2014年5月12日月曜日

敗退シナリオ

5月10日(土)、11日(日)は、越沢バットレスにてマルチピッチリード講習。

冬にクラックリード講習を卒業して、最近登りこんでいる女性MJさん。
女性TZさん。
<MJさんは、越沢はオンサイト>

マルチピッチリード講習では、壁を初登者の気分で登っていただきます。

具体的には、残置無視、トポ無視で、
「あなたなら、どこを登りますか?」

といったスタイルで、壁をオブザベーション。
<初日の午前中、セカンドのビレイなどを簡単に確認>

で、オブザベーションすると、

「あそこ、登れんのかなぁ?」
といった疑問を感じることが多いのです。
<頼もしくなってきた、TZさん>

そこで、次に考えるのが、
「あそこで、行き詰まったら、どうやって敗退するか?」

立木が近くにあれば、懸垂下降で敗退できるでしょう。

それが無理なら、クライムダウン敗退?
最悪は、カム残置?
<ビレイ点での作業中>

つまり、登り始めるときには、敗退シナリオまで立っていると。

こうすれば、未知の岩壁に挑むのも、恐怖半減。
<オブザベーション中>

リードする本人は、もちろんです。

ビレイヤーも、監督している私も、だいぶ安心感を持って見ていられます。
<MJさん、緊張のオンサイトトライ>

マルチピッチ初心者の講習生は、当然ながらルートファインディングも失敗率も高い(笑)。

でも、敗退シナリオが立っているのなら、
「まー、行き詰まってから、帰って来てもらえば良いか。」

と、素知らぬ顔で見ています。
<新人クラック、とでも呼ぶべきピッチ>

むしろ、私が口出しするのは、

2人が話し合っている敗退シナリオが、
「そりゃ、無理シナリオでしょ!」

って思ったとき。
<不慣れ感ただようMJさん>

他にも、ロープワークや、ちょっとしたマルチピッチの所作も教えます。

でも、本当に大事なのは、オブザベーションだと考えています。
<2日間で、最も厳しかったピッチをフォローするMJさん>

3回トライして、2回敗退でも良いんです。

それでも、自力でマルチピッチに挑戦できる判断力を付けること。

それが、この講習の目的だと、最近は思っています。
<2日目のトップアウト>

具体的な講習
・ギアの扱い、セカンドのビレイ、コールなしの確認

・1日1本だけ、壁をトップアウト
(TZさん主体のリード)

・易しいピッチを、MJさんがオンサイトリード練習
<無事に登れたことを、心から感謝>

ただ、今回は危なっかしい場面も、何度かありました。
やっぱり、マルチピッチリード講習は、私にとって最も心臓に悪い講習ですね!

その分だけ、この講習のビフォーアフターは、意識改革となって現れると信じています。