2020年12月1日火曜日

安全なルートは欲しいが、安全を作る技術も欲しい

11月10日(火)は、ムーヴLv.0にて、女性GTさん、新規男性STさん。
2人とも、ジムリード講習に進んでO.K.といたしました。

11月13日(金)は、リード講習にて、男性STさん。
ジムのリードルートとして、どんなルートが欲しいか?
という問いがあります。

今回は、1本目のクリップまでのムーヴについて。

そのルートがギリギリの人にとって、落ちる可能性は
①1%未満。

②10%程度。

③30%程度。

④50%以上(十分に、核心の1つ)

次に、落ちた場合の態勢について。

A.次のホールドをタッチして落ちるような形になり、注意していれば足から着地できる。

B.手がすっぽ抜ける、ハイスタンスへのヒールが残ってしまうなど、背中や後頭部から落ちる可能性があり、スポットが欲しくなる。
さて、どんなルートにして欲しいでしょうか。

極端な例で考えると、④ーBの組み合わせだと、ビレイヤーのスポット技術が重要になりそうです。リードジムの床は、案外堅いことが多いので。
経験上、お目にかかったことはありますが、普通は作らないと思います。

例えば、③ーA、5.11前半、という組み合わせはいかがでしょうか?
「5.11前半ぐらいだと、ボルダーをやらない人が多いから、どうやって着地するかなんて考えておらず(それで良いかどうかは置いておいて)、無頓着に背中から落ちる人が出そう。あるいは、ユルユル系の人はプリクリしそう。」
という意見も、当然あると思います。

じゃぁ、③ーA、5.11後半、という組み合わせなら良いでしょうか?
確かに、ボルダーを全くやらない人、着地姿勢を全く考えない人、といった比率は下がって来そうです。ただ、一部にはいます。

反対に、③ーA、5.10前半だったら、さすがに危ないでしょうか?
でも、最近始めた若い人はボルダーやる人が多数派だから、結構大丈夫?むしろ、5.11前半の方が・・・。

まぁ、ルールは無いのですが、なんとなくのサジ加減はあると思います。

さらに、実際には
「かなり工夫すれば、1本目を早めにクリップすることも可能。」
といった条件が加わったりします。まぁ、この工夫には気づいてくれないことも多いのですが。

話は逸れますが、ルートを作ったらスタートに「プリクリしても可」と書くこともできます。
●落ちる確率が高かったらプリクリ設定にしてもらいたいですか?
●それとも、背中から落ちそうだったら、プリクリ設定にしてもらいたいですか?

この話と同じ構図は、
・下部核心のルートは作って良いか?
・ムーヴの都合上、クリップ先行できない(トップロープ状態orそれに近い状態で核心を迎えられない)ルートは作って良いか?
・ビレイが難しいルート(3本目でトラバースするなど、グランドすれすれが予想される)は作って良いか?
・ロープの足絡みをすごく注意しなくちゃいけないルートは作って良いか?
などにも当てはまります。

高グレードになるほど、
●ボルダーをやるから着地姿勢も考えている
●墜落距離の計算もシビアにできる
●ルート後半なら、ロングフォールにも耐えられる
●ビレイも上手
●ロープの足絡みにも注意が向く
といった傾向にはあるので、多少の無茶ぶりにも対応可能、というのはあると思います。

ただ、相関はあっても、比例関係には無い技術なので、あえて少し厳しいルートを作って、考えさせたくなったりもします。まぁ、文句を言われるだけで終わったりもしますが。
とはいえ、極端に危ない課題を作ってもジムって感じじゃないですしねー。