2013年7月30日火曜日

それぞれの進捗状況

7月28日(金)は、クラックリード講習にて湯川。
前日から連続のYZ夫妻(旦那様は卒業済み)、栃木の男性NMGさん、男性OTさんの合計4名。
本日は、全員が別メニュー。

クラックリード講習は、だいたい4日間で修了ですから、人によって本日が何日目かが異なります。
OTさん(初日):

とりあえず、ハンドジャム、フットジャム、フィンガージャムの感覚を掴めたので、最低限はO.K.。
ついでに、地上でのカムセット、疑似リード1本までこなしたので、良い調子です。

丁度良いくらい。
NMGさん(2日目):

登り自体は、フットジャムをもう少し深くねじ込めば、安定感が増します。
カムセット自体は上手だったので、疑似リードは少なめながら、1本リードしてもらいました。

まずは、仮免許状態で少し早めのスピード。
YZ奥様(5日目):

カムセットそのものは、悪くない。
ただ、クライミング体力的に1日で登れる本数が少ない。
5.9の疑似リードをしただけで、お腹いっぱい。

なかなか、本番リードができるチャンスが少ない。

できれば、1日に2本、3本と疑似リードしてもらい、本当に出来るかをチェックしたいんです。
 
YZ旦那様(6日目、補習状態):

とりあえず、5.9をリードで完登。
ついで、5.10a/bをテンション掛けかけながらも、ムーヴ解決してもらいました。

単なるカムセットだけでなく、戦略的なリスク計算に関しても見えてきた感じ。

これなら、5.10前半をガンガントライしてみても良いですね。
具体的な講習内容
・上記の通り

敷居の高さと、その先への憧れ

7月27日(土)も、小川山の大貧民ルートにて、マルチピッチリード講習。
YZ夫妻。
「敷居が高い」

その言葉、クライミングにおいては結構好きです。
リードは敷居が高い、クラックは敷居が高い、マルチピッチは敷居が高い、~~のエリアは敷居が高い、・・・。

色々あります。
例えば、クラックを始めるにあたっては、

・カム類を揃える(金銭)
・カムセットなどの安全管理を自分で行う(意識)
・一定期間、集中的に取り組む(時間)

などの敷居の高さがあります。
私が思うに、敷居ってやつは越えたときに違う世界が見えてくるから面白いんです。

敷居が高いのは、仲間はずれとかではありません。
その一線を越えた人同士の、共通の思い入れです。

だから、クライミングでは、敷居を下げることよりも、敷居を越える手伝いをすることが講習の意味です。
講習では、闇雲にトップロープを張るよりも、

リードの魅力を伝えたいと。
敷居が高いなら、高いなり。
敷居の先に憧れの世界があれば、良いと思うんですよね。
マルチピッチも、言わずもがな。

このトンネルを抜けた先に、パノラマ広がる岩塔頂上が近付いて来るのです。
<ちょっと恐い、最後のスラブ>

<どこかで見たポーズ>

具体的な講習内容
・難しいセクションの手前でピッチを切る

その他、気づいた点を指摘していく。

YZ旦那様、大貧民ルートをオールリードで完登でした!
さすがです。
<下降>

ミニマム残置利用

7月26日(金)は、小川山のガマルートにて、マルチピッチリード講習。
女性KSさんと、補習の男性NMさん。
マルチピッチリード講習では、
「初登攀の気分で」

というスタイルを講習すべく、残置無視が主体です。

何も無い壁を、自分でルートを切り拓く。

それが、また楽しい。
一方で、今回のガマルートではボルトを利用しています。

「それじゃあ、初登攀の気分じゃないのでは?」

という疑問が沸く人もいるかと思います。
今回のルートの場合、

「地上から頂上までを、フリーで抜けた!」という達成感を軸に設定されたルート

って考えると、スッキリです。
「初登攀の気分で」(残置無視)

 →冒険的な志向

「ボルトありでも、オールフリーで」

 →スポーツ的な志向

って感じです。
どのルートが、どんな志向のものなのかは、ちょっと経験を積むごとに分かって来ます。
ただ、人間同様に岩もなかなか割り切れないもんです。


なるべく、残置ゼロのルートに近づけたいんだけど、

「このセクションだけは、ボルト打たないと危なすぎるから」

ということで、最小限のボルトでフリーマルチにしたりします。


こうやって、なるべく素のままの自然を登る。
これが、“ミニマムボルト”って考え方です。
小川山、ミズガキあたりだと、こういった考え方のルートが色濃く出ています。

なので、簡単なセクションだったらランナウトしていたり、ナチュプロが効くセクションではボルトが無かったり。
それが、そのルートが単なるスポーツではなく、クライミングの思想面も語る教材になっているように思うんです。

だから、それを味わって登ってもらえればベストかなぁと。

そして、可能なら

「この残置は、不要でしょ」
と思ったら、使わずにスルーして、より一層“素のままの自然”に近づいてはいかがでしょうか?
残念ながら、ガマルートは他の小川山のルートと比べれば、ボルトなどの残置は多すぎです。
(後から、誰かが増やしちゃったのかも?)

でも、残置無視と同様。
意識を持って登れば、自然との対峙が一層深まるように思えますよ。
完全無視じゃない分、目標にしにくい・・・
というスポーツ的な気持ちは、僕もあります。

だから、最初は“迷ったら使う”ぐらいでも、構わないとは思いますよ。

今回、私が感じたのは、
「そういう気持ちを持って欲しいな。」

というだけのことです。
具体的な講習内容
・ミニマム残置利用
・難しいセクションの前でピッチを切る
・安定したテラスでも、セルフビレイを取る理由
・ヌンチャクの長さ調整と、ロープの流れ

などなど、気付いた点を指摘して行きました。
KSさんは、カム類などでのビレイポイントの作り方を、一度じっくり講習したいですね。

まだ、三ツ峠は暑いかなぁ。

2013年7月25日木曜日

富士山から帰宅

先ほど、富士山から帰宅いたしました。
結局、3週間ほど家には帰れませんでした(笑)。

ようやく、明日から当塾の講習も再開です。
現在、ここ1週間で溜まってしまったメールを順々に処理しております。

連絡が遅くなった上に、手短な用件だけのメールになってしまったり、申し訳ありません。

また、日曜のクラックリード講習が2名キャンセルがありまして、現在空きがある状態です。
もし、希望の方が居れば、連絡お願いいたします。

ちなみに・・・
富士山そのものは、これから一ヶ月いよいよピークの混雑を迎えようとしています。
ガイド仲間の皆さん、引き続き頑張ってください!

2013年7月5日金曜日

落ちないクライミング

7月4日(金)の夜は、ムーヴLv.0。

当塾講習生が、ものすごく多い山岳会の3人。
(女性FIさん、男性MGさん、男性KTさん)
いつも、お世話になっております。

加えて、クライミング1年ぶりという、女性MDさん。
(大学の先輩でもある)
私が大学生の頃、先輩からは、
「沢では、落ちない登りが大事だ」

と言われたもんです。

ジムなどのスポーツクライミングが、落ちるまで頑張るのを前提にしているのの裏返し。


でも、“落ちないクライミング”って何?

「絶対、落ちないよ。」
と言いながら、手足をちょっとプルプル登っている人もいるので、自己申告も怪しいものです。
個人的には、5.12以上を登る人が、5.9とかで丁寧にアップする感じが、

「最も、落ちにくいクライミングの姿」
だと思うんです。

クライミング上達のポイント

“丁寧さ&思い切り”

のうち、丁寧さだけを追求したものが、低グレードで落ちにくいクライミングではないでしょうか?


ジムや岩場で見てくださいよ。
これ以上、「落ちないクライミング」を言葉で補足すると、混乱するだけでしょうから。
で、実際にリードすると、

「いつ落ちても不思議じゃない人」
というのは、作戦が立てにくくて仕方がない。

基本的に、落ちそうなムーヴの直前にクリップして、
「さぁ、今なら落ちても大丈夫!」

と思って頑張るのですから。

まして、マルチピッチでは、自分が落ちそうだと思うときにプロテクションを取ります。
だから、落ちそうもなく登れるグレードが高い人ほど、作戦の自由度は大きいんです。


クライミングのグレードを短期間で上げるのは、練習量や生活習慣などによるフィジカル&体のキレが大きいので、講習では少ししかお手伝いできません。
(練習方法を間違っている初心者には、大変有効ですが。)

その一方で、丁寧なクライミングは、単純な技術が大きいんで講習しやすいと思っています。


具体的な講習内容
・カラビナの持ち方
・トップロープのビレイ(スライド、持ち替え)
・一手一手、レストして登る練習
・ネコ足(爪先で握る感覚、少し反動を付ける足移動、ネジネジずらして最適な場所にする方法)
・肩の脱力(特に、癖のあったKTさんには詳しく)
・姿勢(MDさん)

山岳会チームの3人は、これでリード講習も参加O.K.ですね。

2013年7月4日木曜日

復活

7月3日(水)は、湯川にてクラックリード講習。
女性TZさん、女性MJさん、高崎の女性HMさん、新規の男性NMGさんの4名。
<みんなで、アップがてらジャミング練習>

今回、特筆すべきは、TZさんの復活。

昨年末から、TZさんはずっと不調でした。
11月に二子山中央稜を、リードで完登したまでは良かった・・・。
<フィンガージャムの練習>

その後、年末から忙しくて登れなくなり。
リハビリのつもりが、ジムで肩を痛め。

ジムの5.8すらも、トップロープでおっかなビックリ。

「5.10aなんて、二度と登れないんじゃないか」
という位の不調が、約半年。

※そんな状態で、
・冬の阿弥陀北稜での講習
・GWの大貧民ルートを講習生仲間とチャレンジ

やらをこなしている訳ですが(笑)
<似ている2人>

それが、ここ1ヶ月くらいで、急激に復調。

最近は、肩の痛みも和らぎ、ジムの5.10aくらいまでは再び登れるようになって来ました。
<デゲンナーのトライ!>

そして、本日は

デゲンナー(5.8)を、R.P.!

実際、このルート。
TZさんは何度かリードしておりますが、肩を怪我する以前でも、完登しておりませんでした。
サイズ自体は女性向きの、ハンド~シンハンド。

ただ、スタンスが細かく、ジャミングやカムセットに体を安定させる体力を要します。
苦手な女性も多そう。
<完登!>

これで、完全復活ですね。
以前より、カムセットやロープワークが成長した分だけ、総合力は上でしょう。

あとは、再び少しずつ成長して行くだけですね。
具体的な講習内容
・テーピングの仕方(HMさん、NMGさん)
・ハンドジャム、フットジャム(HMさん、NMGさん)
・姿勢
・フィンガージャム
・地上でのカムセット練習
・疑似リード(TZさん、MJさん、NMGさん)
・実践リードトライ(TZさん)
<初めての疑似リードに、大苦戦するMJさん>

MJさん:
カムセットはセンスが良さそうなんで、クラック自体の習得は早そうですね。
ただ、ジムで最高5.10bくらいなんで、仮免許からが長い道のりにならないか心配されます。

特に、夏は5.7以下のルートが少ないので、5.8がオンサイト出来るか出来ないかくらいでないと厳しい。

HMさん:
とにかく、最後のトライが素晴らしかったです。
惜しくも完登は逃しましたが、「クライミング大好き!」と言わんばかりの粘りのトライでした。

あんなトライを繰り返せば、強くなれますね。

NMGさん:
スポートルートのR.P.グレード5.11cは、伊達じゃないですね。
登りも、速いし丁寧。

ジャミングに慣れたら、すぐに5.9くらいはオンサイト出来るようになるでしょう。

2013年7月3日水曜日

9月の予約受付

明後日、7月5日(金)から9月分の予約受付を開始いたします。

1点だけ、変更点。

マルチピッチリード講習の参加条件を、

「5.8のクラックを、リード出来ること」
から
「5.8のクラックを、3本以上オンサイトしたことがあること」
に変更いたします。


理由は、その位のクライミング能力が、マルチピッチリード講習の卒業には最低必要だと感じたことです。

ただし、すでに予約している方、過去に受講している方は、継続的に受講可能です。

移行につき、マルチピッチリードが遠のいて少しガッカリされる方もいらっしゃるかと思います。
御迷惑となりますが、何卒よろしくお願いします。

2013年7月2日火曜日

リボルト

7月1日(月)は、JFAの知り合いがリボルトするっていうのを聞いて、見学&多少の手伝い。
某岩場にて。
「岩場のボルトは、誰が打つの?」
っていう質問は、よくあります。

基本的には、
「ここを、登りたい!」

と思った人が打つものです。

(クライミング界の重鎮Mさん)
ルールとか、管理者がいる訳ではありません。

ただ、モラルとして

①自分以外の人が登ることを前提として、良いルート(良いライン)を引くように努力する

②地権者などがいる場合は、その岩場ローカルの人に確認したり、揉め事にならないように注意する

③なるべく、丈夫で長持ちなボルトを使う

くらいの常識がある程度。

<ケミカルを施工したあと>
ただ、開拓者が打ったボルト全てを管理するのは難しく、失敗作が放置されていたり、ボルトの老朽化も放置されます。

そこで、JFA(日本フリークライミング協会)などが、順々にヤバいエリアを回って、ボルトを打ち替えたりしています。

<クライミング界随一の情報屋さん>
ここ某岩場も、オールアンカー、アルミハンガーなどは当たり前。
終了点は、アイボルト交じりという、かなりヤバめのエリアです。

しかも、施工失敗、サビサビ、などのボルトも多く、実は落ちちゃいけないエリアなんじゃないかと囁かれておりました。

(今どきは、ケミカルとグージョンが、安全基準)

<チェーンを、丁度良い長さに切る>
作業員と化した2人の話を聞いて、
「やっぱり、そんな感じなんですねー。」

と感心して回った一日でした。


人気ルートでも、相変わらずのボルトのルートも多いです。
気を付けてトライしましょう。

「キノコと同じで、ヤバいのだけを覚えれば良い。」(by 知人)

富士山ガイドの研修

6月29日(土)、30日(日)は、富士山ガイドの研修。
今年は、7月6日(土)から25日(木)まで、行って参ります。
世界文化遺産に登録ということもあり、我々ガイドもかなり責任を感じております。

テレビなどの、メディア注目度も高くなります。
これまで以上に、ブログに富士山関係のことを軽々しく書けなくなって来ました。
例年以上の忙しさで、頑張るのみ。

期間中は、メールの返信も滞るかもしれません。
今週中に、なるべく用事を片付けてしまわねばなりませんね。

石田登山塾で始めた人、経験者で確認に来た人

6月28日(金)の夜は、リード講習1回目。
常連夫婦のKIさん、新規の男性OTさん、女性SYさんのペア。
KIさん夫妻は、当塾でクライミングを始めた方々。
いまのところ、山もやりません。

ムーヴLv.0を、何度か受けていて、
「リード受けても良いですよ。」

と、言われて始めた方々。
まだまだ、岩場も山も知らずに、初々しいばかり。


対するOTさん、SYさんは、岩場にも通って、ジムでは5.11aくらいは登る経験者。

「基礎から習ってみたくて」
というパターン。
もちろん、経験者の方が
「なるほど!」
「その方が効率的!」

の連続で、覚えは良いです。
基本は、優等生です。

でも、たまに
「うーん、今さら手癖を矯正するのは難しいなぁ。」

ってこともあります。

そういう時は、最初から講習を受けたKIさんみたいな人が、得をしますね。

具体的な講習内容
・ダブルチェック(OTさん、SYさん)
・トップロープのビレイを確認
・エイトノットの注意点、効率的な結び方
・ATCを落とさない操作方法
・クリップ練習

クライミングを楽しんで!

6月28日(金)の昼は、ムーヴLv.0。
常連女性ODさん、SMさんの2名。
講習では、ひたすら同じルートを登ってもらいます。

ジムで一番易しいルート(5.6~5.8)くらい。

そこで、ムーヴの基礎を講習したり、リードやビレイを講習したり。

その意図は、

・余裕があるルートだからこそ、テクニックを意識できる
・20回連続でも登れるくらいだからこそ、反復練習に向いている

それ以上に難しいルートは、基本的に自分でトライしてください。
ただ、ODさんからは
「難しいルートのトライの仕方が、良くわからない」

SMさんからは
「(そもそも)自分で来たときに、講習でやったルートより難しいものは、やる気になれない」

というリクエスト。

本日は2人にとって、本気ルートを中心に講習しております。

100回くらい言ってますが・・・

「個別のテクニックは、講習&反復練習で効率的に身に付きます。」
「本気トライは、講習でなくても、友達同士のセッションでも、十分に効果はあります。」

とはいえ、2人の言うことも理解できないこともなく・・・。

本当に講習すべき本質は、
「自分1人や友達同士でも、楽しくクライミングできるようにすること」

なんでしょうけどね。

教えるのは、難しい内容です。
仲間、が一番ですが。


具体的な講習内容
・リハーサルして、ムーヴを固める(核心部は、足順も正確に)(ODさん)
・レストポイントで、作戦を練り直す(ODさん)
・ネコ足(SMさん)
・爪先を回転させるときに、ゆっくりやる(SMさん)
・反動ムーヴ(SMさん)
・姿勢(SMさん)