2017年10月4日水曜日

奥只見、二岐川~平ヶ岳先ノ沢

9月26日(火)、27日(水)は、一人沢登りの本番計画。
奥只見の二岐川~平ヶ岳先ノ沢。
<二岐川の出合>

久々に、日記風に。

月曜夕方、ようやく週末の疲労も回復してきてパッキング開始。
月~金までフルで5連休としたので、最低でも火~木の3日間ぐらいは山に入りたいところだが、あいにく木曜は雨予報。
というか、新潟は水曜夕方から雨予報。

気が重い部分も抱えつつ、2年前の良い思い出がある奥只見で縮小案を決定。
夜中に家を出る。
<最初に高巻いた滝>

関越トンネルを抜けて、パーキングで仮眠。
朝6時ころに起きて、朝食後に出発。ここは、入山口から車で1時間手前ぐらいから電波状態が悪いので、普段よりプレッシャーがある。

でもそれは、ゲレンデ的な小さい山域に慣れすぎなのだろう。
学生時代に携帯電話なしで入山していたころを思えば、自分の退化かもしれない。
<おおむね緩い下流域>

とりあえず、9時半に中ノ岐林道(平ヶ岳直下まで続く長い林道。行きは少しだけ利用、下山は全部利用。)を歩き始める。

すぐに二岐川の出合。ただ、下3分の1くらいは林道があるので、それを利用予定。が、行ってみると藪が結構うるさい。

バカバカしくなって、出合に戻って10時過ぎに入渓。
本流下部は水量も多く、ゴルジュもありそうで不安だが、まぁ登れる範囲でダメなら敗退しよう。
<奥只見も明るくて良い>

遡行開始10分足らずで泳ぎ、30分後には結構な高巻きを強いられ、案外厳しいなと不安になる。
だが、次第に緩やかな渓相に落ち着き、順調に数々の支流を分けて行く。
<沢って良いですな>

林道は、荒れているながらも地形図よりも長く続いているようで、ところどころに沢を渡る橋が架かっている。
そして、兎沢出合で下降中の釣師に遭遇。

ただ、ここからの上流部は稜線まで藪も濃そうなので、かなり物好きしか入らないだろう。
隔絶感は、期待できる(笑)。
<兎沢出合あたり>

その後も、しばらくは順調。
小滝でボルダリングを楽しみつつ、明るい沢を登る。
<最後に見かけた橋?>

午後2時頃、少し判断に迷う。
ここから、沢は徐々に急になり、両岸も狭まってくる。
ビバークポイントが難しくなってくるのだ。

明るいうちフル行動したいのは山々だが、寝るスペースが無かったり、急な雨で逃げ場が無いのも困る。
今のペースだと、午後16時~18時に一番険しいところを通過しそうな気配なので、その手前でのビバークを主眼に置きつつ、歩を進める。
<右のチムニーからフェースを登る>

が、ここから小核心が連続。
ボルダリングというより、ハイボールか、もしくは本チャンの易しいピッチのフリーソロか、という微妙な高さの滝が続く。

シャワークライミングは避けたが、若干の泳ぎや、滝の裏を回り込むのを交えて取り付くぐらいのラインは、高巻くよりは楽しいと思う。
ライン取りに志向の差が出やすいことも、私が一人にハマっている要因だと思う。
<下段は易しそうだが・・・、上段の記憶がもう無い>

かなり苦戦する滝を数本越えて、17時頃。

予想より遅れたが、本格的に険しくなる手前。少し緩い流域だ。
<この滝は、かなり苦戦した>

一人が横になるぐらいのスペースはあったので、薪を集めてビバーク開始。

寝袋に入ってしばらくして、足を動物に踏まれ、本気でビビる。
遠くで鳴き声が聞こえるだけでも、ちょっとビビるのに。

まだ顔の横で燻っていた焚火に思い切り息を吹きかけ、動物が去ることを祈る。
<焚火は、大事な心の支え>

今回は軽量化を頑張っていたので、寒さでよく目覚めるのが悲しい。
薄明るいぐらいで早起きするも、焚火に火が付かず、ガッカリ。焚火の条件が悪く(言い訳)、前夜に着火剤を大部分使ってしまっていた。
<出発準備中>

上流部は、本流が平ヶ岳先ノ沢という名前となり、水量は少ないながらも左右が切り立った沢となる。
<雪渓も、ちょこっと>

今日は、夕方から雨予報ということもあり、先は急ぎたい。
だが、滝のライン取りは自分なりには楽しみたい。
もちろん、危なっかしい登りはしたくもない。

色々と矛盾する思いを抱えて、それなりにクライミングを楽しんで行く。

“高めの小滝で一瞬だけ気を付けて戻れないムーヴを起こす⇒安堵の雄叫び”
というパターンにも、ちょっと慣れて来てしまった。
自分の中にある、リスクを好む部分が開眼してしまいそうで、自制心が働く。
<見た目より悪かった4段くらいの滝。荷上げをサボり、怖い思いをした。>

一番印象深かったのは、滝の裏にあるチムニーを登るために、一瞬だけ滝に打たれなきゃならないという場面。
自分に何度も鼓舞して突撃。(寒い泳ぎの前とか、気合い入れるために叫ぶ人も多いですよね。)
滝の裏に回り込んだは良いが、チムニー登攀開始の段になっても体に水しぶきがスゴイ・・・。

敗退するか、体が冷える前に登りきるか、いきなり問われた感じ。
水しぶきで、形状はハッキリと見えないながらも、5.6ぐらいと踏んで身体で壁をまさぐりながらスピードクライミングのように高度を上げて数メートルで水しぶきが避けられる場所に出てホッと一息。
あとは、快適なジャミングとステミングで、滝を足元にして荷上げをする。

しかし、そこから先もミニゴルジュが続き、気は休まらない。10m先の小滝も気になる。
突破方法だけでなく、高巻きラインも目で追っておく。なんせ、20m先には大きな滝があり、弱点が無さそうなのだ。
色々と逡巡して、1つ目は泳いで突破、2つ目は高巻いた。

グレードには表せないけれど、自己満足度は最上級のクライミングだった。
<一人なので、荷上げに次ぐ荷上げ>

いよいよ源流部。
なぜか小滝に弱点が無いことが多く、藪からの高巻きを強いられることが多くて疲労する。
<一見ショボいが、倒木から左の落ち口に乗り移るムーヴがメチャ怖い>

午後1時過ぎに、いよいよ本格的に藪漕ぎ開始。
<遠い山頂>

少し標高が低いあたりから入ってしまったのか、自分が疲れているのか、剛毛との格闘にメンタルがすっかり参る。
16時前にようやく池ヶ岳山頂。
冬山で、腰上のラッセルを3時間したぐらい疲れた。

平ヶ岳の山頂は遠くないし、行ったことも無いので踏んではおきたいが、今日中に下山したいのでピストンは諦める。
山頂から携帯で下山が遅れる旨を伝えようと思っていたが、これまた圏外。奥只見は、なかなか総合力が問われる山域だ。予備日を1日設定すべきだったと反省。
<池ヶ岳>

ここから、1時間半で中ノ岐林道終点。
予報通り、小雨が降ってきた。

さらに3時間の林道歩きで、午後8時40分に車に帰着。
9時過ぎに下山連絡が出来て、ようやく一安心。
<整備された登山道>

このまま小出の町で車中泊して、翌日は昼近くまで爆睡。
昼風呂に入ったら、まともに歩けないほどに疲弊していた。

5日間の休みで、前泊2日、翌日レスト、最終日はジムで軽め。
という計画は、社会人山岳会の皆様から見たら贅沢極まることで、少し情けなくもある。
けれど、こうやって思い出を書き出してみると、濃い夏休みだったような気もする。
<たまご岩>

帰宅後・・・。

遡行図集を開くと、このルートも載っていました。
ただ、林道を使って下流部を割愛していること、滝の登攀ラインが違いすぎること、雪渓が豊富な時期に入っていてそれはそれで難しそうなこと、などから同じ沢の記録とは思えません(笑)。

まぁ、沢登りとはそういう遊びなんでしょう。