「感染防止策をしながら岩場で登る」という、考えたくないんだけど、みんな考えてしまうテーマ。
最初に断っておきますが、こうすべきという答えは持ち合わせておりません。
また、科学的発見や政策、世情によって、今日の考えが明日には変えざるを得ないかもしれません。
現状、東京だと他県へも、奥多摩町周辺へも実質行けないので、今すぐ登るという意味ではありません。
どのタイミングで行ける雰囲気になるのかは読めませんが、行けるときに「感染症対策を万全にして」という掛け声があるでしょうから、考えておいたら良いかなという程度です。
3つのモデルを、イメージしています。
①少人数型
②飛沫感染・接触感染対策徹底型
③併用型(中間型、厳格型)
読んだ通りですが、②に関して程度問題がありそうです。
岩場でのリード(1ピッチのルート)について、対策とデメリットを挙げてみます。
・リード中もマスク必須で、飛沫感染対策。
→ 呼吸が苦しいため、パフォーマンス低下、判断ミス。ロープを口にくわえられない。
・リード中はマスク無しを許容するが、ロープを口にくわえる可能性がある数mは、ビレイヤーが決して触れないルールを設定する。
→ 出だし核心のルートや、出だしでロープが足に絡まないようにコントロールしてあげたいルートでは、リスクが上がる。
・ロープの貸し借り、ギアの貸し借りを禁止。
→ ショートルートなら、ロープはそれほど難しくない。トップロープは困る。カムは、スリング部分を口にくわえることも多いので禁止策は有効だろうが、全員が2セット携行するなど、アプローチが遠いエリアが大変になる。
・他人と同じルートは登るのを、どこまでアリにするか。
→ セッションっぽい遊び、人気ルート、トップロープ軍団、講習、全てにおいて問題が起こる。ただ、ホールドは口にはくわえないので、ホールドを触った手で口や鼻を触らなければ、接触感染のリスクは下がるはず。十分注意すれば、問題ない?
・消毒液を常備して、リード1トライごとに手を消毒。
→ 通常多くても10本前後というトライ数を考えれば、大変じゃないかも。
他にも、往復の交通で車をどうするか、休憩中の場所選び、会話中の飛沫注意、などでも対策の徹底具合は変わってきます。
「最初は頑張るけど、どんどん手抜きになってきそう。」という不安もあります。
ここで、①と②を比較するために、感染確率を仮置きします。
まず、パーティ内のクライマー1人の無症状感染率を0.01%(1万人に1人)と仮定。
次に、対策なしでの感染率を30%、対策ほぼ完璧での感染確率を5%と仮定。
話を簡単にするために、自分は感染していない場合のみを考えます。
つまり、他の人から感染をもらってしまう確率だけを考えてみます。
①少人数型で、2人パーティだとすると
0.01% × 0.3 = 0.003%
②飛沫感染・接触感染対策徹底型で、5人パーティだとすると
0.04% × 0.05=0.002%
(4人のうち、誰かが無症状感染である確率は、単純に4倍ではない。が、ほぼ4倍。)
この数字に対して、評価は出来ません。数字が、全て仮置きなので意味がないです。
ただ、この計算式自体は数字が変わっても有効なので、対策イメージには役立つと思います。
イメージ:
●無策であっても、少人数ならそれなりに感染リスクは低い。(ソロクライミング、夫婦でのクライミングは、この点では最強。)
●少人数で、アプローチの遠い空いたエリアに行くのは、この点ではプラスが大きい。
●人数が多くても、めちゃくちゃ対策を頑張れば、少人数の無策のパーティよりもリスクを下げられる可能性はある。
●10人とかの大パーティで、対策ユルユルだったら、さすがに怒られるレベル?(当たり前か)
③併用型は、3人パーティで、やりやすい感染対策だけ頑張る、といったイメージなので中間型。もしくは、2人パーティで、めちゃくちゃ対策を頑張る、という厳格型もあります。
だからと言って①、②、③のどれが良いとかは、一概に言えないと思います。
仲間内の雰囲気、行く岩場、クライミングのジャンルによっても、現実的に取れる対策も変わってくると思います。
今後、各種のガイドラインが出されるでしょうが、現実的な落としどころを探るのは各自に委ねられるはずです。
最後に、個人的な感想です。
・岩場に行き始めは、過剰なぐらいやった方が地元の人の印象も良いかもしれないなー。
・実際やってみないと、②をどのぐらい頑張ってもストレスないかは、分からない部分もあるなー。
・だんだん緩くなりそうだから、少人数型のメリットも大きそうだなー。
・だんだん緩くなりそうなだけに、ここだけはルール化、ってのを自分で決めておかないとダメだろうな。
・自分たちのパーティの対策と、隣のパーティの対策が違ったら、ストレスになったりしないかな。マスク問題と同じように。
・リードジムがオープンになれば、そこで何となくクライマー同士のコンセンサスが図られるから、そうなると良いな。
・①~③を全くとらずに岩場に居る人も、ごく一部に出るような気もするけど、どうだろう?
答えの無い独り言にお付き合いいただき、ありがとうございます。
実際どうなるんだろうと不安いっぱいですが、考えておくことはプラスになるはずですよね。