2016年7月11日月曜日

マルチピッチでも余裕を

7月10日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性STさん、男性ITさんのペア。
<1P目>

マルチピッチで、ショートルート並みのピッチを嫌がる人が結構多いです。

クラックで、5.8をギリギリオンサイトできるくらいの人だったら、5.7以上に見えるピッチは避けたがるというイメージです。
<ハンギングビレイ>

とはいえ、マルチピッチでもプロテクションばっちりというピッチであれば、本気トライは可能です。
数ピッチのマルチだったら、通ってR.P.するというクライマーだって少なくありません。

それは、本チャンでも、沢でも、同じです。
ただ、何となく嫌だという気持ちも分かります。
<スラブのトラバース>

自分の過去を振り返ると

①自分が初心者過ぎて、マルチピッチのシステムに踊らされている感じ。
②高度感にビビる。特に、2P目以降。
③時間管理、リスク管理が、本気トライが入ることで難しくなる。
④プロテクションが悪いピッチが多く、落ちないこと重視のクライミングに慣れて来ているので、メンタルの切り替えが難しい。

などなど。
<2P目>

他に、講習生を見ていると

⑤そもそも、岩場でのショートルートの本気トライに慣れていない
という方も多いようです。
<3点流動+バックアップ STさん作>

2人も例外ではなく、ショートルート経験は浅いと思います。

それでも、ここ最近は難しいピッチにちょっと慣れて来たように見えます。
<3P目のハンドクラック>

本日も、テンション掛け掛け突破したピッチあり、それをフォローするのにエイド状態になったり。

その後の話し合いを見ても、何ヶ月か前より余裕が感じられます。
実際、そこから2ピッチ先に進みましたし。
懸垂下降も、焦らずできました。
<ゼロピンは足元なんで、気を付けて>

ここで言う余裕も、楽勝という意味とは違いますね。
実際、苦労しまくったわけで。

それでもメンタル崩壊しない、という自信があれば、また本気トライできますからね。
<足場に余裕のあるビレイ点>

ところで、STさんはショートルート経験の重要性を、痛感してくれたようでした。

今回の余裕云々の話ではなく、岩を見る目がないと実感したみたいです。
彼女は、週末は山で、平日ジムというライフスタイルなので、これまで岩場経験は少なめでした。

これからですね。
<屋根岩>

<4P目>

<本日は、ここまで>

<良い下降路を見つけました>

余裕のある登り

7月9日(土)は、ムーヴLv.0。
雨中止で、ブログでロープワークの募集をしてみたら、ムーヴ講習の申し込みがありました。

男性KBさん。
リードに必要なのは余裕のある登りだと、よく言われます。

この余裕、
「楽勝で登れる。」
というのとは意味が違います。

だって、本気トライならトップクライマーだって落ちるのは当たり前なんで。
ただ、上手いクライマーは何となく余裕がありそうに見えるものです。

・考える余裕
・多少時間を掛けられる安定感

と言えば、ちょっとニュアンスが近いでしょうか。

※スピードこそ重要な課題というのもあるので、例外はある。
本日、KBさんに一手一手レストする練習をしてもらっていたときのこと。

70度、80度のスラブ気味の傾斜では、じっくり考えながら登ることが出来ていました。
それが、90度の垂壁になると、パンプしてしまいそうなこともあって、バタバタ気味に。
本人も「考える余裕がないです。」と。

だいぶ良い感じです。
目標となるニュアンスが見えて来ました!

傍から見ればバタバタ登りなのに、本人は「5.8は楽勝すぎて、考える必要なんて無いでしょ。」というニュアンスのことを言う人を教える方が、10倍大変ですよ。


具体的な講習内容
・一手一手レストする練習
・身体の向き
・ホールドの方向を意識する
・大きなスタンスの中で、特に置きやすい場所に狙いを付ける
・ツイスト
・身体の側面にあるスタンスを雑に置く癖
などなど

2016年7月10日日曜日

量か質か

7月8日(金)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性OMさん、女性IUさん、復習参加の女性KIさん。
2010年ごろと比較しても、講習生の層は大分変って来たなぁと感じています。

現在は、月に1日or2日程度の受講で、1~2年通ってくださっている方が一番メインで来た下さっている印象があります。
1年~2年でマルチ講習を受けている方もいれば、岩場リードという方もおります。
ペースは、それぞれです。

私のイメージする講習の健全な姿で、目標にしてきたので、ちょっと達成できて嬉しいです。

※1~2ヶ月の間だけ、集中して何日も受けるというのを否定している訳ではありません。むしろ、それが有効なときもありますし、過去に上手くなった方にもそういう利用方法も多かったです。
講習と自主練習のバランスが自立したクライマーを育てる、という私の考え方の話です。
OMさんが、月1回程度をとても上手く利用しているような気がしていたので、帰りがけに聞いてみました。
①覚えたことを反芻する時間が欲しいので、そもそも間を空けたい。

講習中は、割とイッパイイッパイで頑張っているため、反芻する余裕までは無い。
②予習は、本の該当ページを読み返すくらい。

どの本を読んでも、書いてあるのは似たようなこと。しかし、1回ごとに体験してみて「あー、そういう話か。」と分かることが多い。
③ルートの予習は、なるべくしない。

例えば、デゲンナーのカム番手とか、ネットで調べれば幾らでも情報収集できそう。
ただ、初見でやってみて反省した方が、講習効果が上がりそうな気がする、とのこと。
本人が気にしているのは、この程度でした。
でも、割と順調に講習内容が進んでいる方だと思います。

特別なトレーニングを積んでいる訳でもなく、普通に平日ジムで登って、岩場日数も多くはありません。

クライマーにとって、練習量には限界があるので、質こそが重要なのではないかと思うのですよ。
特に、数やれば上達するような初心者やら、運動能力高そうな子どもでない限り。

質より量作戦は、初心者には効果的だとよく聞きますし、たしかにそんな気がします。
ただ、量より質作戦は、伸び悩みが少なくて良いみたいです。
<フォーサイト>

具体的な講習内容
・いつもの流れは割愛
・疑似リード(OMさん、IUさん)
・実践本気トライ
KIさん:フォーサイト(5.10a/b) R.P.。通算3日目ぐらい?

セルフ・ノーテンション症候群

7月7日(木)は、マルチピッチリード講習にて、ミズガキ。
女性HSさん、女性HMさんのペア。
<久々にミズガキで講習>

HMさんは、セルフビレイにテンションを掛けるのが苦手。

外傾テラスでも、頑張って立って、ビレイ点作業してしまう傾向にあります。
<1P目>

岩場リード講習やロープワーク講習、城ヶ崎のクラックリード講習の終了点作業でも、こういった問題は出て来ました。

有名な事故パターンだと、セルフビレイにテンションを掛けていないと、うっかりセルフビレイを外すという件。
<フォロー中>

ショートルートでの結び替え、立木での懸垂、トップロープ回収、何でも同じです。
だから、間違いを減らす意味で、敢えてテンションを掛けておくのは便利なことも多いのです。

(講習用語の“テンションの移行”というのは、もともとセルフにテンションが掛かっているから移行と呼んでいるのです。)

分かっちゃいるけど、セルフビレイにぶら下がるのが怖い、という心理・・・。
<荷上げを交えつつ>

マルチの場合、ロープをセルフビレイに乗せて行く方法が有名です。
特に、足場が狭かったり、外傾していたりすると、便利です。

で、テンション掛けていないと、これも難易度が上がります。
<2P目>

また、セルフにテンションを掛けることによって、ビレイ点(特にルベルソなどのビレイ器)に正対して作業できるものですが、これも難しくなります。
<3P目>

こういうメリットデメリットは、地上練習レベルでは分かっていると思います。

本日も、2P目のビレイ点で、この件に遭遇。
本人も「私は、テンションを掛けたがらないんですね。」と痛く感じていました。

でも、4P目のビレイ点では、またしてもノーテンションでの作業でした(笑)。
<フィストクラック>

もはや、ここまで来ると習慣。

ちょっとずつ自覚して、テンション掛けた方が便利なことが多いということを、身体に覚えさせるしかないでしょう。
<4P目>

この件に限らず、マルチ講習をやると、自分の弱点がよくよく分かるようです。

自分の人間性を知る、という方も多いです。
心のダメージと折り合いをつけながら、ちょっとずつ進化して頂ければ、何よりです。
<途中でバテて、リード交代>

話は変わりますが、2人はプロテクションさえ取れれば、マルチでもショートルート並みに安心して頑張る、という能力は高いと感じました。

本日も、難しめのピッチを十分に楽しんでいたのは、私としては1つの安心材料です。

何度もテンション掛けたり、リード交代したりしながら、どうにかムーヴ解決して楽しんでいました。
なぜか、マルチだと異常に怖がる人も多いんですよねー。
<再度、HMさんにリード交代>

<空は青い>

<フォローのHSさん>

<なんとフォローは、ノーテン>

<ここまでで降りることにしましたが、御満悦の様子>

2016年7月9日土曜日

人気エリアでジムっぽく

7月6日(水)は、自分のクライミングにて、カサメリ沢。
N瀬くん率いる、岐阜、松本、佐久などの中部チームに混ぜてもらって。
僕も含めて9名の大所帯でした。
<カサメリ沢がリード初心者向きかは疑問だが、自分的には楽しめる岩場で助かる>

こういう日は、グレードが揃ってて足場の良い超人気エリアに行くしかないですね。
5.9くらいから5.12前半くらいまでが揃った、コセロックで登ることに。

幸い、平日なのが救い。
<モツランド>

ほとんど初めて会う方々でしたが、楽しく登ることは出来ました。

5.9~5.12前半までが充実したエリアって、ありがたいですねー。
そして、ボルトルート中心だから、順番の回転が早くてジムっぽい。

ときどき、こんな日も楽しいです。
純粋に、ムーヴ練習と和気あいあい感を味わいました。
他にも、知り合いが何パーティも居たので、それはそれはジムっぽいこと。

ギャラクシー(5.12b)も宿題として残ったので、そのうち機会があれば。
<N瀬くんも医者の娘をトライ>

 具体的に登ったルート
・猫の手(5.10b) 再登(アップ)
・ワニワニワニ(5.11b) 再登(アップ)
・ネコのヒゲ(5.10b) 再登(アップ)
・青竜(5.10b) オンサイト(アップがてら、ちょっと興味もあり)
・医者の娘(5.12a) カンテありver,でトライ。3トライでR.P.。2トライとも、落ちたのは漁師の娘の核心部だった。
・コセロック・クラック(5.9、NP) オンサイト。気分転換がてら、トップロープ張りに。
・ギャラクシー(5.12b) 2トライして、ムーヴは何となく分解。ただ、部分的に怪しいパートあり。 
・なべおさみ(5.11a) オンサイト(トレーニングがてら)
・コセロック・クラックのトップロープ回収
<同じく、R.P.>

2016年7月8日金曜日

変更

たびたび失礼します。
明日は、ムーヴレベル0を行うことにしました。

昼12時から6時間コースの予定です。御都合が合えば、ギリギリでもお問い合わせください。

ロープワーク講習

明日の土曜日、希望者がいればロープワーク講習をやります。現在0名です。
出先からなので、とりあえずblogにのみ、お知らせです。

2016年7月5日火曜日

雨の掃除

7月4日(月)は、一人で湯川。
講習中に整備して、かえってイマイチになったところがあったので気になって仕方なく。

土日で、富士山ガイドの研修で、久々に富士山に登ったところ、疲労困憊。
体力以外にも、準備不足を痛感です。

山で濡れた装備の処理、パッキング入れ替えなども、イチイチ動きが鈍くなって、昼前に岩場到着。
<気になっていた、大和屋(5.7)>

2時間も作業していると、雨・・・。

カッパを着て、長靴に履き替え、防具を固めて続行です。
今井先生も、長門先生も、「雨の日こそ掃除チャンス!」みたいなことを言っていたのですが、ついにやらざるを得ないときが来ました。

何がチャンスかって言うと、
①どうせ、自分のクライミングが出来ない
②掃除した傍から、泥が流れてくれる
らしいです。

明らかに大変そうなんですが、先生方が常々おっしゃることなら、思ったよりマシなのかと興味はありました。
<草餅もついでに>

結論としては、やっぱり最悪でした!(笑)

①ロープが、かつてないほどドロドロになって、グリグリでの下降が困難。(思いっきり解除すると、急激に落ちるので、怖い。バックアップは取っているが。)
②カラビナ(特に環付き)に泥が詰まって、動きが渋くなり、作業スピードが落ちる
③土が泥になって粘り気を持ち、ブラッシングしても、泥を塗りたくっているような気分
④岩が黒くなって、どこが汚れているか判別が難しい
⑤湿ったカッパでハンギング作業は、腰回りが痒い(なぜ?)
⑥湯川は雨に強いこともあって、泥が掃除した傍から流れる、というほどの水量は期待薄い(小さなハング下なので、染みだし程度)
⑦長靴のフリクションが悪くて、ユマグリ、掃除の効率が落ちる

ちなみに、疲労度も普段の3割増し、装備の片づけの大変さは沢登りに相当。
そして、本日は鍬も壊れました。
もう、ボロボロっす!

ノウハウもありそうなんで、単なる根性の差だけではないかもしれませんが。
<徐々に、小雨が始まってきた>

それにしても、先生方はクライミング好きすぎます!

雨の日はジムが好きだな、と思いました。

2016年7月1日金曜日

ムーヴLv.1

6月30日(木)は、1コマ目がリード3回目で、女性NMさん、女性MMさん。
2コマ目が、ムーヴLv.1で、上の2人に加えて女性Sさん。
ムーヴ講習には、2つクラスがあります。

Lv.0は、誰でも参加可能。ジムリード講習には、まだ早いという方は、必須のクラス。
リードを覚える上での、安定感を中心に講習。

Lv.1は、ジムリード講習を卒業した人が対象。
半分の時間で、その人の癖を指摘。
半分の時間で、リードの本気トライ&反省会。
こうやってクラス分けしているのは、講習内容が違うというよりも、リードでの本気トライをさせるか否かです。

ムーヴの癖を指摘するのは個人指導っぽくなるので、どちらのクラスでも同じように行います。
それで、ちょっとずつレストが上手くなったり、5.8~5.10aくらいが滑らかに登れるようになったりを目指す訳です。
ムーヴLv.1は、必修科目ではありません。

ただ、外での講習が進むに従って、
「やっぱり、もうちょっと登れないと。それも、ボルダー能力よりも、リード中の安定感みたいなものが欲しいな。」
と思った方には、ときどき受けて欲しい内容です。
グレードには直結しませんが、ベースが広がると思います。


具体的な講習内容
リード3回目:
・クリップの安定したポジションを考える
・クリップ先行した場合、しばらくトップロープ状態になること
・しゃがみビレイ、立ちビレイ
・リードで落ちる練習&止める練習
2人は、ジムリード講習を卒業としました。

ムーヴLv.1:
・片手主体のバランスを意識する(Sさん)
・ホールド、スタンスから目線をすぐに切らずに、よく見る(MMさん)
・猫背と胸を張った姿勢を、使い分ける(NMさん)
・実践本気トライ
Sさん:垂壁5.10a 再登。Zクリップに代表されるような余裕のなさが目立つ。ただ、クリップ態勢自体は、以前より危うさが減って来た。

NMさん:垂壁5.10b オンサイト。切っている足が、他のホールドに当たって身体の回転を止めているのが反則気味では?ルート下部でのランナウトは、リスクが高い。よくよく粘って完登したことは、素晴らしい!

MMさん:垂壁5.10b フラッシュ。トップロープ状態(安全)でレスト態勢(考える時間あり)なのに、テンションコールしてギブアップしようとしたのは、良くない習慣。「ダメダメ!ガンバ!」と言ってから、持ち直して完登したのは、本人も周りもビックリの良いクライミングでした。