2014年11月14日金曜日

チェック方法の確立

11月13日(木)は、マルチピッチ体験講習にて、越沢バットレス。
宇都宮の男性IKさん、女性Hさんの2名で。
<たまには、違う場面でスタート>

マルチピッチ中、エイトノットをハーネスから解くという場面がときどきあります。

たとえば、
・3人で登っていて、リードを交代する
・リード&フォローから、懸垂下降に移る
・ロープが激しく絡んでしまって、末端を通して解きたい

という状況など。
<アルパインクイックドローの作り方を、動画で>

ここは、少し緊張する一瞬です。

どんなリスクを想定しているか、想像できるでしょうか?
<午後からポカポカ陽気>

①セルフビレイ
メインロープでセルフビレイを取っていると、エイトノットを外した瞬間にノービレイになってしまいます。

しかも、その瞬間、無意識にロープに集中しているので、かなり危険な状態です。
②ロープの落とし止め
自分のエイトノットが、ロープの落とし止めになっていることがあります。

ロープが体から離れるということは、ロープの束を落としたときに、ロープとサヨナラする可能性があります。
<毎回、カムを抜いては決め直すIKさん>

ということを踏まえて、私はエイトノットを解くときは、

・自分のセルフビレイが、他で(スリングなどで)確保されているか?

・ロープの落とし止めとして、どこかにロープが結ばれているか?
パートナーが、ロープの反対末端をエイトノットで結んでいるなら、それで十分なバックアップになることも多い。

というチェックを行うことにしています。
<そこまで余裕のないHさん>

ロープワークの安全管理って、この手の思考回路を繰り返しているようです。

つまり
1.リスクの想定
(事故例を知っていると、なお良い)

2.現実的リスクと恐怖心を、同時に軽減するためのチェック方法の確立

3.それの習慣化
<ラスト10m>

登る前のダブルチェックにしても、懸垂下降の前のチェックにしても、何でも本質は同じだよなぁと。

で、事故例を多く知るごと、自分がヒヤリハットを体験するごと、さらに項目が追加されていきます。

こうして、もともと怖がりな性格の人は、10年くらいマルチピッチをやる中で、かなり細かい人間になっていきます。

このプロセスの繰り返し、教えるようになって、本当によく分かった気がします。
この最初の数年の部分を、方向修正したりしながら助けるのも、我々の仕事なんだろうなと思います。
<2人とも、オールフリーで完登できました!>

具体的な講習内容
・オブザベーション練習
・スリングの収納方法
・アルパインクイックドローの作り方
・ギアラックの整理方法
・コールあり、コールなしの流れ
・1ピッチだけを、リード&フォローから懸垂下降する流れの練習
・マルチピッチで、1ラインをトップアウト