2013年12月10日火曜日

アイスクライミングのリードは、原則落ちられない

12月7日(土)は、アイスクライミング体験講習にて、南沢小滝。
2日前に続いて、男性NMさん。
本日の講習中、NMさんは驚きの連続。

・アックスを振るごとに、氷は欠けて、場合によっては大きな落氷も落とす。

・リードのビレイヤーは、壁から離れて、やむなく緩んだビレイ。

・リードしている人も、落ちたらグランドフォールするようなランナウトが当たり前。
ただ、それらは間違いではありません。

むしろ
「こんなに危ないものなんだなー」

と分かる人にしか、リードは教えられません。
リードの危険を、ボルトルートやクラックと比較すると、こんな感じ。

①ビレイヤーが壁から離れるのは、落氷を避けるためなので、仕方ない。
そのせいで、1~2メートルくらい余分にフォールすることになったとしても、ビレイヤーは責められない。

②プロテクションはスクリューで取るため、胸元~腰あたり。
従って、ボルトルートやクラックのように、高めにクリップすることは難しい。
トップロープ状態で登れる距離は、ほぼ無し。

だから、出だしの5メートルくらいで落ちると、クリップ直後でもない限り、グランドフォールする可能性も充分ある。

③アイゼン、アックスを身に付けているため、足首骨折や頭蓋骨骨折などの事故例も多い。

④氷質が悪く、クライミングも難しくなるときは、プロテクションが信用おけない。

⑤クラックのように、難しくなる直前に固め取り、といった戦術は出来ないことが多い。
(アイスクライミングは、基本持久系なので)
ということは、逆の条件が揃うと安全になることも。

・垂直近い傾斜
・すでに、地面やテラスから充分に離れている
・氷質が良いor1本抜けても2本目で止まれば怪我しない、という高さにいる
・落ちたときにアックスが自分に飛んで来ないように、対策をしてある

でも、これって初級者には難しいクライミングだと思います。

八ヶ岳でも、摩利支天あたりまで行けば、傾斜が強い分だけ少し安心感アリです。
で、結局のところ、アイスクライミングリード入門は

「落ちちゃダメ!落ちるくらいなら、テンション掛けてください。」

という登り方になります。
先日、クライミングの余裕は、

「余裕で落ちない」
ではなくて、

「周りの状況が見えている」

ことだと書きました。

が、それはあくまでも落ちられるクライミングだからこそ!


アイスクライミングのリードは、

「トップロープなら、入門ルートで99パーセント以上、落ちない」

くらいになったら教えますよ。



具体的な講習内容
・アックスの振り方
・アイゼンの蹴り込み
・レスト
・アックスの下に重心を持ってくるバランス
(高く打ち込んだアックスを、引きつけずに脱力。その下に、ダイアゴナルor三角形のバランスを作る)

上記について、コツを色々と。



今回は危険性について書きましたが、

「危ない=つまらない」
とは限らないところが、山のクライミングの不思議なところです。

緊張感がスパイスになったり、「ありのままの自然を突破する」という部分にクライマーを鍛える部分があると感じたり。

沢登り、本チャン、雪山、マルチピッチ、なんでもそういう部分があります。

ただし・・・
経験上、危なすぎると楽しめないので、ほどほどが1番かと思います。