2018年6月21日木曜日

どこでピッチを切るか

6月17日(日)は、マルチピッチリード講習にて、小川山。
女性IUさん、男性NSさんのペア。
<1P目のフォロー>

マルチピッチにおいて、どこにビレイ点を作るかというのは、なかなか難題です。

最近のブログで、複数支点で構成する場合のリスク分散についても書きました。
カム、ナッツ、ハーケン、細い立木、などなどでの話です。

今回は、十分に太い立木があって、それでも初心者を惑わせるケースについて。
さて、毎度のアナログ図で失礼します。

図1が、マルチピッチの入門書とかに書いてある状態。
1P目と2P目の間に、程よいテラスがあり、そこでビレイ点も運良く構成できるというパターンです。

図2が、1P目と2P目の間に緩傾斜があり、そこに複数の立木があるパターン。
Aをビレイ点とすれば、フォローのビレイをするときには姿が見えて安心です。
Cをビレイ点とすれば、2P目のリードのビレイで良い位置に立つことが出来ます。

他の選択肢として、Aをビレイ点としておき、何らかの方法でCにビレイ点を移して2P目をスタートすることもあるでしょう。
ただ、何らかの方法が、案外巧い方法が見つからず、手数が多くなるかリスクを取るかになりがちです。

また、Cをビレイ点にしておいて、セルフビレイをAあたりまで延長してフォローのビレイを行い、終わったらセルフを短くするという方法もあります。

図3は、大きなテラスはあるんだけど、立木がテラスの落ち口にあるパターン。
フォローのビレイは落ち口付近で行い、リードのビレイに移る前にテラスに移るのが吉かもしれません。その際、念の為に立木からセルフは取っておくと安心です。

図4は、2P目に2ラインの可能性があるパターン。どちらもプロテクションが取りやすいクラックなら、どちらの取り付きでもカムでビレイ点を作ることが出来ます。
ただ、Aラインを登るなら、その真下付近でビレイした方が良いなどの事情が発生するので、どちらでビレイ点を作るか迷うところです。
<ワイド好きになってきたIUさんによる、2P目リード>

講習で行くエリアだと、図1のようなケースは斜度がほぼ一定な越沢バットレスに多い印象です。
小川山、瑞牆だと図2、図3のようなケースが多い印象です。
三ツ峠の残置無視だと、図4が多い印象です。
<3P目に挑むパイセン>

ビレイ点作りは、
①そもそもの支点の信頼度
②フォローのビレイのしやすさ
③リードのビレイのしやすさ
④足場の安定(精神的、体力的な負担の軽減につながる)
⑤ビレイ点作成に掛かる時間
などを総合的に判断して決める必要があります。

講習生を見ている印象だと、焦りがちな人は④とか⑤にフォーカスするイメージがあります。
その都度ごとに最適解も異なりますし、人によって意見が別れる場面もあるでしょう。

それでも、原則論は皆同じ。
ムーヴを考えるのと同じようなもんで、考える時間が必要です
<4P目をルートファインディング>

 焦らず、時間を掛けて検討していきましょう。
<初めてのカムビレイ点>

<4P目のフォロー>

<景色も上々>

<5P目のクラック>

<ウィニングロード>

<ここでトップアウト!>

<懸垂下降で、どハマリ中>

<余った時間で、クラックを少々オンサイトトライ>

<ハンドクラック>