2013年10月17日木曜日

アルパインクライミングって、何?

10月12日(土)~14日(月)は、自分の山行にて錫杖。
神(S本くん)と。
アルパインクライミングって言葉、ホントによく聞きます。

バリエーションルートを目指す初級者にとって、憧れの響きがあるでしょう。
もともとは、
“(ヨーロッパ)アルプスでのクライミング”

って意味なんで、日本には存在しません。

向こうでは、氷河のある無しで登山の質が大きく変わるそうです。
なんで、トレッキングとクライミングの堺もそこにあると聞きます。
で、日本で言うところのアルパインクライミングは、内容重視です。

①場所

“雪山でのクライミング”
が、最もそれに近い。

アイゼン・アックスを振り回して、岩・雪・氷をこなして稜線を目指す・・・。

いかにも、それっぽいじゃないですか!?
じゃあ、無雪期の谷川、甲斐駒、錫杖は?

アルパインも拡大解釈して、
“山岳登攀を全部”

って考えることも出来ます。


でも、雪山と比べると、山に居ること自体のプレッシャーは少ないのも事実。

慣れた人なら、
・ビレイ点では楽しくお喋り。
・ピッチの難しさだけに集中!
なんてこともアリ。

「こんなのアルパインじゃない!」って思う人は、

「マルチ」、「無雪期アルパイン」、「本チャン」とか、意図的に呼び分けています。
ちなみに、「本チャン」とは。

近郊の低山岩場での1~数ピッチの岩場を「ゲレンデ」と読んで、山岳登攀の本番と練習場と呼び分けた頃の名残り。

今は、スポーツクライミングやクラックなど、過去にはゲレンデと呼ばれたエリアを、本気トライの場所と考える分野が大勢を占めている。

だから、ゲレンデでしか登らないスポーツクライマー相手に、「ゲレンデ」とか言うと変。
似た例として、

「外岩」は
“ジムクライマー目線の岩場”

だが、クライミング対象の岩場全般を指しつつある、という不思議な用語。
さて、アルパインクライミングの話に戻ります。

②プロテクション

もう一つの考え方として、
「整備されているか否か?」
という冒険性の問題。

つまり、ボルトが打たれたアルパインルートは、より「ゲレンデマルチ」っぽくなります。

某有名クライマーは

「日本のクラシックルートなんかより、クラックやアイスの方がよっぽどアルパインなんじゃないの!?」

という主張をしています。
人間、整備されてりゃ、それ頼みになります。
ビレイ点を探すのだって、銀色に光ったボルトに目ざとくなります。

未整備のルートなら、リングボルトの黒光り、残置スリングに目ざとくなるもんです。

(一時期、私も恥ずかしながらそうなっておりました。)
もっと言っちゃいますと。

最後は
「もっと、ボルト多めにしてくれよ。」
「ビレイ点も、もう少し右に打ってくれたら使いやすいのに。」

と文句も出ます。

要するに、
「大自然のラインを登る」
んではなく、

「誰かが作ったルートを登る」
って気分になるのです。
逆に、プロテクションを自分で決めるってことは、初登攀ごっこが味わえるってことです。

そのスキルを活かせば、たとえ易しくても未開拓のルートを登ることだって可能です。

そういう意味で、
「クラックやアイスの方がアルパインだ!」

って話です。
”低山バリエーション”が流行ったとき。 

友人が
「それって結構アルパインじゃん?」

と言ったのも、そう言った思想的な意味。
アルパインクライミング・・・

単なる分野を表すだけでなく、思想もニュアンスに含まれる言葉です。

「思想、なんて言うとメンドクサイ」
って人は、こう考えると良いかも。
「アルパインは、やっぱ冬でしょ!」
って言う人も

「残置なんか使ったら、アルパインじゃないでしょ!」
って言う人も


「山んなかで、道を切り拓くようなクライミングが楽しい!」

ってことの裏返し。
具体的に登ったルート
初日:
・P4ルーフの2P目まで
3P目の核心は、寒さと見た目の威圧感に負けて、ライン変更。
3P目は、ルーフ左の凹角を登るが、結局こちらも寒さ敗退。

2日目:
・1ルンゼ左の周辺を、適当に登ってトップアウト。(4P)

結果的にトポを読み返すと・・・
1P目は、1ルンゼ左の取り付きから左に見えるワイド。
2P目は、錫思杖戯2P目のNPフェース。
3,4P目は、階段状のNPフェース。

懸垂下降しながら、気に掛かっていたチムニーを寄り道してオンサイト。
抜け口には、捨て縄が残置してあって、
「誰かも登ってたんだなぁ」
と、感慨深い。

3日目:
・1ルンゼの左岸側のリッジを、適当に2P登って、行き詰まって懸垂下降。
そこから1ルンゼに降りて、1ルンゼを核心部(5.10a)まで登って、下降。

今回も、全くトポに拘らず。
トップアウトして時間が余れば、懸垂下降して興味深いクラックを登ってみる、と言った遊び方。
段々と、錫杖が三ツ峠っぽく感じて来ました。

また、来シーズンも登るラインは結構ありそうです。