ボルトルートの岩場では、落ちてはいけないセクションの割合が大きいです。
ランナウトしている場面、1本目までが高いルート、などが典型的です。
また、さほどランナウトしていなくても、「落ちたら、〇〇にぶつかるだろうなー。」と予想できるケースは、落ちてはいけないセクションと判断します。
<岩場リード講習@小川山>
反対に、安全圏(落ちても良いセクション)とは、どういった状況を指すのでしょうか?
素人さんに近い方であれば、トップロープ状態(最終プロテクションが、腰よりも上で、自由落下の距離がほぼゼロ)だけかもしれません。
ちゃんと落ちる練習を積んだ講習生であれば、
「最終プロテクションのクリップ済みカラビナが膝くらい」
までは安全圏と感じていることでしょう。
しかし、安全圏が終わろうとする場所で、次のボルトを見上げると、まだまだ遠いです。
ここから先すべてが落ちてはいけないセクションであることを、痛感させられることでしょう。
つまり、初級者の場合、ボルトルートの岩場では半分以上が落ちてはいけないセクションに感じて然るべきだと思います。
クリップ直後のみが、唯一リラックスしてジムっぽく登るべき場面なのです。
※湯河原、甲府幕岩、兜岩など、ボルト間隔が非常に近いエリアであっても、大抵の場合は足下ぐらいまでは登らないと次のボルトには届かないことが多いです。
<落ちる練習で、安全圏と「落ちてはいけないセクション」のグラデーションを学ぶ>
中上級者の場合、十分な高さのあるルートで、どこにも激突しないような状況であれば、足首や足下でもフォールは可能です。
トップロープ状態や膝程度のフォールなら、大抵の着地失敗が打撲程度で済むのに比べると、墜落スピードの違いを感じます。
つまり、受け身姿勢が上手であればあるほど、安全圏の割合は広がってきます。
とはいえ、「どんなに受け身が上手でも、さすがに誰でも落ちたらダメでしょ。」というゾーンが依然として広いのが岩場だと思います。
原則として、下部でクリップ先行さえ守れば、全てのムーヴにおけるフォールが許容されます。
つまり、落ちてはいけないセクションが存在しない訳です。
したがって、
・下部でクリップ先行できるだけの能力がある
・手繰り落ちギリギリのクリップがほとんど無い
という2条件さえクリアできれば、最低限は安全に本気トライが楽しめます。
文字通り、落ちる確率の非常に低いムーヴです。
<岩場リード講習@天王岩>
落ちてはいけないセクションで求められるムーヴとは、何でしょうか?
また、次の安全圏に辿り着けない場合(もうちょっとで次のクリップという場面だが、意外と難しい、など)を想定して、戻れるようにムーヴを組み立てておくことも必要です。
要するに、トライを中断して敗退することを常に考慮したランナウト能力、が要求されています。
5.8や5.9が本気リードの方に対しても、岩場のルートは容赦ないです。
5.7ぐらいのセクション(そのルートの中では相対的には易しい)で、落ちてはいけないセクションは、ザラに存在します。
この点は理解しておくべきで、意識的にこれに対応できる登り方をトレーニングする必要があると思います。
※トレーニング方法は、痩せ我慢してランナウトすることではありません。
自分自身の登り方を変えることです。
岩では、驚くほど保守的な登り方が有効だと思います。
リードには危険を伴うため、意識をアジャストさせて行く必要があると考えております。