2015年9月24日木曜日

他分野のエキスパートは、素人さんのように学ぶ

9月22日(火)は、クラックリード講習にて、湯川。
女性HMさん、男性ONさん、男性TNさん。

新規の講習生だと、ゼロに近い素人さんは教えやすいものです。

経験も善し悪しで、固定観念や悪い練習習慣から脱却するのが難しいものです。
例えば、過去にあった講習生からの間違い発言。

「カムは抜けることがあるから、とにかく数打つものなんですよね。」
「余裕が無いときは、カムなんて見てる暇ないから、適当に突っ込むか登りきるんですよね。」
「限界グレードは、必ずトップロープで練習した方が良いんですよね。」
「フィンガージャムって、落ちたら指が切れたりするんでしょ。」
「クラックって、ジャミングだけで登るものなんですよね。」
「山に行ったら、真面目にカムセットなんかしてるより、スピードだよ。」
「カムは、奥まで突っ込んだ方が効くけど、甘効きくらいじゃないと回収できないよ。」

まぁ、数え上げたらキリがなく、思い出せば何十個も書けそうです。
実際、すでにマルチに行っちゃってカムを使ったことがある人の方が、盛大に勘違いしていたりします。

しかも、こういう固定観念を他の講習生に話し始めちゃったりすると、収集がつかない事態になります。
<珍しく、フィンガー練習も>

だから、講習生として教えやすいのは、

・山経験は、夏山縦走程度
・クライミング経験は、ボルダリングは上手いけど、ロープは全般に自信ありません
・マルチピッチ経験、沢登り、本チャンの経験は、ありません

という人です。
<大和屋(5.7)>

富士山ガイドをしていても、過去に富士山を登ったことがある人は、偏った意見を持ちがちだったりします。
まぁ、何でもそうなんでしょう。

自分の経験や、本で読んだだけの知識だけだと、必ず偏るものです。
何度も書いていますが、私が言っていることも、ときどき間違いが含まれているだろうと思って下さって構いません。

少なくとも講習を受けるくらいの意識レベルなら、
「自分が間違っているかも。」
と思い続けているはずなので、だいぶマシなはず!!!

「私はこう思うんですが、合ってますかね?」
といった話し方になるものです。
<だいぶ安定して来たONさん>

一方で、何かを突き詰めて練習していた人というのは、とても素直だったりします。

例えば、他のスポーツであっても、クライミングの5.13レベルまで頑張っていた人なら万々歳です。
釣りを趣味に10年やって来た人も、なかなか筋が良かったです。
よくよく聞いたら、学生の頃から沢登り歴30年という講習生がおりました。
しかも、後半20年は4月~10月まで、ほぼ毎週沢だそうで。

「それじゃぁ、僕なんかよりエキスパートじゃないですか!?」
という気もしますが、沢屋さんにクライミングを苦手とする人が多いのも承知しております。

(ホントは、それじゃ危険だと思うので、講習ではマルチピッチより後にしております。)
なんと!
その方、一度は飛び級して来たものの。
今後は、ジムのリード講習を1から受け始めてくださるそうです。

本日も、エイトノットを丁寧に結ぶ方法から、しっかり聞いて下さいましたし。
これだけの意識レベルなら、クライミングも必ずや上達するでしょう。

その方が見ていると思うと、沢の講習記録を書くのも緊張するぐらいです(笑)。
<フォーサイト(5.10a/b)>

具体的な講習内容
・ハンドジャムのコツ
・方向を変えずに引く意識
・トップロープで練習(TNさん)
・リードで落ちる練習(HMさん、ONさん)
・実践リードトライ
ONさん:大和屋(5.7)をR.P.、デゲンナー(5.8)をR.P.
HMさん:フォーサイト(5.10a/b)を、テンション掛け掛けムーヴ解決

さてさて、本日でHMさんはクラックリード講習を卒業としました。
そろそろ、自力でリードトライしに行って欲しい頃合いですね。

おめでとうございます!