ワイドクラックのムーヴ講習を頼まれて、瑞牆ボルダー。
しかし、午前中はフェースでのムーヴ基礎講習を行うことが多いです。
「ワイド講習を頼んだのに、半日はフェース?」と思う方もいるでしょうから、少し意図を説明します。
<午前中、ウォームアップを兼ねた基礎練習>
理由①
フェースとクラックは、基本的には同じ動きが多い。
例)
・ホールディングがジャミングに変わるだけで、ムーヴ自体の仕組みは変わらないことが多い。
・「手を出すときは〇〇な姿勢で」、「足を動かすときは△△な姿勢で」といった基本中の基本は同じ。
・「岩場ではスタティックで、戻れるムーヴが基本」、「リードは、省エネが重要」などの基本も同じ。
・フォーム(脇を締める、背筋を伸ばす、骨盤、などなど)も基本は同じ。
ちょっと最初は分かりづらいのですが、クラックこそ上記の基本が大切です。
ムーヴもへったくれもない「ガムシャラに、もがき上がる」といった身体操作では、こちらから何かを指摘しても、講習生に変化は見えません。
<午後は、いよいよワイドボルダー>
課題になっていないフェースの10級を見つけることはできるが、クラックボルダーの10級を見つけられないことも多い。
低負荷で無限に登り続けられるぐらいの課題を繰り返し登り、基本を習得することが大切です。
午前中は、ウォームアップを兼ねて、低負荷の課題を何十回も登ります。
10級ぐらいの課題が何本もあるなら、途中で課題を変えることも可能です。
その際、クライムダウンも行い、さらに基本の理解を深めてもらいます。
午後は、お目当てのクラックボルダー。
しかし、1本登るごとに体力を消耗するので、1回ごとに10分以上のレストを挟んだり、動画を撮ったり、私の解説をメモしたりして、時間を有効活用していきます。
それでも、数時間も講習すると筋肉や体力の限界が訪れ、講習終了となります。
<この手の形状では、外足のヒール&トウが肝になることが多い>
ちょっと補足します。
クラックがフェースと同じというのは、
・ジャミング
・フットジャム
・アームロック
・ニーロック
・ヒール&トウ
・バック&フット
などの技術はありつつも、ムーヴの組み立ては概ねフェースと同じであるという意味です。
もちろん、典型的なOW(オフウィズス)のように、一つ一つの技というよりも技のコンビネーションが大切な形状もあります。
個別の技も不安定な初心者に、コンビネーションを教えようとしても、意識すべきことが多すぎて大混乱に陥ります。
また、コンビネーションの解説を理解してもらうためには、手足を動かす順番を正確に意識できるという能力が必要になります。
かと言って、1つだけの技(例えば、ヒール&トウ)を教えても大して楽にはならず、講習の意義を感じてもらうことが困難です。
そういう意味でも、初心者講習では典型的OWや、真っ向ジャミングのルートは、それほど必要ないように思っています。
スタンスやホールドがあって、クラック技術を交えつつ登れるぐらいのルートの方が、基礎練習には向いていると思うのです。
※講習生が、真っ向ジャミングのルート、真っ向OWのルートを登れるように指導して欲しいと思っているのは分かっています。それにより、コミュニケーションに齟齬が生まれ、講習を続けられない方が多いのも理解しています。しかし、それらを最初から教えるのは全然効率的じゃないと思うに至りました。
ちなみに、今回参加してくれたHSさんは、上記の基礎講習を何度も何度も受講した上で、今では真っ向OWでの反復基礎練習が可能なまでに上達しました。
<さすがに、結構上手!>
それでも、1本トライするごとに5〜15分のレストは必要そうです。
「1つアドバイスして、最低でも数回は反復してもらう。」
という流れを考えると、1日に多くの技術習得はできないことがイメージできるかもしれませんね。