2022年6月16日木曜日

リードルートの封印タイミング

どんなにR.P.できなくても諦めず、打ち込み続ける姿はカッコいいという気持ちもあります。
一方で、「果たして打ち込み続けることだけが、上達への道なのか?」という疑念もあります。

ジムでトレーニングも兼ねて「ちょうど良い課題に打ち込みたい。」という話に絞ってみます。
(岩場に関しては、「人生観の違い」みたいな踏み込んだ話になってしまいやすいので。)

いくつかのタイミングを考えます。

①核心ムーヴができない
・1トライ目でできない
・数トライハングドッグしてもできない、
・フレッシュな状態でガバでアプローチして核心部だけを練習してみてもできない
・それを数回繰り返してもできない(まぁ、普通あきらめますかね?)
といったグラデーションはあります。

⇨ムーヴの練習という観点では、ボルダーの方が効率が勝ります。
 ジムでの長時間ハングドッグは難しいし、空いている時間帯などで可能な雰囲気だとしてもボルダーのように地上で体幹をリラックスさせて休憩できるよりは出力が低下していきます。ムーヴを聞いたり、他人の登りを見るのも、チャンスが少ないです。
 「どうしてもボルダーが好きになれない。」、「リードで落ちる練習、ビレイヤーの練習という観点も考えて、困難なムーヴに打ち込む練習を、実験的にやってみたい。」、「怪我などの理由で、ボルダーがほぼ不可能。」といった理由がない限り、一つの大きな目安だと思います。
 
②トップロープ、チョンボクリップ(ルート外のガバを持つなど)に頼らないと、R.P.への道のりが絶望的
「ちょうど良い課題」を登ることによって、得られるものは何か?という問いに繋がると思います。

●リードの基礎(安全管理、岩場や登山への練習という広い視野で)
落ちる態勢、墜落距離の計算を考慮しながら、オンサイトトライやハングドッグする緊張感で得られるものがあります。ビレイヤーも、それによって磨かれます。

●リード技術の目標(登るため)
ムーヴができるルートを、少ない回数で完登できれば上手い。ムーヴができるのに、トライ数が多いほど下手。(同じボルダー能力であれば、リード技術でトライ数が決まるはず、という話。)これを磨けるならば、リードの練習になっていると感じます。

これらの技術習得という点では、「どんな手を使ってでも、どんなに日数をかけてでも、1本最高グレードを登れば良い。」とは限りません。
繰り返しますが、反論として「これはトレーニングではなく、生き甲斐なんだ。」と言われる可能性も、特に岩場では十分にあると思います。

③繋がる気がしない
「核心ムーヴはテンション直後ならできるが、下から繋がらない。」というパターンです。

ボルダーの「できないけれど、打ち込めば可能性を感じるムーヴ」と同じ状況で、最後は嗅覚みたいなものに頼らざるを得ないと思います。

「核心ムーヴは相当ギリギリだけれど、その直前にレストポイントがあるから、R.P.の可能性は十分。」
「核心の1手は、テンション直後でも5分5分の域を出ず。その直前5手も、全くレストできない。合計6手の区間だけを、仮にボルダーとして取り出しても、自分の限界ボルダーグレードにすら感じるので、スタートから繋がる望みは薄い。」
「レスト、クリップに困りすぎて、核心云々じゃなく、とにかく疲れて上まで持たない。(そもそも、このルートに要求される静止能力が足りないので、基礎練習に戻るべき?)」

などといった、総合的な評価にならざるを得ません。


<終わりに>
こうやってまとめると、自分にとっても再発見がありました。
①、②は、まだまだ打ち込めばR.P.の可能性はあるけれど、別トレーニングを優先する判断、という話。
③は、R.P.できるかどうかの判断と、トレーニングとしての判断が、ほぼ一致するパターン。

「とは言え、限界グレードを更新したときの高揚感やモチベーション向上を考えると、ハードプッシュも捨てがたい。」という一般論は分かった上での、トレーニング方法の提案です。

「じゃぁ、今通っているジムは封印ルートばっかりで、もうトライするのは無いじゃん。」と思ったら、そこが工夫のスタート地点のはずです。
ボルダーやっても良いし、基礎の反復練習やっても良いし、フィジカル的なメニューを考えても良いし、と思います。色々な別メニューを練習してみて、次のホールド替え後に、「ちょうど良い課題」で腕試しするのも、一つの方法のはずです。