2014年10月21日火曜日

ビレイポイントの分散支点

10月19日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性ARさん、男性SRさん。
<そろそろ、小川山は日向が恋しい季節>

ビレイポイントは、カムやハーケンで作る際は、複数支点から取ることが一般的です。

その連結方法として、流動分散、固定分散、なんかが有名ですね。
どういう連結方法がベターか、ということも、もちろん講習内容になります。
<ビレイポイント作りの練習>

ただ、一方でビレイポイントというのは、数が多ければ良いというものでもありません。

カム1個だって、墜落には100%近く耐えられるはずです。
(キャメロットであれば、10KN~14KNくらい)

乱暴なイメージですが、7KNくらいだと、リードの墜落レベルで稀に壊れます。

例:
①ウィップフラッシュ現象で、ゲートの開いたカラビナの破断事故

②エイリアン緑などの、マイクロカム

で、固定分散にすると、スリングの強度が22KNから10KNに下がってしまったりする訳なんで、支点がそれ以上強くても、ほとんど意味がありません。
<オブザベタイム>

なんで、複数支点から取る最大の理由は、荷重分散で強度を上げることではないと考えています。

・自分がセットミスする確率
・岩が欠ける確率
・ビレイしている最中に、カムが歩く確率

などを考えて、リスク分散すること。
<初回で、不慣れ感ただようSRさん>

だから、

「バチ効きだ!」
と自信たっぷりのカムなら、2点だけでも十分なリスク分散になると思います。

そして、

「1つとして、確実なのが無い。」
という状況だと、3点、4点集めても、不安はぬぐえません。
<「スラブは、得意になってきた」というARさん>

ちょうど、クラックやマルチで核心に突入する前の、固め取りに似ています。

なんで、最低1個、できれば2個のバチ効きを探すイメージです。
連結方法なんてのは、最後の微調整ですから。
<マルチピッチな雰囲気>

雪とか、灌木とかで、分散荷重が安心感を増やすような例外も、経験上あるような気もします。

ただ、荷重分散が必要ってことは、個別の支点が弱いってイメージなんで、そもそも怖いでしょう。

だから、リスク分散だけで済むようなのが理想で、荷重分散を強く意識するのは最後の手段、と私は思っています。
<頂上直下>

・できれば、確実な支点を2個
・確実なのが1個の場合は、ほどほどの確率で止まりそうなのを複数バックアップ

そんなイメージで作って欲しいと、私は講習しています。
<お昼休憩>

さて、本日は少し余裕のあるマルチピッチ。

いま書いたような、システム面の講習で半日、マルチピッチの実践で半日。

リード講習初回のSRさんには、ちょうど良かったでしょう。
一方で、前日が不完全燃焼だったというARさんには、もっと厳しいのが好みだったようでした。

ま、それは次回以降の楽しみとしておきましょう。
システムに強くなることも、大切ですからね。
<完登の喜び>


<結構な苦戦を強いられた、連続懸垂>