講習生が「落ちてはいけないセクション(落ちたら事故になる可能性が十分あるセクション)」でフォールしたとします。
本来、講習では避けたい事態ですが、残念ながら起こることもあります。
事故に至らなければ、私は最初に以下の質問をすると思います。
A)
「落ちてはいけないセクション」であると認識していなかったんですか?
B)
「落ちないだろう」と思っていたムーヴで落ちたんですか?
原則、考えられるミスは、この2パターンです。
3つ目のパターンとして
★落ちてはいけないセクションに入る際に、戻れないムーヴで突入してしまい、最終的に「落ちるかも(ちょっと怖いな)」と薄々感じつつも、ついつい進んでしまった。
というのもあるでしょう。
これは、「落ちないだろう」と甘く考えて戻れないムーヴを選択したと見なして、Bに含むことにします。
講習生に考えて欲しいこと
(反省の思考プロセス)
①「ちゃんと再発防止したい。」
↓
②「私の場合、AとB、どっちだんたんだろう?」
↓
③「Aだとすると(Bだとすると)、今後どういう風に取り組めば改善するんだろう?」
↓
④「具体的な取り組み改善は、
・トライ前、トライ中の思考の話だろうか?
・易しいムーヴの基礎練習の話だろうか?
・ジムで登るときの意識改革が必要なんだろうか?」
↓
⑤「自分なりに考えた反省点を石田さんに聞いてもらって、ブラッシュアップしてみよう。」
当塾では、素人さん相手であっても④と⑤をちょっとずつ教え込もうとしています。改善案は突き詰めると
⚫︎ムーヴの安定感
⚫︎戻れるムーヴの選択
⚫︎考える余裕
⚫︎リスク管理も含めたオブザベ
といった内容になって来ます。
ただ、ときどき思うのは、講習生は①〜⑤のような反省の思考プロセスに慣れていないことも多いです。
「落ちちゃったから、次は気をつけよう。」くらいの会話で、「近いうちに、また落ちそうですね。」と私が感じてしまう場面もあり、議論の温度差を感じるものです。
登山関係者は、事故・ヒヤリハットがあるので、反省の思考プロセスは頻出項目です。
山岳会のリーダークラスであれば、「この思考に慣れていないなら、怪しいですね。」と私は思います。
講習生でも、お医者さん、消防士さん、弁護士さん、経営者さん、コンサル業の方など、明らかに慣れてそうな職業の方もおりますが、そうでもない方も沢山います。
思考プロセス自体を講習で説明することも、ときには有効だと思います。ただ、この思考プロセスがなかなか馴染まない人も、本当に多いです。
彼らには、その思考方法に慣れている人と積極的に関わり、色々な議論をするが最良だと感じます。
・プロ意識を学ぶなら、その業界の本物と思われるプロに付いて修業せよ。
・トレーニング意識を学びたいなら、トレーニング意識が高い集団に入れ。
とかと似ています。
師匠に付いて一定期間を学ぶ意義は、意識改革にもあります。
しかも、この手の意識改革は、若い人でも数年間かかるのだということも理解しておいた方が良さそうです。
教わる側と教える側、どちらも長期戦の覚悟を持って接し、焦らず前を向き続けましょう。
もうちょっと、話は微妙です。
「落ちても安全」なセクションと、「落ちてはいけない」セクションの中間ぐらい、「多分、落ちても大丈夫だけど、落ちない方が良いだろう」というセクションでの出来事でした。
具体的には、
「垂壁面でランナウトしていないんだけど、落ちたらぶつかりそう岩とか立木が見えている」
などの状況です。
実際、ランナウトしていないので、ちょっと痛いけど怪我しないで済む確率は高いように思います。
なので、「落ちてはいけないセクション」よりは、「わずかに落ちる可能性を感じつつも進む」という選択も、考えられます。
とはいえ、この状況で頻繁に落ちているようだと、怪我をする日も近いです。