2014年6月2日月曜日

マスタースタイルは、妥協もアリだと思う

5月30日(金)は、小川山にて岩場リード講習。
女性MTさん、男性OGさんのペア、男性IKさん、女性HMさん。
<まずは、岩場を講習生で探してもらう>

ボルトルートでは、ボルトにヌンチャクを掛けながら登ります。

ですが、事前にヌンチャクを掛けておいて登っても、十分に完登とみなされるのが一般的。

どちらかと言うと、ヌンチャクを掛けながら登ると、マスタースタイルと言って付加価値が付きます。

例)
オンサイト、マスターオンサイト、という風に呼び分ける。
クラックの場合は、逆にマスタースタイルに相当する方が、一般的になります。

事前にプロテクションをセットして登るスタイルを、“ピンクポイント”と呼んで、レッドポイントより一段下の完登とみなします。

クラックの場合は、プロテクションが、遊びの重要な部分を占めているので当然でしょう。
<ホールドがある場合の、スメアリング>

でも、講習生を見ていると、ボルトルートも、事前にヌンチャク掛けたら反則のような気持ちを持つようです。

私も、
「まぁ、なんとなく、そう思うものだよね。」

とは、感じています。
<サマになっているMTさん>

で、本日の出来事・・・

女性HMさん、女性MTさんに、トライしてもらったスラブ(5.10a/b)。
1本目のボルトが、やや高い。

そのボルトに、ヌンチャクを掛ける動作が、核心ムーヴっぽくなっている。

ただ、標準身長以上の男性なら、良いスタンスから十分に届くボルト位置。
<5.8を、マスターオンサイトするMTさん>

これは、ちょっと理不尽な感じです。

たしかに、岩は自然なので、リーチに合わなくても、それに合った攻略方法を見つけるのがクライミングだと思います。

でも、ボルトは人が打ったものなんで、
「えー、なんでもうちょっと下に打ってくれないのー?」

という気分になっても仕方ないかと。

だから、
「プリクリップなら、良いんだけどー。」

と言った会話になりました。
<懸案の、1本目までが女性には厳しいスラブ>

ミニマムボルトの考え方からすると・・・

・そのグレードを登る人が、ボルト無しで登れるぐらいのセクションには、ボルトは打たない。
・逆に言えば、十分に落ちる可能性があるセクションには、ボルトを打つ。
<オーウェンのために祈りを(5.10c)、OGさん>

だから、スラブでは、

核心前の安定したスタンスから“届くであろう”位置

にボルトが打たれます。

そう、だからリーチの無い人は、安定したスタンスから1歩2歩ムーヴをこなさないと、ボルトに届かないこともありうるんです!
<同じ5.10cで、2便目、炎のR.P.を果たしたIKさん>

こういう場合、ヌンチャクを垂らしてボルト位置調整をするのもアリだと思います。
プリクリップではなく、ヌンチャクプリセットが、良い方法だと思います。

それが、長身のパートナーにヌンチャクを掛けてもらったりすることになると、ちょっと自力で登った感は失われちゃいますが(笑)。

でも、
「本来、このボルトは、もう少し下に打つべきものだと思う!」

と自分を納得させてしまっても、私は良いと思うんですよねー。
ちなみに、難易度が上がってくると、ムーヴによってクリップ位置が違うので、自分の好みの長さのヌンチャクをプリセットする方法も行われます。

これも、同じ理由で、
「やっぱり、アリだよな」
と思っています。

ミニマムボルトは重要な考えだけれど、必要なボルト位置って、ホントは人によって違うでしょう?
という、アンチテーゼにもなるんでしょうか。