2020年12月26日土曜日

チークボーンR.P.


12月14日(月)、20日(日)は、自分のクライミングにて、城ヶ崎。
久々に、心の底から「登りたい!」と思えるルートをR.P.できました。
<あか根>

<1日目。懸垂下降する狂祖さま。>

城ヶ崎の「あか根」。
あかねの浜の隣にあり、懸垂下降が必要なエリアです。
チークボーンは、★★★の5.11a(ワイドクラック)。

魅惑のトラッドによれば、ワイドギアは複数個必要。
ただし、フェースっぽく登った風に読める文章。

完全なルーフワイドも僕には腹筋・背筋不足で厳しいですが、ワンポイントのワイド技術とフェースを交えての5.11前半ならば、オンサイト圏内ではないか?という期待で、以前から気にかかっていました。
<オブザベで、ワクワクがすごい>

パッと見て、「理想のルートではないか!?」と直観。

予想通り、そして期待通りのラインです。
ルーフだけど、ホールド・スタンスは比較的豊富で、フェースでカバーできる部分が多そう。
そして、レストポイントも豊富。

ラインの明瞭さ、合理性は、「ここを登れ!」と言わんばかりです。
<オブザベ>

僕は、ワイドクラックが割と好きな方だと思います。
理由は、少なくとも3つあります。

①ラインの合理性(独立性など)
クラック全般に合理性は高いですが、ワイドは「登れ!」と迫るような存在感があります。
「まぁ、ワイドだからね。(広いから当然でしょ。)」という天の声も聞こえてきますが。

②足技など、フック、ロック系の多彩さ
言い古された内容ですが、僕もそれが好きです。
ニーロック、ヒール&トウ、という用語では言い尽くせない工夫の数々。
ジムでも、ヒールフックで僅かでも楽になるなら、5.9でも積極的に使う人間なので。

③根性とムーヴ解決能力の絶妙な比率
ムーヴが最適解と言えなくても、ゼエハアの頑張りを見せればオンサイトトライで結構イイ線で戦えたりします。
そんなルートも、確実なムーヴを発見してしまえば、「結局フェースと同じで、手順足順か。ワイドって、いわゆる分かっちゃえば系なんだな。」と思わされることも度々あります。
<小アジ(5.10c)は、O.S.できた>

変な話、ジムでも上記3条件を満たすハリボテ課題があれば、大好物です。
合理性、というのがジムには必要ないかもしれませんが、似たような感覚は少しあります。
<ルーフ部分>

さて、初日のオンサイトトライ。
完全レストポイントが随所にあるため、体感1時間半くら粘った挙句、最終ハングでフォール。

精魂尽き果て、ハングドッグしても出力が上がらず、困り果てる状況に。
パートナーに謝りながら、セルフを取って大休憩。

そして、例によって「分かっちゃえば」のムーヴが発見され、ようやくトップアウト。
<もう寝たい>

<何もできないっす>

しかし、ルーフクラックあるあるで、このルートもフォロー(トップロープ)回収が必要です。

幸か不幸か、狂祖さまは疲れ過ぎて「今日は、もう登らない。」と仰るので、30分ほど休憩してフォロー回収に向かいます。
<フォロー回収の準備後、少しでも寝て鋭気を養う>

テンション掛け掛けでも、ムーヴ再現する元気はありません。
仕方ないので、ユマーリングを交えて消耗を抑えつつ、フォロー回収。
<スタートから、ユマーリングする私>

その後、荷上げやら、ロープ回収、下山が、それはそれは堪えました。
<荷上げ>

2日目は、久々のK口さんと。
最近、たまたま岩場で再会していたので。
<アプローチの懸垂下降>


ムーヴ解明した上部よりも、オンサイトで突破している中間部に曖昧な不安はあります。
しかし、カムの効く場所は記憶しており、持っていく個数も減らせます。

さらに、完全レストポイントの居心地も確認済みなので、プレッシャーは相当軽減されています
<アプローチセクションも、結構ムーヴがある>

当然、完登するべき1トライ目。

アプローチセクション後に完全レストできると知っているので、ウォームアップ無しでスタート。
<中間部>

そして、中間部の出だしは快調。
ここで、膝が完全にスタック!

何の力も加えずに、形状だけでボトミングするところに、膝がスタックしてしまったのです。
ミスった要因は、力を入れてニーロックやヒールを効かせるのに体幹が疲れてくるので、ついつい完全ボトミングに誘い込まれてしまったのです。

1〜2分ほど頑張って抜けず、諦めてテンションコール。
しかし、顔の前に決めたカムよりも膝の方が高度が高く、そう簡単には抜けません。
吉田先生と同じく、遭難がよぎります。
なんせ、両手と片足を離しても、膝だけで逆立ち宙吊りができてしまうスタックなのですから。

そして、10分くらい粘ったでしょうか。
かなりの痛みと共に、膝の回収に成功いたしました。

そこからのエイドダウン回収が、また辛かったこと。
<ロープの左が、チークボーン>

そして、午後のトライ。
幸い、膝は擦り傷で済んだので、トライには影響ありません。
<2トライ目>

中間部、上部ともに、まだムーヴ完全解明とは言えない状態ながら、細かい現場修正で頑張り、無事に終了点へ。
当然、膝がスタックしないように気をつけつつ。
<ルーフのトラバース>

そして、ルーフクラックあるあるの、ロープスタックでロワーダウン困難に。

そこで、アプローチに使ったFIXロープで懸垂下降。
そして、スタックしたロープも上でFIXしておき、独り登りでカム回収、という運びとなりました。
<魅惑のトラッドに載っていないラインをトライするK口さん>

自分のクライミング内容そのものは、別に素晴らしいとも言えず。
どちらかと言うと、膝やらロープスタックなどで反省の残る内容で、最終トライは割と確実性のある感じで達成感はボチボチ。
神戸の岩場でのトライの方が、よほど会心ではありました。

しかし、ラインの素晴らしさという点では、僕が登った城ヶ崎のルートで最高です。
スコーピオン、マリオネット、ファザー、風に吹かれて、アイロンヘッド、などの三ツ星ルートの数々よりも、ラインは良いと思います。

まぁ、ワイドだから当たり前なんですけどね。

2020年12月23日水曜日

なぜ登れないかは、今は分からない

12月12日(土)は、岩場リード講習にて、湯河原。
女性KDさん、女性HNさん、MHさん夫妻。

12月13日(日)は、ジムリード講習。
女性HSさん、新規男性UDさん、復習参加の女性THさん、復習参加の女性KIさん。
UDさんは、これにて卒業といたしました。引き続き、ムーヴ講習や岩場リード講習でよろしくお願いします。

12月15日(火)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
女性YYさん、男性HGさん。

12月17日(木)は、ムーヴLv.1。
女性WNさん、女性YYさん、女性KIさん。
初心者がジムに来て「腕力が無い。」と言ったら、多くの人は「いやいや、まだ全然登り方知らないからでしょ。」と思うでしょう。
ただ、本人の腕は疲れており、「この腕さえ疲れなければ!」というのは正直な気持ちです。
次のホールドに届かなくて、「リーチが!」と言っている初心者に対して、「さすがに、その課題はリーチ関係ないと思うけどなー。」と思うことも多いでしょう。
ムーヴ選択が無茶苦茶で、「何この課題!変だよ。」とか言っている人を見て、「うーむ・・・」と思うこともあるでしょう。
ホールドを引く方向がズレていて、無理やりカチッたり握ったりして突破しておいて、「保持力が足りない。」とか、「持久力不足だ。」と言っている人を見ても、「うーむ。」と思うでしょう。
本人に悪気はないし、ほとんど素人さんなら分かりやすいです。

ただ、なまじキャリアが長いと、
「私は、○○が足りないだけで、それさえあれば今より数段登れるはず。」
というニュアンスで発言してしまうこともあります。
残念ですが、僕もあります。

それを聞いた、もう少し登れる人は、
「そういう不遜な考えだから、伸びないだよ。あと、練習して登れるようになった人にちょっと失礼な物言いでもあるよなー。」
という気持ちになります。
(大体の人は温厚なので、それに強くツッコミを入れることは無い。)
実際リーチ有利な課題も多いし、何かしら才能があるのも承知です。

しかし、この感覚は大切にした方が良いと思います。
あなたが登れないのは、あなたが分析した原因とは違う理由かもしれません。
そして、だから対策方法も間違えて、伸びないのかもしれません。

「これを常に自分を問う。」
これが、ちょっと面倒臭いけど、生涯学習に足る遊び方ではないかと思います。

2020年12月19日土曜日

石灰岩の日

12月7日(月)は、自分のクライミングにて、カーネルロック。
狂祖さまと。

12月8日(火)は、ムーヴLv.0。
男性KKさん。

12月11日(金)は、自分のクライミングにて、御前岩。
池田わたルンルンと。
<O.S.祭りの狂祖さま>

カーネルロックは、初めて。

予想通り、この日は疲れていたので、アプローチ至近の日当たり良好エリアでノンビリしたい私の都合。
そして、狂祖さまにとっても、勘戻しを兼ねたオンサイトトライに丁度良いエリアだろうと。
一度クライミングから離れると、ある程度の調子が戻るまで、再登ばかりでモチベーションが上がりにくいですからね。
具体的に登ったルート(全てボルト)

・プレイヤー(5.9) フラッシュ
・セント・フローリア(5.10a) フラッシュ
・へそまん(5.10c) フラッシュ
・ティンバー(5.10c/d) フラッシュ(上部は、へそまんに合流)
・カモン・エディ!(5.11a) O.S.
・ぷらり(5.10c) フラッシュ
・さざれ(5.11b) O.S.

ルートが近接していてホールド共有もあるため、厳密には一撃とは言いづらいものが多い。
<へそまん、O.S.>

個人的な感想としては、ルートはボチボチ。
プラス評価は、最高レベルの居心地、へそ饅頭。
<ぷらり、もO.S.。写真は、ティンバーです。>

御前岩は、2年ぶり。

伸び盛りの、わたルンルンの誘いに乗って。
<アスリーツボディをトライする、わたルンルン>

結論から言うと、この日は成果なし。
だいぶ前から狙っていたルートは、オンサイトどころかハングドッグしてムーヴ解決がやっとでした。
<無事に核心を越え>

具体的に登ったルート
・ハートブレイク(6b+) 再登
・ミートテック(6b) 再登
・Seven Stitch on Pinky(7c)
1トライ目は、終了点手前でフォール。最後の数手がイマイチ決まらず、一応ボンヤリ解決したときに、左足ふくらはぎが攣って叫びまくるという珍事を起こしてしまった。
2トライ目は、1トライ目の疲労もあり、核心に入ったときには力がほとんど入らず、アウト。せっかくなので、最上部の手順足順を固めて降りた。

残念ながら、西面のルートなので、冬の間に宿題回収することは厳しいかも。
<見事にR.P.>

<余勢を買って、Seven Stitchもトライする。先生と呼ぶ日も遠くなさそうだ。>

公平性の呪縛

12月5日(土)は、クラックリード講習にて、城ヶ崎。
復習参加のNSさん夫妻。

12月6日(日)は、マルチピッチリード講習にて、越沢。
女性Mさん、男性KTさん。
ガイド講習会(いわゆるトップロープの体験会)で、参加者が登った(正確にはトライした)本数の公平性に、とても敏感というケースがあります。

ガイド側:
「〇〇さんは、まだ今日は2本しか登ってないから、少なくとも2本は登ってもらわないとね。」

お客さん側:
「今日は、2本しか登ってない。△△さんは、4本も登ったのに。」

この観念、特定のガイド講習会どころではなく、頻繁に見かけます。
トップロープで登った本数で、ガイド料を割っているのでしょうか?
あるいは、その日に岩場に来たという自分の労力に対する対価として、ルート本数なのでしょうか?
ただ、この気持ちも完全否定はできません。

・ルートの質(ラインの合理性、ムーヴの特殊さ、など)は、沢山のルートを経験した人にしか見えてこない気もします。(ロケーション、ルートの長さ、くらいは経験が浅くても分かるでしょう。)

・「惰性の5本よりも、渾身の1トライ」という感覚も、やはり登り込んだ人にしか見えない景色かもしれません。

・「トライ数よりも、学習効果こそがガイド講習だ。」という感覚も、ある程度のクライミングor登山経験あってこその景色かもしれません。
一方で、仲間同士でショートルートの岩場に行っても、ある程度は公平性が気になります。

例えば、
「アップ数本 + 本気トライ数トライ (+ 追い込み数トライ)」
というのが仲間うちのルーティンになっていたら、

「今日、本気トライ1本しか登ってないなんて、可哀想だよ。(トレーニング上も良くないよ。)」
といった会話になります。
それはそれで、あながち間違いとも言えないです。

しかし、
・一本の本気トライで充実しきる日もある
・本気トライ無しでも得るものが大きくて満足して帰る日もある

そんな風に考えた方が楽しめるし、実際には総合力が伸びるように思います。
1日目の城ヶ崎は、昼過ぎまで小雨。
カムセットとジャミングについての疑問などを延々と議論して、実践練習。
午後遅くには、登れそうなルートもいくつかあったのですが、もはやカムセットの議論が盛り上がりまくり。結局、1本も登らずに終わりましたが、かなり楽しそうな2人でした。
2日目の越沢は、2人のリードしたピッチの難易度・時間に偏りが大きくなってしまい、気の短い人なら「ビレイしに来たんじゃない。」と言いそうな状況。
しかし、これまでの講習が全て繋がる感覚を得たようで、とても晴れやかに一日を終えていました。

こういう心構えって、色々とコトワザがありそうですね。

2020年12月17日木曜日

塗り絵&お買い得

12月2日(水)は、リード1回目にて、男性YKさん、男性ONさん。
12月3日(木)は、ムーヴ講習にて、新規女性SYさん。
12月4日(金)は、リード講習にて、男性STさん。STさんは、ジムリード講習を卒業といたしました。
17年前〜10年前ぐらいに、ちょくちょく一緒に登っていた先輩が、言っていたこと。

「クライミングってのは、2つの大事なことがあるんだよ。1つは、塗り絵を塗ること。もう1つは、お買い得を登ることだよ。」
(声とテンションは、裏返るくらいに高い。)
塗り絵というのは、岩場で言えばトポです。
〇〇ルートを、登ったチェックを付ける意味です。
「あそこのルートは、(十分登れるグレードだけど)まだ登ってないからね!登らなくっちゃ!」
という具合です。

お買い得については、友人知人に会うたびに、「あそこの岩場の××は易しめだよね。何々さんが何日で登ったぐらいだから、きっと簡単めだよ。でも、あの人は〜〜に関しては強いから、油断ならないんだよ。」などと情報分析に勤しみます。
実際、グレード更新は大抵の場合はお買い得から始まるのだから、お買い得情報集めに心血を注ぐべきだ、という意味です。
基本はネタなんですが、半分本気で言っていたような・・・。
達成感とか、練習で得たものをトークする時間より、お買い得情報の会話が長い・・・、など。

昔から言われるように、「クライマーとは、ルート収集家である。」という極論です。
(開拓者、セッター、などのルートを作る側の人間は、ちょっと別として。)

本当は、ルートの数やグレードではなく、
・O.S.やR.P.の達成感
・そこまでの過程(スタイル、本人の中の葛藤、大袈裟に言えばドラマ)
・練習で得たもの
などに目を向けたいものです。

しかし、僕も「あれは、まだ登ってない。〜〜さんは登ったらしいよ。」みたいな情報が気になる凡人です。
本質7割、収集癖3割、という感じで生きるのが現実的ですかねー。

2020年12月16日水曜日

門脇崎、灯台下エリア

11月30日(月)は、自分のクライミングにて、城ヶ崎。
狂祖さまと。
<懸垂下降して、エリアへ降りる>

狂祖さまのお導きで、門脇崎の灯台下エリア。

文字通り、灯台下の岬(ここに釣り師と観光客が結構いる)で、適当な岩角などを見つけて懸垂下降して10mほど下のテラスに降ります。
支点構築中に話しかけられるのはもちろん、クライミング中も上から釣り糸が垂れて来たり、終了点で再び観光客とコンニチハしたり、撒いた餌がセットしたカムに乗って臭いが付いたりと、苦笑いの絶えないエリアでした。

「こんなとこ、あるんだねー。よくもまぁ、何事も起こらないものだ。」
と感心します。
エリアとしては、5.8、5.9、5.10aと3ラインが横並びです。
プロテクションは良いし10m程度なので、そのグレードが限界付近の人でも、程よく楽しめます。
確かにテラスも広々として、快適です。

10mならユマールも楽だし、5.8をリード&フォローすることもできるので、ロープワークの確認も兼ねて良いエリアかもしれません。
神須ノ鼻、大堂海岸など、色々なエリアに行く前哨戦として、あるいはマルチピッチを見据えて総合力の向上として、結構面白いと思います。

1ルート登り終えるごとに、終了点から徒歩数分で観光用トイレに行くことも可能です。
どなたか、クラックムーブ講習で行きたい人がいれば是非。
皆んな知って欲しいくらいのネタエリアですよ。
<ナボナ(5.8)>

そして、「昔の人は、よくこんなところまで・・・。」という気持ちは、一層高まるエリアです。
今回、自分の城ヶ崎への感覚が少し広がりました。

ショートルートのエリアというイメージを捨てて、笑いを求めて冒険ごっこも良いかなーと。
クライミングは、幅広いです!
具体的に登ったルート
・ナボナ(5.8、ハンド系) O.S.。その後、2回フォローした。体感5.10a。
・ストマック(5.9、ジャミング&ワイド&フェースのミックス) フラッシュ。体感5.10a。
・グッドハート(5.10a、コーナー) O.S.。体感5.10b。

という訳で、全てのルートで程々に苦労して、グレードの割には結構充実しました。
<海面から数mの大テラスなので、リスクは一番低いかも>

<狂祖さまの狙いは、ストマック(5.9)のO.S.トライ>

<しかし、言わされ続けた狂祖さま>