最近、配置替えが行われた、ジャミング・レイバック練習壁。
とにかく素晴らしいのは、程よいフリクションが板クラックよりも皮膚に優しく、微妙な凹凸でジャミングポイントをしっかりと考えさせることでしょう。
いつもながら、ヤマタケさんの工作力に感嘆です。
今回は、中間部がチムニーサイズながら奥行きが浅く、ワイド登りがしにくいです。
課題設定されていないので、自分なりに遊んでみます。
今回の自分ルール:
中間部の浅いチムニーを登る。右のクラックは、無し。
クラックの外側の縁、ホールド上面をスタンスとしての使用、ホールド上面のラップ持ちは、禁止。
登り方①:
レイバック&ニーロック。
ニーロック+下足の補助で、ノーハンドレストも可能です。
小さい人なら、また別のノーハンドレストも可能でしょう。
レイバックからニーロックで正対に復帰するのは、岩場でも頻出パターンです。これが見通せないと、レイバックに入るのが怖いこともあります。
登り方②:
上半身は、アームロック+ガストンor両手ガストン。
浅いグルーヴ登りをイメージして。
浅いオフィズスは時々ありますが、浅いチムニーは珍しいので、岩場ですら珍しいムーヴになりました。
先日、小川山でのボルダリング体験で、講習生の一人から
「出来てしまえば、やったことあるムーヴ、と思うものばかり。」
というコメントがありました。
その日は、小川山でフェース系を中心にやっていたため、「分かっちゃえばジムで体験したことあるムーヴばかり。」というのも納得できます。
なんせ、もともとジムは岩場を模してスタートしていますし、フェースというのはジムのホールドで再現しやすいので、岩場にあるフェースムーヴでジムで再現できないものを探す方が難しいでしょう。
では、岩場のボルダリングがジムと同じかと言えば、そこまでは思えません。
・ムーヴを探す過程
・落ちたらどうなるか、落ちられない場合の敗退ムーヴは確保できそうか?などのリスク管理
の2点があるだけで、だいぶ遊び方は違うように思います。
ただ、初体験で、そこに夢中になるまでには至らないのも理解できます。
(そこにフォーカスしやすいように、講習メニューを組んではいますが、奥深いテーマですしね。)
そこで、即興で楽しんでもらうべく、帰り際にジムには珍しいチムニーのボルダーをご案内しました。
すると、その課題は10級ながら3人とも一撃ならず、全員二撃で大盛り上がり。
さらに、僕が裏から抜けるルーフチムニーのラインを掃除して、そこも遊んでもらいました。
帰りの車中、「岩場でしか体験できないムーヴに惹かれる」という講習生に、ジムでは再現しにくいムーヴについて話しました。
・スラブ(ジムのスラブと、花崗岩のスラブは、かなりコツが違う。もちろん、ジムのスラブも練習になるが。)
・ジャミング(ジムでは、スペースの都合上、ジャミング課題は少ない。)
・オフィズス〜チムニー(奥行きがあった方が使えるテクニックが豊富なため、やはりスペース問題になる。)
・洞窟などの穴抜け(チムニーと同じ)
また、「天井に頭を抑えられるようにようにしてルーフ下の緩傾斜を這うようなムーヴ」とかも再現しにくいでしょう。
上記を踏まえて、岩場に行くときは、以下の取り組みをオススメしています。
・ムーヴ探し、リスク管理(この場合、終了点作業とかではなく、クライミング中の判断力)などの習得こそが、岩場の醍醐味。
・ジムで練習しにくいムーヴ主体の岩場を積極的に選ぶのも、有効なトレーニング方法であり、岩場らしい楽しみ方の1つ。
これは、特にマルチとか本チャンを意識して登りたい人には、強くオススメしたいですね。
トップロープで難しいフェースを触らせてる山岳会の人達をよく見かけますが、目的と方法のミスマッチを痛切に感じてなりません。