2011年7月25日月曜日

小川山でリード講習

7月23日(土)、24日(日)は、小川山にて岩場リード講習。
今回は、T山岳会の3人チーム(男性STさん、女性SZさん、女性Mさん)と、4月にクライミングを初めて目下急成長中の男性Kさんの合計4名。

今回行った小川山は、
「日本クライミングの聖地」、「クラック、スラブ、フェース、ボルダー、なんでもある」、「キャンプ場が居心地最高」などの、クライマーなら1度は訪れたい場所です。


その一方、「ジムで登れる人が苦手とする岩質」、「ボルト間隔が遠目」といった苦手意識を持つ人も多いのも小川山です。

今回は、その特色について軽目に解説。

<岩質など>
ジムと小川山の大きな違いは、岩のフリクションの良さです。
それだけ聞くと、プラス要素にしか聞こえませんが、実は結構奥深い・・・。

中級者には「ホールド無しで歩くように登れる」ようなスラブも、初心者にはハッキリとしたスタンスが皆無!
「ここに足置いて大丈夫?」といった迷いの連発。

最初は、難しく感じるでしょうね。
「特殊だよー」と嘆く気持ちも分かりますが、これぞホントの岩登り。
岩場っぽい新技発見が連続して、かなり刺激的ですよ。
(スメアリング、など)

<ボルト間隔の遠さ>
クラックや手打ちボルトの時代に開拓されたという経緯もあり、ありのままの岩を最小限のボルトで登ろうというスピリット(“ミニマムボルト”という考え方)が色濃い。

また、当時はジムも無く、5.9以上を登るのには人生を掛ける必要があったそうです。
さらに、当時はアルパインクライミングのために岩登りをやっている人が多く、5.9を登る人は5.7では全く落ちそうもなく登るのが当然。
(今のジムクライマーを見ている感覚だと、5.11aを登れてようやく5.7を落ちそうもなく登れるくらいかな?大いに人によりますが。)

そういった経緯から、今以上に丁寧なクライミング(いわゆる“落ちないクライミング”)に対する美意識も高かったのだと思います。

そんなわけで、小川山の5.9に取り付くなら、だいたい5.7くらいがランナウトして登れることが必須条件。
出だしが5.6以下なら、1本目が5mでも8mでも驚くことはありません。

でも、それも含めて挑戦権を問われているみたいで、面白いじゃないですか!?
クラックやマルチピッチを目指すなら、そういう意識や丁寧なクライミングスタイルは必須項目ですし。



もちろん、そんなことは現場で初めて聞かされる初心者メンバー。
それでも、小川山の文化は納得して、存分に楽しんで頂けました。



2日目は、1日目に講習したヌンチャクの向きや丁寧なクライミングを活かし、ひたすらリードトライ!

登れる登れないは二の次。
安全なところでは気合の突っ込み、落ちてはいけないところでは丁寧に登り、危険そうならクライムダウン。
とにかく、まずはこれを覚えることが先決です。
単なる度胸試しでは、いつか必ず大事故を起こします。

そして、腕が疲れた頃には、終了点作業などのロープワーク。
全員で、どんなミスが有り得るかを検討してみたりして、どんどんクライマーとして大人になっていくのを感じます。

今回は、本当に充実した2日間でした。


具体的な講習内容
<初日>
エリア:スラブ状岩壁
ルート:かわいい女(5.8)、ウルトラセブン(5.7)、ルート名不明(5.9?)

・ウィップフラッシュ現象(疑似リードにて)
・クライムダウンできる範囲でランナウトする練習(疑似リードに)
・実践リードトライ
・スメアリングの練習


<2日目>
エリア:ソラマメ下部スラブ
ルート:甘食(5.10bだが、限定を解除すると5.9くらい?)、三色すみれ(5.9)、ルート名不明(5.8?)、ルート名不明(5.10c?)

・実践リードトライ
・終了点作業(結び替え、懸垂下降、立木のみの場合)
・終了点の仕組み、捨て縄での補強方法について(流動分散、固定分散、独立分散、捨て縄の使い方)



盛り沢山過ぎて、全員すごい量のアドレナリン。
帰路も、ムーブやランナウト、終了点作業の話が何度も他愛なく繰り返されました。

Kさんだけは、「3ヶ月の経験では、さすがにまだ早い」ということで、今回はリードせず。
次回目指して頑張って行きましょう!