2017年12月22日金曜日

焦らずに時短は可能か?

12月21日(木)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
男性NSさん。
講習生も色々で、山岳会に入っている人も多いです。

クライミングの学習に関しては、山岳会のシステムは適さない部分が多いとは思います。
本チャンの土台に必要なクライミングジャンルが多岐に渡る上に、そのどれも時間を掛けて学ぶぐらいの心意気が必要なので。

だから、講習に来るんだとは思います。
<懸垂下降で回収>

一方で、山岳会でやっている人は、クライミング初心者であれパッキングなどの段取りは素早いです。

冬山や沢でノンビリやると寒いというのを肌で感じるのか、はたまた団体行動の賜物なのか。
ロープワークみたいに、初心者が無理してテキパキ動くのは心配なものもあります。
ちょっと危ないアプローチとか。

一方で、パッキングなどの準備が素早い人は、講習も色々と練習してもらえて良いものです。
<初回の最後は、トップロープで5.7を本気トライ>

急かすことのデメリットは散々味わってきたので、急かしたくはありません。
ただ、安全とか学習速度とかに影響を与えない範囲を吟味したうえで、時短できるところを探す、という意識はあった方が良いでしょうね。

急ぎ過ぎて上手くならない人、ノンビリが板についちゃっている人、どちらも沢山見ているだけに、難しいテーマなんだろうなとは思います。

2017年12月21日木曜日

ファーストトライ

12月20日(水)は、、リード3回目。
男性HWさん。
つくづく、講習生には理解が難しいものなんだなと思う、リードの本気トライの流れ。
いつも同じ話で恐縮ですが、おさらいだと思って許して下さいませ。

①まず、最初のトライ(オンサイトorフラッシュトライ)は頑張ろう!安全な状況であれば、テンションコールなどのギブアップよりも、完登を目指そう。

②フォールしたら、通常はハングドッグに突入。その際、考えるべきことは2つ。
・もうちょっとマシなトライにすれば、一撃の可能性はあったかな?
・次以降のトライで、レッドポイントするためのリハーサルと割り切って、パート練習しよう。重要ポイントの記憶も含む。
書いてしまえば、これだけです。
ただ、オンサイトトライにせよ、ハングドッグにせよ、それ自体がノウハウが詰まっているので、実際やると最初は頭が混乱します。

これは、スタイルうんぬん以前に、ジムでの基本だと思います。
是非とも身につけて、オンサイトもレッドポイントも最低限ちゃんと出来るようになりましょう。

さてさて、本日でHWさんはジムリード講習は卒業にいたしました。
上記の流れは、勿論まだまだです。というか、もっと上のクラスの人でも、案外できないことも・・・。
リードでのフォールには少しは慣れたと思いますので、あとは頑張って落ちながら学んでほしいところです。
もし良かったら、岩場リード講習も続けてくださいませ。

2017年12月18日月曜日

高い下駄

12月16日(土)、17日(日)は、岩場リード講習にて、湯河原。
1日目は、女性Mさん、女性ISさん。
2日目は、女性FSさん、男性MKさん、女性MKさん、女性MYさん。
今回、MKさんにはゼルダ(5.11a)をトライしてもらいました。

これまで岩場でリードした最高グレードは、5.10a。
ジムで5.11を登っているとは言え、明らかな飛び級です。
グレードは伝えずにトライしてもらったのですが、数回テンションかけて
「これ、明らかにオーバーグレードな感じなんですけど。」
と本人が仰ります。
「まぁ、敗退しても良いから、何回かそのムーヴやってみたら良いですよ。ダメなら、そこを割愛して上部だけトライしてみても良いですよ。」

こんなやり取りを繰り返し、結局はムーヴ解決してトップアウト。
後からグレードを聞いて、驚くMKさん。
「でもこれ、石田さんが言わなかったら絶対自分では取りつかなかったし、取りついたとしても敗退していたと思います。」
という率直な感想。

たしかに、私が下駄をはかせた部分はあると思います。ただ、それを自覚しておいて、自分なりに足りないものを補おうという気持ちがあれば十分だと思います。

※マスターオンサイトで取りついているので、物理的な手助けはしていない。
少し話を大きくすると、初心者を岩場に連れて行くと、どうしても下駄をはかせてあげたくなる指導者心理があります。

・トップロープを張ってあげて、難しいのを触らせてあげたい。
・ヌンチャクを掛けてあげて、ちょっと背伸びさせてあげたい。
・トップアウト出来なかったら、ヌンチャクを回収してあげる前提で、難しいのにトライさせたい。
・プリクリップしてあげて、少し背伸びのルートにトライさせたい。
・核心ムーヴを教えてあげて、・・・。

などなど。

これでグレードを登れて喜ぶ初心者、感謝される先輩、という構図はよくあるものです。
下駄をはかせるのは、完全に悪だとは思いません。
ときには、それが初心者の視野を広げるときもあると思います。

ただ、はかせる側にも熟慮が必要だし、初心者側も時には断る勇気が必要でしょう。

入門バリエーションやマルチに行くと、従順な女性初心者を連れまわしたがる男性中級者、という構図もよく見ます。
そのペアを全否定する気もありません。誰と登るかは、好みですから。
ただ、双方がデメリットに自覚的に行動した方が良いでしょうね。

ゆっくり

12月15日(金)は、リード2回目。
女性SBさん、女性STさん。
彼女たちは、登りの安定感はまずまずで、2回ほどのムーヴLv.0でジムリードに進みました。
一方で、ビレイやらロープの扱い、リードでやってはいけないことを入門書で学ぶ方は、結構苦手な感じ。逆クリップ、Zクリップなどの基本的なことでも、「読んでも結構わかんなくって。」と素直な反応です。(この反応は、とても教えやすいのですが。)

理由は不明ですが、こういう女性講習生は多いです。もちろんチャキチャキした女性も、たまには居ますが、半数以上はゆっくりさんな印象です。

ゆっくりさんも、焦りが無ければ十分楽しめると思います。前回より、ちょっと分かれば進歩です。

2017年12月15日金曜日

動画?

12月14日(木)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
女性NBさん、復習参加の女性IUさん。
城ヶ崎の講習では、地上の岩の隙間にジャミングしてもらっています。

今回、動画をとってみました。
最終的には、結構良く効いております。

再生できますかね。ダメだったら、申し訳ありません。
効きそのものも、効くまでの時間にも、経験によって改善が見られます。

時間に関して言えば、解除動作の逆回しができれば、ほぼ最短経路だと思います。
理想論っぽい言い方ですが。
さて、本日は珍しく漁火エリア。

NBさんは、ホワイトサタデイをトップロープで2トライ目に完登。
IUさんは、2撃でレッドポイントでした。
それぞれ、登れたというだけでなく、何かしらの反省点を掴めたようで良かったです。

登れることは勿論大事ですが、トライを振り返ることが上達の糧ですね。


2017年12月14日木曜日

根性じゃないっすか?

12月13日(水)は、ムーヴLv.0。
女性HDさん。
講習後、「だんだん分かって来て、楽しくなって来ました。」とおっしゃるHDさん。
一方で、初回から私との問答が興味深いのか、楽しくなる人もいます。

たぶん、最初は「細かいこと言ってんなー。」ぐらいのイメージが、「結構つながっているんだね。」と全体像みたいなものが見えてくるのでしょう。

講習を続けるコツを尋ねたら、「根性じゃないっすか?」と答えた女性講習生もおります。
モヤモヤしたまま終わった回なんて、どうしたって次へのモチベーションを削がれますしね。私も、申し訳ない気持ちも残りますが、ある程度は仕方ない気もします。

さて、本日でHDさんはジムリード講習に進んでO.K.といたしました。
どうぞよろしくお願いします。

御前岩

12月12日(火)は、自分のクライミングにて、御前岩。
高柳と。
<アップ中>

今回のロクスノで発表された、御前岩。

再開放に向けての尽力、心揺さぶられる話です。
<ハートブレイク>

1回行っただけですら、純粋なルート開拓以外の労力をヒシヒシと感じられます。
林道や集落から近いがゆえの落石、大声、駐車場、クライマーがお金を落とさない問題、山火事、などへの配慮。
何より、地元と上手くやっていくための仕組み自体を作ってくださっている有り難さ。

開拓の手伝いをしていないのに、発表されたらすぐに登りに行くってのも何だか気が引けます。
過去が過去だけに、自分のせいで登攀禁止とかにならないか、そうでなくても怒られやしないか、という冷や冷やドキドキも含めて。

そして、私は緊張のためお腹を激しく下し、午前中はクライミングになりませんでした。
<ドラゴンクロス>

私の場合はさておき、かなり快適な岩場で、開拓者の方々の話も色々と聞くことが出来ました。

ルールは厳しいけれど、「問題を起こすなよ!」というようなネガティブな雰囲気はなかったです。
リードクライミング能力、安全管理、マナーなどに関して、ある程度分かっている人を中心に、気軽に注意し合うぐらいの良い雰囲気を作っていきたいのだと感じられました。

当たり前っちゃぁ当たり前ですが、他の岩場を見て、思うところあってという話でした。
我々も、「そういうのも含めて頑張ってよ。」と叱咤激励を受けました。
<日当たり良好>

「5.11を安定してリードできること」という最低条件。
行く前に、“安定して”の意味をちょっと考えさせられました。

オンサイトトライで勝負になるという意味なのか、トップロープ張ってもらわなくても平気という意味なのか、苦手系でもある程度ならレッドポイント可という意味なのか、超得意系の1本だけ5.11はダメという意味なのか、・・・。

アクセス問題という文脈や今回聞いた話の雰囲気だと、クライミング経験を通した“色んなこと”への理解、というのもありそうな感じです。

その辺の含みも、色々考えて岩場に来て欲しいのかなと、私は思いました。
考えれば考えるほど、自分がその条件を満たしていない可能性を考慮してしまい、ビビるのですが(笑)。
<なめなめくじ>

具体的に登ったルート
・ハートブレイク(6b+) フラッシュ(30m近い5.11a?って感じ。アップルートだが、土日は混むらしい。)
・ドラゴンクロス(6c+) フラッシュ(これは、かなり奥多摩っぽい短さ。)
・わがままボディ(7a) オンサイト(30m近い5.11d?得意系。)
・お尚(7a+) 2本目までのボルダーっぽいセクションで、何度も落ちてムーヴを作る。1時間くらいでレッドポイント。

「東京から近いから行っとく」ではなく、「近くて、かなり上質な岩場」という印象でした。

グレードは、ヨーロッパ基準だそうです。
日本よりは1つ~2つ程度甘く感じますが、分かった上での提言ということで。

2017年12月11日月曜日

越沢と私

12月10日(日)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性SMさん、男性OMさんのペア。
<1P目>

先週、学生時代に越沢でパートナーに事故らせてしまった、という話はしました。
<もうすぐ日が当たる>

ただ、懲りない我々は、それでもシステムとリード練習のために越沢に通いました。

1年ほどして、大学4年の秋、ようやくフリークライミングの成長曲線に乗った私。
(それまで、5.10aがやっとだった。)
楽しくなって、ジム、岩場、そして越沢に通い直すことになります。
<御来光を待つ気分>

それまで、沢、ヤブ尾根、ラッセルと割と冒険的なことが好きだったのに、越沢では残置を使っていた私。

当時、ほとんどカムを持っていなかったのも災いしていたと思います。
<暖かくなってきて、2P目スタート>

そんなモヤモヤのまま1年、2年と経ち、残置無視というセンセーショナルなワードが紙面を賑わしました。

ようやく、クラックも5.10bぐらいは登れていた私。
プロテクションが取りやすそうなピッチから、徐々に残置無視をやってみます。
<日向だ!>

で、1つの結論に達しました。

残置無視かフリーか、どちらかで無ければ、岩(壁、あるいは山)を登ったと言えないんじゃないか。
<柔らかな日差し>

そうなって来ると、
「初心者も、最初からそうやって学んだほうが良い!むしろ、残置は危険登山者を誘っている!」
という熱い気持ちが湧いてきて、残置(特にリングボルト)に対する憎しみが(笑)。

当時、残置撤去の話も出ていたので、私も越沢に行くたびにチョイチョイ残置を間引くという行動に出ていました。
<昼過ぎには、完全な日向>

当然、
「それは強者の論理だ!」
「初心者時代に散々残置のお世話になっておいて、ズルい!」
という反論も予想はしていました。
歴史的にも、そんなことを繰り返してますしね。

これに対して、完全に納得してもらうことは難しいと感じています。
なので、残置撤去という強硬手段は、今はやらないと思います。

ただ、初心者時代から残置A0という習慣は、やっぱりダメだなという思いは、一層強くなりました。
<3P目>

実際、残置を間引いたことが先輩の耳に入って怒りを買い、泣く泣く残置ハーケンを1人で打ち足しに行ったこともあります(笑)。
<フォロー中>

余談ですが。
何となく、フォロー中に残置を抜くことに罪悪感を覚えた私。

「自分が残置にクリップしたいときにこそ、せめてものフェアさ。抜くべきタイミングではないか?」
という、変なルールを自分に課したことも。

具体的には、アイゼン+軍手でのリード中に、ハンマーを振る、という行動をとっていました。
<懸垂下降>

思い返しても、意固地さがにじみ出る私。

スタイルとか、初心者への教育的配慮、という観点から見れば、ちょっとズレてます(笑)。
パートナーからは変人扱いされます。

ただ、まぁ色んな意味で私を鍛えてくれたトレーニングだったとも思います。
<やや、足が絡みがち>

当時より、多少は世相も変わったような気がします。

初心者時代から、クラックに親しむ山屋も増えました。三鷹のジャムセッションも流行ってます。
初級者っぽい人が、本チャンのオールナチプロってのも、そんなに特殊な話じゃなくなったと思いますし。

一方で、越沢でも三ツ峠でもハンガーボルトは増えているとも感じます。

クライミング界も、アメリカ経済みたいに分断された社会なんでしょうか。
まぁ、それも昔からなんでしょうけど。
<越沢には珍しい、ハング越え>

近いだけあって、今後も長い付き合いになりそうな岩場。
少しずつ考えて行かねばと思います。

と金の遅早

12月9日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
NSさん夫妻、男性TSさん、女性UHさん。
<シーズン初の城ヶ崎>

TSさんは、八戸にお住まいです。
1~2ヶ月に1回ぐらいの割合で参加されますが、こんなに遠い方が続けてくださっているのは初めてです。

普段からクライミングをされていて、スポートなら5.11前半くらいは登る御様子。
講習中も、ジムで5.11aをオンサイトされていたし、岩場での登りを見る限りでもそのくらいの力はありそうです。

講習を受ける切っ掛けは、2つ。
・クラックやマルチがやりたいが、地元山岳会で教わると色々時間がかかりそう。
・スキーを長年やってきて、最近インストラクターにレッスンを受けてみたら、「もっと早く受けておけば。」と思った。

理由だけ聞けば納得するんですが、八戸からの移動を考えると頭が下がります。
<テーピング>

UHさんは、数年前に一度講習に参加して以来、久々の申し込み。
が、なんと3回連続で雨中止。

大抵の場合、久々に申し込むと雨中止で意気消沈するものです。
現実として、友人と岩場に行けている日常がある訳ですから、講習に来ないと路頭に迷うこともないのです。

が、今回で4度目の正直。
無事に晴れて、ジャミングやらカムセットやらの基本を始められました。
<地上でのカムセット>

最後に、NSさん夫妻。

最近は、自分たちで岩場に行ける機会も増え、ようやく5.9が安全圏、5.10aもオンサイト出来るかも、ぐらいに感じてきた様子。
その一方で、講習ペースはゆったり。
1年間、月1回ぐらいのペースで、ようやくカムセットも理解出来てきました。

そして、本日はトポに載っていない5.4くらいの2ラインを、無事にリード!
今回は、特にそういう方々が揃ったというのもあります。
辞める言い訳なんて、いくらでも転がっていたでしょうに。すごいです。

自分を鑑みると、ここまで愚直にやっているかどうかは疑わしいです。
人には、「コツコツやれ」と散々言っているのに(笑)。
さて、ゆっくり頑張りましょう。
<リード中>

<擬似リード>

感覚を語る

12月8(金)は、ムーヴLv.0。
全て新規の方で、男性IMさん、男性AHさん、男性MKさん、男性TSさん。
本日の講習生が、足裏感覚を理解してくる際のコメント。

最初、土踏まず周辺で置いていたのが、足裏とスタンスとのフィット感を理解してきて、段々とつま先周辺で置くようになっていく過程での話。

「ちょっとズレてると、マズイ飯を食ったみたいに、ペッ!!って吐きたくなる。」
「なんか、前より“もっと!、もっと!!!”って良い場所を探したくなる。」
「俺の足裏が欲情して来てます。」

感覚を説明する例は、人生経験が出るのでしょうか?
さて、TSさんはジムリード講習に進んでO.K.といたしました。
本日で、ちょっとはレスト態勢が理解できたような気がしますね。

2017年12月8日金曜日

黒帯さま

12月7日(木)は、岩場リード講習。
新規男性MOさん。
ボルダリング有段者のMOさん、さすがにムーヴは上手いです。
(「黒帯さま」って呼ぶこともあると聞きましたが、ホントですか?)

ただ、テクニックの方向性にも色々あって、アップしてもらうだけで
「たしかに、ルート(特に岩場)だと苦労しそう。」
というのが見て取れます。
とはいえ、省エネ、安全の意識の持ち方など、ボルダラーの理解力は高いです。

当たり前ですが、結局はムーヴを考えるという作業なので。
でも、こういう方の全員が、リードクライミングに開花するとも限りません。
ボルダーっぽい登り方で、短いルートでは、最初から成果が出せるにしても。

周りからは、
「そんだけボルダー登れれば、5.13なんてすぐだよー。」
と言われつつ、初期段階から進歩がない人はチョット可哀想にすらなります。

突破力は大きなアドバンテージですが、やはり1つ1つリードのコツを覚えていくべきなんでしょうね。
講習の場合、黒帯さまの中でも、そういうことに興味が強い人が来ているような気もします。
だから、きっと大丈夫でしょう。

本日のトライルート
・シルクロード(5.7) オンサイト
・いんちきするな(5.8) オンサイト
・蟻さんルート(5.8) オンサイト