2020年12月19日土曜日

公平性の呪縛

12月5日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
復習参加のNSさん夫妻。

12月6日(日)は、マルチピッチリード講習にて、越沢。
女性Mさん、男性KTさん。
ガイド講習会(いわゆるトップロープの体験会)で、参加者が登った(正確にはトライした)本数の公平性に、とても敏感というケースがあります。

ガイド側:
「〇〇さんは、まだ今日は2本しか登ってないから、少なくとも2本は登ってもらわないとね。」

お客さん側:
「今日は、2本しか登ってない。△△さんは、4本も登ったのに。」

この観念、特定のガイド講習会どころではなく、頻繁に見かけます。
トップロープで登った本数で、ガイド料を割っているのでしょうか?
あるいは、その日に岩場に来たという自分の労力に対する対価として、ルート本数なのでしょうか?
ただ、この気持ちも完全否定はできません。

・ルートの質(ラインの合理性、ムーヴの特殊さ、など)は、沢山のルートを経験した人にしか見えてこない気もします。(ロケーション、ルートの長さ、くらいは経験が浅くても分かるでしょう。)

・「惰性の5本よりも、渾身の1トライ」という感覚も、やはり登り込んだ人にしか見えない景色かもしれません。

・「トライ数よりも、学習効果こそがガイド講習だ。」という感覚も、ある程度のクライミングor登山経験あってこその景色かもしれません。
一方で、仲間同士でショートルートの岩場に行っても、ある程度は公平性が気になります。

例えば、
「アップ数本 + 本気トライ数トライ (+ 追い込み数トライ)」
というのが仲間うちのルーティンになっていたら、

「今日、本気トライ1本しか登ってないなんて、可哀想だよ。(トレーニング上も良くないよ。)」
といった会話になります。
それはそれで、あながち間違いとも言えないです。

しかし、
・一本の本気トライで充実しきる日もある
・本気トライ無しでも得るものが大きくて満足して帰る日もある

そんな風に考えた方が楽しめるし、実際には総合力が伸びるように思います。
1日目の城ヶ崎は、昼過ぎまで小雨。
カムセットとジャミングについての疑問などを延々と議論して、実践練習。
午後遅くには、登れそうなルートもいくつかあったのですが、もはやカムセットの議論が盛り上がりまくり。結局、1本も登らずに終わりましたが、かなり楽しそうな2人でした。
2日目の越沢は、2人のリードしたピッチの難易度・時間に偏りが大きくなってしまい、気の短い人なら「ビレイしに来たんじゃない。」と言いそうな状況。
しかし、これまでの講習が全て繋がる感覚を得たようで、とても晴れやかに一日を終えていました。

こういう心構えって、色々とコトワザがありそうですね。