2011年10月3日月曜日

富士山ガイドの反省会

9月30日(金)、10月1日(土)は、富士山ガイド組織の会議で富士吉田へ。

富士山ガイドは、小屋に所属してシフト制で仕事を割り振られます。
小屋に雇われているような感覚で、小屋への所属意識は強く、研修・採用なども全て小屋ごとです。

しかし、他の小屋とも敵対している訳ではありません。
各小屋のガイド代表者が集まる会議もあります。
そこで、お互いへの要望、簡単な共通ルール、市や小屋への要望、などを確認していきます。

初日がこれ。
2日目は、我らが太子館のガイド50人が集結する反省会です。

富士山ガイドもオフシーズンに色々とやることはありますが、全員集合の会議は年間2回だけ。
50人集めるのは大変なことです。
しかも、シーズン中は激務&入れ替わり勤務のため、全員集まって会議するのは全くムリ!

反省会という名前ですが、実際はかなり重要な会議だったりします。

今年も、富士山関係者には大変お世話になりました。
また来シーズンまで、お互い準備を整えましょう。

FYGというガイド会社

9月29日(木)は、小川山にてクライミング研修の講師に行ってきました。
なんの研修かというと、富士山ガイド仲間であるFYG(フジヤマガイズ)というガイド会社のものです。

もっと言えば、このFYGという組織自体が、僕が所属する富士山ガイド組織の先輩数名が立ち上げたグループです。

彼らの活動として、
・夏の富士登山の個人ガイド
(ツアーガイドが20人以上を請負うのに対して、1~数名の個人グループをキメ細かくガイドする。外国人ツアーなどにも英語の出来るガイドが対応。)

・春など、雪のある時期の富士登山ガイド

・冬のバックカントリースキーガイド

・FEW(女性ガイドによる、女子登山ツアーガイド)

・カナダのWFA(野外救急法)の招致と、代理店的な仕事

・夏の富士登山シーズン最盛期における、5合目での雨具、ヘッドライトのレンタル業

などがあります。


僕も、富士山ガイドの仲間や先輩という枠を越えて、色々とお世話になっております。
そんな彼ら、クライミングは専門外。
中には、プライベートではクライマーというガイドもおりますが。

他のガイドも、自分のチャレンジの幅を広げるためにも、単なる夏山縦走だけでなくクライミングも挑戦中とのこと。

実際、クライミングは常にリスク管理を考えるので、ガイドの練習には良いでしょうね。
それに、登山道をガイドするのにも、ロープワークの心得を学ぼうとするのも良いことです。

個人的には、クラックなんかもやって、登山とクライミングに共通する楽しみ方まで体感してもらえれば嬉しいところです。
さて、今回の研修は、以下のような方式にしてみました。

クライミング経験者3人には、彼らだけでパーティを組んでもらい、初級マルチピッチを先行してオンサイトトライ。
僕が、クライミング初心者2人をガイディングして、同じ初級マルチピッチを後続。

選んだルートは、先週末にお気に入りルートに加わった“大貧民ルート”!
初心者2名には、登りながら色々なシステムの説明。
別パーティの経験者3名には、ルート終了後に「こうやるともっと楽」などのアドバイスを色々。

研修という意識も大切ですが、まずクライミング好きにならないとマルチピッチのリードに辿り着きませんからね。
いかに物分りの良いガイドと言えども、そこは講習生の方々と同じ。

しかし、そんな懸念を吹き飛ばすように、全員でクライミング研修を楽しむことが出来ました。

今度は、僕が野外救急法なんかを教えてもらうつもりです。
またよろしくお願いします。

2011年9月28日水曜日

ジムでのリード講習最終回

9月28日(水)の夜は、ランナウトにてリード講習の第3回。
本日は、男性OSさんのみの受講です。

前回までの苦戦が嘘のよう、最初からビレイの動きが出来ております。
なんと、1時間で落ちたり止めたりする講習内容を終えてしまいました。

あとは、本気トライしてもらって臨場感出す方針で。

まずは、5.10aをO.S.、5.10bも辛くもO.S.。
最後に、5.10cをテンション掛け掛けでトップアウト。

クライミング初めて2ヶ月でこれじゃあ、ムーヴ講習は必要なしでしょうね。
ジムは、自力で大丈夫でしょう。

あとは、岩場リード講習、マルチピッチ体験、雪山入門といった方向で、当塾を御利用いただければと思います。

具体的な講習内容
・落ちる練習
・ビレイで止める練習
・ビレイヤーの立ち位置
・本気のリードトライ
・落ちる可能性がある人のビレイ実践

オマケ講習として
・ロープの畳み方(畳むだけ、背負う方式の両方)

もはや、早く岩場に行きたいですね。

ムーヴ講習

9月28日(水)の昼は、ランナウトにてムーヴ講習。
本日は、常連女性Kさん、西国分寺在住の女性KDさんという2名。

2人とも、会社を退職してからの再スタートで、クライミング講習を受け始めました。

そして、Kさんは本日、5.10aをリードで完登!
KDさんは、レスト態勢などの基礎練習です。
まだまだ伸びてしまいますね。

2人とも、目標はジムではなく、登山のバリエーションルート。
登山も立派な運動ですから、年齢的に仕方ないこともあれば、年齢を言い訳にしたくないこともあります。

スポーツには若者らしいポジティブシンキングが刺激になるとはいえ、若者とだけ登るのはやはりツラいでしょうね。

今回で、良きパートナーが見付かったかもしれません。

具体的な講習内容
�Kさん向け
・同じルートを3回続けて登り、少しずつ楽になるように修正する練習
・5.10aのリードトライ(完登!)
・ダイアゴナル、バックステップの復習

�KDさん向け
・脱力の復習
・中期レストのコツ
・ネコ足

引き続き、頑張りましょう。

無料体験講習会9月

 9月27日(火)は、ランナウトにて無料体験講習会。

昼の部は、常に参加者少なめ。
空いているのが売りですね。

講習初参加の女性KDさん、来月に岩場リード講習を予定している女性IGさん。
KDさんは、脱力やレストといったクライミングの基礎。
IGさんは、5.11bを3回のトライでR.P.する中で、僕が降りる度にアドバイスしていくというもの。
(早く判断を付けた方が良い場面、楽なムーブが発見できる場面)

2人なら、全く別の内容を講習しても、それほどのロスは感じられません。


夜の部は、3名。
講習初参加の男性2人組ANさん、WDさん。
それから、富士山から無料体験講習会を経て、来月は奥多摩で登山講習を予定している女性KSさん。

3人のレベルはバラバラですが、少人数なので共通項目を講習することが出来ました。
ネコ足、レスト(肘を伸ばす、チョークアップ)、腰を壁に近付ける、など。

最近は、無料体験講習会は人数少なめ。
参加者には、お得な状況が続いていますね。

越沢バットレス、マルチピッチリード講習

 9月26日(月)は、奥多摩は越沢バットレスにてマルチピッチ講習。
今回は、常連女性TKさんのリード練習です。
マルチピッチのロープワークは、実際にやってみると最初は混乱気味で致命的なミスが不安です。

しかし、TKさん。
「致命的なミスだけは避けよう」という落ち着きが出てきたように感じられます。
そして、リード中も「困っても、なんとかせねば」という意識で行動出来てきたようです。

“ベストでなくても、致命的でない程度の判断をしていくこと。”
当たり前のことですが、自立して登るためには必要です。

とはいえ、講習受講歴が長くなるほど、あるいは年齢的に遅くアルパインクライミングを志した人ほど、忘れがちになるように感じます。
理由は色々あると思いますが。

そして、意識改革というのは単刀直入な説明では上手くいかないことが多いもの。
僕は大学で教育学をかじりましたが、まさに学校教育の核心部みたいです。
(知識・技術よりも教えづらい、という意味で)

本人自身が、多いに反省すべきケースを実体験したり、逆に 上手く行く例を体験したり。
何にせよ、「具体的な実体験を伴わないと、説教くさいだけになってしまう」というのが教える際の難しさです。

僕も、TKさんに意識改革して欲しいと思っていたので、最近は色々と具体例は出してみました。
(カムによるエイドクライミングでリード、ジム講習ではR.P.タクティクス)
それが少し効いたのか。
あるいは3ヶ月前の三ツ峠で致命的なミスに対して、厳しくダメ出ししたのが効いたのか。

それとも、本人自身が3ヶ月の間に、何か気付くような経験を積んでいたのか。

本当に、見違えるような落ち着いたクライミングが出来ていました。
また1つ、クライマーに近づいたように思います。

具体的な講習内容(今回は、トレーニング内容)
<Ⅲ級凹角を、リード&セカンドビレイ&懸垂下降のセット練習。4回>
ロープワークの細かいコツを、毎回少量ずつ指摘。
1回ごとに、効率的なロープワークに近付けていく練習。
コール無しの練習。

<そのままマルチピッチで、3ピッチ目までチャレンジ>
プロテクションが取りにくい2ピッチ目は、講師がリードして、ハーケン回収の実践練習。
3ピッチ目は、TKさんにチャレンジしてもらうも、さすがに敗退。
そこから懸垂下降。

<Ⅲ級のクラックピッチで、オンサイトリード>
声が全く届かない状況でのビレイ点作業!
ロープも重い中、見事に完遂!

次回は、再び三ツ峠に戻り、Ⅳ級リードとビレイ点自作を再度チャレンジいたしましょう!

小川山、お殿様岩の“大貧民ルート”

 9月23日(金)、24日(土)は、小川山にてマルチピッチ体験&ボルトルートのリード講習。
都岳連卒業の女性2人組(ARさん、FYさん)、なんと3週連続の講習です。
初日に行ったのは、ボルトルートのマルチピッチ入門として有名なガマルート。
写真の通り、ひたすら景色が良く、快適なクライミングです。
写真も最高。

まずは、ここで先週の越沢で覚えたロープワークの流れを実践。
 


そして、2日目はワイルドさが売りの大貧民ルート!
このルート、頂上の下降用支点以外には残置は皆無。
ビレイ用の支点の大部分は木、もしくはクラックというナチュラルなルートです。


クライミングの根本的な考え方に、「そのままの自然を登ろう。だって、その方が小さな冒険として満足感が高いから。」というものがあります。

その実践方法としては、以下のような例です。

・ボルトを極力打たないで、ナチュラルプロテクション(自分で設置する支点)で登る
・人工(エイドクライミング)よりも、フリークライミングで登る
・ルート集は詳し過ぎず、自分で上へと登るためのラインを探って登る

もちろん、他にも色々あるでしょう。
一般的なもの以外にも、その人ならではの拘りなんてものもあります。

僕自身、個人で縦走するときは
・山小屋で物を買うのは反則
・水が取れない場所(槍穂の縦走路など)では、水を買うのも反則
という意識でやってます(笑)。

「もともと“登山道”という他人が整備してくれた道を歩いているくせに?」という論理崩壊は自覚しておりますが、そうじゃないと個人的には「登った!」と自分に言えない気がするんです。
学生時代からの、全くの個人的な拘りです。
「テント縦走なのに、水買ったら軽くなるなんて、ズルイ!」、そんな感覚ですよ。




僕の個人的な拘りへの脱線は置いておいて・・・

こういう話は、頭で理解できても、自分のクライミング観そのものに重ね合わせるのには時間が掛かるものです。
今回は、そのことを少し体感してもらうには最高のルートだったんじゃないでしょうか。

支点の豊富に取れるクラック、支点の取れないスラブ、分かりにくいルート、そして岩峰の頂上へ。(頂上は、ありがたくもボルトあり)
正直、僕自身がルート探しをしつつ、自分のクライミング的な楽しみを感じてしまいました。
今回のお客様は、リードの緊張感を意識して付いて来て下さり、相当に興奮しておられました。

会話の節々から、ルートを登った前後での考え方の変革が伝わってきます。
大貧民ルート、5.8、3ピッチというスケールでは測れない素晴らしいルートです。

具体的な講習内容
※お客様のモチベーションが大変に高かったため、超過密な講習(特訓)でした。

初日
①朝は小雨につき、キャンプ場の東屋にて
・ボルトルートの終了点作業(結び替え、懸垂下降)
・流動分散、固定分散、独立分散の確認

②午後は、ガマルートでマルチ体験
残置支点の種類、現場にある終了点の仕組み、などを登りながら説明。
トポの終了点を越え、さらに岩峰頂上を目指すも難しそうなスラブが現れ、断念。

③夜は、まさかのテント内で講習
・捨て縄の利用方法
・ダブルフィッシャーマン
・ウィップフラッシュ現象

2日目
①早朝から水晶スラブで朝練
・リードで落ちる練習
・ビレイで止める(流す)練習
・“やわらかソラマメ”(5.7)のフラッシュトライ
・一般的な終了点の説明

②昼から、お殿様岩の大貧民ルート
※真の頂上を目指すには、プラス1ピッチ(おすすめです)。
様々な支点の取り方、などを説明。

③夕方に水晶スラブに戻って残業!
・終了点が木のみ、という場合の実践練習

都岳連の卒業生とは言え、リード講習をしならがマルチピッチ体験という離れ業は尋常ではありませんでした。
今回で、スポートルートに自分で練習に行ける自信が付き、今後身につけるべき技術がハッキリと思い描けたそうです。

全く凄いとしか言いようのないモチベーションで、つくづく圧倒されます。