2020年9月27日日曜日

上に活路を求めるべからず

8月21日(金)は、岩場リード講習にて、小川山。
男性HGさん。
8月22日(土)は、クラックリード講習にて、湯川。
男性HGさん、復習参加のNSさん夫妻。
8月23日(日)は、予報微妙につきビックロック日吉にて、クラック講習。
女性ISさん。
①クラックルートの後半(高さ10mほど)のレストポイントで、カムの効きに自信が持てなかったとします。念のため、固め取りはしたものの、完璧という気持ちではありません。
しかし、数歩上がればカムが効きそうだと見えました。

②実際に上がると、やや体勢が不安定で余裕が少なく、完全なセットとして自信が持てませんでした。
しかし、数歩上がればカムが効きそうだと見えました。

③実際に上がると、再び体勢が不安定で余裕が少なく、完全なセットとして自信が持てませんでした。
しかし、数歩上がればカムが効きそうに見えました。

④実際に上がると、再び体勢が不安定で余裕が少なく、完全なセットとして自信が持てませんでした。
しかし、あと数手で実質終了とも言える立木を掴めそうに見えました。そして、それほど難しくはなさそうでした。

⑤立木を掴む瞬間にフォール、④で決めたカム、③で決めたカム、②で決めたカム、と順に抜けましたが、さすがに①で決めた固め取りのカムで止まりました。
この失敗の原因は、なんでしょう。
・カムセット技術でしょうか?
・体勢作りでしょうか?
・リスク管理の戦術でしょうか?
<台湾坊主を2撃する、NS奥様>

似た例を挙げます。

①ボルトルートで、足元50cmのランナウトをしていました。
ボルト直後に、かなり際どいムーヴをしたこともあり、戻ってテンションを掛けることは難しい状況です。
できるとすれば、足首くらいまで戻ってのギブアップフォールです。

②次のボルトまでの1mは、それほど難しそうに思えません。が、次の1歩を進むと、戻ることはさらに困難になりそうです。感覚的には、99%でボルトに辿り着けそうで、1%で失敗しそうです。

ここで、究極の選択です。
戻っても、足首フォール。(怪我するリスクは小さそうだが、怖い。)
進んだ場合、99%でボルトに辿り着き、1%で大怪我or死亡です。
冷静な状態であれば、
・戻って、足首フォール。以後、敗退して、再トライを考える。
・戻って、足首フォール。以後、ロープにぶら下がって休憩して、もう一度同じ場面をやってみる。(100%近く落ちずに次のボルトに辿り着けるムーヴがあるかも。)
・今の状況がレストできるなら、その場で留まって、100%近く落ちずに次のボルトに辿り着けるムーヴを探し続ける。

といった選択をするはずです。
しかし、私の初心者時代を振り返っても、講習生の多くを見ていても、99%の確率なら勝負してしまう傾向にあります。
「だって、戻っても落ちるなんて嫌じゃん。」とは、本人は言いませんが。
ただ、私の見る限り、戻ればテンションを掛けられるなら、上に活路を求める人は少ないです。
この現象って、山の遭難と似た心理を感じさせますね。


オンサイトリードは、リスクマネジメントを楽しむ行為なのでしょう。