2016年10月20日木曜日

高難度マルチの体験

10月18日(火)、19日(水)は、自分のクライミングにて、ミズガキ。
初日は、長門さん、O田さん(午前中のみ参加)と。

またしても、日記的に。
マルチのシステムと、ショートルートの取り組み方が分かっている前提での、説明です。
マルチなんだけど、ショートルート並みに各ピッチに取り組む、という世界の一端に触れたので。
<2P目(5.13a)>

カンマンボロンの“はやぶさ(8P、5.13a)”。
ほとんどがボルトプロテクションのスポート色の強いマルチで、ミズガキ最難マルチの1つと言われているそうです。

一生取り付く日は来ないと思っていましたが、体験(最悪はビレイヤー)のつもりで先生方のお供に。
<R.P.して、ロープを引き上げて、次の人のリードトライを待つという変則的な行動>

マルチと言っても、ここまで難しいと先生方でもオンサイトの連続という訳には行かず、各ピッチをR.P.していくという戦略です。

各ピッチの完登が第一目標、ワンプッシュでの全ピッチ連続R.P.が、将来目標といった感じみたいです。
<フォローする先生>

という訳で、簡単なピッチはリード&フォローで通過。
(1P目は、5.10cなのでアップがてら。)

まだR.P.出来ていないピッチを、みんなで交代してリードトライ。
具体的には、私とO田さんが2P目(5.13a)、3P目(5.12d)を数回ずつトライ。

2、3P目をR.P.済みの長門さんは、最後にフォローだけして、4P目を3トライ。
4P目は、私は全く参戦する気にならず、長門さんの休憩中は主に談笑&イメトレ。
ただ、ちょっとロワーダウンしてもらって、フォロー状態で3P目のムーヴを触ってみたりもした。

夕暮れ間近、懸垂下降で降りる途中で、私が2P目を再トライ(登れなかったけど)。
<周りの岩>

これって、普通のマルチと全然違いますね。
一般的には、初級者はオンサイト出来る程度のマルチ、私もオンサイト出来るかもしれないマルチ、くらいに取り付くと思います。
それぐらいじゃないと、オールフリーに拘ることとトップアウトを両立する余裕が持てません。

最高到達点で見ても、8Pのルートで私は3P目の終了点、長門さんは4P目の終了点までしか上がっていません。

感覚的には、春うらら2P目に似ています。
たまたま2P目にある、1ピッチ(ショートルート)の課題。
特に、私は全ピッチR.P.を狙うにも弱すぎる気がするので、本当にショートルートをトライしている感覚でした。
<秋晴れ>

ってか、今回トライした2P目と3P目は、5.13aと5.12dですから、普段のショートルートでも私は滅多にトライしないグレードなんですけどね!
ちなみに、ハングドッグの結果、一応ムーヴは何となくバラせました。
<3P目(5.12d)>

さて、せっかく強い先生方と登ったので、感想をちょこちょこ。

①壁の中の滞在技術
さすが、ビッグウォールから開拓までこなす先生方。
ハンギングビレイにせよ、ちょっとしたテラスがある場面にせよ、立ち位置やギアの整理の最適化が素早いです。

1日滞在するので、ブランコ(腰かけ)、荷上げ道具、などなど詳しい限り。
前々から思っていたことですが、再確認。
<4P目(5.13a)>

②ロープワークの速度
数時間を過ごしたハンギングビレイポイントから、下降を開始する場面。
「あ、これもやっとくから良いよ。それも俺が持ってくよ。」
と、物の整理で、お世話になりっぱなし。

まぁ、僕がやるより、手際が良い人がやった方が素早く済みますからねぇ。
これも、常々感じることです。
こういうことの蓄積が、壁の中でのクライミングに集中できる環境を作る、というのはよくよく知っているのですが・・・難しいです。

そういう意味では、本日僕のトライへの集中力は、同レベルの人と来た場合よりも高かったに違いないです。
まぁ、お膳立てリードさせてもらいました。
<ハングドッグ中>


③自分のビレイの下手さ
4P目のビレイは、僕にとっては相当難しく、長門さんには御迷惑おかけしました。

・普段使わないグリグリを使用。
長時間ハングドッグが予想される、姿が大変見えにくくビレイヤーの集中力維持が難しい、などの事情で。

・トラバースピッチ
遠くまで行くと、姿が見えにくく、繰り出しのタイミングが難しい。
フォールすると、ロープが掴めないくらいに落ちてしまうので、ポンプアップが必要。ゆえに、ハングドッグ中はある程度たるみを減らしてビレイしたい。その分、ビレイは難しい。

・ハンギングビレイ
立ち位置の移動が出来ない。ポンプアップへの協力に、難易度が上がる。ロープを出し入れしていると、ときどき畳んであるロープをシュルシュルと下に流してしまうミスをする(ハングドッグのビレイだと、特に)。ブランコに座っていても、身を乗り出してクライマーを見るのは、大変に疲れる。

ってなわけで、クリップ時の繰り出しは遅いわ、ポンプアップへの協力はイマイチだわで、我ながらダメなビレイヤーでした。
こういうマルチのためには、普段からグリグリの練習が必要だと思いました。
あとは、実際にハンギングビレイで、難しいピッチをハングドッグするクライマーをビレイするという場数も重要そうです。
<はやぶさトラバース>

④最低限は登れる
ある程度は、対応できている自分を感じます。
掃除好きになって、ちょっと高所作業にも慣れて来たのかも。

ハングドッグ中は、ムーヴ解析に集中できました。
そして、そのムーヴ解析も、ボチボチ進展します(笑)。
ちょっとは、花崗岩フェースを見る目が付いてきたのでしょうか。

あとは、“先生方をお待たせし過ぎたり、あまりにも自分が無知過ぎて、申し訳なさのあまり疲れる”みたいなことも今回に限っては、それほど起こらない気がしました。

要するに、先生方に比べたらショボイんですが、完膚無きまでに打ちのめされるほどでもない、という曖昧な自信が付きました。
<R.P.した長門先生>

初めての高難度マルチで“はやぶさ”は、さすがに極端でしたが。
5.13aが1ピッチだけのルートとか、やってみても良いのかなと思いました。一緒に取り組むパートナーが居れば。

さすがに、5.13aならオンサイトトライがまともに出来る日は、来ない気がするだけに、勿体ない気持ちが沸きません。
(志が低い、と言われそうな気もしますが。)

ただ、今のところ、やっぱりマルチはオンサイト圏内くらいが好みです。
こういう機会があれば、また勉強のつもりで行くのもアリかな、くらい。

総括的なことは無いのですが、雑多な感想でした。
<ロワーダウンで、ビレイ点に戻る>

具体的なクライミング内容
1P目(5.10c):リード。何度か、アップで登っているので再登。

2P目(5.13a):1トライ目は、敗退。2トライ目は、ムーヴ解決。3トライ目は、登れず。下降中に、ヘッドライトで4トライ目をやるも、登れず。

3P目(5.12d):1トライ目、2トライ目ともに敗退。4P目を長門さんがトライしている休憩時間に、ロワーダウンしてもらって、トップロープ状態でムーヴ探りして、一応バラせた。

4P目(5.13a):ビレイのみ。

アプローチ含めると13時間行動で、すごく疲れました。
ワイドとか、アプローチの遠いエリア通いみたいなもんで、本チャン的な体力が付きそうです。