11月15日 クライミング15日目(ジョシュア1日目)
2日前は本気マルチ、前日は車移動で、もはやボロボロ。
本日は、5.9以下だけを登って、どんなエリアなのか様子見という気持ちで。
・Gem(5.8、ハンド系) オンサイト。
割と普通・・・。
フリクションが良いし、ヨセミテより日本的な花崗岩・・・。
・Colorado Crack(5.9、ハンド〜フィンガー系) フラッシュ
終盤、苦戦しました。
本日は、2本で終了。
ジョシュアツリーは、こういう感じのナチュラル志向ルートが多い。
ルートによって、裏から回るのが非常に厄介そうであれば、(トップアウトしたにも関わらず)エイドダウン回収ということもある。
トポには、このルートはどのように回収せよ、とまでは書いていない。
つまりは、「自分で考えてやりましょう。(それがクライミングってもんでしょ?)」という岩場。
ナチュラル志向といより、冒険志向といった方が適切だろうか。
※クライミングには、スポーツと冒険という2側面があり、どちらが濃厚なルートもあり、エリアの特徴や開拓者の意向などが出やすい。
11月16日 クライミング16日目(ジョシュア2日目)
(Colorado Crack,5,9を登る桂くん)
ヨセミテもハンマードリル禁止らしいので、結果的にボルトは少ないが、ショートルートの終了点は普通に存在することが多かった。
それに、所々にはスポートルートも存在した。
一方のジョシュアツリーは、不動沢上部の趣きで、終了点すらボルトが無いルートも多め。
フリクションも良く、巨岩が積み重なった20〜70mぐらいの小さい岩峰を、割れ目を縫って登るような印象。
結果として、奥はパラレル、手前はフレアー、そしてフリクションが良いので片手はジャミングしつつワイド系技術が楽しめる、という瑞牆でよく見る形状が散見。
色々と不動っぽい・・・。
いや、歴史的にはこちらの方が先なので、日本がこういうスタイルに影響を受けたんでしょうが。
<ルートは長いので、桂くんは遥か上部>
残り2日間で、迷いどころ。
1日レストにして最終日に難しいのをトライするか、3連登にして余裕のあるグレードだけで流すか?
ジョシュアツリーの雰囲気、不動沢っぽさ、スポーツというよりも冒険的に楽しむことを重視で、3連登を選択。
<キャンプサイトで日の出>
<「もったいない」と思うぐらい、ちょっと遊べる程度の岩がある>
<公園内は、砂漠>
さて、この日のアップで選んだルートは、なんとも細いクラック。
いや、所々は閉じている・・・。
Yaborrhea(5.8) オンサイト
フリクションが良く、テラスが多いので、神須ノ鼻を思い出させる。
<Yaborrhea,5.8>
Yabo Phone Home(5.10c) 敗退
出だしのワイドは、5.10cにしては易しめだが、後半がやっぱりシンクラック・・・。
かなり粘ったが、プロテクションが取れず敗退。
個人的には、プロテクションが取れない部分が5.10cなんじゃないかという印象。
<強風の中、北面の5.11bにトライし、さすがに敗退してくる桂くん>
ヨセミテに居続けるよりはマシなんだろうけど、日陰に滞在していると、徐々に体温を奪われる。
夕方は、桂くんが希望のボルダーへ。
続いて、桂くんお目当ての5.9。
<Descent Crack,5.7>
ボルダーだけれど、デジマルグレード。
クラックだからその方が馴染むのか、ハイボルダーだからか、歴史的経緯か・・・。<同ルート下降する私>
講習でやっているような、足移動のスタティック、戻れるムーヴ、要所要所のムーヴ暗記、といったリスク管理技術が使えるぐらいの難易度で、自分としては丁度良い緊張感。
<False Up 20(5.9)にトライする私>
先ほどの5.7は、こちらの下降路でもある。
2人揃って敗退。
まぁ、最上部(しかもマントルよりも少し手前)に戻れないムーヴが出てくるんで、ギブアップフォールでも骨折しそうな気配を感じます・・・。
もちろん、マットがあれば少し話は変わると思いますが、初登もジョンバーガーだし、年代的にもそんなものは一般的ではないでしょう。
日本でも、核心部でプロテクションの取れない5.9は登れない可能性がある(フリーソロするほどは安定して登れない)と自己認識しているので、仕方ないかなと。
5.9の怖い系 → 核心がフリーソロ状態なら敗退、核心は比較的安全でアプローチセクションがフリーソロ状態なら許容できるケースも多い。結果的に、トライしてみたら登れることが多い。
この自己認識は、グレード感が日本と同じ岩場ならば、海外でも使える公式なのだなと確認。
<現在、最終レストポイント。この上で、しつこく行きつ戻りつして、敗退することに>
11月17日 クライミング17日目(ジョシュア3日目)
前日の夕方、総合案内に寄り、登攀禁止の岩の確認をした。
というのも、これだけ岩がゴロゴロと転がっているし、車からでもクラックは目白押しなので、トポを見ないで登る方が楽しそうである。
一方で、何点かの懸念がある。
①登攀禁止の岩を登ってしまう可能性。
このエリアでは、先住民の壁画があるところが登攀禁止。
→この問題は、クリアした。
②脆い岩、実際に登ったらショボい岩である可能性。
③終了点がなく、フォロー回収が必要となる可能性。
場合によって、歩いて下降もできず、下降も岩稜縦走のようにロープが必要になる。
捨て縄、エイドダウンなどの可能性もある。
②と③は、両方セットで現れることも多い。
そして、②と③は遊びの重要な味付けでもある。
一方で、ショートルートとして美しいクラックを登りたいパートナーの理解を得ることは難しい。
正確には、理解してはくれるんだけど、付き合わせるのが何とも心苦しい。
ちょうど妥協点として、インターセクションロックという大駐車場に面した岩があった。
トポを軽く見たが、私が下から見て気になったクラックラインはどうやら判然としない。
ショボい可能性は高いが、トポに載っていない可能性もありそうだ!
この岩のどの辺が妥協点かと言うと、そのクラックはトポに載っていなくても、岩場そのものは東西南北全方位にメジャールートがあり、エスケープラインも豊富だ。
岩塔の上には、懸垂下降用のボルトがありそう、ということで時間的なドハマリのリスクも小さめ。
この妥協の構図は、本当に開拓するのではなく、メジャーな入門バリエーションで残置無視をするのに似ている。割と岩が堅いのも、パートナーに迷惑が掛かりにくくて程よい。
で、この日は意図的にトポはあまり見ず。
・大凹角ライン(5.7ぐらい) オンサイト
このツアーでおそらく初めて、本当にストレスなくウォームアップだと感じる難易度の課題に出会った。
体操として、気持ち良い。
<桂くんが登ったラインも、楽しそう>
・例のクラックライン(5.10bぐらい) オンサイト(桂にフォローしてもらう)
高さ50m弱だろう。
被ったワイドに見えていたラインだが、近づいてみると奥にはトンネルがあり、容易に通り抜けられることが分かった。
なるほど、これがトポに載っていなかった理由かと理解しつつも、自分が見出したラインを登ることには抗えない!
例によって、少々脆かったが・・・。
そして、しみじみ岩場ではこういうクライミングが好きなんだなと思った。
開拓ごっこという擬似的な遊びに過ぎないのだけれど、自分の眼で見て、敗退やら下降やらをプランニングする、というエッセンスが大切なのだ。
トラブル諸々、艱難辛苦、また楽しからずや。
ヨセミテのショートルートのエリアは、スケールの凄い湯川とか末端壁みたいな場所も多いので、そこではその遊び方(普通にアップして、1日に何回か本気トライする、というルーティン)に従った方が楽しいことも多い。
実際、そうやって1ヶ月過ごしたし、自分なりに良いトライも何回かあった。
ただ、1ヶ月でそれに飽きていたのもあるだろう。
しみじみ思ったのだが、ジョシュアツリーは厳しい倫理観の岩場なのだが、トポに載っていないぐらいの低グレードクラック(5.7以下はクラックがあってもルートになっていないこと多数)や、岩稜縦走は無数に楽しめるように思う。
そういう楽しみ方であれば、講習生のレベルでも十分に楽しめる岩場だと思った。
沢登りや岩稜縦走的なロープの出し方なんだけれど、プロテクションのカムは本当にバッチリ効いて、ある意味では教科書的だ。
東京から近ければ、ここで講習をやりたいのに(笑)。
まぁ、雑多に色々と書いたのも、日記ということで御容赦ください。今後の課題
①5.10b以下のムーヴを発見する時間
→岩場に行ったときに講習も含めて意識的に取り組むべきだが、すでに何年も同じことは考えている気もする。根本的には、諸々の基礎力不足か。
②足が悪い状態のロックオフ能力
→ジムでの基礎練習の重点メニューへ。
③生活力全般(日常から)
上記の冒険的な志向とは反するようだが、とにかくジムで快適に練習したい欲望が今は強い。
特に①と②は、自分なりに色々と工夫する必要がありそうだ。