2016年5月21日土曜日

苦しいときこそ

5月20日(金)は、リード3回目。
筆談クラスにて、男性OHさん、女性ODさん。
最後の本気トライにて、OHさんにクリップのタイミングについて色々と指摘をしていると、
「苦しいときは、ランナウトの距離まで頭が回らないこともあります。」
という告白が。

「それは、ダメです!」
と、私。

苦しいときこそ、
「今はランナウトしてないから、一手出してみよう!」
と自分を励ましたり

「ここで頑張り過ぎると、事故になっちゃうかも。」
と自分にセーブを掛けるべきです。
これが出来なきゃ、本当にヤバいですよね。
でも、過去の例を紐解けば・・・。

クラックリードの講習生から、
「すごく簡単なときと、すごく難しいときは、カムを忘れそうになります。」
という告白を受けたことも。
前者はともかく、後者は死亡リスクが高すぎ!!!

そんな訳で、今後に向けて、必ず修正して欲しいポイントです。
クライミングの冒険性が高まるにつれて、さらに重要性が増しますから。

具体的な講習内容
・ブレーキハンドの位置
・しゃがみビレイ、離れビレイの比較検討
・落ちる練習(リスク判断、ビレイ位置、などの修正。および、恐怖センサーを徐々に適正にしていく意識。)
・実践本気トライ
ODさん:薄かぶり面5.10b 5ピン目あたりで、クリップ態勢が作れず、落ちます宣言してフォール
(ナイスな判断でした)

OHさん:短い垂壁5.10c 終了直下のムーヴ解決できず、何回かフォールして敗退

お二人は、これにてジムリード講習を卒業といたしました。
もしよろしければ、岩場リード講習でお待ちしております。

2016年5月20日金曜日

ハングドッグの誘惑

5月19日(木)は、ムーヴLv.1。
女性Sさん、女性WNさん、女性UNさん。
本日、WNさんとUNさんの本気トライは、ハングドッグ練習。

グレード、ホールドの見た目からして、2人にとっては
「オンサイトの見込みゼロ!?」
ってイメージのルートに挑戦です。

「ムーヴ解析練習が目的なので、一手ごとにテンションして確認するぐらいでも良いですよー。」
と、トライ方法を指定です。

ただ、なんとなく嫌そう。
「無理じゃない?」
っていう不安とともに

UNさんは
「ルートで、ボルダーみたいにムーヴ分解するのは、やりたくない。」
と明言する場面まで。
「ハングドッグしてムーヴ探るのが、反則っぽく感じるってことですか?」
 と、ヨーヨースタイルの話を引き合いに尋ねるも、ちょっと違う様子。

よくよく聞いてみると
・積極的にテンションを使うと、リードのリズムが崩れそう。

その結果として
・オンサイトトライで、すぐにテンションって言ってしまって、2便目R.P.の癖が付きそう。

つまり、ムーヴは上手くなるが、リードには弱くなるんじゃないか?
という懸念をしている感じ。

私も、明確な回答ができないので、モヤモヤが残ったまま講習を続行・・・。
講習終了後にWNさんは
「そこまで考えてハングドッグ練習している人は、弱くならないんじゃないかな。考えなしにやってたら、そうなるかもしれないけど。」
と言って、UNさんを納得させておりました。

さすがですねー。
ちょっと嬉しくなる、やり取りでした。

具体的な講習内容
・ホールドに指を馴染ませる
・ホールドの向きに、肘を合わせる
・フラッギングの仕組み
・リードで落ちる練習

・実践本気トライ
Sさん:短い垂壁5.10b オンサイト
UNさん:垂壁5.11b ハングドッグして4クリップまで
WNさN:垂壁5.11b ハングドッグして3クリップまで

2016年5月19日木曜日

セルフビレイ忘れ

5月18日(水)は、クラックリード講習にて、小川山のお姫様岩。
男性ONさん、女性MTさん、女性MMさん。
<乾きは最高>

本日のエリア、講習で使うことは稀です。

1つの理由に、取り付きがセルフビレイが欲しいくらい狭い、というのがあります。
<恒例のハンドジャム練習>

本日は、
「むしろ、それを積極的に取り入れるのもアリかな。」
という目論見もあって、こちらへ。

前日が大雨でも乾く、ONさんに様々なルートで本気トライしてもらいたい、などの諸事情も・・・。
<終了点より、テラスを見下ろす>

やや広いテラスなので、1つのセルフでは端から端まで歩けません。

そこで、複数個のビレイポイントを作って、次のセルフビレイを取ってから、これまでのセルフビレイを外す、という作業を繰り返します。

ヴィアフェラータのように、無確保状態を避けて、移動するのが望ましいと。
と、ここまでは皆さんバッチリ理解。

ところが、ルートを登り終えて、テラスに降りると、セルフビレイを取る前にロープを解こうとする事例が頻発!
クライマーは、地上に降り立ってホッとしてしまう、という心理でしょうか?

そのときに、ビレイヤーもロープから手を離してしまう事態が頻発。
ビレイヤーも、安心してしまう?
<まずは、トップロープで>

特に女性2人は、
「こういう、ちょっと簡単なところで気が緩んで事故って起こりそうですね。」
と何度も口にするぐらい。

「慎重になろう!」
という心意気は感じます。

それでも、ミスは夕方まで、チラホラ続きました。
<実は、この下は絶壁>

この件、マルチピッチリード講習でも、研修登山の沢登りでも注意を続けることです。
つまり、一撃必殺で意識改革させる指導方法を、私は知りません。

私が悪いのか、習慣づくまで仕方ないのか、どちらの要素もありそうですね。
<ONさんのリードトライ>

具体的な講習内容
・テーピングの巻き方
・カウテールの作り方
・セルフビレイの移行
・ハンドジャム練習
・ニーロック
・ヒール&トウ
・スメアリングで、壁の内部方向に押す意識
・カムの使い方(触り程度)

・実践本気トライ
ONさん:ネイキッドクラック(5.10a) R.P.(トップロープで5回ほど練習したのち)
カミイルート(5.10b) 敗退
結果は、前者で完登、後者で敗退でした。
しかし、前者は安全基準が緩いように感じられ、見ていて不安でした。
一方で、後者は十分にカムの効きを確かめてから突っ込んでいったので、見応えのあるトライでした。女性2人も、感動したようで。
前回とくらべて、格段に良いトライでした。

2016年5月17日火曜日

若干のパニック

5月14日(土)、15日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性HKさん、女性KIさんのペア。
<懸案の1ピッチ目>

1日目の1ピッチ目、KIさんリード中のこと。
1ポイントのルーフ越え(といっても、正確にはルーフ巻き)があります。

そこから、5~10mくらい先に立木もあったのですが、ルーフ越えでロープがクラックに挟まってしまい、それ以上登れなくなってしまいました。
<ルーフ抜け口に、ロープがスタック>

そこで、若干パニック気味のKIさん。

何度か前進を試みるも、上手く行かず。
垂壁部分もなかなか難しく、ロープに下から引かれることで、さらに恐怖倍増。

このとき、本人の頭の中では、敗退か前進しか思いつかなかったのでしょうか。
<後半の垂壁部分(やや傾斜の寝たクラック)>

そこで、下から
「ルーフを越えたところで、ピッチを切っても良いですよ。」
と助け舟。

「ただし、(そこの垂壁部分で)バッチリのカムが複数個とれるなら。」
<シャクナゲ>

実際、それには問題なく、ハンギングのビレイポイントを作成できました。

で、そこでピッチを切って、後半の垂壁部分をHKさんのリードに委ねることに。
<今度は、プラスの興奮気味>

ここで、私とHKさんがフォローしてみると、ビレイポイントの連結がゴッチャゴチャ。

ハンギングビレイの“講習生あるある”なんですが。
<数々のドラマを産んでます>

足場が悪いから、ビレイポイント作りにも心に余裕が持てなかったのでしょうね。

「一刻も早く、セルフビレイ!」
「一刻も早く、この場から抜け出したい!」

という心理で、スッキリしたビレイポイントとは程遠くなっていきます。
<天空のボルダー?>

地上での練習なら、複数個のカムを決めてから、流動or固定分散をおもむろに始めることができます。

でも、現場だとまず1個目にクリップしたくなります。
それがハンギングだと、是非ともセルフビレイ。
慎重な人なら、そこも2個?
<気持ち良い>

でも、これって経験ですよねー。
仕方ないと思います。

特に、“セルフビレイのうっかり外し”なんかと違って、致命的ではありません。
失敗した数だけ強くなる、ってので良いと思います。
<完登!>

ただ、何度も同じことをやるってのは、反省に失敗していると思います。

そこで、こういうことが多い初級者に、私なりのアドバイスをすると。
<まさかの登り返し練習になった、空中懸垂>

「ゆっくり考える時間を作る。
スピードが要求されるようなルートには、当面は行かない。」
<2日目>

最近、講習生以外が見ていることを冨に感じるので、こういう書き方になりました。

が、講習生限定で言うなら、
「当面、ショートルートで色々なトラブルを経験してもらって、マルチ講習を卒業するくらいまで、なるべくマルチは仲間内で行かない方が・・・。強い人に面倒見てもらって行くなら、まだ分かるけど。」

といったところ。
<チムニーっぽい>

ちなみに、1日目のパニックは、尾を引かずに復活できました。
しかし、2日目の昼にも若干のパニック発生。

プロテクションが悪い状態で突っ込み過ぎてしまい、クライムダウン出来なくなる恐怖・・・。

今度は、それでメンタル崩壊してしまい、午後はずっとイマイチ。
終始、気遣われながらのクライミング。
<2ピッチ目>

講習やショートルートなら、良い経験だったで済むことが多いけれど、普通のマルチだったら結構リスク高いと思います。

しかも、敗退が難しい本チャンだったりしたら、本当に死ぬ確率がリアルです。
<メンタルチムニー>

色々言っておいて何ですが、僕も山でパニック気味になることはあります。

ただ、それはダメなことだと自覚して、先読みを頑張ったり、リカバーに努めたり。
そういうもんですよね、特にマルチから先の世界は。
<夏のよう>

さて、本日でHKさんは、マルチピッチリード講習を卒業といたしました。

なんとなくの感想ですが、春くらいから質問内容が本当に変わって来たと思っています。

僕から講習するというよりも、本人が聞いてくる内容に沿って話を進めて行けば、自然と講習として形になるという感覚でした。 
<トップアウト!>

「ってことは、講習に来なくっても、ときどき強い人に質問してれば、自然と強くなるんじゃない?」
という気持ちにもなりました。
<本日も、良い岩峰でした>

もちろん、私の見立てが合っているという保証はどこにもありません。
でも、あえて言いましょうか。

かなり、良い感じになっていると思いますよ。

2016年5月16日月曜日

ボルトから何メートル離れて良いの?

5月13日(金)は、岩場リード講習にて、小川山。
NS夫妻、復習参加の女性KIさん。
<快晴ですね>

NS奥さまの本気トライにて、ボルトラインから2~3mと大きく逸れて、ほとんど隣のルートに入ってしまいました。

講習に限らず、あるある話ですよね。

「下で考えたラインと違うところを登っても良いんですが、落ち着いて登るようにしましょう。
ボルトから離れると危ない場合もありますんで、落ちそうでもボルトから近い方が良いときもありますよ。」

というのが、講習的にはメインでした。
実際、ちょっと焦り気味だったので。
<スラブのムーヴ練習>

ただ、初心者あなどるべからずで、核心的な質問が今回も出て来ます。
「これ、登ったことになりますか?」

取付からボルトに経由しつつ、自分なりに弱点ラインを探して登りきった。
という意味では、完登ですよ!
もちろん、フリークライミングという意味でも、テンションもしていないのでO.K.。
<地上でのロープワーク講習>

ただ、ボルトを打った人が登ってほしいラインからは外れているので、“~~”っていう名前の付いたルートを登ったことにはならないでしょう。

今回の場合、NS奥さまが選んだ弱点ラインは、2~3mも離れた隣のボルトルートでしたから、
「そりゃ、ダメじゃない?」
って話です。
ちなみに、NS奥さまとは反対方向に、ボルトを1.5mくらい離れたラインが、初登者が意図したラインだと思います。
ボルト近くを直上ではないので、初心者には左右どちらか迷うのも納得。

※弱点ラインの1m横とかに意図したラインがあったりすると、「限定されている感」が強くなるので、設定者に文句を言いたくなる気持ちは分かります。
実際、人によってアリナシが分かれたりして、難しかったり。
ちなみに、ジムじゃないので、そこまで求めるべきじゃないという話もあります。とはいえ、再登者が大事だという話もあります。
スタートが決まれば、自然と終了点に導かれるようなラインが理想ではあります。

でも、実際の岩って、あみだくじ状に弱点ラインが交錯していたりします。
特に、初心者レベルの5.8~5.10くらいのスラブっぽい壁ですと、よく見かけます。

そんな訳で、
「2本目のボルトまで左ルート、そこからトラバース気味に、3本目のボルトから右ルート。」
みたいなことも可能だったりします。

「いや、むしろそれこそ弱点を付いた美しいラインなのでは?」
と思うときもチラホラ(笑)。
で、それはクライミングとして、アリ?ナシ?

それは、再登者である我々が、ラインを登りたいのか、設定された課題を登りたいのかにもよります。
個人的には、よっぽど限定っぽくて理不尽に思わない範囲なら、ボルトルートは設定されたラインを登るようにはしています。
<落ちる練習>

初心者には、とても難しい話だと思います。

最初に、岩を見てラインが複数読めます。
次に、ボルトを見て。

「たぶん、この辺のラインを登れって意味なんだろうな。」
と読み解く。

つまり、何メートルまでO.K.とかいう話じゃなく、このラインは初登者的にアリかナシかを読み解く作業になります。
<オーウェン>

僕自身、ボルトルートの開拓経験ゼロです。
でも、こうやって意図を読み解くことは、やらざるを得ないと思うんですよね。

しかも、講習生のような初心者であっても、やるしかないと。
<ウルトラセブン>

岩場リード講習では、まだボンヤリかもしれません。

でも、クラックリード講習、マルチピッチリード講習と進むと、ラインを読む発想が現実味を帯びてくると思いますよ。
<このあと、迷いに迷う奥さま>

具体的な講習内容
・スラブのムーヴ練習
・リードで落ちる練習
・立木での懸垂下降の地上練習(NS夫妻)
・実践本気トライ
KIさん:穴があったら出たい(5.10a/b) オンサイト
    オーウェンのために祈りを(5.10c) 上部フラッシュ?(下部は、落ちる練習に使用)
NS奥さま:かわいい女(5.8) 上述の通り、設定とは違うラインでオンサイト
NS旦那さま:かわいい女(5.8) 暗くなってしまい、1クリップまでで敗退

2016年5月13日金曜日

レストは、リードの基礎

5月12日(木)は、ムーヴLv.0が2回戦。
1コマ目は、女性MMさん、女性HNさん。
2コマ目は、女性MMさん、女性KKさん、女性SMさん。
“レストポイントで作戦を立てる”ってのは、リードでは必須事項です。

聞いたところによると、とある先輩ガイドは、それが出来るまではリードは教えないそうです。

「5.10前半ぐらいは、オブザベせずに取り付いて、登りながらレストポイントでオブザベすることが出来るぐらいでなきゃダメだ!」
というイメージです。

僕の場合は、もうちょっと緩い基準でジムリード講習に参加O.K.とはしています。

でも、講習段階が進むにつれ、これが出来ないと話にならないです。
ジム、岩場、クラック、・・・という具合に。
特に、マルチ以上を目指すなら、オンサイトトライに強くならなきゃいけませんしね。たとえ、グレードは低くとも。

意識して頂ければ、必ず出来ると思いますので、じっくり取り組みましょう。
具体的な講習内容
・一手一手レストする練習
・カラビナの持ち方
・ロワーダウン姿勢
・肩の脱力(1コマ目、HNさん)
・トップロープのビレイ(1コマ目、HNさん)
・反動を使った動き(1コマ目、MMさん)
・腰を入れて、上半身をやや反らすレスト態勢
その他、ちょっとした動きのコツを色々

1コマ目の女性MMさん、2コマ目の女性MMさん、女性SMさんは、次回からジムリード講習に参加O.K.です。
もちろん、ムーヴ講習でしばし技を磨くのもアリですので、御一考くださいませ。

2016年5月12日木曜日

習う順番、独学の順番

5月11日(水)は、ロープワーク講習にて、ストーンマジック。
岩場リード予定だった、女性SMさん①、女性SMさん②(2人は同姓ではないです)、男性NSさん。
<皆さん、ロープワークをやりたかった様子>

自分が覚えて来た順序と、講習する順序ってのは、まるで違います。

例えば、ロープを絡ませないコツいろいろ。

僕の場合は・・・
大学生の頃の沢とか、新入生にロープワークを大学で教えるときとか、マルチピッチで酷く絡ませてしまって30分ロスしたりとか。
<それぞれの課題練習>

「自分がダメだってのは分かるんだけど、なんでダメか分かりません!」
っていう、苦い思いを繰り返して。

自分でちょっとしたコツを発見したり、周りが知っているコツを共有してもらったり。
<立木での懸垂下降>

で、教えるとなると要素を分解したいので、ロープを畳む練習をするとか、そういう発想になります。

ロープがちょっと絡む場面だけを、なんども繰り返し練習したいので。
<“最近キテる”らしいSMさん①>

独学中心なら、いっぱいロープを絡ませて悩んだ時間がクライマーを育てるはず。

だから、
「ロープの畳み方を見れば、その人のレベルが分かる。」
などと言われる訳です。

習う場合、かなり経験の浅い段階で、ロープの畳み方だけは上手くなるという話。
<フィンガージャム練習>

これって、スリングの収納などのギア操作、ジャミングのコツ、なんでもそうですね。

あんまり習うと、自分で考えられない弱いクライマーになるという説もあります。
僕の生き方へのアンチテーゼみたいなもので、自問自答の日々です。

今現在は、案外そうでもないなと、私は思っています。
講習の初期段階は、コツだけ上手い人かもしれませんが、コツを場面ごとに応用するのは本人の頭ですからね。
5年くらいしたら結構強くなるんじゃないか、と過去の講習生を見ていても感じるので。
<初めてのジャミング>

具体的な講習内容
・ロープの畳み方を洗練
・スリングの収納、アルパインクイックドローの作り方
・ショートルートの終了点作業(SMさん②、NSさん)
・懸垂下降の仮固定、登り返し(SMさん①)
・フィンガークラック練習