2022年10月24日月曜日

大レストポイントの活用

10月14日(金)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性ISさん、男性MKさん。

10月15日(土)は、クラックリード講習にて、小川山。
女性YIさん、男性HDさん。

10月16日(日)は、マルチピッチリード講習にて、三ツ峠。
女性Mさん、男性KBさん。
<はじめてのダブルロープ>

岩場でリードする際に、大レストポイントがちょくちょく現れます。

今回、大レストポイントの定義としては、
「左右の手を交互に何度もシェイクしたり、チョークアップできる場所」
としましょう。
とは言え、この中にも相当なグラデーションがあります。

①座れる。
⇨テラスなど。シューズも脱げるので、体幹部も含めて、ほぼ完全回復できる。

②ノーハンドで立てる。
⇨緩傾斜で、良いスタンスがある場合。ちょっとしたテラス。割と良いスタンスでのステミング。チムニーの中でスタンスがあり、背もたれで休める場合。などなど。

③ノーハンドにはなれないが、ほとんど時間制限を感じない。
⇨垂壁で、足も良く、手もガバに近い場面。など。

④とりあえず休めるが、時間制限を感じる。
⇨被った壁で大ガバ。垂壁で手はガバ、足は悪い場面。など。
<初登攀ごっこを楽しむ>

この活用を上手にできるかどうかは、O.S.、少ないトライ数でのR.P.、あるいはクラックでのリスク管理を冷静に行う上で、とても大切だと思います。

例えば①〜③は、
・少し上のホールド、ムーヴを探りに行ってから戻る(偵察)
・プロテクションをセットしてから戻る(登山で言うなら、FIX張り、荷物デポ、雪山での前日のトレース付けに相当)
・カムのバッククリーニング(ロープの流れ、カムのタマ数補充)
などが可能になります。

とても時間の掛かる行為ですが、安全に登る上でも、少ないトライ数で完登を勝ち得るためにも必要です。
<今回のテーマになった場面。どうにか大レストできるが、足が悪い。>

一方で、④で同様の戦略を採用すると、徐々に疲れてきます。
いざ作戦が決まって出発したくても、もはや出力が下がってしまい、「テンショーン・・・」と情けなくコールする姿も、よく目にすると思います。

状況にもよりますが、
「行きつ戻りつをするにしても1〜2回程度、できればレストポイント内で作戦を整理してGOだ!」
といった覚悟を決める必要があります。
<フラッシュするHDさん>

一般的には、女性に多い持久力型の初級者には①〜③の活用が上手な方が多く、④なのに行きつ戻りつし過ぎてギブアップするパターンも多く見られます。
(今回、女性YIさんは、まさにこれで何度かハマっているように見えました。)

当然ながら、男性でボルダー出身の方、トップロープ癖が抜けない方、などは反対になります。
大レストしている風でも、行きつ戻りつは非常に少ない、など。
意識して、①〜③を上手に使えるようになる必要があります。
ちなみに、これはマルチピッチでも重要です。

例えば、入門マルチ専門のような方(フリークライミングを真面目にやる気持ちになれず、そうなるパターンなど)だと、①や②はある程度使いこなせても、③は全然ダメと言う人が多そうです。
2m〜5mに1回とかの割合で、①や②が出てくるのは確かですが、やっぱり③が使えないとリスク管理は甘くなるように思います。

健全な判断は、健全なレストに宿る、ということです。
<あいにくのガス>

当然ながら、ジムでの本気トライで重要になるのは、④の活用です。
①〜③は、入門的なグレード、凹角、緩傾斜を除くと、なかなか出来ないように作ってあると思います。

これは、
・持久力差が出るルートを作る上では、完全レストポイントはなるべく避けたい。
・岩場のように1トライに時間が掛かると、順番待ちが酷いことになる。
などの事情があります。

実際、利用者の一人としても、その方がトレーニングには向いているとも思います。
<「意外と悪いですねー。」>

まぁ、トップクライマーはルーフのオンサイトトライでも、凄まじい行きつ戻りつをしている、などの例外事象はいくらでもあると思います。
彼らは、強傾斜の中でさえも、条件の良いレストポイントに戻れば回復できるということなのでしょうね・・・。
<真っ向ハンドの数手をこなしたMさん>

ムーヴそのものの上手さをブログで解説することは困難ですが、こういった戦術面は解説に適しているかもしれませんね。
<遅くなるけど、あとは緩傾斜なのでトップアウトを目指します>