2019年2月28日木曜日

ボルダリングとリード

2月27日(水)は、ムーヴLv.0。
久々の男性NMさん、その御友人で女性OJさん。
本日の講習内容ではなく、2人には専門的すぎる話で恐縮です。
以前は、私自身はジムではボルダリングすべきと考えていたのですが、最近はリード技術(特にオブザベ)にも伸びしろを感じているので、そんな話を。

フリークライミング、とりわけスポートルートや人工壁においては、ボルダリング主体でトレーニングを積んでいる人が、上級者には多いと思います。
ここランナウトでも、ボルダラーが、思い出したようにロープをやって、リードクライマーより遥かに高いパフォーマンスを魅せるという機会は多いです。

その要因は、誰もが知っていると思うのですが、再確認しますと。

①ムーヴ練習に充てられる時間が長い(ハングドッグより、環境的にも良い)
②持久トレにしても、ボルダリング壁で様々に工夫することで可能
③パートナーとの日程調整などが無い
④セッション効果が起きることが多い
など

もし、リード能力が、ボルダー能力(核心部の突破能力)、持久力、クリップの上手さ、の3つだけなら、リード練習は「たまーに」やれば十分でしょう。
ハングドッグでムーヴ練習するなど、時間の無駄にも思えます。

ただ、話はそう単純ではありません。
今までに、私より強そうなボルダラーを見た限り。(講習生が、私より強いボルダラーである場合もある。)

・墜落距離の計算が甘かったり、ロープを足に絡めがちな初心者っぽい人もいます。
・ビレイの立ち位置が悪い人もいます。
・ムーヴ解決力の割には、R.P.までのトライ数が掛かり過ぎに見える人もいます。
・オンサイト勘とか、勝負勘みたいなものが無い人もいます。
・クリップ位置やレストポイントのオブザベが出来ないので、そもそも限界ムーヴに近いオンサイトを諦めている人もいます。

いや、それでも高グレードを登っちゃったりするんで、持久トレを積んだボルダラーが(ポテンシャルでは)最強だと思います。

さてさて、次のジムではボルダーをやりましょうか、それともリードをやりましょうか。

2019年2月27日水曜日

お膳立てリードは危険登山者を生むか?

2月24日(日)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
女性Mさん、女性ISさん、男性KYさん。
<このルートも、終了点を考えさせられる>

城ヶ崎は、終了点が立木であることが多いです。
終了点作業に自信が持てない初心者、というのは結構いると思います。

その人に対して、お膳立ての方法は色々あります。
<カムセット練習>

①終了点をあらかじめ設置しておく(立木にスリング+カラビナを掛けておく)

②終了点情報を教える(「ちょうど良い立木があるから、120cmスリング1本あれば足りるよ。」、「ぶっとい立木だから、スリング2本持っていくか、長いのがあると良いよ。」)

③特に何も言わない
もし、イレギュラーな終了点なら、あらかじめ対処方法を教える。
つまり、その初心者が持っている知識・技術で何とかなる範囲だから、「心配せずに行って良し。」と暗黙のサインを送っている。

経験者側がよほど意識しない限り、同行の初心者に対して、少なくとも③はやると思います。
つまり、経験者と一緒に登るということ自体が、お膳立てリードになっているという話です。
ただ、③はお互いに無自覚になりやすいので厄介なのですが・・・。
<楽しげ>

本来であれば、終了点が見えない場合、クライマーは幾つかのケースを想定して、行動する必要があります。

スリングが手持ちで足りなかったら、メインロープでセルフビレイを取る方法を知っているでしょうか?
ロープの流れが悪そうなら、対処する方法はあるでしょうか?
複数支点でないと不安な場合にも、対処できるでしょうか?
終了点に適当な立木がなければ、エイドダウン回収などに切り替えることが出来るでしょうか?
<トポに無いコーナー>

もちろん、最初から全てが出来るなんてことはあり得ません。
終了点に適した位置に立木が見えなければ、怖くて取り付けないということも、初心者的には正しい判断だと思います。

しかし、経験者が一緒だと、何かしらのお膳立ての上で、こういうルートにも取り付くことが出来ます。
これをメリットと捉えるか、デメリットと捉えるか!?
<パープルシャドウは、終了点が分かりやすい>

お膳立てが悪だとまでは、私も思いません。
ときには、それで学ぶこともあると思います。中途半端な自信が付く弊害を考慮したとしても。
そもそも、講習で本気トライをやってみるなんて、お膳立てリードそのものですからね。

ただ、お膳立てに慣れちゃっている人とは、一緒にマルチとかには行きたくないという感覚は私にもあります。
経験上、色々怖いですよね。
<無事にR.P.>

お膳立てリードが善か悪かではなく、お膳立てリードを習慣化してはいけない、という程度の話かもしれません。
怖い時こそ、自分の実力範囲内で考えましょうよ、と。

ただ、ちょっとしたお膳立てって、終了点作業に限らず散見されるものなのですよね。
そして、初心者側はそれが理解しにくく、気づけば甘え慣れている状況にあります。

どちらかと言えば、初心者側よりも経験者側が強く意識すべきことでしょうか。
それとも、初心者側の自制心が大事なんでしょうか。

危険を伴うアウトドアスポーツは、初心者・初級者であっても大真面目に取り組まねばなりません。
<ネッシーは、終了点がバッチリは見えない>

ちょっと重い話ですが、考えるには今回こそが良い機会かもしれません。

実践本気トライ
Mさん:パープルシャドウ(5.8) R.P.
ISさん:ネッシー(5.8) オンサイトトライにて、ハングドッグしてトップアウト
KYさん:名前の無いコーナー(体感5.8) O.S.
<この6番が怪しい>

さてさて、今回でMさん、ISさんはクラックリード講習を卒業といたしました。
学ぶことは多いですから、復習参加も是非来てくださいませ。
<やはり>

<隣でフラッシュダンスを登る様子>

優先順位

2月23日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性SBさん、女性STさん。
ジムで、ダイナミックな動きが出来ないときに、
「こんなの山では使わないし。」
と言う感情があります。

実際、ランジやコーディネーションを本チャンや沢登りで使う機会は、まず無いでしょう。

局所的には・・・、浅い釜のへつりでダイナミックムーヴ1発かまして、みたいなシチュエーションもあるにはあります。
(そして、それは強烈な記憶になりますし、面白かったりします。)

けれど、丁寧な足置き、確実な重心移動、レスト態勢で一呼吸、などに比べたら、出てくる頻度は稀であることは間違いないです。
だから、5.6~5.8を「ちょっと以前より安定して登れた。」、「ちょっと楽に登れた。」、「以前は恐々こなしていた箇所も、だいぶ落ちそうもなく登れた。」、といった練習は、山好きのクライミング練習としては優先順位が上位になります。
一方で、ダイナミックムーヴを「やらなくても良い。」、「覚える必要が無い。」としてしまうと、ジムでの練習が楽しくなくなってしまいがちです。

ダイナミックムーヴは、見た目よりは省エネだったりして、ちょっとしたモノなら5.10bやら6級でも必要になります。
もっと言えば、5.8やら8級でもダイナミック気味に動いた方がスムーズで省エネだったりします。
優先順位は、心の片隅におきましょう。
特に、沢登りが一番楽しいというSBさんは、分かりやすいですね。

例えば、ウォームアップでは確実で丁寧なムーヴを徹底練習、常連さんとのボルダーセッションではダイナミックムーヴも楽しむ、なんて言うのが理想形ではないでしょうか。
ジムリードの本気トライは、ちょうど中間ぐらいのイメージですかね。
実践本気トライ
SBさん:いんちきするな(5.8) O.S.
STさん:いんちきするな(5.8) フラッシュ

2019年2月25日月曜日

カムスタックから学ぶ、自立への姿勢

2月22日(金)は、IUさんからの特殊オファーで、城ヶ崎のファミリーエリア。
要約すると、
「カムスタックをして、自力で回収を取り組んだのだけれど、全く出来ません。それを回収して欲しいです。また、この機会に回収について知りたいです。回収を頼んでいる時点で、自立していないというモヤモヤがあります。どうでしょうか?」

「回収できるとは限りませんが、数時間は頑張って、あとの時間は普通に講習しましょう。」
と、これを受けて今回へ。
マンツーマン覚悟という話でしたので、カメチヨにも来てもらって。
カムを残置していると、心が痛みます。
ルートを汚した申し訳なさ、恥を全国に晒している情けなさが混ざって、IUさんも「クラックから逃げたくなった。」、「心の闇。」などのセリフを数々。

そして、2時間弱で、無事に回収。

IUさんの顔も、見るからに晴れやかです。
そして、その後で懸案のルート“ファザークラック”を2トライして、無事に再登!

「これで、登らないでおくとトラウマになって、二度と登れなくなりそうなんで、登りたい。」
という熱意が素晴らしい。

山で遭難したら、必ず遭難現場に再訪するタイプの山屋ですね!
さて、夕方にカメチヨ先生が、マザークラックにトライ。

と、ここでまさかのカム3個(笑)スタック。
もうすぐ暗くなるということで、懇願されて、私が回収に上がりました。

で、「やっぱり、こんなんじゃ私はクライマーじゃない。クライマーになりたい。」と落ち込んだカメチヨ先生。
翌日に友達と再訪して、敢えて同じ場所に(笑)カムセットして、R.P.。
そして、自力回収したそうです。
今回のケースで、私の中で思い出された2つの経験則がありました。

①カムスタックは、誰でもやってしまう可能性がある。自分より上手いクライマーでも、回収できないこともある。だからと言って、最初から自分より上手いクライマーと岩場に行きたがるようでは、自立は出来ない。
とはいえ、本当に回収できなかったら、そのルートをクリーニングするためにも、後日に自分より上手いクライマーに頼むのは止むなし。

「山行計画では自力下山出来なかったら死にますぐらいの覚悟で取り組むが、事故後に救助が来てくれたら感謝する。」
というのと、似ていますね。

②他人の力を借りてしまうと、心のしこりは残る。そして、それはR.P.というフィナーレを迎えることで、「まぁ、登れたから良いか。」と感じる人と、「クライミングは過程が大事だから、これで登ったことにしてはイケナイ。」と感じる人がいます。

もちろん、私は後者の考えに立って講習を行っています。IUさんのファザーも、カメチヨのマザーも、これで100%満足しては駄目だと思います。途中段階で、私がカム回収しているので。
ただ、こうなってしまったら、とりあえずR.P.だけはしておいた方が良いと思います。

反省はしつつ、トラウマにはならないようにする、というバランス感覚に立って、次のルートに活かして行きましょう。

まぁ、2人とも姿勢が素晴らしいと思うので、釈迦に説法でしょうけどね。

4点支持

2月21日(木)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性HNさん、新規で三重の男性SMさん。
3点支持、と言うと古いクライマー扱いされそうです。

ただ、自分の支持支点の数、そして岩との接地状況を意識するというのは、とても有効だと思います。
具体的には、下図。
スタートは、両手両足が岩と接しております。

右手の上には、別のホールドがあります。
股の下にも、別のホールドがあります。

各ホールドは、
● バランスを取る上で、大事なホールド
○ 触っているだけのホールド

という風に塗り分けました。

棒人間の頭が○と同じ記号に見えてしまいますが、ご容赦を。
それぞれの矢印の意味。
①:左足が不要なバランスに持ち込む(左足をフリーにする)
②:左足を別のホールドに乗せる

③:右手が不要なバランスに持ち込む(右手をフリーにする)
④:右手を別のホールドに動かす

⑤:4点全てが必要なバランスのまま、右手を別のホールドに動かす。
さて、3つの状況について、どのように理解しているでしょうか。

⑤は、手を動かすタイミングで、グラッと危うい感覚を覚えるかもしれません。
あるいは、それを回避するために、振り子のタメを作ることで「せーのっ!」という反動で切り抜けるでしょうか。(デッドポイントのことです。)

図だけ見る分には、両手両足が常に●(4点支持)だから安全そうに見えますが、実はダイナミックムーヴで瞬間芸をこなしているという話。
また、①は②を行うための準備動作、③は④を行うための準備動作、ということになります。

岩場においてダイナミックムーヴを回避するためには、この準備動作が大事なのではないかと思います。

このブログだけだと、ちょっと分かりにくいかもしれません。
HNさんが大変に感動していて、
「私は今日、クライミングがどんなスポーツだか分かりました。」
と悟りのようなことを何度も何度も仰っていたのが印象的です。

2019年2月20日水曜日

際どいクリップは奥の手

2月17日(日)は、リード1回目、2回目で、女性YIさん。
2月19日(火)は、リード1回目で、男性KTさん。
リード2回目で、男性KTさんが引き続き、女性YYさん、男性FMさん。
この日はイレギュラーで3コマ目で、リード1回目は、男性IHさん、男性SHさん。
クリップ練習を地上でやると、手の動きのチョットしたコツがよく分かります。
一方で、1本目の高さまで登ってやると、安定した態勢の重要性がよく分かります。

そんな中、KTさんの一言。
「(クリップに掛かる時間自体は、数秒~5秒くらいなのかもしれないのだけれど、)5秒ギリギリ片手で居られるのだと、プルプルしちゃって上手くクリップできない。クリップ動作が終わるまで腕に来る感じが無い状態じゃないとダメですね。」
この感想、とても的を得ているように思います。
実際、難しいルートでは5秒の片手バランスを利用して、辛うじてクリップすることもあります。が、これは奥の手として考えるべきでしょうね。

まずは、安定&省エネを目指しましょう。
初心者が、ジムの5.8とかを登るときは、こういう安定姿勢を意識して登るとリード習得に繋がりそうですね。
さてさて、YYさんとFMさんは例外的ながら、これにてジムリード講習を卒業といたしました。
落ちる練習は、十分に本気トライ想定で出来ていたので、あとは登るだけでしょう。
引き続き、岩場でよろしくお願いします。

2019年2月19日火曜日

クライミング講習のクラス分け

2月16日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
女性FSさん、男性STさん、男性KDさん。
<リードで落ちる練習>

経験者が当塾クライミング講習に参加するのは、なかなか労力が要ると思います。
今回2回目の方も、下のクラスから全て受けるか、下のクラスを1回ぐらいは受けておくか、などと本人的な葛藤が始まった御様子。(とりあえず、クラックリード講習は継続するとして。)

経験者が、基礎クラスに戻されるのは抵抗感がありますよね。

その一方で、モヤモヤしてきた経験があるからこそ、
「脱、連れられ登山!」
「考えて登れるようになりたい。」
「自分って、ちょっと危なっかしいんじゃないか?」
といった問題意識が明確になる部分もあります。
<体重差のあるビレイなので、浮き防止>

よく聞かれるのですが、クラス分けは、

①ムーヴLv.0とジムリード講習
②岩場リード講習
③クラックリード講習
④マルチピッチリード講習
(その先にもありますが)

となっております。

このうち、マルチピッチリード講習だけは、クラックリード講習の卒業を参加条件にしています。

今後、私が卒業システムに疲れたとしても、この最終段階だけは変えないと思います。
プロテクション戦略の基礎を見た人にだけ、マルチピッチは教えたいので。
<樹氷のオンサイトトライ>

その一方で、岩場リード講習、クラックリード講習は、下のクラスからの参加者でなくても受講可能です。
最低参加条件はありますが。

この際、初回を受講した段階で、私から「やっぱり下のクラスから受けた方が良いですよ。」と言われてしまう可能性があることも、ストレスになっていることは知っております(笑)。
言わなかったとしても、「なんだか、習いたいこと以前が大分抜けているような気もしてきた。」と自覚される方も多いです。

そして、各クラスが少なくとも数回、多ければ10回以上で進級ということを考えてしまうと、さらに気が重くなるというスパイラルがあることも重々承知しております(笑)。
<フラッシュになってしまったが、根性で一撃!>

「今、習いたいこと」というのは、誰にでもあると思います。
なので、最低参加条件を満たしていれば、クラックリード講習に参加いただくことは可能です。

とはいえ、
「ジムでビレイを注意されたことがあるんだけど、いまいち意味が分からないので、また怒られそうでモヤモヤしている。」
「レストが出来ないので、リード中に数手先を読むとか出来る気がしない。」
「考えて登るって、何?」
「そもそもリードで落ちるのが怖すぎて、オンサイトトライとかレッドポイントトライとか、出来る感じが無い。」
「基本は知っているつもりなんだけど、岩場は自分より強い人としか行ける気がしない。」

などなどの方は、是非とも下のクラスからの受講をオススメします。
<鬼ころし>

特に、これまでと変更があった訳ではありませんが、こういう機会に。

本当は、学習内容そのものでなく、講習システムの方で悩む時間って無駄なので削減したいのですけどね。
こちらは、私の方で考えることです。

その意味では、復習受講は卒業とか関係なくやれるので、お互いストレスフリーですかね(笑)。
小川山のスラブとか、岩場リード講習を卒業した人でも来た方が良い気がしてなりませんし。
<純>

実践本気トライ
STさん:樹氷(5.8) フラッシュ(プロテクション戦略だけは、私がヒント出しを積極的に行ったので)
FSさん:純(5.8) 再登

2019年2月18日月曜日

インカット、フラット、外傾

2月15日(金)は、ムーヴLv.0。
新規男性TUさん、新規女性GTさん。
スタンス(英語として正確なのは、フットホールド?)の形状を考えてみます。
小さいスタンスは当然難しいのですが、スタンス上面の傾斜も大事ですよね。

その前に、スタンスに掛かる力の向きを3つの言葉で区別してみます。
「乗る」は、鉛直荷重。(自重で乗っているだけで、十分にその力が掛かります。)
「押す」は、軽いレイバックのように、壁内部に押し込む力。
「かき込む」は、ガバ足に乗った時に、足でホールドを引き込む力。

※実際には、押す、かき込むは、サイドホールドに対して行うこともあるので、この図だけでは説明として不十分です。
さて、スタンス上面の傾斜を、インカット、フラット、外傾の3つに言い分けます。
(外傾だけが日本語なのが変ですけど、アウトカットと呼んでいるクライマーを知らないので。)

上図の見方。
例)外傾スタンスも、押す力を掛けている分には十分に使えるけど、乗ると不安定、かき込めば滑るのは道理です。

どの形状にどういうベクトルを掛ければオーケー、ダメ、というのは空白の図にしてみました。
試しに考えてみてください。
実際は、①スタンス上面のフリクション、②外傾の傾斜が何度なのか?、といった条件次第の部分もあるので、突っ込みどころは満載です。

こういうことが分かった上で、「今、なんで足が滑ったのか?」ということを考えます。
そもそも丁寧に置けていないのか、荷重方向が狂って滑るべくして滑ったのか。

足が滑ると疲れますし、それで落ちることも多いですよね。

2019年2月15日金曜日

登るという贖罪

2月13日(水)は、1人で上州武尊岳へ。
<オグナほたかスキー場よりスタート>

クライミングをやることで、山に行きづらくなると、罪悪感にかられる人も多いと思います。
私も、その1人です。
<振り返る>

山に行くと、その罪悪感は少し晴れますが、別の罪悪感が襲って来ます。

・スキー場リフトを使って、お手軽に雪山に来ているという罪悪感。
・日帰りで、雪上テント泊していないという罪悪感。
・雪崩の勉強をサボっているという罪悪感。
・スキーに適した山域なのに、山スキーに取り組んでいないという罪悪感。
<前武尊岳>

この罪悪感は、終わりがありません。

ちなみに、ホームジムのランナウトでリードをしていても、

・ボルダーから逃げている罪悪感
・本気トライ以外のフィジカルトレーニングから逃げている罪悪感
・今日トライすべき課題から逃げて、別の登りやすいのをやってしまっているんじゃないか、という罪悪感。

というのは完全には拭えません。
<メインイベントの剣ヶ峰を見て、テンションが上がる>

こういうときは
「本当に、チョット逃げがちなこと。」
「本日はこちらの内容を選択しているだけで、別に逃げているわけじゃないこと。」

が区別なく襲って来ます。

そう考えると、自分の頭が悪いような気がしますが・・・。
<30°~50°くらいの斜面だろうか>

山の世界だと、かなり広範囲なジャンルで超一流という人も居たりするので、
「選択の結果、これが出来ないのは仕方がない。」
と発言すること自体にも、罪悪感が伴います。

なかなか困ったもんです。
<左脇のブッシュ帯を登ることに>

話を大きくすると、女性クライマーで
「出産をしなかった。」という罪悪感を吐露している友人も居たり。

まさに選択の問題で、今の自分を肯定して良いはずなんだけど、完全には拭えない何か。
<先ほどの斜面の上は、細いリッジ>

講習生に「色々なジャンルに手を出すと、なかなか伸びなくって。」と相談されることもあります。

①選択の問題なので、ある程度仕方ない。
②とは言え、両立させてハイレベルな人もいるので、見習うように心がけた方が良い。
③重複部分が強くなることも多い。長い目で見ると、意外と伸びる。
(マルチをやっていたら、緩傾斜のクライミング能力が伸びることも多い。クラックをやっていたら、ジムのリードでも以前以上に墜落距離の計算に自信が付くことも多い。などなど)

会話の流れで、1つか2つだけ回答してみたり。全部回答してみたり。
<剣ヶ峰>

しかし、私自身の心を振り返っても、一番大事なのは気持ちの持って行き方なのかもしれません。
カウンセリングは専門外ですし、完全解決もしない話なのでしょうが。

その点、1人で樹林帯を歩いたり、ラッセルしたりするのは、なかなかオススメです(笑)。
山にカウンセリングしてもらっている感じです。
<いかにも、スキーの山をワカンで進む(笑)>

後ろ向きっぽい話はそこそこにして、次にやるべきことを考えましょうか。
私の場合は、次の山行計画と、ジムでのリハビリクライミングですね。
<剣ヶ峰を振り返る>

<ガスって来て、少し盛り上がって来る>

<山頂到着。川場スキー場からは、トレースもありました。>

<下山>

<再び、晴れてきた>

行動記録
 8:30 オグナほたかスキー場のオープン。
 9:30 リフトでスキー場トップへ。登山靴に履き替えて、入山。
13:30 武尊岳山頂。
      帰りは、剣ヶ峰には登らずに、トラバース。
15:15 オグナほたかスキー場に帰着。
      スキーに履き替え、ゲレンデを滑って下山。

久々のゲレンデスキーは、なかなか楽しかったです。
これも練習した方が良いんでしょうけど・・・(笑)。