ヨセミテにて本日レスト日ですが、とりあえず出国前の記録を。
10月2日(水)、10月10日(木)、11日(金)は、一緒にヨセミテに行く桂くんと。
<桂くん@クロム1P目>
常々思うことですが、講習生に「これはハマりやすいですよ」と言った罠に自分がハマることが頻繁にあります。
10月2日は、瑞牆のクロム1P目(5.11a、ワイド系)をオンサイトトライ中に、膝がスタック!
体感では10分以上は粘って、ようやく膝を抜くことができましたが、もう擦り傷やアザだらけ。かなりの痛みに耐えつつ、オンサイトしました。
しかも、何らか神経を痛めたのか、その後の1週間ぐらいは左脚だけがピリピリと痺れていました。
<「うおぉー」と吠えてフラッシュする桂くん>
状況(ある程度、ワイドクラックに慣れた人にしか分からない描写です):
薄被りのO.W.セクションを越える際に、リップ周辺が4番〜5番サイズで膝が入りません。
で、リップを越えた緩傾斜は6番サイズにより膝が入ります。
という訳で、核心のハング越えを果たして、緩傾斜の6番サイズに素早くニーロックすると完全ノーハンドの大レストが可能なパターンです。
そこで落ち着いてマントル前のカムを決め、ニーロックを解除してマントル、という場面で膝が抜けません。
膝を入れた少し下が4番〜5番セクションなので、完全にボトミングが効いてしまったのです。
<桂くんは、隣の5.10cもO.S.>
この手の困った話は講習生からも相談されるので、過去にも何度も回答しています。
昨冬、城ヶ崎のプチワイド(5.8)で、この相談をされましたし。
①完全ボトミングで効くニーロックは、要注意。
※膝を曲げて太腿を膨らませたり(カムの働き)、膝を内転させてトルキングを効かす必要が無い形状。ナッツのように膝が決まってしまう。
②完全ボトミングで効くと思っても、念のために僅かにカムかトルキングをしておくと、解除する分のゆとりが生まれる。
③原則、ボトミングの逆方向に抜く必要があるため、もう片方にガバ足が無いと解除は厳しい。
※本当にヤバい時は、アブミなどで片足を作成して脱出。
もちろん上記は意識していたのですが、ほぼノーハンドレストの体勢でカムセットをしながら②を保つことに失敗しました。
つまり、核心を抜けてホッと体幹の力を少し抜いたり、カムセットをしているうちに、少しずつ膝がナッツのようにボトミングされてしまったのです。
あとは、③の選択肢ですが、典型的O.W.のハング越えなので、もう片方のガバ足はありません。
どうにかヒール&トウで頑張るも、一向に抜け出ず。
何度もギブアップテンションからのアブミ脱出がチラつきましたが、最終的に膝周辺の皮をズリムケする覚悟で、重力方向に近い5番サイズ方向へと数ミリずつズラして抜きました。
<ジェリーフィッシュ>
過去に、城ヶ崎のチークボーンでも同じ状況になったことがあります。
あの時はルーフだったので、さすがに諦めてテンションギブアップからのアブミにしましたが、身体構造的にボトミングの逆方向に押し出すことは不可能に・・・。
結局、今回と同様に色々とズリむきながら通常は通れない5番サイズを数ミリずつ通しました。
今回は、「チークボーンよりはマシな状況だ・・・」と考え、どうにかギブアップせずには済んだのですが、まぁ痛かったです。
<桂くんは2撃>
そして、講習生に留意点を説明している罠にハマると、なんだか自分が不遜で恥ずかしい人間に思えてきます。
ただ、こういう可能性は分かっているので、講習生にも
「分かっていても、(余裕とか状況によっては)僕も含めて誰でもなっちゃう可能性はあると思いますけどね。」
と説明する習慣なのがせめてもの心のバックアップです。
<I'm old fasshioned の1P目>
この手の話は、カムスタック、ヒヤリハット、他の人に驚かれるようなオブザベミス、ホールド見落とし、忘れ物など、一生尽きないんでしょうね。
いい人生経験だと思いますが、毎回心は痛みますね。
<1P目の上部は乾いていたが、もうヘロヘロだった>
具体的に登ったルート
10月2日(水) 瑞牆の黄金狂時代周辺
・5.10bぐらいのワイド O.S.
・クロム1P目(5.11a、ワイド系) O.S. 上述の顛末
・5.10aぐらいのワイド O.S.
10月10日(木) 小川山の屋根岩3峰
・アップで5.10aぐらいのボルトルートを3本ほど
・ジェリーフィッシュ(5.11d、ボルト、スラフェース系) R.P.通算3トライ
何年か前にトライしたが、リボルト前だったこともあり、落ちる可能性満々だったので敗退。
この日の1トライ目で、ハングドッグしてムーヴ解決。
この日の2トライ目で、R.P.。
10月11日(金) 瑞牆の大面岩
・ I'm old fasshioned(5.11b、5ピッチ)
敗退。
1ピッチ目(5.10b)が濡れており、大苦戦。
リード交代して、どうにかフラッシュして、午後にようやく2ピッチ目(5.11b)
スタート。しかし、ここも核心が全然分からず、ハングドッグしてようやくムーヴ解決して抜ける。
この時点で時間切れ敗退。
正直、条件が良かったとしても、オンサイトトライでは全然歯が立たないマルチに感じた。とは言え、一応核心ムーヴは解決したし、他のピッチは5.10台と言うこともあるので、いずれ再訪したい。