2014年9月29日月曜日

素晴らしいリード、反省すべきリード

9月27日(土)は、マルチピッチリード講習で越沢バットレス。
女性WNさん、女性ARさん。
<壁をオブザベ>

本日、WNさんのリードで、素晴らしい1本と、反省すべき1本がありました。
<ARさんの1ピッチ目>

素晴らしい1本は、

・ライン取り
・クライミングの安定感
・突っ込むか、敗退するかの判断
・メンタルの充実
・プロテクションのスリング延長などの判断

全てが充実。
WNさんにとっての限界近いピッチを、45mに渡ってロープを伸ばしました。
実質的に、オンサイト状態で。

初めて扱うハーケンも、リード中に5本を打ち、少し手慣れて来ました(笑)。

そして、リードだけで2時間!
<素晴らしいリードをこなす、WNさん>

よく、「マルチはスピード!」みたいなことを言います。

たしかに、手際が悪くて時間が掛かったのなら、反省すべきでしょう。

が、実際には突破するために、色々なことを試みた2時間は立派なものです。
なにせ、突破できなければ、完登できないのですから!
<厳しい態勢で、ハーケン打ち>

次に、ダメなリードの話。

リード中に、ランナウトした状態で、進むことも戻ることも出来ないと慌てました。

いわゆる、“セミ”というやつで、将棋で言えば“詰み”です。
この状態になると、決死の突っ込みか、決死のクライムダウンをしなければ、生き残ることが出来ません。

こんなことを頻繁にやってたら、いつか死んでしまいます。
<余裕たっぷりでフォローするARさん>

今回、これになった原因を挙げると・・・

・そんなに難しくなかった&先にレストポイントがあったので、安易にワンムーヴをこなしてしまった

そのムーヴをこなすリスクを十分に理解していれば、

「クライムダウンできるかどうか、ホールドとスタンスを覚えておこう。」
「そのレストポイントで、突っ込むかクライムダウンを判断するだけの気力・体力が自分にあるかな。」

といったことを、考えたはずです。
<1本目は、WNさんの活躍でトップアウト>

WNさんは、その前に素晴らしいリードをこなしたのですから、当然そんなことは分かっていたと思います。

ただ、こんなことが油断の原因だったんじゃないかと。
<懸垂下降>

①自分が、2時間リードで消耗しているのを、甘く見ていた

②素晴らしいリードと同じ頑張りを、もう1回できる気でいた

③過去に、このピッチをフォローしたことがあって、「ちょっと簡単目」という印象があった
<敗退することになったピッチ>

判断というのは、メンタルが作用しますからねー。

「敗退できる範囲で前進する」
というのは、奥が深いものです。
<もはや、疲労困憊のWNさん>

わずか3ピッチのリード講習でしたが、十分に経験が積めたと思います。
また、頑張りましょう。
<でも、帰りは笑顔>