6月分の予約受付は、4月4日(金)の21時スタートです。
よろしくお願いします。
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「綺麗」、「カッコいい」、などなど。
クライミングにおいて、「美しい」に類する言葉は、ちょくちょく口にするのではないかと思います。
主観が大きな部分を占めるので、「美しいムーヴ」、「美しいライン」と言っても、かなり評価が分かれます。
これに関して、僕なりに思うところを書いてみます。
<城ヶ崎>
●美しいライン
ボルダーからアルパインまで、古今東西され尽くした議論だと思います。
①合理的なライン
スタートしたらゴールまで自然に導かれる状態です。
つまり、「迂回ラインの方が本当は易しいのだが、それはナシで!」といった限定っぽさが無いことです。
ボルダーで「カンテなし」、「カンテの左側に出るのはダメ」、「リップはホールドとして使って良いけど、途中でマントルしたらダメ」、ぐらいはまだ分かりやすい方で、「ボルダーならば許容できるか?」と思う課題も多いです。
(僕は、本当はこれも好きではありません。このレベルの課題ならトライすることも多いですが、ムーヴを探っている間中ずっと多少のストレスは感じています。)
酷いのになると、「カンテはありだけど、カンテの奥のガバはダメ」、「このスタンスは禁止」というものまであります。
この点では、リードのクラックルートはムーヴだけでなくプロテクションの都合からも合理的なラインを突いているので、ほとんどのルートが最低要件を満たしています。
②見た目のかっこよさ
これは、めちゃくちゃ主観に基づくなと思っています。
僕は、凹角・カンテ・ワイドクラックみたいな、大きな形状を見ると「すごいの、あった。」と思いますが、人によってはボルトが打たれていなければラインとは分からないようなフェースにこそ「かっこいい・・・。」と吸い込まれていきます。
僕がオブザベでラインと判別できるものを好むのに対して、その友人は「こんな弱点の無さそうなフェースにラインが引けるなんて素晴らしい・・・」と畏敬の念を抱いているのかもしれません。
沢登りだと、水線から離れるほどボロ壁や草付きっぽくなるケースが多く、大高巻きなんかすると沢床すら見えないため「水線に近い方が美しい」という感覚があります。
一方で、クライミングや泳ぎを嫌う沢登り愛好家からは、「わざわざ大変なラインは、行かんで良い。」という反論もあります。たしかに、高巻きも立派な技術ですしね。
③ムーヴの面白さ
これも、めちゃくちゃ主観に基づくと思っています。
僕は、ヒールフックとかワイドムーヴみたいな工夫要素満載のムーヴの可能性を感じると「良いラインだな。」と思います。
一方、「カチで細かいスタンスで傾斜真っ向勝負!」みたいなのが核心の方が、「良いラインだ!」と感じる人もいます。
<最後の動画の課題は、実はインバージョンでスタートすると易しくなる>
●美しいムーヴ
①ムーヴの完成度
スタティックならビタっと静止する感じ、デッドなら反動の付け方、足置き、フォーム、などなど。
完成度が高いムーヴは、割と多くの人を納得させる力があると思います。
参考)
ムーヴ講習で行っているような練習は、結果として易しいグレードを美しく登れるように導いていると思っています。
ただし、美しさは合理性(省エネ・身体のコントロール・故障しにくさ、など)を追求した結果であって、「美しさを目指す」というのは変だなと思っています。
一方、「合理性のある動き」≒「美しい動き」(2つが、かなり近いもの)という感覚に自信が付いてくれば、ある程度は基礎練習の指標になるかと思います。
②ムーヴの派手さVS小技
足が切れるか際どいデッドポイントで、足ブラに耐える姿がカッコよく見えることもあります。
一方で、足を残した技術(場合によっては筋力)がカッコよく見えるのもあります。
真っ向勝負のムーヴもカッコいいですが、「そんな方法アリ?」と思うような足先行・軟体動物のようなムーヴで悪いホールドを処理するのをカッコいいと思う人もいます。
要するに、派手さ・潔さ・地味な技術・体幹・賢さ、といったファクターを見て、どれを美しいと思うかは人それぞれだと思います。
参考)
ときどき「そんなムーヴ(例えば足先行や軟体動物で悪いホールドを処理)は男らしくないから、真っ向勝負しなよ。」という意見の人がいます。
これには、「その方が強くなるよ。」という意味が暗に込められている場合も多く、その人なりの善意があるために反論しづらいと感じる場面が多いです。
「スルーするのも何だか感じ悪いし、かと言って真っ向勝負でやるよりこっちでトライしたいんだけど・・・」という微妙な空気に陥るためです。
私は、強くなるための練習方法はそれはそれで考えるとして、本気トライ中は「登れればどんなムーヴでもオーケー!」という方がアドレナリンも出るし、頭も使うので良いように思っています。
<野猿谷に向かう中、ツララあり>
●カッコいいトライ
これは、トライの完成度に尽きるように思います。
O.S.トライであれば、オブザベ、易しいセクションのスムーズさ、レスト中の作戦、粘り、土壇場の頑張り、などなど。
R.P.トライであれば、トライ前のイメトレ、ムーヴの再現性、丁寧さと思い切りの使い分け、などなど。
当然、落ちても大丈夫な場面で、「てんしょーん!」などとギブアップするのは、カッコよくはないです。
今回の話の中では珍しく、人によって評価が割れにくいのが嬉しいところです。
まぁ、O.S.トライでは全然勝負にならなかったのに、2トライ目は割と余裕を持ってR.P.みたいなケースも頻繁にあり、1日のクライミングの中で一度も良いトライが出来ないということも頻繁にあります。
<野猿谷では「見ざる」(4級)という宿題を登れた。グレードが低くても課題名があると、便利ですね。>
●美しいスタイル
相対的に上位のスタイル、という概念はあります。
グラウンドアップ(下から攻める)方が良い、事前情報は少ない方が良い、自力解決が良い、ギアは少ない方が良い、などの評価軸があります。
相対的に上位のスタイルが美しいか?カッコいいか?と言われると、手放しでそうとも言いづらい、というのが難しいところです。
例えば、いくつかの観点においてオンサイトフリーソロが最上位なのですが、それを美しいと思うかどうかは、やっぱり人によると思います。
オンサイトはともかく、フリーソロが厄介です。
フリーソロを理想だと考える人、そもそも行うのはダメだと思う人、入念に準備してトレーニングして自分なりの安全基準を満たす範囲でならやっても良いと思う人、色々います。
岩場やアイスで、稀にフリーソロをしている人を見かけますし、ハイボルダーでも実質フリーソロだと思う場面もあります。
これを、めちゃくちゃ安定して登っているクライマーが居たら、あなたはどう感じるでしょうか?
反対に、自分より技術不足な人がプルプルしながら登っていたら、あなたはどう感じるでしょうか?
上位のスタイルを意識した方が良いのですが、フリーソロしている人を「カッコいい」とは言いづらい気持ちになるかと思います。
つまり、スタイルの相対的上下は説明しやすいものの、美しさは安全性・潔さ・本人の姿勢などの総合評価になるので、結局は主観によるという毎度の結論に達ます。
また、自分にとって難しい課題に対してスタイルの妥協を行うのは、どうでしょうか?
特に、「〇〇すべきだ!」と主張していた人が、課題の完登のために妥協したとなると、有言不実行が否めないので、ダサいと見る向きが多いでしょう。
一方で、ルートの難易度によってスタイルを使い分け、色々なルートに対して本気で取り組めるようにする、という考え方もあります。
例えば、この課題は一撃に拘る、この課題は「バラし禁止」で毎回下からトライする、といったマイルールを課すことで、本気トライでトレーニングできるグレード幅を広げる方法もあります。
こういう人は、私たちにカッコいいトライを頻繁に見せてくれるでしょう。
つまり、スタイルの妥協1つとっても、何をどういう意図で行ったのかまで読み取らないと、「カッコいい」かも分かりません。
参考)
登山でプロテクションの悪いピッチを切り抜けていく場面、ボルトルートで1本目までが相当悪いルート、などと、フリーソロはしない人でも似たような場面には頻繁に遭遇するはずです。
「美しいか?」、「カッコいいか?」どうかは脇に置いても、易しいフリーソロ状態を安定して登る練習はした方が良いと思います。
<城ヶ崎、ハンド〜フィストのクラック、O.S.トライ>
おまけ
●カッコいいクライマーここは、私の完全な主観を書きます。
とりあえず、ジムでも岩場でも登山でも、自分より遥かに強ければ、大抵の人はカッコいいです。
真面目にトレーニングした成果であることが尊敬に値するし、前述の美しさ・カッコよさを相当なレベルで実践している人が比較的多い、という印象です。
また、ロクスノのトップクライマーのインタビューとか、山人生のインタビューを見ると、生き方レベルで感嘆させられます。
皆さん、本当に流石ですよねー。
<ラインの合理性はない(本当は左から逃げられる)ので、純粋にムーヴ練習として登ったもの。トライとしては結構良かったかな?マットに足が当たって減速したのが、何度見ても残念だが、トライに影響なしと判断して登り切った。>