2014年7月28日月曜日

安全を犠牲にせずに、時間短縮を意識する

7月26日(土)、27日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山&ミズガキ。
女性WNさん、女性MJさん。
<本日は、東京で猛暑日>

マルチピッチリード講習では、準備や登攀には、焦らずに時間をかけてやって欲しいと思っています。

その方が、長い目で見たときに、丁寧な技術になるからです。
<洞窟の中の1ピッチ目で、避暑>

トポ無視にすることが多いので、オブザベーションには十分に時間を掛けて、ラインを読む習慣を重視。

ロープワークも、スピードよりも、セルフビレイが一瞬たりともなくなることが無い基本動作を重視。

クライミングも、思い切りよりも、丁寧な足置きや、安定感を重視。
<登らなかったチムニー>

だから、3~4ピッチ程度のルートに6時間くらい要するのは、講習では日常です。
<ようやく慣れてきたビレイ点作業>

で、今回の2人は、そのあたりの安定感は大分ついてきました。

ビレイ点に到着するたびに、次のピッチに向けてやることも、整理されてきた雰囲気。
<砦岩東門、右の門柱へトップアウト!>

そうなると、次に意識したいのは、スピード・・・。

2人とも、クライミング中に時計を見る習慣がないので、そろそろ改善していきたいところです。
<懸垂下降>

具体的には、こんな感じの戦略。

①終了時間を意識

今回の状況:
アプローチ1時間弱。
うち後半20分が、踏み跡不明瞭。

→暗くなる前(19時過ぎ)には、明瞭な踏み跡に出たい。

→懸垂終了して、取り付きに戻る時間は、18時半がリミット。

→懸垂下降が、仮に2ピッチだとして、17時過ぎにはトップアウト。
(今の2人だと、懸垂2ピッチに1時間くらいは見ておきたい)
<2日目は、日陰を求めてミズガキ>

②各ピッチに掛けられる時間を想定

今回の状況:
3ピッチぐらいと予想

→10時スタートとして、7時間が持ち時間。

→思ったより長かったりすることを考えると、各ピッチ2時間がマックス。

→核心部で、クライミング自体に手間取る可能性も考えると、各ピッチ1時間半で通過して余裕を持ちたい。
<ザックを腰から下げて、チムニーをフォロー>

③作業時間ごとに、目標タイムを設定

今回の状況:
取り付き到着9時過ぎ。
登攀開始10時45分。

→トポ無視なので、どこを登るか決めるのに、30分ぐらいは欲しい。

→あとは、ロープを出したり、ギアを準備したりで、30分ぐらいは掛かる。

→「10時くらいに、登攀開始したい」と、目標タイムを設定。

※同じことを、ビレイポイントや休憩時間でも考える
<穴抜け>

④ラインに迷った時に、選択肢を整理

今回の状況:
「右か左か、その左か」と迷って、30分くらい逡巡した場面が4回。

これの、逡巡時間を減らす方法。

→選択肢は3つと、心に決める。

→ルートを探る順番を決める。
例)
・右から順々に
・可能性のある順に

→途中まで登って探る場合、2手3手だけ行っては戻る、というのを繰り返しても大して偵察の意味がない。
どうせ探るなら、気持ち深めに切りこむ。
で、ダメなら、次の選択肢へ。

これを意識するだけで、今回のケースなら、15分くらいの逡巡で済んだハズ。
<トップアウト直前の短いピッチ>
「安全性を犠牲にせずに、スピードを上げられる場所を探すこと。」

ってのが、ポイントです。

クライミングそのもののスピードを上げるのは、かなり高度!
初心者は、まずは作業時間を短縮すると良いですよ。
<トップアウト!>

トポに載っていない、NPルートとはいえ・・・
3ピッチのルートで、ヘッデン下山というと、まだまだな感じではあります。

でも、危なっかしさや、ロープワークの混乱タイムが減ってきたので、もうちょっとで一皮むけるように思います。
<夕焼けの岩峰群>

危なっかしかったり、混乱しているうちは、スピードを意識したら逆効果になりそうですからね!