4月16日(月)は、マルチピッチリード講習にて、越沢バットレス。
女性IUさん、男性NSさんのペア。
散々と雨中止を繰り返して来たので、今回がようやく初回。
本日、何度も苦労することになったのは、ロープの流れ。図示してみましたので、参考まで。
マルチピッチ(あるいは、それ以上に登山的な分野)では、スリングで作ったヌンチャク(通称アルパインクイックドロー) を使用したりして、ロープの流れを調整することも多いです。
図1は、テラスがあって、テラスの奥(B地点)でプロテクションセットした場合です。
本日も、B地点に立木があったので、ロープが大屈曲することになりました。
しかも、厄介なことにテラスの角に強くロープが押し付けられる形になり、テンションするとロープが痛むという状況に陥ります。(最悪のケースは、切断事故。)
そこで、図2が入門書によくある解法です。
リードしていたIUさんも、それは知ってはいました。
ただ、B地点にあったのが立木で、それにスリングを回してプロテクションにしていたため、それ以上にスリングを継ぎ足ししてまで延長するのも心理的抵抗があった様子です。
実際、延長するほど墜落距離が伸びるので、プロテクションの意味が薄れてくるという問題もあります。
今回は、クライミングが易しいセクションだったこともあり、A地点のクリップをしてからクライムダウンしてB地点を回収するような作業を、何度も繰り返し行いました。
図3は、スポートルートのボルト位置で、よくあるパターンです。
×は、ボルト位置。
テラス直前でクリップして、マントル。
テラスに立って、ギリギリ手が届くか、もしくは少し登り始めるぐらいでクリップ。
これで、ロープの流れが自然とよくなるように設計してくれています。
ありがたい話です。
ただ、図4みたいなことも、たまにあります。
テラス直後が難しいのか、止むなく低めの地点にボルトがあります。
そうなると、ロープがテラスの角に押し付けられて痛みます。
テラスの角の具合、自分のフォールする確率などを総合的に判断して、長ヌンチャクにするべきかを考えます。
場合によっては、次のクリップをしたら、下に手を伸ばしてクリップを外すことも一案です。
<マルチピッチは、緩傾斜も多い>
「本当はそれに甘んじすぎたらダメで、クライマーたるものリスク管理を考えて行動せよ。」
みたいな理念も、よく聞きます。
実際には、設定者に近い感覚で物事を考えることは、かなり難しいのですが・・・。
あくまで、努力目標ということで。
そういう意味では、クラックやマルチは、自分でラインを設計するという感覚が理解しやすいように思います。
<緩傾斜で、しかも奥まったクラック>
NSさんは、「すごく、ややこしい。けど、楽しい。」と仰っていました。
「純粋にクライミングを(ムーヴのパズルとか、身体的な運動を)楽しむってのとは、だいぶ離れてますね。」
とも添えてくれました。
<懸垂下降>
皆様も、楽しんでいただければ幸いです。
<色々と苦労して、薄暗くなりました>