2018年6月10日日曜日

ライン外し疑惑

6月9日(土)は、岩場リード講習にて、小川山。
女性FSさん、復習参加の男性MKさん。
リード中、頻繁に質問に上がる
「ここまで左に行っても、良いんですかね?」
というライン外し疑惑。

「限定とかは無い!」
「下から上までフリークライミングというルールさえ守れば、どう登っても完登だ!」
とか、カッコイイことを言っても、実際は「それは、さすがに左のルートなんじゃないの?」みたいな議論になってしまうのも人の世。
私の理解では、2つの要素があります。

①岩には、弱点(登りやすいライン)がある。
②ボルトには、設定者の意図(登らせたいライン)がある。

まず、下の図1はトポのイメージ図です。
×がボルト、点線が登るべきライン、××が終了点の2本のボルトを示しています。
<図1>

が、現実は複雑です。

下の図2が、講習生が悩む様子です。
まず、左右にも3~5mぐらいの距離感で、隣のルートが存在します。
次に、弱点ラインは複数存在します。
<図2>

図が下手でスミマセン・・・。

例えば、0-Aと0-Bというのは、1本目のボルトまでのラインが2種類あることを示しています。
でも、これはボルトは関係ないので、設定者の意図は無視できそうです。

ただ、1-Aは物言いが付くかもしれません。
ボルト位置からして、1-Bと1-Cのどちらかを選ぶように設定している気配を感じるからです。
また、確かに左のルートに迂回したような罪悪感を感じてしまうのも分かります。
危険度からすると、ややボルトからは離れますが、トップロープ状態ということもあって問題は無さそうです。

2-Aも、物言いが付くかもしれません。
隣のルートに迂回した訳ではありませんが、やはりボルト位置が2-Bと2-Cを想定しているような気配を感じるからです。
実際、2-Aのラインで登ると、ランナウトするので落ちたら危ないかもしれません。

3-Aも、物言いが付くかもしれません。
同じ議論の繰り返しですが、隣のルートへの迂回っぽく、ボルトからの離れ具合からの危険度という意味でも。
ボルト位置だけでは、3-Cだけを想定しているのか、3-Bと3-Cのどちらでも選べるようにしてあるのか、読み解くことは難しそうです。

4-Cも、物言いが付くかもしれません。
完全に隣のルートに合流して登っているので。
ただ、「ここは易しいからボルト打たなかった。」という意図が感じられるので、設定者の意図するラインは無視しても良さそうです。
さて、そこまで分かった上で。

「やっぱり、ラインは自由に選びたい!」
というなら、全部アリです。ただ、ボルトから離れてフォールするのは、あくまで自己責任でお願いします。

「設定者の想定ラインに、なるべく忠実に登りたい。」
というなら、1-Aはグレーゾーン、2-Aと3-Aは無し、というぐらいが妥当かなという私の見解です。
当然ながら、2-A、3-Aみたいな明らかな迂回ラインが易しいと、すごく迷わされます。

「そっちにボルト打てば、もっと良い(自然に導かれる)ルートだったのに!(難易度は落ちますが)」
とか、初登者非難をしてケンカになる、みたいなことは避けたいものです。

ただ、自然なラインは不快感が無いというのも、また真理だと思います。
そんな不快感について、一歩深く考えるという今回でした。

とはいえ、岩の弱点、ボルトの意図を読み解く習慣ってのは、ムダでもないなと思います。
少なくとも、オブザベ能力は上がりそうですよね。
実践本気トライ
MKさん:かわいい女(5.8) O.S.
     Song of Pine(5.8) フラッシュ
FSさん:Song of Pine(5.8) ハングドッグして、トップアウト