2014年10月15日水曜日

山は人生勉強になるか?

10月9日(木)の昼に東京を出て、10日(金)~12日(日)で広島の三倉岳でクライミング。

1年半ほど前に大阪転勤になったHさん。
今回、IT部長というアダ名で呼ばれ続けた、えのきどさん。

そして、Hさんの友人で、岡山のNNさん。(初対面でした)
<今回、お世話になった大阪の友人宅>

講習中に、登山・クライミング技術か人生経験なのか、微妙な線引きの内容をアドバイスすることがあります。
<三倉は、ミズガキっぽい景観>

例① 練習方法

・「反復練習は、単に体に染み込ませるだけじゃなくて、試行錯誤っぽくやると楽しいですよ。」

一手一手レストする練習なんかだと、

「どうやったら楽かな?安定するかな?」
という意識を持つだけで、楽しさも定着も全然違います。
<モアイクラック(5.9)は、講習生にも登ってもらいたいくらいの1本>

・「動作は、ゆっくりで良いから、確実で二度手間のない動きを練習して下さい。そうした方が、将来的には洗練されて素早くなります。」

クリップ、カラビナの持ち方、ムーヴ練習、ロープワーク講習、戦略を練ること、などなど
<ヒップクラック(5.9)は、さらに好ルート>

例② スタイル

・「難し過ぎるから、何とかして欲しい。という発想だと、クライミングなんて梯子を掛ける行為になってしまう。
難しいのは、自分の力不足。という発想のもと、自分が努力すれば何とかクリア出来そうな目標を探すのが、楽しいんですよ。」

フリークライミング、残置無視、小屋ではなくテント、ノートレースの雪山、なども全部ひっくるめて
<腰に気遣いながら、ソロリソロリと登る私>

例③ パートナーシップ

・「その話し合い方だと、お互いに遠慮しすぎで、平行線のまま結論が出ないですよ。」
・「パートナーに任せるべき場面で口出しすると、判断力を鈍らせちゃいますよ。」
・「方針に違いがありそうだと予想できていたなら、事前に擦り合わせしておくと良かったですね。」
<ヒップクラック(5.9)にトライする、Hさん>

例④ 安全管理

・「省略形を使うときは、それによってリスクが上がらないか、本当にスピードアップに繋がるのか、の2点をチェックしてから使うべし。安易な手抜きは、ダメ。」

マルチピッチのテラスで、無意識にセルフビレイを外す癖がある人に、口酸っぱく言う内容です。
<岩だらけ>

例⑤ 整理整頓

・「何をどこにしまうか、大体決めておくと、探さなくて良くなります。面倒くさくても、なるべくその場でやってください。」

ギアラックの整理、雪山でのパッキング順序、テント内整理、などなど
<スーパーチムニー(5.10b)をフラッシュする、IT部長>

で、この言い方って、ものすごく効果があるんですよ。

講習生からしてみると、
「うーん、たしかに言われてみれば。人間性のボロを見抜かれてしまったか?」

という気持ちなんじゃないかと。
<モスクラック(5.10a)は、30m越えの看板クラック>

一方で、日常生活において、私もこの原理を守れていないことは告白しておきます。

例えば、ギアラックの整理整頓は自分のルールがありますが、部屋の整理整頓はダメです。

同じく、パートナーシップ。
マルチピッチでは気遣いポイントに慣れていても、友人関係では「気の利かないヤツ」で通っていたりします。

ブログはマメでも、事務仕事全般はダメダメだったり。

また、クライマーって家庭人としては結構なダメ人間だったりすることも、多いものです。
<台風が遅れて、結局3日目の14時まで登れた>

で、今回のツアーで、これが如実に出ました。

・バスの予約を取るのも、パートナーのアドバイスを借り
・料理も出来ない
・ツアー中の温泉、スーパー探しも、IT部長頼みで役立たず

クライミングと教えること以外は、何も出来ない自分を再確認しました。
<大阪で、台風接近の中、観光&グルメツアー>

それなのに・・・
今回は、クライミング初日のアプローチで、まさかのギックリ腰!

幸い、だいぶ軽かったので、

・初日は、荷物を持ってもらって、5.9を2本だけ
・2日目も、荷物を持ってもらって、日中は講習レベルのルートだけ。夕方に、「落ちるかも」くらいのオンサイトを1本だけ
・3日目に、ようやく本気トライ

という状態。

クライミングのみならず、アプローチや、テント、車中でまで、皆さんのお世話に(笑)。

ただでさえ、町ではサッパリ役に立たないのに、足手まとい・・・。

他の方々は、
「登れないなら、観光でもグルメツアーでも。」

なんて陽気なもんです。

でも、私は登山とクライミング以外、人生の楽しみ方すら知らないようです。
グルメって言っても、素甘があれば今は十分ですから。
<富士山ガイドで観光案内をするため、寺社仏閣には少し興味が湧いて、楽しめました>

話を戻すと、講習時に人生の訓示っぽく話す内容は、

「私は、登山とクライミングのときだけは、なるべく意識してますよ。他のときは、全然ダメですけど。」
という程度のものです。

山は人生勉強になるけど、山だけにモチベーションがある場合、
“山だけで、出来る人間”
というパターンになるんだなと痛感しています。


具体的に登ったルート
1日目:源助崩れ
・モアイクラック(5.9、ハンド、30m) フラッシュ
・ヒップクラック(5.9、フィンガー~オフィズス、25m)  フラッシュ

2日目
・ヒップクラック 再登
・無名クラック(5.9、ハンド、10m) オンサイト
・モアイクラック トップロープで再登
・ラッキーネーブル(5.11a、NP&ボルトだが、実質ボルトルート) フラッシュ

3日目
・ルート名忘れ(5.10a、ハンド~オフィズス、10m) オンサイト
・スーパーチムニー(5.10b、オフィズス、30m) そのまま上のピッチのボルトルートも繋げてオンサイ
・ルート名忘れ(5.10c、ワイドの奥にハンドが効くパターン、25m) オンサイト
・モスクラック(5.10a、ハンド~オフィズス、35m) フォロー
・パンプきん(5.10d、フィンガー、25m) オンサイト
・ルート名忘れ(5.11a、オフィズスだが核心はフェース)、オンサイトして、そのまま2P目のボルトルートも繋げて

3日目は、まともにクライミングが出来て、生きる喜びを感じるレベルでした。