2023年3月22日水曜日

雪山の1つの楽しみ方

今シーズン、アイスクライミング講習と雪山講習が、結構たくさんあって、私としても本当に充実しました。
雪山は準備や片付けが大変ですが、やはり良いですね。
<3月17日(金)のトマの耳>

TGさんのマンツーマン日程だけでも、非常に雪山らしい楽しみ方を3回できました。
それを御紹介。

①1月 上越 方丈山〜柄沢山
ラッセル&テント泊の講習にて。

ワカンで腰付近までのラッセル。しかも、前日までが地元の人も雪かきが面倒になるレベルの湿雪だったらしく、めちゃくちゃ雪が重いです。

8時間ほど行動して、方丈山頂にて幕営。
縦走の計画でしたが、想定より時間が掛かっている点、翌日午後からの悪天予報を加味して、撤退としました。

もちろん、全くのノートレースなので、スキー場の裏だというのに山に入っている気分は相当なものです。

また、TGさんも
・地形図読みが自分で思った以上に出来ていないこと
・雪崩の入門書などで知っている地形を全く意識できていないこと
・雪深いところでの整地からの幕営、テント内作業
・コースタイムが存在しない山での、行動時間の予想や撤退判断
などなど盛り沢山で、下山後に沸々と喜びを語ってくださいました。

僕自身、下山後2日間はバキバキの筋肉痛になりましたが、味わい深い山行ができました。
②2月 八ヶ岳摩利支天大滝 敗退?

行く前から懸念していたことですが、登山道から入るべき沢を僕が間違えて、1時間半ほどラッセル。まぁ、違うだろうと90%確信して、隣の沢にラッセルしてトラバース。
3時間近くラッセルして、もはや別の講習として満喫していましたが、そこに6mぐらいの氷瀑がありました。
で、ここでアイスのリードを講習して、15時くらいに撤収。

まだ明るいので、さらに隣の沢にトラバースして、本物の摩利支天大滝と対面。
そして、地形図と今回歩いたラインを改めて照合して、帰路に着きました。

TGさんも、
・アプローチで間違うことは非常によくあるので、そういった場合の行動が経験できた喜び
 一、危険が少なそうなら、トラバースするという選択肢
 二、氷瀑など、そこで遊べそうな対象物が出てきたなら、それで練習すれば十分に楽しめるという選択肢
を経験できて、嬉しそうでした。

また、たまたま出てきた6mの氷瀑が、当然アックスやアイゼンでの穴やボコボコも全く存在せず、ツルッとした氷柱らしい氷柱で、その登りにくさに感動していました。
どうやら、これまで講習したエリアが毎週のように誰かが登るエリアだったので、「氷にはボコボコした段差があり、そういった弱点を付くものだ。」という思い込みがあったようなのです。

「アプローチで迷うかもしれないけど、TGさんなら楽しだり、学んだりしてくれそうだから突っ込もう。」
ぐらいのプランでしたが、予想以上に得るものを得ていただけて、私も心から楽しく思えました。
③3月 谷川岳 雪洞泊
1日目が夕方から雨、2日目は一日中雨(気温が低いので、谷川岳の稜線ならギリギリ雪かな?)という天気予報にて、もともとの行き先を変更して谷川岳天神尾根。

雪洞に適した斜面を探すも、今年は雪が少なく、難渋します。
途中に「40度以上で50m以上続くような斜面」が2つ見つかるも、ちょっと雪崩リスクを感じるので、幕営は憚られます。

テントを背負ったまま山頂にいくと、トマノ耳、オキノ耳の間のコルに雪洞に適した雪面発見!
翌日のホワイトアウト気味の天神尾根下山に若干ビビりながらも、ここで雪洞泊をしました。
なんせ、谷川岳の山頂泊ですから、なかなか貴重な体験です。
不慣れも手伝い、5時間かけて完璧に近い雪洞が完成し、楽しく泊まりました。

で、翌日は予想通りの小雪&ガス。
そして、トレースも薄くなって分かりにくい状況です。
ただ、寒くはなかったので、余裕を持って地図読み講習をしながら下山することができました。
場合によっては、降りるだけで僕自身が超本気モードを覚悟していましたが、そこまでの悪条件には至らず一安心。
ときどき視界が悪くなったりして、ピリッとした緊張感を味わっていただくことができました。

TGさんからは、
・2日目が天気が悪すぎない程度に悪くなってくれたお陰で、自分の地図読み能力の低さが認識できて良かった!
という感想。
この3回で、TGさんと、
・想定外の中で山を楽しむ(本人曰く、「上手くいかない時の方が勉強になることも多い。」)
・ノートレースや若干の悪天候に揉まれて自分の山ヂカラと対話する(苦い思いをしたり、バッチリと上手く行って自信を深めたり)

という点が共有できると分かり、とても嬉しく思いました。

こういう共通認識があれば、来シーズンもチャレンジングな講習方法を楽しめそうです!