11月7日(土)は、マルチピッチリード講習にて、NSさん夫妻。
11月8日(日)は、マルチピッチ体験講習にて、女性Mさん、男性KTさん。
マルチピッチをやると、ショートルートにもプラスがあります
モチベーションを上げるために、少し書き出してみます。
①よく考えて登るようになる。
これは、残置無視・トポ無視で行う講習では、特に顕著です。
考えずに突っ込めば、簡単にリスクに晒されます。
岩の形状、レストポイント、プロテクション、ロープの流れ、ムーヴ、全てをじっくりと考えながら登ります。
※そのための教育的配慮として、残置無視・トポ無視というのもある。
②レスト技術が向上する
上記を実践するためには、ステミング、バック&フットなどのノーハンド(もしくは、それに近い)レスト態勢で、試行錯誤する能力が要求されます。
マルチピッチの場合、傾斜は垂直より少し緩いことが多いですが、ついついレストできずに先を目指してしまうという登りは大いに反省させられる場面ばかりです。
③めちゃくちゃ丁寧に登ることを心掛ける
戻れる範囲でのノープロ、という場面は、いくらでも出てきます。
ボルトルートなら、次のボルトにクリップしてしまえばセーフ、という場面でも、そうは行きません。
また、クライムダウン敗退を考慮することは当然として、ホールドが欠けるリスクもあり、慎重な上にも慎重な登りが要求されます。
ちなみに、マルチだと、プロテクションがバチ効きであっても「やっぱり、普段以上には落ちたくないから」慎重に登るようになる、ということもあります。
「自分は、アルパインクライマーだからムーヴが雑だ。」という人は、認識を正した方が良いと思います。
④下降を考えることで、登りとは別目線で岩の形状を観察するようになる
ロープスタック、次の下降点をどこにするかなど、戦略的な要素があります。
⑤ロープワークの苦手意識が払拭される
ショートルートのロープワークは、マルチに比べたら単純化されたものです。
そのため、ショートルート専門のクライマーだと、ついついパターン暗記に走りがちというのはあるでしょう。
これを、体系的に理解して、良し悪しの判断基準を作っていきます。
⑥トラブルを想定することが習慣付く
もしも、この場面で・・・。
完璧なレスキュー技術はありませんが、ちょっとしたトラブルで救助要請というのもいかがなものかと思います。
こう書いちゃうと、さも自分が出来ているみたいで不遜な感じですね(笑)。
ただ、マルチ講習のビフォーアフターで、講習生の中に「字面だけではない理解」が始まるように感じています。
そして、これが始まると、一層クライミングが奥深く感じられると思います。この話は、「クラックをやることによって、ボルトルートの理解が深まる。」にも似た構図があります。
本日は、副次効果の話にフォーカスしましたが、実際にクラックやマルチピッチの技術そのものを上げて登れるようになることは、楽しいことです。
学びのモチベーションは多いほど楽しい、という程度の話でした。
NSさん夫妻は、冬の間はクラックリード講習への復習参加で、来春を目指すそうです。Mさん、KTさんは、12月初旬にもう一度マルチ講習をば。