2014年3月19日水曜日

ミニマムボルトを、味わおう

3月16日(日)は、岩場リード講習にて湯河原。

ジムのリード講習から受けている、女性MTさん、男性OGさんのペア。
同じく、女性SGさん。
補習で参加の、女性TZさん。
<梅の宴>

岩場のボルト間隔は、ジムよりも遠いです。

「ここで落ちたら」と思うようなランナウトも、日常茶飯事。

「なんで、そんなに遠いんだ?もっと、沢山打てば良いのに。」
という初心者のために、理由を説明します。

(2年前くらいにも、同内容を書きましたが)
<安定感を得るため、午前中はムーヴ講習>

まず、クライミングには、

「なるべく、自然のままの岩を登りたい。」
っていう思想があります。

フリークライミングが、
「ロープは安全確保の手段で、ロープを掴んで登るのはダメ」

というのも、その一例。
同じ流れで、
「なるべく、ボルトは打ちたくない」

というのが、ミニマムボルトという考え方です。

出来ることなら、未踏の岩峰を登るが如く、ボルトのない壁で遊べたら冒険的で楽しい!

っていう話。

(関東近郊だと、ミズガキ、小川山がこの考え方が特に強い印象。)
<アブラカダブラ(5.10a)、TZさん>

でも、クラックが無い壁だと、ボルトを打たないとリード出来ません。

だから、なるべく少ない本数だけボルトを打つのは容認しましょう、という話。

で、この
“なるべく少ない本数”

っていうのが、初心者泣かせです。
<リード講習中>

ちなみに、
「裏から回って立木でトップロープを張れば、ボルト打たないで済むじゃん!」

という意見は、ごもっとも!

でも、クライミング業界では、リードこそが完登と認められています。

ボルトを打ってでも、
「下から登る!」

っていう冒険性を優先した、その結果です。
<ジムでは、イレブン様のMTさんも、安定感はまだ無い>

ただ、どうやら昔のクライマーは、落ちないクライミング能力がメチャクチャ高いんです。

5.9のルートなら、5.6くらいのセクションは、ボルトが無かったり。
5.11aのルートなら、5.9くらいのセクションは、ボルトが無かったり。

当時の人は、もともとアルパインクライマーだったということもあって、

「落ちない安定度」
ということに対する拘りも、今よりも強かったんだと伝え聞きます。

だから、スラブなんかは核心部にしかボルトが無い!
なんていう、鉄の意思を感じるルートもあります。
<ジムでトゥエルブ様のOGさんは、さすがに半日で安定してきました>

現状、ジムでクライミングを始めると、登りは荒っぽくても5.11aくらい登れちゃう初級者が多いものです。

だから、ミニマムボルトは初心者泣かせ!

私自身も、
「このボルト間隔でトライできないような下手なヤツは、このルートはまだ早い!」
と、手厳しく追い返されることはあります。
<トウェルブ様でも、5.10aのO.S.で嬉しそう!>

でも、これこそが
「安定感のあるクライミング」

を習得するチャンスかと思います。

特に、当塾講習生はマルチピッチやアルパインを目指している方が、大部分。

だったら、安定感のあるクライミングは、必修科目です。

安定度が上がっていく、という上達を感じながら、クライミング文化を味わってみましょう。
具体的な講習内容
・ネコ足(足指をズラして、微調整)
・指の脱力(ホールドに、肉を引っ掛ける感覚)
・一手一手、安定させる意識
・ヌンチャクの向き(ウィップフラッシュ現象)
・簡単なルートでリード練習
・リードで、落ちる練習

・実践本気トライ
OGさん:アブラカダブラ(5.10a)をO.S.、フック船長(5.10a)をフラッシュ
SGさん:アブラカダブラ(5.10a)をフラッシュ
TZさん:アブラカダブラ(5.10a)をR.P.、フック船長(5.10a)をR.P.
<ジムでも5.10aのSGさんも、5.10aをフラッシュ!これは、凄いこと>

「思想は分かるんだけど、安定して登るのがダメ」
という人は、習った方が早いと思いますよ。