今回は、講師側の思考整理(一人で行う講師会議、みたいなイメージ)です。
ごく一部の講習生には面白いかもしれない、ぐらいの内容です。
一般公開する意味は、不明です・・・。
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ジムで、ムーヴやリードを講習する際に、3つの柱があると考えています。
①丁寧さ、姿勢、小技 ( = 繊細な技術、身体感覚)
②回転の理論、力の釣り合いの理論 ( = 手順足順の理解、オブザベ)
③ルート攻略における作戦 ( = 全体的な作戦)
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
①丁寧さ、姿勢、小技( = 繊細な技術、身体感覚)
丁寧さ:
ホールドを握り過ぎない、足を丁寧に置く、ちゃんとフィットさせる、スタティックを正確に行う、などなど
姿勢:
肩を下げる、脇を締める、背すじを伸ばす、腰をいれる、などなど
⇨究極的には、「〇〇の筋肉を効かせるように・・・」と言ったムーヴの理解になってくる。
小技:
踏み替えを丁寧に行う、「ヒールのときは、ちょっと〇〇な感じにすると掛かりが良くなるよ」などのプチアドバイス、など
②回転の理論、力の釣り合いの理論( = 手順足順の理解、オブザベ)
三角形のバランス(講習中は、「軸またぎ」と呼ぶ)、ヒール・トウなどが要求される場面、デッドが要求される場面、足デッドを最小化するための足順やプッシュの活用、など
⇨究極的には、手順足順の意味を理解することが目標です。
これにより、一挙手一投足に至るまでのオブザベができるようになることが目標です。
※オブザベなので、当然はずれることはあります。
とはいえ、手順しか読んでいない初心者オブザベよりは相当に役立ちます。
③ルート攻略における作戦( = 全体的な作戦)
・墜落距離の計算
「あのムーヴで落ちても、せいぜいこのぐらいまでしか落ちないから、頑張って手を出してみるか。」
「2本目は、あのホールドまでにクリップしないと危なすぎるかな。」
「3本目までは真っ直ぐのラインでクリップ、4本目と5本目は左のラインにクリップするのが一番ランナウトしないだろう。」
・ロープの足絡み問題
・レストポイントの読み、核心部の予想
・どのセクションは丁寧に行き、どこは思い切り良く行くべきか?
・トライ前に、ちゃんと緊張して、心拍数が下がるのを待ってからトライする。(緊張する前に焦ってトライすると、より悲惨な結果になる、など。)
①〜③は相互に関連しています。
①:一般的なオブザベより、細部の話
②:一般的なオブザベ(手順だけでなく足順も含めるため、初級者のオブザベではない)
③:一般的なオブザベより、大枠の話
という具合に、整理し直しても良いでしょう。
例)
②が初心者レベルだと、ムーヴ選択や足位置がメチャクチャなので、常に回転力を腕力・握力で抑え込んでいる状態になります。
したがって、①のスタティックや姿勢を意識しようにも、相当な無理が加わります。
「何が最優先だ!」という項目は存在せず、一つずつ改善していく必要があります。
相互に関連しているので、「自分が改善したい」と感じている項目を上達させようにも、他の項目の弱点が「足かせ」になっている場合もあります。
ジム講習では、私の判断で「本日は、この項目を少し改善してみよう!」と話を振って行きます。
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最後に、私が日々感じている感想を書いてみます。
②を苦手とする人が、圧倒的に多い。
要因:
最もパズル的なため、大枠を理解するレベルに達すると(自力で問題が解けるようになるため)非常に面白い。
しかし、入門するのが難しく、ストレスを感じやすい。
典型的には、「こんなことやって、意味あるの!?」などと、ちょっと怒る人もいる。
①は、身体感覚の話なので、パズルが苦手な方でも反復練習しやすい。
典型的には、性格が丁寧&怖がり&パズル的なことは苦手という3拍子揃った女性。このタイプの講習生は一定数おり、彼女たちは①に特化していく傾向にある。
③は、ビレイ中にも考えることになる。
③は、岩場リード、クラックリード、マルチピッチリード、アイスなどを志向する当塾講習生にとっては、必修項目になる。(リスク管理の作戦が立てられないなら、岩場でリードができないため。)
当塾の進級システムによる影響:
初心者レベルにおいては、①を講習することが短期的に成果が出やすい。
↓
①が最低レベルに達したら、ジムリード講習をスタート。
以後、リード講習の実践中は③を中心に講習していく。
↓
②は、岩場では教えづらい。
⚫︎岩場の下部でのムーヴ練習 ⇨ ①が中心(丁寧さ、スタティックの精度アップに注力)
⚫︎リードトライ ⇨ ③が中心(クラックで言えば、墜落距離の計算、どこで固め取すべきか?などの話題が中心になる)
↓
この傾向は、岩場リード、クラックリード、マルチピッチリード、と連綿と続く。
※アイスクライミングだけは例外。
アイスにおいては、②の重要性が高いため。
講習生の気持ち:
半数以上の講習生は、岩場リード講習やクラックリード講習と並行してムーヴ講習を受講しないため、②を講習するチャンスが少ない。
しかも、1〜2回のムーヴ講習受講では概念の理解に至りづらいため、継続受講する必要がある。
(ときどきムーヴ講習を受講するぐらいであれば、①を講習した方が成果は出やすい。)
つまり、理想的には卒業後のムーヴ講習の継続受講によって「フリークライミングの技術向上!」を願っているわけだが、実践できる講習生が少ない。
「卒業したら、一旦は離れたい。」、「フリークライミングの本格的な技術向上は、別のインストラクターに習いたい。」、「グレード向上は、あとは自力で練習すれば良いかな。」
などの様々な思いがあるだろうし、それも一理ある。
ただ、②に自力で到達できる人は非常に少ない。
しかも、②こそがムーヴの本質とすら思う。
(クライミングの本質、と言うと①や③も含むし、ムーヴ以外の諸々も含みそう。)
②を学ばないことは、もったいないように思う。
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まとめると、講習生は全体的に①と③が得意になりがち、ということです。
「では、どうすべきか?」という答えは出ていません。
考えてみると、
構造的な問題:50%
講師の工夫の余地:25%
講習生の意識レベルの高さ:25%
みたいな感覚になってきて、②の大枠まで学んでくれる講習生は一部になるのも止むを得ないかという気もしてきます。
それでも、折に触れて②を講習しようとしていますが、不快感を露わにする人が現れたりして、かなりの困難さを感じています。
とはいえ、私にできることは、
・講習方法の工夫
・タイミング選び
・言葉がけ
などの、一般論の組み合わせでしかないのかなぁ、と思っています。