2021年11月25日木曜日

最も弱い輪の原則

10月31日(日)は、岩場リード講習にて、女性YZさん、男性HDさん、男性NNさん。
11月2日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性IGさん、女性YDさん、男性NYさん、男性TNさん。
11月3日(水)は、岩場リード講習にて、男性KBさん、男性HDさん、女性SHさん、男性MBさん。
11月4日(木)は、ムーヴLv.1にて、女性WNさん、女性MKさん。

『パフォーマンス・ロック・クライミング』に、「最も弱い輪の原則」という項目があります。

私なりの理解では・・・
筋力、柔軟性、個別の様々なムーヴテクニック、省エネ技術、オブザベ能力、本気トライの心構え、O.S.戦略やR.P.戦略、安全管理(リードで言えば、墜落距離の予測、落ちる態勢の上手さ)。
といった、様々な要素の中で、自分の弱点がパフォーマンスを決定づけるという話です。

しかも・・・
・人間は自分の得意分野に固執して、それを他人から評価されたがるという厄介な傾向がある。(ゆえに、同じトレーニングを繰り返してプラトーになる人が多い。)
・トップクライマーの真似をすれば上手くなると思ってしまう人も多い。

ゆえに、自分の弱点探しこそが、トレーニングの大半を占める。
という、ありがたい話です。

さて、ここからは私の感想。
パフォーマンスが何を指すのか、つまりは自分が何を目指しているのか、ということ自体が、本当に難しい問題だと思っています。

例えば、「1年後に〇〇というルートを登る。(O.S.目標、R.P.目標、など)」ならば、ある程度は明確です。
頭の良い人なら、弱点の算出を高確率でできるかもしれません。
しかし、「1年後に5.11bを登る。」となると、課題によって求められる能力が違うため、弱点の算出は複雑になり、結局は焦点化したトレーニングはできないかもしれません。
(焦点化せずに色々とやることは総合力のあるクライマーを育てる部分もありますが、この本では、焦点化したトレーニングで最高の練習効率を推奨。)

さらに、私が講習で目標としているような「自力で、まともなクライミングができるようになること。」は、弱点の算出がなかなか難しいです。
私から見れば明らかに弱点と分かっても、それが本人にとって弱点と自覚できるかも難しい問題です。

また、私個人の話です。
スポートルートで言えば、明らかにカチが弱点ですが、これを単純に鍛えたいとは到底思えません。
ただ、身体全体で保持するような意識で指の力を補ったりすることには、ウォームアップなどの基礎練習中に取り組んでいます。
経験上、これに取り組んでいると、むしろカチより他の能力に向上を感じます(笑)。
テクニックが向上したり、スローパーが若干向上したり、傾斜壁耐性が少し付いたり、・・・。
カチも、わずかには向上します・・・。
もはや、これは「最も弱い輪の原則」っていうか、地味だけど全般に効くトレーニングなんじゃなかろうか?とも思っています。

あとは、「フォームを直して将来的な故障リスクを下げよう。」という観点も大切だと思います。
これは、10年後のパフォーマンス(維持or向上)を目標として設定した場合、ほとんどのベテランクライマーにとっては、フォームが弱点であるからです。

他にも、「10年後も、山や岩場を元気で登れるように。」という目標設定をすれば、安全管理こそが弱点になるでしょう。
偶然に事故が起こっていないだけで、リスク管理に十分というものは無いはずなので。

色々書きましたが。
「自分自身が練習でわずかな向上を感じていれば、最も弱い輪かどうかはさておき、練習を楽しめば良いのではないか?選手のような期限の決まった試合がある訳ではないし、誰かとグレード競争している訳でもないし。」
と、最近は思っています。

ただ、それでも「最も弱い輪の原則」は意識しています。
明確な弱点があれば、それは直したいですしね。
自分自身のことであれ、講習生のことであれ。