

登山講習、読図講習、ジム講習から、リード講習、クラック講習、マルチピッチ講習、雪上訓練、救助訓練、アイスクライミング講習まで。 初心者の富士登山から、アルパインクライミングを目指す方まで全力サポート。
12月26日(日)は、北八ヶ岳の某アイスエリア。
先週に続き、牛社長の付き人として参りました。
アイスクライミングは、その名の通り氷を登ります。
ピッケルの形を変形させたアイスアックスを両手に1本ずつ、両足にはアイゼンを付けて、手足の代わりにします。
さて、一般の方には訳の分からないアイスクライミングですが、実は岩登りに比べたら易しいです。
例えば・・・
壁の中に氷が張ったら、岩を登るより簡単なので、氷めがけてまっしぐら。
他にも、沢登りの滝が凍ったら、滝そのものを直登して、冬の沢登りも出来ます。
ちなみに、フリークライミング同様に、近場の有名な氷瀑をゲレンデ的に登ったりもします。
近年では、ジムみたいな人工氷瀑まであるのです。
まぁ、スポーツクライミングに比べたら、危険を判断する機会満載の分野です。
そういう意味では、岩登りよりも敷居は高いです。
今日は、そんなアイスクライミングの原点回帰。
人気の少ない滝を見てきました。
が、まだ不完全な氷で水がジャージャー。
見学だけして帰りました。
ただ、一応アックスくらいは振って帰りたいという御要望があり、側壁の簡単な滝(4級マイナスくらい?)を登って来ました。
結果としては、またもや3時間ほどの高難度ハイキング?
僕自身、久々に冬装備を出してきたら、装備不備だらけ。
自分の仕事前に装備チェックをしておけて、良かったです。
しかし、微妙な風邪気味。
動き始めると、なんだか動くごとに苦しい。
終了点からの「テンション」コールも辛い。
こりゃダメだと思いつつ、本気ルートに一応トライ。
体調のせいもあるが、やっぱりのボルダー力不足で突破ならず。
"サザンクロス"は、ムーヴが出来ないので一度封印しようと思います。
他のをやってから、再トライします。
具体的なルート
・ピーターパン(5.10b)
アップ
・風に吹かれて(5.11a)
アップ
・サザンクロス(5.12b)1便目
1本目後のムーヴに進歩なし
・2便目
3本目後のムーヴ練習に切り替え。
初日に出来たムーヴすら出来なくなっている・・・
封印決定
・人生落ありゃ苦もあるさ(5.8、クラック)
もはや完全に心折れ、体を大切にモード。エンジョイクライミングして帰らせて下さい。
・イントロダクション(5.9、クラック)
引き続き、エンジョイクライミング。
クラックは、こうゆう気分のとき良いですね。
写真の黄色フリースのパートナーには、封印の二文字はありません。
根性!根性!ド根性!のレッドポインターです。
今回は、何年も前からの知り合い男性IさんとSさん。
Iさんは、1年ぶりのクライミング。
Sさんは、リードやムーヴアドバイスを中心に、自分の山岳会では得られないものを、といった要望。
一回で全部、って訳にはいきません。
まずは、疑似リードを中心に講習を行いました。
空いている代わりに、なかなかグレードが厳しいエリアなんで、お客様もクライミング内容そのものでは大苦戦。
そんな中で、色々と刺激は得られたでしょうか?
なかなか忙しい2人なので、まずはクライミングを着実に継続することが核心かもしれません。
具体的な講習内容
・ボルトの種類とチェック方法
・自作の簡易デイジーを使ったセルフビレイ
・ヌンチャクを掛ける向き(ウィップフラッシュ現象)
・終了点の仕組み(流動分散、固定分散、独立分散)
・ムーヴに関して、その場その場でのアドバイス
頻度の問題もあって伸び悩む彼ら。
上手くなるキッカケになりたいものです。
今回も、レッドポイント目指して1つのルートを練習練習。
さて、R.P.(レッドポイント)は、いくら無制限リハーサルありと言っても、練習過程には一応のセオリーはあります。
まず、全ムーヴの解決。
次に、楽なムーヴを研究したり、手順を覚えたり、小休憩場所を研究したり。
さらに、少しでも力を抜けるように、体のちょっとした動きを工夫。
最後に、トライ。
普通、累計7日間くらいトライしてダメなら、別のルートに目標を変えます。
理由は、あまりに繰り返してトライすると、進歩する要素が減ってきて、トレーニング効率が悪いからです。
ただし、日数オーバーの例外はあります。
例えば・・・
「やればやるほどミスが発見できて、進歩がある!」
「自信を付けるために最高グレードなどにチャレンジで、ちょっと延長戦!」
「そのルートをトライすること自体が、生き甲斐!?」
なんて場合です。
さあて、何日トライするか、封印になってしまうのか?
まだ、ムーヴも全解決出来ていないので不安です。
が、今日は少し希望の光が見えました。
具体的なルート
・海賊フック(5.10b)
ウォームアップ
・風に吹かれて(5.11a)
ウォームアップの筈が、1テン
・サザンクロス(5.12b)1便目
1本目直後のムーヴ探り、進歩なし
・2便目
1本目直後のムーヴ探り、懸案の1手を何回か止める
・3便目
1本目直後のムーヴ探り、もはやヨレヨレ。
最後に、前回の最高到達点まで練習に登ろうと思ったが、ヨレて不可能。
クライムダウン回収。
今回、1本目直後を8手のボルダーとして分解してみました。
最初の4手、懸案の1手、最後の3手、という3分割では出来ています。
少しは可能性が見えて、良かったです。
クライミングでは、「力を抜け!」とよく言われます。
が、どこの力を抜くべきか分からず、アドバイスにならない場合もあります。
スポーツクライミングの場合、1番最初に疲れて落ちる原因になるのは腕、もっと言えば指や手のひらです。
つまり、そこの力を温存するのが、最優先というわけです。
今回は、指に力を込める持ち方(カチ持ち)と、指を引っ掛けるようにする持ち方(オープンハンド)とを練習しました。
要するに、「温存する余裕がある場所なら、オープンハンドを積極的に使う」って練習です。
彼らのグレード(5.10aくらい)では、まだ手掛かりは相当しっかりしています。
しかし、それでもガッチリ握るか、手の皮を引っ掛けるように持つかで、前腕の筋肉ムキムキ度合いが後ろから見て明らかに変わるんですよね。
これは、自分で意識するのが結構難しい技術です。
今日一日で習得とは言いませんが、まずはキッカケになればと思います。
具体的な講習内容
・レストの種類の復習
・カチ持ちとオープンハンド
・一撃出来る程度のリードで実践練習
ところで、Yさんはリードのビレイが、いつの間にか上手くなってました。
そういうことも大切ですよね。
最近、84では初心者的な新人比率が増えまくっております。
同人には、新人教育義務はないので、基本的には放っておかれます。
彼らの言葉を借りると、「会費も義務も無いし、良い人たちだから、とりあえず集会に参加し続けるところだけでも。」といった所です。
実際、色々なジャンルの登山・クライミングを実施する人を受け入れる84は、居心地も悪くないと思います。
新人教育義務がないとは言っても、気に入った新人は、タイミングが合えば連れて行きます。
が、人数が増えてきたり、完全な初心者が入ってきたりすると、さすがに面倒を見るのも難しいです。
最近では、石田登山塾にお客様として参加してでも、という人もおります。
でも、仲間からお金取って講習するのは、色々微妙な気がします。
同人は、単なるパートナー集めの場なのか、それとも無償の義理人情の山仲間なのか?
どうしたら良いんだろう?
ところで・・・
石田登山塾では、他会の講習や訓練、新人教育を請け負ったりしています。
それも、この同人流行りの時代の流れでしょう。
しかし、全部外注してたら、山岳会の上下の繋がりも薄くなり、いつかツケを払うことになると予想しています。
つまり、プロの講習会は大変効果的ですが、山岳会の徒弟制度を完全に埋めることは出来ないと思うわけです。
話を戻すと、今回は84の人にあまりに強く頼まれたので、石田登山塾として講習を実施してみようと思います。
話が長くなりました。僕も、僕がどうすべきか分かりません。
これから、山業界の在り方が変わっていくのかもしれませんねぇ。
リーダー会というのは、僕の所属する富士山ガイドの運営会議です。
リーダー1名が10名ほどのガイドを呼び出し、50名全員で議論したら収拾がつかないよう細かいことを決めます。
例えば、僕は今回ベテラン向けの定期更新試験を担当しています。
方向性とか、大まかなことは、全体で意見統一してあります。
リーダー会では、その試験中の給与とか、例外規定とか、不合格した場合の解雇手続きとかを話し合います。
まぁ、来月に全体会議がありますので、最終決定はそこで。
しかし、2日間、事務作業と文書校正、細かい点の話し合い、というのは案外ツラいです。
富士山ガイドは、単なる季節労働を越えてますねぇ。
ただ、夏の熱い気持ちは、さすがに今は持続してませんけど(笑)。
また来年、熱くなるでしょう。
「なんで去年アラスカに行くときに買わなかったのに、今頃買うんだ!」
という突っ込みが聞こえてきそうです。
はい。その通りなんですね。
その節は御迷惑お掛けしました。
ただ、今年も雪訓などの仕事で入門雪山に行く以上、結局以前のヘタレた靴は凍傷が治った足指が不安で不安で・・・。
実際、凍傷後の最初のシーズンは、特に再発しやすいそうです。
そこで、結局はバリバリに暖かい2重靴を買いました。
これで一安心。
実は、日本にある、僕に合うビックサイズの冬靴自体が、2重靴しか無かったという理由もあり。
具体的には、ボリエールのG1ライト。
しかも、日本のカタログ最大サイズのUK11.5。
日本に仕入れている冬靴で、僕のデカ足に合う数少ないモデルです。
さて、最後に宣伝。
雪上訓練(アイゼン・ピッケル、雪を利用したビレイの基本、など)、アイスクライミング基本講習、行えます。
本格的な雪山を始める前に、是非とも安全管理技術の確認を!
雪山は、クライミングのロープワーク同様、最初が肝心。
「講習じゃなきゃダメ!」なんて言いませんが、しっかりした経験者に着くのは最低条件だと思います。
オンサイト(初見一撃、O.S.)でのジム最高グレードを更新しました。
具体的なグレードは、5.12a。
ジムのグレードは、岩場のように年月をかけて改訂されることもなく、実は結構適当です(笑)。
ただ、このルートは、「グレードの割には易しい」という物言いがあまり付いていないので、ちょっと嬉しいです。
ちなみに、オンサイトがクライミングで尊重される理由は、僕の理解では2つです。
1つ目は、フリークライミングの元となる考え方で、「自力で登った感」の強いスタイルだからでしょう。
つまり、一回リハーサルするのが、ちょっと反則っぽい、という感覚です。
この「自力で登った感」は、クラックとか登山のときに強く感じることが多いですが、スポーツクライミングで感じることも度々あります。
もう1つは、スポーツ的に心技体が調和した総合的な実力が出せて楽しい、という点です。
スポーツクライミングのコンペで、初見一撃の能力で勝負を決するのも、この影響でしょうね。
ちなみに、対極にあるスタイルが、レッドポイント(R.P.)と言って、リハーサル無限回にオーケーという方法です。
まぁ、これはこれで面白いし、色々と練習にもなるので、僕もよくやります。
具体的に登ったのは、マサオ製作の水色バツ。
ちなみに、先日の自作5.12bも、一応完登しておきました。
クライミングでは、登っている最中に腕を休める動作(レスト)が重要です。
ホールドを掴むのも、腕を上げているのも、腕の血流を止めるばかり。
登りながらイチイチ腕を下ろしたり、一瞬でも腕を振ったりする動作は、体力温存の常套手段です。
さて、今回はそのレストの方法について講習しました。
しっかり両手をチョークアップする方法から、一瞬だけ腕を振るテクニックまで。
面白いくらいに身に付いたので、かなり持久力がアップしたように思います。
具体的な講習内容
・超基本ムーヴの復習
・落ちる練習、止める練習(前回よりも恐怖は減り)
・レストの種類ごとのコツ(長期レスト、中期レスト、短期レスト)
・リードの本気トライ(5.10aを2本完登、5.10cは敗退)
根気強く続けてきた甲斐がありましたねぇ。
5.10aは、リードの最高グレード更新だそうです。
強いクライマーで、いい人だっただけに、残念です。
ちなみに・・・
大きな事故の場合、詳細が正式に発表されるとは限りません。
新聞記事の数十行までは公表されても、あとは噂に聞く程度ということは多いです。
理由としては、事故者本人が恥と感じて語りたがらなかったり、本人が亡くなって周りが語りたがらなかったり。
同じ山の会ならともかく、普通のクライミング友達でも聞きづらいことすらあります。
山での事故は、完全な不可抗力であることの方が少なく、多少はミスが絡んでいます。
ただ、僕の実体験とか諸先輩の事故例を見ても、ミスもあり得て当たり前。
小さなミスで責任追求してたら山なんか行けないし、それも受け入れて登るんですよね。
だからこそ、ミスの確率を下げる意味で、事故例は知識として知っておきたいものです。
先ほどの理由で、身近な人の「ヒヤリハッと」体験が聞けないなら、『生と死の分岐点』という本を読んどくのがオススメです。
ドイツ山岳会がまとめた、ありがたい本です。
とはいえ、恐がってるときに読むと、ますますビビる内容なんですよね。
事故事例集から教訓を学ぶ本って。
フリーファンの『安全ブック』はフリークライミングのみですが、もう少し軽い感じで読みやすい事故事例集です。
といっても、来週末の湯河原でのリード講習に備えて、下見という面もあり。
初日は、空いている易しいエリアを求めて偵察。
超入門ルートから7本を試登しつつ、エリア巡り。
なんとか見つけることが出来ました。
条件は
・超入門の5.9くらい
・ボルト間隔もまずまず
・ボルトそのものの安全性もまずまず
・付近にちょっとだけ難しいルートもある
・同じルートで繰り返し練習出来るくらいガラガラの空き具合
といった条件で、探すので、アプローチの近さ、ルートの面白さ、足場の良さは二の次です。
2日目は、自分のクライミング。
「今日は人気ルートで、空いたところを適当に登ってトレーニング」なんて思っていたら、人気ルートで空いているのは難しいのばかり。
全ての初級ルートが順番待ちなのを見て、モチベーションは地の底へ。
(5.7から5.11前半まで、ほとんどロープスダレ)
またもや不人気エリアを求めて徘徊しました。
ウォームアップは、錆びたボルトの短いルートを数本。
そんな徘徊中、まぁまぁ面白いルートを最後に発見。
とにもかくにもオンサイト出来たのは良かったです。
夕方は、ルートの順番待ちに嫌気が差して、ボルダーを楽しみました。
具体的なルート
初日
某不人気エリア5.9から5.10bまでを7本O.S.
2日目
・ピーターパンロック(短く、ボルトは錆び錆び、ハンガー交換はされている)
ピノキオ(5.10a)、シンドバッド(5.10b)、ピーターパン(5.10d)
・サンバリー
マザースカイ(5.11b)O.S.、ルート名不明(限定がよく解らず、グレードは不明)
・豆粒岩ボルダー
8級から4級までを適当に何本も
湯河原の人気エリアの混み具合は、尋常じゃないですね。
順番待ちに関するマナーでも、問題ある人が多い様子です。
僕の友人クライマーからも、あちこち嘆きとイライラの言葉が聞こえてきました。
初心者エリアは、いろんな意味で大変ですね。
場所取り合戦&ルート譲りませんよオーラ、などなど。
いよいよリード講習のクライマックス、落ちる練習とビレイで止める練習に入りました。
「ついにここまで来たか」と、少し感慨もあります。
落ちるのを嫌がる初級者は多いですが、落ち慣れは素晴らしいことです。
・ギリギリまで頑張れるようになって、フリークライミング上達速度アップ
・落ちるくらいまで頑張ることで、スポートクライミングのスポーツらしい楽しさアップ
・小さなフォールを繰り返す中で、正しいビレイなどを実感
・どんなときに落ちそうなのか正確に把握出来るようになり、アルパインなどで落ちちゃいけないときも、安全性アップ
とはいえ、恐いんですよね。
「良薬口に苦し」。落ちまくるしかありませんね。
こういうことは、コーチ役が居ると、頑張れる面もあります(笑)。
2人とも、着実に着実に成長を遂げています。
具体的な講習内容
・超基本ムーヴの復習
・落ちる練習(軽い振られ落ち、最終ピンが足下までは頑張って!)
・リードのビレイ(繰り出しのコツ、体で流す)
僕も久々に参加したんですが、最近は見学者がちょくちょく来るみたいです。
今回も、そんな方々に僕らの会の説明をする必要あり。
同人は、山岳会のような縛りがないので、皆がバラバラというのは否めません。
新人に一通り説明しながら、自分自身がどんな同人を望んでいるのか自問自答です。
まぁ、僕自身がこの 冬はフリークライミング中心なので、山の会としての危機感も沸かないんですが。
何だか他人事で。
ところで・・・、
昨日から禁酒を始めました。
期限は、今季のフリークライミングで成果を出すまで、です。
今はフリークライミングを楽しんではいます。
が、皆が山に行く話を聞いていると、さすがに羨ましくなりますね。
これに参加したのは、単純に昔から縁のある山岳会という理由だけではありません。
この山岳会、宴会の翌朝は、奥多摩の河原で救助訓練をするのが恒例です。
実は今回、この救助訓練の講師役として雇っていただきました。
大宴会の翌日という悪条件ながら、まずまず充実した訓練が出来たと思います。
さらに言うと、この会の救助訓練には、以前にも一参加者として参加したことがあります。
そのときから比べて、年々少しずつ進歩してますね。
具体的な訓練内容
・背負い搬送の実戦練習(ザック+ハーネス、ザック+ストックなどで、登山道歩き)
・担架搬送の実戦練習(ザック担架で登山道)
・ATCタイプのビレイ器具での仮固定
・懸垂下降のバックアップの取り方(各種)
・自己脱出の効率的な方法
救助技術は大切ですが、そうそう身に付くものではありません。
毎年恒例の救助訓練というのは、良い方法ですね。
来年、少しでもレベルアップした訓練になっていけば嬉しいことです。
講習主催は、スリップストリームというカナダの野外救急法に関する会社。
今、日本に野外救急法を広めようとしている団体です。
さて、内容に関して。
例えば、大きな墜落や落石の後、怪我人を動かして良いものか悩んだことはないでしょうか?
とりあえず大丈夫そうな雰囲気だからと動かしちゃった経験や、逆に大事を取って救助を呼んだ経験は、僕にもあります。
動かしてはいけない例というのは、骨盤骨折や脊椎損傷の疑いがある場合ですね。
実際の講習内容
・そんな場合のちゃんとした固定法
・「軽傷で固定しなくて良い」、「固定して、自力下山でオーケー」と判断するためのチェック項目
・バイタルサイン(脈拍、呼吸数、瞳孔の開き具合、など)、痛みの箇所、などの傷病事故記録の取り方
・その他、代表的な怪我、病気について
・実践形式のトレーニング
昨年が、日本での初開催だそうで、正直イマイチな面も多々ありました。
が、今年は劇的に改善されており、来年は相当オススメの講習になるかと思います。
講師は激アツ、スリップストリームは超が付く本気です。
僕も、来年も是非復習に参加したいです。
さて、ここまで読んで興味を持たれた方向けに、僕が感じたことを情報として載せます。
とりあえず現在は、インストラクター、ガイドなどの野外活動のプロ向けの講習の感は強いです。
理由は、
・料金が6万円以上(今の円高で)
・裁判対策的な色合いがある
・平日5日間連続の合宿形式がメイン
・かなり実体験が無いと、知識量に押されがち
・日本の実情にマッチした内容になるのは、将来的な目標
などなど
あと1つ。受けることを検討する方に言えるのは、
・野外救急法で言う"野外"は、夏山登山道(岩場はほとんど無し)、数時間程度の雪山ハイキング、フリークライミングのゲレンデ、くらいのイメージです。
そもそも、雪山の稜線での「本当なら固定すべきだけど、このままにしてたら死ぬかもしれない」といった状況で、リスクを天秤に掛ける判断材料は、あまり期待しない方が良いです。
基本的に、固定が必要ならちゃんと固定して担架で運ぶことを学びます。
ファーストエイドの王道、つまり"タテマエ"を学ぶ場なのです。
今回のメンバーは、富士山ガイドの仲間たち、僕がガイド試験を受けた仲間、その試験官を務めるような大物ガイドの面々、山スキーガイドの面々など。
ただ、安全意識の特に高い一般のクライマーや登山者も受けに来てはいました。
では、興味のある一般の方へ。
まず消防署などで、町の救命救急法を受講して、さらに入門書で勉強して、簡単な固定法も練習して。
それから受講を考えると良いと思いますよ。あまりにも内容が濃いので、消化不良も請け合いなので。
入門書には、ヤマケイの『登山医学入門』(ヤマケイテクニカルブックスシリーズ)がオススメです。
普段の僕は、仕事以外の自分の練習も、西国分寺のランナウト一辺倒です。
が、たまには他のジムに行くと、マンネリ化してた自分に刺激になって良いです。
さて、今日は大の苦手ムーヴ「ダブルダイノ」(両手での飛び付き)を練習しました。
というのも、それが苦手な僕でも練習出来るようなホールドが、偶然にもバーチにたくさんあったのです。
そこで、手を変え品を変え、自分を飽きさせないようにしながら練習してみました。
苦手な動きが、自分の限界グレード付近で出てくると、どうして良いのか見当も付かず。手も足も出ないものです。
苦手克服のため、初心者的な基礎練習も、時には意外と効果があると思います。
ジムでのムーヴ講習を、自分の苦手に当てはめた気分ですね。
写真は、バーチ全景、ダブルダイノでホールドを掴んだ瞬間。
富士吉田口のガイドというのは、吉田口登山道にある山小屋のどれかに所属しています。(おそらく、全員)
そして、各小屋ごとに新人募集や解雇などの決定も行っています。
さらに、それらのガイドが富士吉田市にガイド登録しているという仕組みになります。
さて、今回は富士吉田市にガイド登録している者同士の代表者会議みたいなものです。
平たく言えば、各小屋のガイドから数名ずつ集っての会議となります。
富士山ガイドは、夏の季節労働とは言いながらも、様々な協力ありきで進んでいる現場です。
ちょっと大変ですが、僕にとっては石田登山塾へのモチベーション再燃と、短期集中労働で経済的余裕を頂けた職場です。
来シーズンの富士山も、早くも少し楽しみです。
クライミングのムーヴを教える難しさの1つに、
「ある程度本能的に体が動き、理詰めが苦手な人に説明すると、逆に混乱することがある」
という点があります。
Tさんの場合、半ば本能的に色々な動きが使い分けられていて、割りと上手く登れていました。
が、もう少し細かくアドバイスするためには、自分の苦手を把握してもらうとグッドです。
そのためには、ある程度ムーヴの名前などを覚えて、動きを分類して自覚してもらうのが良いと、僕は思います。
ただ、どうしても理詰めになるので、中途半端に教えても単なるお節介。
混乱させるだけです。
そして今日、「根気よく続けたTさんの頭が整理されてきた」と、会話の節々で感じられました。
あとは、コツコツです。
おそらく、Tさんにとっての大きな壁は越えかけていますよ。
具体的な講習内容
・超基本ムーヴの復習
(特に、ダイアゴナルの足位置に関して詳しく)
・リードのロープワーク確認
・落ちる練習(事始め程度)
リードの形は概ね出来てました。
あとは落ちたり止めたりして、リアリティーを持ってリード出来るようにしていくことですね。
11月3日(水)は、三ツ峠にてマルチピッチ講習。
今回は、前回にクラック講習を受講下さった女性Tさん、女性の山スキーヤーNさん。
2人とも、マルチピッチ経験はあるものの、プロテクション技術は皆無に近いです。
ある意味、日本のアルパイン業界を象徴するような成長をしてきた初級者ですね。
実際、僕も始めた頃は、そんな習い方もしましたから、気持ちは分かります。
でも、バリエーションルートにチャレンジするなら、自分で支点作れなきゃ嘘でしょう。
2人それぞれ、「クラックを始めたい」、「アルパインクライミング技術を体系的に習いたい」(聞くだけでも熱い申し出!)と、石田登山塾への切っ掛けは違います。
それなら、簡単な(Ⅴ級、5.6未満)クラックマルチとして、三ツ峠がオススメでしょう。
まずはカム・ナッツを使ってのクライミングでフォローして頂き、実体験が第一。
さらに、取り付きでハーケン打ちの練習まで欲張りました。
より効率的なロープワークのコツまで突っ込みたい気持ちもありましたが、あまりに詰め込むと混乱の元ですからね。
次回は、クラック講習を受けていただきたいものです。そして、再度マルチピッチ講習をば!
具体的な講習内容
(リードは全て講師)
まずは、弱点ラインで頂上にトップアウト。歩いて戻る。
次に、少しだけギアを落としにくい方法等を教えて、別ラインから3ピッチ登る。懸垂下降で降りる。
カム・ナッツの効かせ、ハーケンの打ち方、回収方法を講習&練習。
再び、別ラインから2ピッチだけ登り、懸垂下降。
最後に、残置支点の強度について多少の説明。
元気な方々で、大学山岳部に負けないような充実の1日になりました。
今日で、また一歩楽に登るコツを理解してくれた様子です。僕から見ても、日に日に滑らかになっていて、嬉しい限りです。
さて、具体的な今日の内容としては、ムーヴとムーヴの繋ぎ目の足の移動について。
クライミングのムーヴの種類は、沢山あります。
例えば、ある一手について考えても、複数のムーヴが同じくらい楽になることもあります。
その場合、どれが正解か(厳密にどれが1番楽か)に固執するのは、経験上あまり意味がないです。
それよりも、「一手前のムーヴから足の移動が少ない」とか、「一手先のムーヴへの足の移動が楽」などを考えてムーヴを選ぶ方が、大事になります。
逆に言うと、「一手一手は楽なムーヴなんだけど、毎回体勢作りに苦労して辛いのは、無駄」ということです。
すでに出来る人にしか理解できない文章になっていると思いますが・・・。
まぁ、これが大変感覚的で伝えづらいんです。
しかし、ある程度ムーヴを覚えたときにタイミングよく言うと、皆さん意外なほどスッと出来るようになってしまいます。
教える側から見ると、明確な言語化できないことが心配です。
が、それよりも、感覚的な表現に本人の経験値が追い付くのを待った方が、良い場面なんでしょうね。
今日は、彼にとっては、そんな日だったんだと思います。