近年、「講習卒業後に通い続けられるかどうかが、最大の才能かもしれない」という風に考えるようになりました。
例えば、講習生として、
●理解が速い
●弱点の指摘に対して素直
●体力・根性がある
などの色々な要素があります。
こういう方は、私としても教えがいを感じます。
しかし、これは受講初期(月1〜2回程度で1年とか)〜中期(月1〜2回程度で3年とか)までの能力でしかない、という気がします。
別の言い方をすれば、30回ぐらい受講すれば、ほぼ誰でも「私の真意を想像しながら指摘を聞けるようになるし、ある程度の素直さ・自主練習の必要性は痛感できる」からです。
頭が良くて覚えが早く、弱点の指摘に素直で、講習以外も確実に自主練習を積んで来る体力と根性がある模範的な講習生は、ごく一部に存在します。
それこそ、ほとんど素人さんだった40代とかでも、3年ぐらいでマルチピッチリード講習まで到達してしまいます。
これは、極めてすごいスピード感です。
そもそも月1〜2回の受講を数年維持しつつ、自主練習を続けるというのが最大の核心です。
それが出来るだけの環境を作れたとしても、3年は速いです。
講習生の中では「神童」的な感じです。
<デッドポイントの基礎練習>
しかし、そこで受講が途絶える方が多い、とも感じています。
私の卒業基準は、「そろそろ自力で岩場に行ってみたら?」、「そろそろ友達同士でリードしてみたら?」という見立てレベルで、「もはや教えることは何も無い。」ではありません。
つまり、「自立してから講習に通うことができるかどうか?」こそが最大の才能ではないかと思うのです。
<姿勢を意識しまくるISさん>
卒業後に講習に通いたくない理由は、いくらでも想像できます。
●さすがに飽きた。
●卒業まで頑張っただけでも、十分えらいでしょ?(実際、マルチ卒業まで残るのは、それだけでも偉いと思います。)
●そろそろ別の人に習った方が伸びる気がする。
●石田さんは、グレードを上げたりすることよりも、ひたすらリスク管理的な登り方(落ち方、戻れるムーヴ、などなど)を講習してくれる気がする。
●ワイドクラックとかは、石田塾だとオンサイトリードで超低グレードから下積みさせられるだろう。もっと、一足飛びに上手くなりたい。(トップロープで難しいのを触るとか・・・)
●ムーヴ講習では、さすがにグレードを上げるためのこと(フォーム、色々なムーヴ、トレーニング、など)を教えてくれそうなのは分かるんだけど、すぐに成果が出ないような超基礎を反復することになるんだろうな。
●今は調子が良い(どこも痛くない)から、講習なんかに行くよりも色々なルートを登りたい。
●今は調子が悪い(どこかが痛い、リハビリ中、など)から、基礎練習みたいなつまらないことをやっても飽きそう。
また、以下のような意見もあります。
●せっかく自力で行けるようになったのだから、とりあえず色々行って、経験を積んでからまた受講しようかな。
これには一理あり、実際に数年後に戻って来て年間数回ずつでも受講を続けてくれる方も、数名はおります。
一方で、
●一度数年離れてしまったら、今から自分のやり方を色々と批判されに行くのはツラくなってしまった。
という感情が、むしろ一般的かなと思います。
これは、マルチピッチリード講習卒業者に限らず、途中で講習を離れた方には特に多いです。
<ワンポイントのハングだが、ガバがある。これを、いかにグチャグチャにならずにムーヴを組み立てるか?>
また、別の観点で。
●これ以上続けたら、もう辞め時は無い。本当に、生涯学習になる。
(すでに岩場に自立して通えている状態なので、石田さんに習うことが無くなるか、それに近いところまで通うことを想定すると・・・。)
もちろん、講習と自主練習をちゃんと行えていた初期の3〜5年とは異なり、
・仕事や家庭環境の変化で、トレーニングに割ける時間が減った
・成長が停滞気味になったらモチベーションが下がり、他の趣味に軸足を移した
といった現象もあります。
<最後に、遊びでインバージョンを少々>
色々と書いていて思うのは、結局は講習に通うかどうか、ひいては真面目に登るか否かすら自由です。
(不真面目な状態でバリエーションに行くのとかだけは、本当に死ぬ可能性が高まるのでやめた方が良いと思いますが・・・。)
真面目に考えれば眉唾な理由も、至極真っ当な家庭環境などの理由もあるし、僕よりも他のインストラクターに習った方が良いこともあるでしょう。
ただただ、私の立場として思うのは、「本当は、ここからですよ!」ということです。
●最低限のリスク管理能力があってこそ、グレードに繋がるようなトレーニングを教えようかなという話になります。
●最低限のリスク管理能力があってこそ、グレードに繋がるようなトレーニングを教えようかなという話になります。
●卒業を心待ちにしない人だからこそ、教えるのに時間の掛かる難しい内容にもチャレンジできます。
●自分で弱点を見つける事は難しく、長い付き合いのコーチが居た方が良いです。
●リスク管理も、自己研鑽を続けることは難しいので、登り方やロープワークを批判される機会があった方が良いです。
●ワイドクラック、ヒールフック、デッドポイントの反動の付け方、などの普段の私がすごく考えているテクニカルな分野も、ようやく講習のスタートラインに辿り着けます。
最低ラインを越え、本当に上手に強くなって欲しいなと思います。
<ワイドクラックの基礎練習①>
<ワイドクラックの基礎練習②>