2016年3月14日月曜日

オールフリーは、おまけなのか?

3月13日(日)は、マルチピッチリード講習にて、越沢。
女性STさん、男性ITさんのペア。
<土曜の夜は、雪だった様子>

マルチピッチリード講習の主眼は、“初登者のつもりで登る”ということにあります。

残置は無いものとして、ルート情報も知らないものとして、
「自分だったら、このあたりを登ろう。あそこでダメだったら、こうやって敗退しよう。」

というシナリオを想定しながら登ることが大事です。
<ロープワーク練習>

これは、マルチのみならず、沢登りや冬期登攀にも通じる考え方です。

もちろん私の個人山行でも、トポを読んでから登りに行くことはあります。
そうであっても、自分の頭で考えることが、安全上も大事だと思います。
<講習生をビビらせる、越沢>

そんな訳で、初登攀ごっことして、岩を登る切ることが講習ルール上は完登になるはず。

「テンションしようが、A0しようが、残置無視・トポ無視であれば、完登なんじゃないの?」
という話。
<ハンギング気味のビレイ>

でも、せっかくだから、なるべくフリーで登りたいのもクライマーの人情。

で、表題の
“オールフリーは、おまけなのか?”

というテーマになります。
<基礎練習>

前振りはそんなところで、本日の出来事。

①2ピッチ目までは、特に大きな問題なく、オールフリー。
②本日3ピッチ目で、STさんがテンション掛け掛け、カムA0も数か所交えて、気合いのトップアウト。
③フォローのITさん、暗くなってしまったこともあって、テンション、カムA0を積極的に使って、いわゆる「何でもアリ」でのトップアウト。

ただ、今回の場合、時間的に余裕がなかったこともあります。

オールフリーを目指して粘ることは、現実的ではありませんでした。
3ピッチ目の出だしで敗退するか、今回のように力技でトップアウトするか、の2択だったと思います。
帰りに2人が、
「この場合は、完登じゃないんですかねー?」
という話をしておりました。
<本気トライ中の2ピッチ目>

そりゃあ、オールフリーで登れるに越したことはないです。
今回に不服なら、チャンスを見て、リベンジしに行くのが良いと思います。

ただ、“完登とは何ぞや”という気持ちで、以下の質問をしてみました。

「すっきりオールフリーで登れたのを、満足度100として、今日は50くらいは満足できましたか?」
<コーナークラック>

STさん:
「いや、もっとだね!!!65くらいは充実した!」

ITさん:
「まぁ、2ピッチ目の終わりで敗退するよりも良かったと思う。ただ、登ったっていうよりも、“登らされた”って感じ。」
<2ピッチ目のフォロー>

この2人の言葉は、真を付いています(笑)。

オールフリーは初登攀ごっこにおける絶対条件ではないけれど、結構重要な要素、というぐらいのニュアンス。
<初めて作ったカムのビレイ点>

今回は今回で、“完登”って呼んでも良いとは思います。
講習ルール上は、初登者の気持ちでトップアウトしておりますから。

でも、せっかくだからリベンジもして欲しいですね(笑)。
<夕方の3ピッチ目>

ちなみに、今回のラインは、過去の講習生の命名だと。
スカイステップ、小悪魔チムニー、というものです。

命名ごっこは、やっぱりオールフリーで登れないとダメでしょうかね(笑)。
いまどき、人工ルートが発表されることも稀ですし。