2026年7月7日火曜日

「手繰り落ち」について考える

「手繰り落ちしやすい人」について考えます。
私自身も、手繰り落ちしたことはあるのですが、確率は最小化したいと常々考えています。

・手繰り落ちしてしまった方
・手繰り落ちしそうなクリップが多いと自覚している方
に役立てば幸いです。
<マルチピッチリード講習@小川山>

パターン①
そのルートに対して、安定して登る技術が追い付いていないため、そもそもクリップ態勢が全体的に怪しい。

例)
・ボルダー出身で、5.12aでも核心ムーヴは突破できてしまうが、5.11後半でもクリップ態勢の安定度が圧倒的に怪しい人。
・トップロープ出身で、5.11でも核心ムーヴは突破できてしまうが、5.10でもクリップ態勢の安定度は圧倒的に怪しい人。

→自分が安全にトライできるレベルのルートを選びましょう。
 安定度や省エネ技術が低ければ、少しグレードを下げても十分に本気トライになります。(オンサイト失敗する、など。)
 易しい課題を安定して登る基礎練習を積んで、将来的には今やりたいレベル(核心部はこなせるので、いつか完登はできそう)のトライができるように目指しましょう。
<2P目>

パターン②
クリップして安心したい気持ちが強すぎる。

クリップを終えると、トップロープ状態になります。
そこでフォールしても、大した墜落距離にはならず、安心です。
また、怖がりな初心者にとっては、「テンション」とギブアップできるメリットも大きいでしょう。

クリップを諦めることは、その場で「落ちます」とコールしてフォールすることを意味します。
これが、ジムのボルト間隔ですら怖いという人は、結構多いです。

「2X+α」で考えるところの、X=50cmであっても、初心者には怖いものです。

しかし、それが故に無理してでもクリップに突っ込んでしまい、かえって事故に遭いやすくなります。
<3P目で敗退を決めて、下降に入る>

パターン③
2本目(3本目)神話。

「2本目(3本目)さえクリップしてしまえば、あとはグランドフォールすることは無い。」という迷信を信じている人は、結構います。

しかし、3本目をクリップする際に手繰り落ちすれば、グランドフォールする方が一般的でしょう。
また、4本目をクリップする際に手繰り落ちすれば、十分にグランドフォールする可能性があります。

要するに、単なる事実誤認です。

<残った時間は、登り返し技術の練習>

パターン④
足のスリップ、身体の回転に無頓着。

手繰り落ちのリスクを十分に把握していれば、保持している手がパンプで限界のときや、指が抜けそうな感覚のときに無理してクリップしたくないと感じるでしょう。

そのため、保持手が限界を迎えて落ちるリスクに関しては、自覚的になります。

その一方で、恐怖心を感じずに足がスリップすることがあります。
ある程度のムーヴ原理の理解が伴ってはじめて「ここで背伸びすると、足がスリップする可能性があるな・・・。」などと予見できます。

登り込んでいるだけでは、全くムーヴ原理を理解できない人も、かなり多いです。
入門書を読んでも、やっぱり理解できない人も、かなり多いです。

独学が難しい人は、年数をダラダラやってもダメだと思います。
習いましょう。
<登り返しの練習>

最後に。

実際は、パターン①〜④だと自己認識しつつも、なかなか抜け出せないという残念なパターンも多いです。

例)
パターン①だと半分くらい自己認識しつつも、自分が核心ムーヴをギリギリこなせるルートをやりたくて仕方ない人。

・「高グレードを登っているところを人に見せたい」という見栄っ張り
・グレードへの執着(自尊心を保ちたい。低グレードで登れずに苦しんでいる自分を認められない弱さ。)
・自分の限界と向き合うアドレナリンが好き(基礎的能力に裏打ちされたチャレンジであれば、尊敬されるべき態度かもしれないが・・・)
・「危険なことを恐々やるのがクライミングだ!」という意識が強過ぎ(少なくとも、ジムでこれは「やり過ぎ」)

などという、自己認識が必要かもしれません。

ときどき、講習生にこれらを熱弁されることがあるのですが、「ダメな生活習慣から抜け出せない理由を、延々と聞かされている」みたいな気持ちになります。
マンツーマンの日などは、ゆっくり気持ちを聞くのは構いませんが、「気持ちの整理をするのは自分自身です。」とは言えますね。