そして、その全てを体系的に講習するのは、実際にムリ!

マルチピッチリード講習3日~5日を終えたあとも、本当は同じだけの日数を補習したいくらいです。
そこで、オンサイト能力を高めてもらいます。

その頃には、小川山の大貧民、セレクション、そして錫杖の左方カンテ、なんかも手が届くはずですよ。
具体的な講習内容
・上記の③を1回ずつまで

次回から、④を少し取り入れます。
④をやってもらうのが、本当に恐いんですよねー。

でも、まずまず順調です。