2025年10月15日水曜日

リードの思考

「リードを教える」ことに主眼を置き、生活している私です。
しみじみ、2つのことが重要であると思います。
<岩場リード講習>

①安全な状況では、「一手出して落ちる」習慣を付けるべし。

典型的には、クリップを先行させることに成功した「トップロープ状態」です。
この状況で、「テンショーン・・・」などと言ってギブアップする癖を無くすことが、最初の一歩です。
(せめて、「落ちまーす」と言ってフォールしましょう。)

「だって、怖いものは怖いじゃん。」とか、「今はトップロープ状態でも、あと数手登って次のクリップまで行けなかったらトップロープ状態じゃなく落ちることになるから、もっと怖いじゃん。」とか、色々なボヤきは重々承知しています。

その一方で、これが出来るようにならないと、リードクライミングの安全管理の理解はボンヤリしてしまいます。
トップロープ状態、トップロープ状態+α(ちょっとだけリード状態)ぐらいのフォールを頻繁に繰り返すことで、リードの判断・落ちる姿勢・ビレイなどがようやく腹落ちしてくるのです。
<5.9以下でも、1本目が6mぐらいの高さにあることは日常茶飯事>

②「落ちてはいけないセクション(危険ゾーン)」では、「戻れるムーヴ」で登ること

・スタティックムーヴへの執着
・逆再生可能ムーヴの選択(稀に、スタティックでも戻りづらいムーヴが存在する)
・肝になる部分は、ホールドの暗記(クライムダウンしてくると、発見しづらいホールド・スタンスへの注意)
・特に気になる場所は、ムーヴの暗記(本人のオブザベ能力・ムーヴ暗記能力に、かなり依存する)

補足)
①が苦手だと、危険ゾーンと安全圏の境界線把握が曖昧になります。
①が苦手な人は、そもそも「恐怖とリスクの判別」という発想が弱いことが多いため、判断力が向上しづらいでしょう。
<マルチ講習@三ツ峠>

もう少し、別の角度から見てみます。

例えば、リード状態(トップロープ状態ではなく、腰位置が最終プロテクションより上)で行き詰まった(登れそうもない)とします。

取りうる選択肢は、2つしかありません。
●フォールする
●クライムダウンする

状況によっては、フォールは怖いだけ(どこにも激突しそうもない)でしょう。
状況によっては、フォールは死亡を意味するでしょう。

これを意識し、現状の安全度、数歩先の安全度、などを考慮して歩みを進めます。
これが、リードクライミングの思考です。
<今回で卒業とした、YZさん>

本当にリードを覚えたいなら、この思考に慣れる必要があります。

逆に、この思考を妨げる悪癖を考えてみます。

●ジムでリード中に、自分が落ちられないぐらいクリップのタイミングを遅らせてランナウトし、怖くなってルート外のホールドを掴んで、事なきを得た。

これを3本目ぐらいで行って、本当に危なっかしい人もいます。
ルート最上部で行うのは理論上は怖いだけですが、「その識別が怪しい」と見える人も多いです。

この習慣は、上に活路を求める登り(「上がっちゃえば楽になる」的な発想)を状態化させてしまいます。
リード状態では、潔くフォールするか、クライムダウンするかの2択です。(安全の担保は、上ではなく、下に求めましょう。)
他の選択肢を常態化させることは、思考力の成長を歪ませます。

大原則は、
「落ちられる範囲or戻れる範囲のどちらか一方でしか、ランナウトしない方が良い。」
という話です。

そもそも論として、ジムではボルトは十分な数だけ配置されているので、「常に落ちられる範囲」に収まるようにクリップのタイミングを調整すべきでしょう。

※「常にトップロープ状態」というのは無理でも、「常に落ちても危険でない状態」を維持することは、ほぼ可能。「初級レベルでも、膝下程度のフォールは許容する。」という前提条件があり、ここが成長の壁になりやすい。
<クラックリード講習@瑞牆>

この理念が骨身に染みてきて、「(この講習生は)リードの思考を理解したな。」と判断しています。
(実際には、歴代講習生の中でも理解度に相当なバラつきがあります。ほぼ完全理解と呼べるのは、未だ10人未満という気がするのは、私の胸が痛むところです。)

リードの思考は、あらゆるリードクライミングにプラス効果があります。

・ジムリードでは、落ちるまで頑張れる(結果として、ロープの足絡み・ビレイにも敏感になる)
・ボルトルートでは、「落ちてはいけないセクション」と安全圏を明確に意識した、メリハリのある登りになる
・クラックでは、プロテクション戦略がまともになる(核心で固め取り、落ちられる範囲のランナウト、など)
・クラックで、いい加減なカムセットをしなくなる(易しいセクションでランナウトする場面でも、セットする少数のカムは正確に!)
・本チャンや沢登りでは、ほとんどが「落ちてはいけないセクション」であると自覚して、戻れるムーヴに執着するようになる

思考の流れは説明を割愛しますが、上記を理解したことにより
・ボルダリングの重要さが腑に落ちる
という効果もあります。

つまり、リードの思考に慣れることは、安全管理のみならず、登りのレベルアップにも繋がります。

※リードの思考に慣れる過程で、トップロープの自制、ジムでルート外ホールドの自制などの禁欲的な行動を行う必要があります。その際に、一時的にR.P.を狙えるグレードが下がりますが、そこは耐え抜いてください。特に、「リードの思考」や「リードの登り」からかけ離れている人ほど、グレードは大きく下がります。
<チムニーの練習>

私にとっての課題は、この思考の枠組みを教える方法です。
経験によって分かる部分もある一方で、場数を踏んだことが悪癖に繋がって修正困難になっている人も多いです。

日々の講習の中でも考えますし、運転中や布団の中まで「あの人には、こういう順序で教えてみたら半年〜1年後(月1〜2回の受講を想定)には伝わるだろうか・・・」と作戦を練っています。

結局のところ、レスト、足置き、スタティック、オブザベ、落ちる練習、と言った基礎中の基礎が大事だと年々痛感しています。
現状で高グレードが登れることよりも、私の感覚としては遥かに将来的に大切です。

一例として
「健全な判断は、健全なレストに宿る」
という話が挙げられます。
<岩場リード講習@七賢の岩場>

補足として、リードの思考はグレード向上にも寄与します。

●まともなリードの本気トライができること
●ムーヴの基礎中の基礎の精度が上がること
●ボルダーの重要性が理解できて、実際にトレーニング時間の何割か(8割以上でも良い)をボルダーに割けること

の3点により、1〜数年後にはグレードも向上するはずです。

ちなみに、リードの思考が骨身に染みると、
・グレードが書かれていないルートへのトライ
・グラウンドアップのオンサイト開拓
などにも応用可能です。

登山業界におけるリードって「道を切り拓く」みたいな意味だから、当たり前なんですけどね。

2025年10月3日金曜日

富士山周辺のあれこれ

今年は、富士山における雑学(観光案内のネタなど)へのモチベーションが少し上がった年でした。

理由①
榎戸さんを筆頭に、太子舘ガイドみんなが年々詳しくなっていて、劣等感が強まる。(もともと観光ガイドは苦手分野・・・。)
今年は富士山直前時期は仕事が忙しく、7月の富士山も人手不足で連続勤務が多かったため、お勉強する時間がほぼ無し。結果、昨年以上に自分の観光案内がダメだった。

理由②
今年の8月後半、岩場は暑すぎるように思えた。
7月の富士山ガイド明けでは、とても成果が上がりそうになかったので、ジムでトレーニング主体にした。
結果として、山の準備・片付けが無いので、空き時間があった。

「富士山ガイドは観光案内が本分では無い」のですが、「下手すぎるのは良くない」のも事実です。
お勉強をしても、記憶が脳内で関連付けられないと意味がないので、この機会に富士山周辺を少し歩いてみることにしました。
<ワゴニア>

さて、先日のメジャールート(御殿場〜富士宮、須走ピストン)に続き、今回は有名だけれど登山道でないライン(or廃道)を交えるシリーズ。

初回は、ガイド仲間の企画に乗っかり、ワゴニア見学。
昔は、車両規制などは無かったので、どこまで頂上を目指せるかやってみて、動けなくなった車両だとか・・・。

御殿場〜須走へとトラバースして行く踏み跡は錯綜しているので、砂場のキックステップみたいな感じも交えつつ。

3時間のハイキングですが、アクティブレストを兼ねて、楽しめました。
<ガイド仲間の2人>

<富士山の沢状地形は、溶岩流によってできたものや、崩れ(崩壊)でできたものなど>

<沢状地形を渡る>

<今回、めちゃくちゃ見かけたフジアザミ>

<車の都合もあり、須走〜御殿場に戻る>

2回目は、富士の樹海。
大室山周辺のハイキング。
今回は、榎戸さんが仕事の下見がてら行くのに、ガイド仲間2人で便乗させてもらいます。

私は、学芸大学の冒険探検部に9ヶ月間だけ所属していたのですが、そこの新歓合宿がこの辺りでした。

・前夜泊する際に自殺しようとしている女性を発見して、先輩が車で病院に運ぶ。
・読図練習として、何グループかに別れてオリエンテーリング。(尾根と沢が不明瞭な地形なので、難易度は少し難しい。ただ、巷で言われているよりもコンパスは効く。)
・風穴、氷穴に入ってケイビング体験。
・夜は、探検部あるあるの無茶ぶり飲み会。

という思い出深い場所です。
<風穴>


<大室山>

<富士山が見えるポイントチェックに余念がない榎戸師匠>

富士吉田市街、大月〜河口湖の高速、三ツ峠の岩場(マルチ講習中)の3カ所からの富士山は見慣れています。
樹海からだと方角が違うため、富士山の形が違って見えます。
<しばらく行くと、富士山がめちゃくちゃ見えた>

今回も半日コースにて、アクティブレストな感じ。
3回目の最終回は、御中道の一周。
こちらは、9月中旬になってから。

経験者の話によると12時間ぐらいとの見積もりで、道も廃道化しており、割と本気の登山です。
GPS無しで行きたかったので、それを了承してくれるガイド仲間のS君と。

暗いうちにスバルライン五合目をスタートし、明るくなるぐらいに、吉田ルートから踏み跡に入って行きます。
しばらくして、須走に到着。
<須走の御胎内を見学>

須走〜御殿場までは踏み跡不明瞭ながら順調。
午後は雨予報ですが、朝から降ったり止んだりに・・・。

宝永山も一応寄っておくと、暴風。
宝永山には巻き道があるため、「ツアーなら、本日は巻き道を選ぶかも」という感じです。
富士宮〜大沢崩れまでも、踏み跡を追うが、頻繁に見失う。
地形図・コンパス・山勘で、踏み跡と再合流したり、見失ったりを繰り返しつつ、進む。

<コンパス、地形図によると、大沢崩れ付近にいると思われるが、ガスり過ぎて判別不能>

<ビショビショでも楽しそうなS君>

大沢崩れ周辺を2時間ほどウロウロして、ようやく話に聞いていた渡渉ポイントを発見。
時間切れ敗退リミットの直前、もう諦めて富士宮に戻る10分前ぐらいでした。

大沢崩れを越え、暗くなる1時間前に大沢泊まり所(御庭〜大沢崩れにおける、廃道ではあるが割と明瞭な踏み跡の終点)に到着。
ホッと一安心。

ですが、最後のスバルライン直前で踏み跡を本格的に見失います。
しばらくはコンパスだけを頼りに、スバルラインを目指します。

が、暗くなって30分ほどして、いい加減に自分たちの地形図読みに自信を失い、Googleマップで現在位置を確認しました・・・。

個人的に、非常に残念な結果でした。
※山行自体は楽しかったのですが、私にとっての当初目的は敗北という意味。

さて、敗因分析。
①思ったより大変なので、小雨の中で行くと通過危険場所が増える。クライミング経験者でないと、ロープが欲しいぐらいの場所もある。ガスの影響もあり、ルーファイのロスタイムが何時間になるか読みづらい。
→本気で完登(巡り?)を狙うなら、天気予報を見ての延期もあり得た。思った以上に余裕は無いので、御胎内見学カット・宝永山を巻き道でカットなどをして、10分ずつぐらい時間短縮しても良かった。

②大沢泊まり所で、「もう勝った!」と安心しきって、そこから地形図をそれほど凝視しなくなった。踏み跡を追うことだけは頑張り続けたが・・・。
→正式登山道に到着するまで、かなりバッチリな登山道跡でも油断すべからず。

③暗くなったところで、ライトを見かけたので「もうスバルラインに到着したか?あるいは明瞭な登山道をナイトハイキングする登山者か?」と思って駆け寄ると、キノコ狩りと思われる人で、その場で別れた。そこに駆け寄っていった5分ほどで、さらに現在位置の把握がいい加減になってしまった。
結果、そこからコンパスだけで踏み跡の無い樹林帯を歩く際に、若干の不安が拭えなくなってしまった。
→②の話と同じ構図。

最後は、暗い中でスバルラインを目指してコンパスで適当に斜面を降り続けましたが、さすがに翌日の仕事やら、遭難連絡人の心配も頭をチラつき、観念して携帯GPSを付けてしまったという顛末です。
※結果としては、スバルラインから徒歩10分ほどのところに居ました。

楽しい山行ではありましたが、登った(巡った?)とは言い難いですねー。

3回目の御中道だけが、なんだか観光ガイド云々の話から逸れて、すっかり本気トライを楽しんでいます。
暗い中でスバルラインをトボトボ歩いたのも合わせると、結局15時間ぐらい行動したので、翌日は全身筋肉痛。

それにしても、コンパス・地形図の無い時代に踏み跡が薄かったら、かなり大変だったでしょうねー。修験道や富士講の全盛期は踏み跡も濃かったのかもしれませんが、それ以前の先駆者たちは凄いっす。

リベンジしたいですが、今度は晴れた日に行きたいですかね。

2025年9月30日火曜日

12月分の予約受付

10月2日(木)の23時より、12月分の予約受付を開始いたします。

●雪山・アイスクライミングなどの講習は、前後に岩場講習を入れることが難しいため、先行して予約受付しております。もし、今からでも予約をしたいという方がいらっしゃいましたら、早めにお願いします。

※雪山・アイスクライミングなどの講習の前日・翌日でも、ジム講習ならば対応できる場合も多いので、ご相談ください。

●ジム講習は、最初に申し込んだ方の希望ジムになるべく合わせて講習を行うことにしております。

※Dボルダリングプラスリード立川、ランナウト、ストーンマジックの3つをメインにしております。
その他のジムの場合も、経費を御負担いただければ実施できる場合もありますので、ご相談ください。

●マルチピッチ講習も12月に行えます。
多少の寒さであれば奥多摩の「つづら岩」は暖かいです、非常に寒い場合は城ヶ崎のクラック講習に変更いたします。

どうぞよろしくお願いします。

2025年9月12日金曜日

ジムでの「行きつ戻りつ」

本気トライ中、ムーヴに迷う場面があります。

・オブザベと違った
・オブザベしても選択肢を絞り切れなかった
・そもそも、オブザベしても全然分からない

それぞれに、
・本人の技術的問題のケース
・ホールドの掛かりをある程度知らないと、オブザベが不可能に近いケース
・行かないと見つけられない隠れたホールドがあるケース(ジムでは稀)

などに分類できるかと思います。

下の動画は、私のオンサイトトライです。

中間部より上は、オブザベを外しまくり・・・。
手順が大体合っているのはジムだから当然としても、各ムーヴの足位置で読み違えの連続!

ただ、垂壁で中間部までは比較的スタンスが良好なルートだったので、レストしながら読みを立て直して、どうにかオンサイトできました。
さて、このルートの上部3分1(3:40あたり)から、行きつ戻りつする場面があります。

そこから先の数手のホールドは、掛かりの良さも含めて目視できているので、「ホールドやラインを偵察する目的の行きつ戻りつ」(岩場でよくやる方法)ではありません。
純粋に、ムーヴに迷っています(笑)。
(今から考えると、下からのオブザベでもう少しプランを詰めておけたはず、と反省。)

ただ、幸いにして、この場所が大レストポイント(左右の手を交互にレストできる、長居しても消耗しづらい)だったので、「行きつ戻りつ」が許される状況になりました。
こういうときは、辛抱が大切です。
一番可能性の高いムーヴを考えて、最後に勝負に出ます。

つまり、「行きつ戻りつ」が有効な場面の条件は、2つです。
①ムーヴに迷う
②直前に大レストポイントがある

●「行きつ戻りつ」が裏目に出る例:
  ムーヴに迷う場面だが、大レストポイントが無い。
戻っても回復しないため、A〜Cまでの3パターンのムーヴを試して、Aが良さそうかなと思って出撃しようとするも出力が落ちていて無理になる。手も出せずにギブアップフォールするしかない悲しい状況になる。

 ※この動画の最終局面は、一応はレストしていますが、かなり際どいバランスで、パワーゲージの消耗を感じています。行きつ戻りつは最小限にして、ゴールに向かおうとしているつもりです。ゴール取りのデッドでは、足位置を2つ試していますが、直前のレストポイントに戻ることなく2つ目を選択しています。「行きつ戻りつ」よりも、こちらの「短時間の判断」が苦手という人も多いですよね。

●「行きつ戻りつ」も可能だが、しないで済ます例:
  大レストポイントで、しっかり休み、次のムーヴを読み切って出撃。また数手進んだ先で、次のレストポイントに入る。非常に読みやすいルート、などで有効です。

 ※この動画の下部は、こんな感じで順調に進んでいます。

今回は、ジムのオンサイトトライに限って説明したので、岩場における「落ちてはいけないセクションを戻れるムーヴだけで進むための行きつ戻りつ」には触れておりません。
落ちても大丈夫なルートにおける、スポーツとしての頑張り方の話です。

2025年8月28日木曜日

10月、11月の予約受付

9月1日(月)の21時より、10月および11月分の予約受付を開始いたします。

ジム講習に関しては、最初に申し込んだ方の希望場所になるべく合わせます。
Dボル立川、ランナウト、ストーンマジックの3つであれば、講師分の経費(交通費・ジム使用料)を負担いただく必要はありません。
強い希望がなければ、こちらで決定します。

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8月15日(金)、16日(土)は、富士山の別の登山口を一人で登ってみました。

たまに別の登山口に降りるツアー(吉田ルートを登り、富士宮ルートを降りる、など)とかもありますし、お客さんにも「他の登山口ってどんな感じですか?」と聞かれることも多いです。
ガイド目線で、開山期間(〜9月10日まで)に登ってみたいというのもあり。

1日目は、御殿場ルート。
8時半くらいにスタート。
<御殿場登山口ののトイレって、こんな感じなのかー>

<登山口の入山料支払いって、こんな感じなのかー>

<大黒茶屋、冬にしか通ったことがないので、営業しているのは初めて見た>

<さすが、砂っぽい。そして、登山道はガラ空き・・・。>


<3,000mくらいになると、吉田ルートと似たような感じか・・・>

<何も用事はないが、山小屋ばかりを写真に収めてしまう>

一人だと、ついついタイムアタック的に歩いてしまい、13時10分に御殿場山頂。
両足も攣りそうだし、背中やら首やらも筋肉痛が酷い・・・。

ここからは、いつものコースだけれど、一応は御鉢巡りもしておく。
真の山頂の剣ヶ峰(3,776m)は一応踏んでおきたいし、お客さんにもいつも「なるべくなら剣ヶ峰まで行って欲しい!」と促しているので・・・。

下山は、富士宮ルート。
午後遅めということもあり、日帰り客の下山、泊まり客の登りで、割と混み合っていて、ちょっと吉田ルートに似た感覚もある。



車を御殿場ルートの登山口に置いて来たので、富士宮ルートの六合目から御殿場ルート新五合目へと下る。

前半のタイムアタックのせいで、非常に疲れていて、正直言って歩きたくはないレベル・・・。
<宝永火口を下から見る>

<向かいに見えるのは、越前岳?コンパスを持参しなかったので、イマイチ同定できず。>

<鹿>

<この辺は、人が少ないのせいか、ちょっと他の山に近い雰囲気>

<二子山の下塚は、一応登ってみる>

どうにか、明るいうちに下山できました。
御殿場と富士宮を両方歩けたし、多少は寄り道もできたので、1日の行動としては結構頑張った感じです。

そして、翌日は須走ルート。
<須走登山口では、こんな感じでガイドグループの宣伝があったりするんですねー>

<「山小屋の前を登山道が通過する」という配置は、どこも同じなんですね>




本日は、筋肉疲労がひどいので、ゆるゆるペース。
当初は、吉田ルートとの合流点(本8合目、3,400m)までで帰るつもりだったのですが、ゆるゆるペースで登ったら意外と身体は動くものです。
クライミングでこんなオーバートレーニングしたら後々まで響くだろうに、人間の歩きに対する適性の高さを再確認します。

やっぱり剣ヶ峰(3,776m)も踏んでおこうかと思い直し、半ばトレーニング的に登頂。
<山口屋前>

<須走の下山って、こんな感じなのねー>

<砂走りを終えたところに、一息できる山小屋の売店があるのは、ツアー的にはプラスポイントかも>

どこの登山口も良さがありますが、弱いお客さん層を想定すると、以下の2種類のツアーがメインになっているのは納得です。

①吉田ルート(スバルライン五合目)往復
②富士宮登山御殿場上部〜宝永火口〜富士宮五合目

御殿場は、キツイ。
須走も、ちょっとキツイ。
富士宮は、下りで使うのはちょっとキツイ。
富士宮は、山小屋も多いので登りで使う分には良いのかも。

ちょっと元気なお客さん層(途中リタイヤは、基本は1名も出ないぐらい。)であれば、どこも1回ガイドしてみたいんですがねー。

2025年8月24日日曜日

自分のパワーゲージを意識する

何度か書いていると思いますが、ときどき講習で話すので、また書いてみます。

リードトライ中に、
「自分のパワーゲージ(残存のクライミング体力)がどの程度あるのか?という意識を持ちましょう!」
という話です。
<富士山前に、桂くんと小川山>

話を単純化するため、いくつかの整理をします。

①トライ対象
ジムのリードルートにします。

トライ中のリスク管理とか、クラックでは腕より体幹のヨレが大事、とかの要素を除外して考えます。

②何のパワーゲージか?

初級者は「パワーゲージ=腕のパンプ具合」と考えてください。
ジムでも、体幹・脚力のヨレもトライには大いに影響するのですが、トライ中に自分のヨレ具合を意識することが困難です。

つまり、「100%=全く腕が疲れていない。」、「0%=何も持てないほどに腕が疲れている」とします。
③パワーゲージを測る方法

ボルダリング3級の核心が、腕がフレッシュなときギリギリでこなせる人を想定します。
(話を単純化するため、パワーはほとんど使わないテクニカルな3級とかは除外して考えます。)

この人の場合、例えば以下のようにパワーゲージを考えます。

100% 3級の核心がこなせる
 90% 4級の核心がこなせる
 80% 4級の中でも易しい課題なら、核心がこなせる
 70% 5級の核心がこなせる
・・・・・・
 50% 6級がギリギリこなせる
・・・・・・
 30% 100度傾斜のガバガバ課題なら、ギリギリ登れる(ジムの5.8など)
 20% 垂壁のガバガバ課題なら、ギリギリ登れる(ジムの5.6など)
 10% スラブのガバガバ課題なら、ギリギリ登れる(課題として存在しないジムもある)
  0% スラブのガバガバ課題でも、登れない

これで、自分のパワーゲージを、ある程度は客観的に評価できます。

もちろん、自分の能力によって100%が変わるので、それによって全てのデータが変動します。
あくまで、自分用の評価表を作ることが大切です。
<ボルトルートだが、オールNPで登ろうと頑張る桂くん>

実際の考え方
ウォームアップ後の最初のトライであれば、スタート時点のパワーゲージは100%です。
スタート後、一手ごとに消耗して行きます。
レストポイントで少し回復することも多いですし、大レストポイントで90%以上まで復活できるルートもあります。
上手なクライマーであれば、省エネ技術を駆使して、一手ごとの消耗をセーブして行きます。

この際、どこまでセーブが必要なのでしょうか?
「リード後半の核心がこなせる程度のパワーゲージを残せれば及第点!」
と考えると、話はシンプルになります。

例)
最上部に4級難しめのムーヴが出てくるルートであれば、その直前に90%のパワーを残しておく必要がある。

最上部に6級のムーヴが出てくるルートであれば、その直前に50%のパワーを残しておく必要がある。
<クラックの新ルート(5.12a)にトライするが、2人とも敗退>

一般的なR.P.トライ
最上部のムーヴはハングドッグの際に確認済みのはずです。
まずは、そこに必要なパワーゲージをイメージします。

「このルートは、最終クリップをした時点で70%のパワーゲージを残しておかないと、登れないタイプだな・・・。」
と、自分の実力とルート難易度を、相対評価します。

実際のトライをすると、結果は以下の3パターンになります。

A)80%のパワーを残すことに成功し、余裕を持ってR.P.できた。
(最終ムーヴにミスらないようには気を配り続けた。)

B)70%台のパワーが残っており、最終ムーヴがギリギリの戦いになった。
(精神力で押し切ろうとしつつも、ムーヴにミスらないようにも気を配るという、本気トライの見せ場になった。)

C)70%未満のパワーしか残せず、最終ムーヴが始まる時点で敗戦が確定していると感じた。
(場合によっては、最終ムーヴを起こすことすら不可能。)
<いつも良い笑顔です>

もしあなたが、上記ルートで以下のような取り組みをしているなら、少し考えた方が良いかなと思います。

●トライ毎の休憩時間が短か過ぎて、2トライ目のスタート時点で80%でスタートしている。
⇨ルート中に、完全回復できるような大レストポイントがない限り、R.P.できるとは思えない。2トライ目でも、スタート時点では90%以上の状態でスタートしないと、最終盤で70%が残せるとは思えない。

●「テンション掛ければ、ムーヴは出来るんだけどなー。」、「いつか登れるよー。」くらいしか考えておらず、漫然とR.P.トライを続けている。

●トライ開始時点は、100%。途中の省エネが下手で、Cの状況になって最終ムーヴがこなせなかった。しかし、本人は「なんで、頑張り切れなかったんだろう・・・」と、落ちた場面だけを嘆いている。
→ポイントは、最終ムーヴではなく、下部の省エネ。
<アドバンスクラック講習@瑞牆>

もちろん、Cの状況でも奇跡を信じて一手出して行く姿勢は素晴らしいと思います。
実際、ハングドッグでは思い付かなかったような別ムーヴで奇跡的にR.P.を決めた経験は、多くの方が味わっていることでしょう。

ただ、フォールした後に反省すべきは、奇跡を起こせなかったことではなく、下部の省エネ・レストの改善です。
<10トライぐらいで完登した、超低空のハサマリング>

ちなみに、オンサイトトライの場合は、最上部の難易度は不明です。

ただ、やることは同じで省エネしつつ高度を稼ぎます。
1つ難しいのは、行きつ戻りつでの消耗です。
省エネや成功確率の面でベストムーヴを探したいけれど、探し過ぎると消耗することも多いです。

だからこそ、戦略ゲームとしてはオンサイトトライが一層面白いです。
次にトライするルートで、最上部に何%を残せば良いのか不明なだけに、日常の省エネ技術トレーニングも終着駅がありません。

当然、そもそもの100%のレベルを上げるのが大切なので、ボルダーを頑張るのも並行したいところです。

2025年8月6日水曜日

9月分の予約受付

8月8日(金)の夜21時より、9月分の予約受付を開始いたしましす。
よろしくお願いします。

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今年も3週間ほど富士山ガイドに行ってきたのですが、実に色々なことがありました。

①人手不足
3週間で、6回程度の勤務の年もありますが、今年は9回でした。
私は、6回ぐらい(1回登るごとに、少しの休息ありのリズム)で十分です(笑)。

富士山ガイドをやりたい方は、この際ですから是非とも連絡ください!
私も所属する太子舘ガイドは、勉強になるという点でオススメです!

②インバウンド体験
台湾人ツアー。
通訳兼添乗員さんが、途中リタイヤして、2日目は通訳アプリなどで大苦戦。
本当は、1日目の方が色々あったのですが・・・。

③大雨のツアー
2泊3日で、中日が大雨と小雨を断続的に繰り返し、ほとんど1日中降りっぱなし。
希望者のみ(ツアー参加者の3分の1ぐらい)で頂上アタックするも、3,400m地点で撤退。

太子舘に戻ってから、1時間強のプチ講演会。
内容は悪くなく、満足度もあったようです。
一方、視覚資料を準備しないで行ったので、さすがに理解度を高めるのに限界を感じました。

④自分が体調不良
ガイド自身が体調不良になり、途中でガイド交代をしてもらうことに。
数日のお休みをいただいて、復調。
明確な不摂生などはしていないので、一時的な過労だったのではないかと思います。

⑤ツアー全員お鉢めぐり達成
20人規模のツアーだと、1シーズンに1回あるかどうか、という有難い体験。
お客さま、天候、ガイド同士の連携、すべてに恵まれないと起こりえない運ゲームなのですが、ガイドとしてのモチベーション維持には大きく寄与しており、一層の登山アドバイスや運行のスムーズさを高めようと思えます。

今回は、登山系の旅行会社だから、どうにか出来たという側面もあります。

⑥学校登山で割と成功
オフシーズンに、行程や雨具に関して提案書を出させていただいたことで、かなりスムーズになりました。
生徒109人が吉田口山頂まで全員登頂できた(先生方は2名リタイヤ)のは、運要素もありつつも、やっぱり嬉しいものです。
「当日のガイドの頑張りも大切だが、登山準備がそれ以上に大切である。」という点を再認識しました。
ただ、これを突き詰めていくと、旅行会社(場合によっては学校)との折衝とか、お客さまへ配る事前資料のチェックとか、私の苦手な事務作業の比率が高くなるのが困りどころです。

今回に関しては、同じガイド仲間の何人かが提案書を実質的に作成・ブラッシュアップをしてくれたので、彼らこそが今回の学校登山成功の立役者です。

⑥どハマり
旅行会社ツアーの時間制約のギリギリを攻めて、一時は「関係各所に迷惑掛けまくりかも?」という状態に。
結果として、序盤での布石が効いたことやラッキーも重なり、下山時間短縮である程度まで巻き返せたので、内心は相当ホッとしました。

ギリギリを攻めてしまう要因は分かり切っています。

・ギリギリの人を登頂させる(お鉢巡りに挑戦させる)
・説明が長い
⇨簡潔さを志すと、理由の説明や、現実的な妥協点をお客さまと共有できなくなるのが苦手。長い説明で、結論部分を勘違いしてしまうお客さまが増えるのも感じているのが難しい。しかし、お客さまの理解度が上がっているのも感じるので、さじ加減は永遠の課題です。

これらを妥協するのは、自身の性格上も相当厳しいのだが、スムーズさとの両立を目指したいとは常々思っています。

⑦説明が下手
主には観光ガイド(植物、歴史、地質、など)。
ある程度は、原因が分かっています。

・話し慣れによって、最低限それっぽく話を繋げられるため、話し始める前に構成をあまり考えなくなってきています。しかも、歩き方とか高山病対策などに比べて、自分の知識の整理がイマイチなので、アドリブで喋ると知識の穴が露呈しやすいです。話しているうちに、「そう言えば、ここは知識(名称・年号・人数、などなど)が曖昧なんだよな・・・」と気付いたところは、迂回して話を組み立てようとするので、一層組み立てが変になります。しかも、「お客さんが登山アドバイスばかりだと息が詰まるかな。」、「後々の名所旧跡において長い観光説明をするのも時間ロスだから、ここで前段を話しておこう。」という感じでチョットした息抜き感覚で話を入れるので、そもそもの優先順位や時間・場所の制約が大きくなります。立ち休憩を兼ねて観光ガイドをしているときなどは、そもそも後方まで声が届いていないこともあるようです。

自分自身の興味、登山アドバイスをメインに行いたいモチベーションなどから、根本解決は相当厳しいです。
とはいえ、明らかなダメさは改善する必要があり、来シーズン以降の課題です。

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富士山ガイドも長く続けていると、明確な反省点というよりも、長年の課題の進捗状況という色合いが強いです。

今年もお世話になりました!
8月も続けている皆さま、頑張ってください!