2012年11月20日火曜日

講習生は、低グレードでも、基礎はハイレベル

11月16日(金)は、ストーンマジックにてムーヴ講習。
以前、リード講習を受講したことのある、女性OMさん、女性AKさんのペア。
講習を受けている方は、例えグレードは低くても、基礎がキッチリです。

たとえば、普通のクライマーを見ている印象ですが。

・ジムで5.11が登れるような人の中でも、リードのビレイがよく分かっている人は3分の1くらい
(もちろん、これが5.12になると、落ちる確率が上がるためか、段々とは良くなります)

・同じく5.11が登れるような人の中でも、5.8を丁寧な省エネで登れる人は、3分の1くらい

・山岳会で入門マルチピッチ、入門アルパインルートに行くような人でも、ロープワークが私の目から見て“危なっかしくない”と見えるのは、3分の1くらい

・クラックの5.10前半くらいを登る人で、“割とカムセットが大丈夫そう”に見えるのは、3分の1くらい
その点、講習生(特に、常連さん)の基礎はガチガチに固めてあります。

基礎は、安全管理だけでなく、将来的には伸び悩みが起こりにくくなると思っております。

そのため、腕に覚えがある人が講習に来て、
「マルチピッチのリードを教えて欲しい」
と言ったとしても

「まずは、ジムのリード講習をオススメします。次いで、ボルトルート、クラック、最後にマルチピッチです。」
なんてこともあるくらいです。

マルチピッチ、そして冬のアルパインクライミングは危険ですが、基礎がガッチリしているだけで、危険は半分以下に出来ると思います。
(特に、入門ルートは、落石や雪崩のリスクも少な目であることが多いので、かなり安全に帰って来られるはず!)

さあ、レッツ基礎練習です!
具体的な講習内容
・ネコ足
・肩の脱力(レスト時だけでなく、登っている最中も、なるべく脱力しやすい足位置を選ぶ)

1年半くらい前は、ジムでのリード講習ばかりやっているような印象でした。
最近は、クラックのリード講習をやっている比率が増えました。

このまま行くと、来年はマルチピッチリード講習が流行りそうですね。
って流れで行くと、1年半くらいしたら、相当アルパイン的な講習を受ける人が出て来そうな予感もします。

楽しみです。

フリークライミングは、スポーツとはちょっと違う

11月15日(木)は、湯川にてクラック講習。
ボルダーが強い女性KSさん、昨冬にクラック仮免許まで行ったままクラックから遠ざかっていた男性STさん、1年前にマルチピッチ体験を受講した女性AKさんの3名。

<カムセット練習中>
フリークライミングの完登は、
「一度も落ちずに(ロープ、ヌンチャクなどにも掴まったりすることなく)、登りきること」

ということになっております。

要するに、

「ロープやヌンチャク、ボルトなどが無かったとしても、俺は死んでいない!」
というのが完登。

「ロープなどが無かったら、俺は死んでいた!」
というのが失敗。

ということです。

<11月は、すっかり木の葉も落ちて、日当たりの良い湯川>
これ、フリークライミングに馴染みの薄い人からすると、
「なんかスポーツっぽいルールだな」
と、思うかもしれません。

たしかに、
・冬の山岳エリアのような冒険性
(例えば、冬壁)

・本当に落ちたら死んじゃうような緊張感
(例えば、プロテクションの取れないルート)

とは、明らかに違います。

<ナッツの決め方を検討中>
でも、これがやってみると意外と本能にピッタリ来るような面白さがあるのです。

ロープにぶら下がらなかっただけなのに、自力で登った感は倍増です。
フリークライミングの中に、単なるスポーツではなく、岩そのものを登る美学や達成感が加わって来ます。

<STさん、久々ながら1本リードして、仮免許状態に復帰。ちなみに、このあと見事にフォールします。>
さらに、クラックはボルトではなく、自分で持ってきた支点を使って登って行きます。

たったこれだけのことですが、驚くほど冒険性は増します。

<リードのビレイは心配>
特に、オンサイトトライは、

「この先のプロテクションを考えながら登る」という作戦要素が強く、1ピッチながらも冒険的です。

<初めての本格的なクラックながら、1本だけはノーテンションで抜けたAKさん>
当塾では、マルチピッチリードを講習する際に、クラックのリードが出来ることを必須条件にしております。

クラックをやるなかで、

・戦術
・プロテクション技術
・ラインを読む目(ルートファインディング)
・そのままの岩を登ることの難しさと達成感

をまずは知って欲しいからです。

マルチピッチ、そして冬のアルパインクライミングは、
5.8のオンサイトが出来てからがオススメです。

そうすることで、より一層、本来の岩を感じられます。

<当塾は2日目ながら、早速5.8をリードするKSさん。ボルダー初段登れるんじゃ、そりゃ早い。>
具体的な講習内容
・テーピングの方法(AKさんのみ)
・ハンドジャムの練習
・サムカムの練習(KSさんのみ)
・カムセット練習(取りつきにて)
・疑似リード(KSさん、STさん)
・実践リードトライ(KSさん、STさん、ともにデゲンナーをリード!)

ただ、今回リードしたのは
“トップロープリハーサルした”上に、“カムセットも非常に易しい”ルートです。

そういう意味で、これが仮免許!
でも、やっぱりリードはして欲しいし、本人も一番嬉しいでしょうね。

2012年11月16日金曜日

やれば分かります

11月14日(水)は、天王岩にて岩場体験講習。
高崎からお越しの常連女性HMさん、常連女性ODさんの2名。
HMさんは、今まさにジムでのリード講習を受け始めたところ。
ODさんは、ジムでのリード講習は済んでおります。

というわけで、リード練習を中心に行いました。
だいたい、岩場リード講習の3分の1くらいの内容です。
練習も大事ですが、体験が大事なこともあります。
百聞は一見に如かず。

山道具屋でバイトしていたとき、

・登山に行ったことのない人に、登山靴の選び方を説明する
・クライミング初心者に、クライミングシューズの選び方を説明する

なんて場面はよくありましたが、なかなか虚しいものです。

無駄になるような靴は買ってほしくはないのですが、
「なぜその靴をオススメするか?」を実感してもらうのは不可能です。

そう言えば・・・、
富士山ガイドで、ビニール雨具で来たお客様にレンタル雨具を借りてくれるように説得する場面も同じような話。
そんなとき、安全にできるのならば体験してしまうのが一番。

山なら、スニーカーで登れる高尾山に登ってから、靴を買いに行くと良いでしょうか?
クライミングなら、ジムでレンタルシューズを5日やそこら履いてからでも、遅くはありません。
今回は、リード講習の触りの部分。

たとえば、ヌンチャクの向きを説明して2回リード、ボルトの種類を説明して2回リード、と繰り返して体験してもらいます。

「やってみれば分かります。」
って言うと、乱暴な感じ(笑)。

実践と基礎練習のバランス、と言えばカッコいいですね。
結び替えも、基本的なことを講習したら、まず1回だけでも実践して帰っていただきます。
そうしたら、帰ってから本も読みなおせますから!

<初めての本格的なロープワーク、結び替えを練習するHMさん>

<オブザベするODさん。この後、5.8をオンサイト!>
具体的な講習内容
・ボルトの種類と、ハンガーボルトの見分け方
・ヌンチャクの向き(ウィップフラッシュ現象)
・結び替え
・実践、本気トライ
(ODさんは、5.8をオンサイト!HMさんは、トップロープでテンション混じりながらトップアウト。)

ODさん、自立を目指したのは最近とは言え、さすがの落ち着いたクライミングでした。

ムーヴ講習中の混乱タイム

11月13日(火)の2コマ目は、ムーヴ講習のLV.0です。
男性WHさん、女性KGさん、男性ONさんの3名。

レベル0は、ジムでのリード講習以前のコースで、ネコ足・脱力、トップロープのビレイを中心に講習することにしています。
ムーヴ講習中に
「こういうコツがあり、常に意識して、最終的にクセにまですると、~~っていう良いことがあります」

と言う感じで、お客様に合わせたコツを指導していきます。

で、上手く行くときは
1回目より2回目、2回目より3回目という具合に、体に馴染んで行きます。

が、
「こういうこと!?どういうこと!?」
と、混乱に陥ることも多いものです。

もちろん、私の説明力不足もあります。
そんなときは、説明する言葉をドンドンと足して行くのは我慢!

上手く行ったときに「そうそう!」
違う時に「イマイチ!」

と、言い続けていると、20分~30分後に
「もしかして、こういうことか!?」
と体で分かることが多いのです。
そんなとき、
「この人にとって、この数十分は貴重な時間なのかもしれない。」
と、思います。

混乱タイム、ムーヴを理解する上での気づきの時間なのかもしれませんね。

具体的な講習内容
・ネコ足
・肩の脱力
・指の脱力(KGさん)
・腰を壁に近づける姿勢(KGさん)

2012年11月15日木曜日

意外なほど成長する瞬間

11月13日(火)の1コマ目は、常連女性SMさん。
岩場体験、クラック体験と終えて、しばらくはジム講習の予定です。
講習をしていると、
「えっ!?これが分からない?」
と、思う機会は普通のクライマーの100倍くらいあると思います。

でも、それに答えるのが仕事なので、気にせず質問して頂いて構いません。

が、逆に、
「あれっ!?そんなに出来るようになるものなの?」
と、驚くこともあります。
SMさん、最近まではトップロープのビレイも苦手意識全開。
「出来れば避けたい・・・」
くらいの勢いでした。

しかし、ようやっとビレイを頑張る覚悟が座って来たらしく、ここ1ヶ月くらいは頑張り始めております。

とはいえ、3週間前は岩場でトップロープのビレイをするだけでも、悲鳴を上げながらロープに引きずられる状態。

「これは、リードのビレイまでの日数が正直読めない・・・」
と、私も不安になりました。

それが、本日は体重差で浮き上がるようなビレイでも、全くパニックになることなく!
「あれっ!?それが出来るなら、トップロープのビレイはオッケーですよ。」

<本日は、ちょっとした成果あり。垂壁の長い5.6もリードしました。>
私の教え方で良くなるような記憶はないし、本人が努力する暇もなかったでしょう。

もしかして、
「ビレイ頑張るぞ!」
って覚悟が、日に日に明確になったことくらい?

同じ練習量でも、気の持ちようで得られるものは違います。

が・・・。
気持ち一つで、過去の練習を活かす効果まであったんでしょうか?

いずれにせよ、良かったですね。

具体的な講習内容
・“体がぐらつかないこと”を意識して登る
・5.6でリード練習(クリップしたヌンチャクより下で落ちる練習)
・トップロープのビレイ練習

リードのビレイと共に、リードでパニックにならないことが当面の目標でしょう。

2012年11月12日月曜日

立川山岳会の救助訓練

11月13日(日)は、奥多摩にて立川山岳会の救助訓練。
ここには、このブログに登場するK島嬢、K田さん、Hさん、も入っております。
さらに、私が学生の頃にアルパインを教えてくれた師匠もおります。

他にも、数年前まで時々一緒に登っていた人や、今後一緒に行きましょうと話が出る人、ジムで時々一緒にボルダーでトレーニングする人まで。

さらにさらに、最近ではHDさんという新人さんが、私の講習を受けてくださったり。

かなり幅広く、お世話になっております。 
で、今回はここの救助訓練に講師として行って参りました。

救助訓練とは言っても、土曜の夜にバンガローを借り切って行う宴会がメインなので、スタートもちょっとゆっくり。
例年、気合が入ってくるのは午後から(笑)、というものです。

が、こういうのは忘れた頃に毎年やる、って姿勢そのものが大事なので良い方だと思います。
山を長くやっている人でも、意外と忘れがちなセルフレスキュー。

とはいえ、いつも講習でやっている内容と同じです。

・ザック+ハーネスの背負い搬送
・懸垂下降から登り返しへの移行
・セカンド確保からロワーダウンへの移行(いわゆる、ルベルソ解除)
・ATCを落とした場合の対処方法(半マスト&仮固定)
今回の内容、救助というよりも、ちょっと困った場合の対処方法レベルです。

でも、こういうことを知ってる知らないで、大きな遭難を防げるなら、やっとかないといけません。
K島嬢、Hさんも、意外と出来は悪かったので、忘れないように復習してくださいね。
具体的な訓練内容
・上記の通り

ズームイン・ズームアウト

11月10日(土)は、天王岩にて岩場リード講習。
常連男性NMさん、男性HYさんのコンビに加えて、先月のクラック講習から参加のYZさん夫妻。
クライミング中は、作戦が重要になります。

「今、ここで落ちたら危ないのか?」
(墜落距離の計算、ボルトの種類、などなど)

「右回りが楽か?直上が楽か?」

「あそこまで行けば(or戻れば)、大レストしながら作戦を立て直せるはず。」
(メリハリあるスピード感)

「今の場面は、時間を掛けて効率的なムーヴを探るべきか?それとも、粗いムーヴでも突破してしまった方が楽か?」
で、これが得意な人というのは、登りながらも全体が見渡せるということなのでしょう。

こういう人は、総じて山でのクライミングに向いています。
一方で、クライミングはやっぱり突破力が命!

ここ一番の場面では、一手進むごとに墜落距離が増えて行く恐怖をすっかり忘れて、ボルダーのようにムーヴだけに集中したいものです。

これが得意な人は、フリークライミングのグレードが向上しやすいと思います。
前者をズームアウト、後者をズームイン、と呼んでいるクライミング教本がありました。
(『パフォーマンス・ロッククライミング』)

考えれば当たり前の話でも、用語があるというのは便利なものです。
岩場リード講習で扱うのは、安全管理。
お客様も、私に誘導されるようにズームアウトする機会が増えるでしょう。

その一方で、ズームアウトばっかりしていると、やっぱり突破に集中力が発揮できません。
YZさんの奥様、典型的なズームアウトっぷり。

終了点作業や、ランナウト具合に気を使うことには信頼が置ける一方。
ここ一番のムーヴには集中できずに、クライムダウンなどの逃げ道を常に用意してしまいます。

ちなみに、クラックでは、特にズームインは難しく、私も未だ作戦を考えながらになってしまいます。

ま、将来的には直した方が良いでしょう。
今は、安全管理を講習しやすいタイプなので、しばらくはそのままでも良いですけどね(笑)。
具体的な講習内容
・終了点作業
(結び替え、残置スリングのみの場合、立木の場合)

・ウィップフラッシュ現象と、ヌンチャクの向き
・捨て縄の利用方法(NMさん、HYさん)

・実践リードトライ
全員が5.8を一撃できました!
特に、怖がりのYZさんの奥様、頑張りましたね。